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騎獣
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竜騎士さんが王都を離れることになった。
領都に帰った後、色々準備してから御婦人の家に行くそうだ。
今後、会う機会は減るかも知れないな。
「調教師のところに行くぞ」
「何故です?」
「お前の騎獣が必要だろ?」
王都では騎獣に乗らなくても困らない範囲で生活するつもりだったんだけど、既に色彩鯉の湖まで行ってるし無理だよなぁ。
王様にも何か頼まれるみたいだし、早く移動出来る騎獣を持った方が良いか。
「そうですね」
*
「無理です!しまってください!」
調教師のところへ行って話をしたところ、なんでも騎獣として扱えるように出来ますと言うので収納の中に居るグリフォンを出したら拒否られた。
「グリフォンを騎獣にするなんて聞いたことありませんよ!」
なんでもって言ったのに…。
騎獣になる魔物にも色々あるらしく、空を飛ぶ魔物の中では竜騎士さんが使っているワイバーンという種類が最高位らしい。
グリフォンは騎獣向け魔物の中に入っていないし、王都の中に居て良い魔物じゃないらしい。
仮に騎獣として扱った場合、帝国に目を付けられる可能性があるとも言われた。
グリフォンは帝国で聖獣として扱われているらしく、それに乗って移動なんてしたら最悪殺される可能性もあるのだとか。
うん、やめよう。
「他だとガルーダが」
「無理です、教会が許しません」
「何故?」
「神の乗り物として扱われています」
ちょっと変わった鳥人間にしか見えないのに神の乗り物なのか。
「先程グリフォンを見ていなかったらガルーダを持っているなんて信じられませんよ。あと一瞬で良いので見てみたいです」
「じゃあ、はい」
「おお!! 本当にガルーダ!!」
収納。
「あ…」
ちょっと残念そう。
「ガルーダをこの目で見ることが出来るとは、貴重な体験です」
「もしかして殺すのも不味いんですか? さっきのグリフォンも」
「いえ、ガルーダもグリフォンも災害級の魔物なので人里に降りてきた場合は討伐対象ですね」
殺すのは良いのか。
基準がわからない。
他人が乗ってるのを見るのが不快だからやめろみたいな感じなのか?
「知ってました?」
「ああ。だいたいそこまで近づく前にワイバーンが逃げる。そもそも何時収納したんだ?」
「この前湖に行った時ですよ、空を飛んでる魔物を見掛けたら収納していたので場所まではわかりませんが」
「遠目からでも収納出来るようになったのか?」
「ええ、見えるものなら」
「太陽を収納するのはやめておけよ」
「流石に空に浮かぶものはしませんよ」
そもそも入るかもわかりませんしね。
それから空を飛べそうな手持ちの魔物を言ったのだが全部却下された。
セイレーンなんて騎獣にしたら貴方が討伐されますよ!とか言われたが、過去に魔王が騎獣として使っていたことがあるらしい。
魔王か。
800年くらい前までは世界征服しようと頑張ってたらしいが今は何してるかもわからないらしい。
後で王様に聞いた話では戦争準備などをしているわけでもないみたい。
魔王の居る大陸には貴重な薬の原料になる植物が有るらしく、魔王が侵攻してくる前に有った定期船を復活させられないかと王様は考えているそうだ。
定期船はクラーケンの居た港から出ていたそうで、当時は他国のものだった。
300年くらい前に自分の国にも海が欲しいと考えた当時の王様が戦争で勝ち取った。
王都近くにあった岩塩採掘場から数十年後に塩が採れなくなるとの調査結果が出たのも戦争した理由なんだとか。
塩は生きていくのに必要な物で、他国からしか入手出来なくなるのは不安だったらしい。
国を維持する為に行動するのは、貴族家や商家を維持するよりも更に大変だ。
学校に通ったからって出来るようになるとは思えない。
*
「空を飛ぶ物なら私が出せるわよ」
「そうなの?」
水の精霊に自分用の空を飛ぶ騎獣が欲しい話をしたら出せると言う。
流石は精霊だ。
彼女が出したのは竜騎士さんが乗っていたワイバーンを水で再現した物。
飛行能力も変わらないし、触っても冷たいってことはない。
「貴方に従うようにしてあるし、乗らない時は収納の中に入れておけば良いわ」
「それは良いな。餌は食べるの?」
「必要になったら貴方の魔力を吸うようにしてあるわ」
「どれくらい吸われる?」
「さあ? ただ、貴方魔力が減ったと感じたこと今まである?」
「無いかな。そもそも魔法使えないし」
自分の中に魔力を感じたことがない。
魔法を使うスキルも持ってないし。
「その収納庫に生き物を入れて生かしておくのには魔力が必要よ。貴方は今も魔力を使い続けているのだけれど自覚ないのね?」
「無いな」
「なら問題無いわ。グリフォンを維持するよりその子の魔力が必要になるとは思えないもの」
収納庫に生き物を入れている間は魔力を消費していたのか、知らなかったな。
それに俺にも魔力があったとは…。
「魔力が有るなら魔法が使えるのか?」
「訓練次第じゃない?」
「魔法を使えるスキルがなくても?」
「魔法使いの全てが魔法に関係したスキルを持っているわけじゃないのよ? この国では違うの?」
「この国と俺の生まれた国では魔法に関係したスキルが無いと使えないと言われているけど、違うのか?」
「昔の人は訓練したら使えるようになっていたわ」
「どれくらい前の人?」
「年数はわからないけど、魔王が来る前は使えてたんじゃないかしら?」
