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討伐訓練
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収納庫の中の盗賊を装って御婦人を襲った相手は衛兵に渡さず王都の御婦人の実家に出すことにした。
その辺りの事情はよくわからないが、竜騎士さんが言うには護送中に処理される可能性もあると言う。
御婦人、あるいはお嬢様が生きていると都合が悪い人達がいるのだろう、面倒ごとくさいので知らない聞かない。
*
同行者が増えた以外は予定通りに王都へ着いた。
飛竜でそのまま竜騎士さんの両親が居る家に行ったのは驚いたが、特に何も言われることなかった。
そこから彼女の家に連絡をし、迎えの馬車を寄越してもらう。
俺と竜騎士さんはうちの馬車に乗り込み後をついていく。一緒に乗れば良いのにと思うのだけど、貴族には色々あるようで。
彼女の家に着いた後、竜騎士さんが家の主人で有る彼女の祖父母と話していたが貴族の事情なのでこれにも関わらない。
相手は嬉しそうにしていたので悪いことではないと思う。
その後、地下にある牢屋に彼女たちを襲っていた人たちを出し、武器や防具を含めた身に付けている物を即収納した。
武器を持ったままだと危険かなと思って試しにやってみたら出来た。
最初から出来たのか最近出来るようになったのかはわからないが、やれることが増えるのは良いことだ。
「高等学校で嫌なことが有っても相手を全裸にするなよ」
「女性にはしないですね」
「男でもだ、相手によっては決闘になる」
めんどくさそうなので全裸まではやめておこう。
*
家に帰ってきた後、風呂で身体を洗い用意された服に着替える。
屋敷内用の着衣のはずなのだが、俺が普段着ている服よりも上等で枚数も多い。
農村生まれとしては落ち着かない。
「似合うじゃないか」
「変じゃないですか?」
「動きも様になってるし、短期間の詰め込みにしてはらしく仕上がってるな。あとは話し方か」
「必要な場では気にしますよ」
竜騎士さんもそんな感じですよね?
その後義理の両親に挨拶。
自分を引き取ってくれたことに対するお礼と道中の話などをする。
収納内に入っている幾つかの魔物を倒してくれるとのことなので、後日一緒に城へ行くことになった。
良い訓練になると両親共にニコニコ顔で言っていたのがなんか怖いです。
その日は屋敷内の客間で眠った。
明日に離れを案内してくれるとのこと、それと離れの前に池を作る話もした。
排水の許可は既にもらってあると言う話なので、明日中に大体のことはできると思う。
うちの庭師と相談して池を作るのに必要な物を事前に集めているので、基礎部分を作り上げた後はこの家の庭師に丸投げしたい。
*
「例の収納庫が王都についたそうですよ」
「名前で呼んでやれよ」
「貴方が認めたのはスキルでしょう?」
「スキルもだ。普通の奴だったら街は増えていなかっただろうさ」
*
「まずは地竜を出してくれ」
「はい」
30人くらいの騎士と10人くらいの魔法使いと一緒に王都から馬車で半日ほど離れた草原に来ている。
最初は王城内の訓練所で魔獣退治をする予定だったのだが、試しに出した地竜を見た偉い人たちが青やら赤い顔してダメ出しをしてきたのでここでやることになった。
王様や王子とかは討伐する様子を見れないと反対していたが、城が壊れた時は自費で直してもらいますよと財政大臣に言われて引き下がった。
俺は当事者としてその会議?に参加していたのだが、途中で飽きて眠気を我慢するのに必死だった。
予定よりも早い1時間くらいで討伐が完了。
重傷者も出てないし地竜を倒したことで自信がついたのか、皆さん良い顔しているな。
「1時間後に2体目を出します、治療が済み次第各自休憩を行ってください。次は先程倒した物よりも2回りほど大きな地竜になりますが、弱っているのでそこまで苦労はしないと思います」
…たぶん。
彼は戦う力がなくても戦闘集団に対抗出来ることを教えてくれた魔物だ、思い通りに動かせないけどさ。
戦場で傷付き弱っているので大きくてもさっきのより楽なんじゃないかなと思う。
「うわ…」
「ひっ…」
楽だと思ってました。
近場で見てなかったのでわからなかったと言い訳したい。
戦場で兵士相手に暴れた彼はその大きさも合わさって迫力が凄かった。
傷付き流れる血、手には肉片、口もとは血で赤いし、今噛み砕いた兵士を吐き出しましたよ…。
騎士さん引いてるし、魔法使いの女性倒れたよ。
「し、収納! 収納!」
「はい!」
収納しました!
弱っているはずなのにめちゃめちゃギラギラしてたよ!
「どうしますか?」
「しばらく休憩し、落ち着いたら別な個体を頼む」
「わかりました。…落ち着きますかね?」
「あんな殺意をぶつけられたのは初めてだろうからな、難しいかもしれん」
今回仕切っている団長さん曰く、今回参加した人たちは訓練はしていても実戦経験がないので精神的に甘いところがあるそうだ。
あの地竜は良い刺激になるから倒さずに新人研修で使おうとニコニコしながら言っていた。
地竜を倒して調子に乗ったところにあれを見せたのは上出来だと褒められもしたけど、特に狙ってないです。
その辺りの事情はよくわからないが、竜騎士さんが言うには護送中に処理される可能性もあると言う。
御婦人、あるいはお嬢様が生きていると都合が悪い人達がいるのだろう、面倒ごとくさいので知らない聞かない。
*
同行者が増えた以外は予定通りに王都へ着いた。
飛竜でそのまま竜騎士さんの両親が居る家に行ったのは驚いたが、特に何も言われることなかった。
そこから彼女の家に連絡をし、迎えの馬車を寄越してもらう。
俺と竜騎士さんはうちの馬車に乗り込み後をついていく。一緒に乗れば良いのにと思うのだけど、貴族には色々あるようで。
彼女の家に着いた後、竜騎士さんが家の主人