魔王が攻めてくる前って2000年くらい昔じゃないですか。
領都に帰った後、色々準備してから御婦人の家に行くそうだ。
今後、会う機会は減るかも知れないな。
「調教師のところに行くぞ」
「何故です?」
「お前の騎獣が必要だろ?」
王都では騎獣に乗らなくても困らない範囲で生活するつもりだったんだけど、既に色彩鯉の湖まで行ってるし無理だよなぁ。
王様にも何か頼まれるみたいだし、早く移動出来る騎獣を持った方が良いか。
「そうですね」
*
「無理です!しまってください!」
調教師のところへ行って話をしたところ、なんでも騎獣として扱えるように出来ますと言うので収納の中に居るグリフォンを出したら拒否られた。
「グリフォンを騎獣にするなんて聞いたことありませんよ!」
なんでもって言ったのに…。
騎獣になる魔物にも色々あるらしく、空を飛ぶ魔物の中では竜騎士さんが使っているワイバーンという種類が最高位らしい。
グリフォンは騎獣向け魔物の中に入っていないし、王都の中に居て良い魔物じゃないらしい。
仮に騎獣として扱った場合、帝国に目を付けられる可能性があるとも言われた。
グリフォンは帝国で聖獣として扱われているらしく、それに乗って移動なんてしたら最悪殺される可能性もあるのだとか。
うん、やめよう。
「他だとガルーダが」
「無理です、教会が許しません」
「何故?」
「神の乗り物として扱われています」
ちょっと変わった鳥人間にしか見えないのに神の乗り物なのか。
「先程グリフォンを見ていなかったらガルーダを持っているなんて信じられませんよ。あと一瞬で良いので見てみたいです」
「じゃあ、はい」
「おお!! 本当にガルーダ!!」
収納。
「あ…」
ちょっと残念そう。
「ガルーダをこの目で見ることが出来るとは、貴重な体験です」
「もしかして殺すのも不味いんですか? さっきのグリフォンも」
「いえ、ガルーダもグリフォンも災害級の魔物なので人里に降りてきた場合は討伐対象ですね」
殺すのは良いのか。
基準がわからない。
他人が乗ってるのを見るのが不快だからやめろみたいな感じなのか?
「知ってました?」
「ああ。だいたいそこまで近づく前にワイバーンが逃げる。そもそも何時収納したんだ?」
「この前湖に行った時ですよ、空を飛んでる魔物を見掛けたら収納していたので場所まではわかりませんが」
「遠目からでも収納出来るようになったのか?」
「ええ、見えるものなら」
「太陽を収納するのはやめておけよ」
「流石に空に浮かぶものはしませんよ」
そもそも入るかもわかりませんしね。
それから空を飛べそうな手持ちの魔物を言ったのだが全部却下された。
セイレーンなんて騎獣にしたら貴方が討伐されますよ!とか言われたが、過去に魔王が騎獣として使っていたことがあるらしい。
魔王か。
800年くらい前までは世界征服しようと頑張ってたらしいが今は何してるかもわからないらしい。
後で王様に聞いた話では戦争準備などをしているわけでもないみたい。
魔王の居る大陸には貴重な薬の原料になる植物が有るらしく、魔王が侵攻してくる前に有った定期船を復活させられないかと王様は考えているそうだ。
定期船はクラーケンの居た港から出ていたそうで、当時は他国のものだった。
300年くらい前に自分の国にも海が欲しいと考えた当時の王様が戦争で勝ち取った。
王都近くにあった岩塩採掘場から数十年後に塩が採れなくなるとの調査結果が出たのも戦争した理由なんだとか。
塩は生きていくのに必要な物で、他国からしか入手出来なくなるのは不安だったらしい。
国を維持する為に行動するのは、貴族家や商家を維持するよりも更に大変だ。
学校に通ったからって出来るようになるとは思えない。
*
「空を飛ぶ物なら私が出せるわよ」
「そうなの?」
水の精霊に自分用の空を飛ぶ騎獣が欲しい話をしたら出せると言う。
流石は精霊だ。
彼女が出したのは竜騎士さんが乗っていたワイバーンを水で再現した物。
飛行能力も変わらないし、触っても冷たいってことはない。
「貴方に従うようにしてあるし、乗らない時は収納の中に入れておけば良いわ」
「それは良いな。餌は食べるの?」
「必要になったら貴方の魔力を吸うようにしてあるわ」
「どれくらい吸われる?」
「さあ? ただ、貴方魔力が減ったと感じたこと今まである?」
「無いかな。そもそも魔法使えないし」
自分の中に魔力を感じたことがない。
魔法を使うスキルも持ってないし。
「その収納庫に生き物を入れて生かしておくのには魔力が必要よ。貴方は今も魔力を使い続けているのだけれど自覚ないのね?」
「無いな」
「なら問題無いわ。グリフォンを維持するよりその子の魔力が必要になるとは思えないもの」
収納庫に生き物を入れている間は魔力を消費していたのか、知らなかったな。
それに俺にも魔力があったとは…。
「魔力が有るなら魔法が使えるのか?」
「訓練次第じゃない?」
「魔法を使えるスキルがなくても?」
「魔法使いの全てが魔法に関係したスキルを持っているわけじゃないのよ? この国では違うの?」
「この国と俺の生まれた国では魔法に関係したスキルが無いと使えないと言われているけど、違うのか?」
「昔の人は訓練したら使えるようになっていたわ」
「どれくらい前の人?」
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魔王が攻めてくる前って2000年くらい昔じゃないですか。
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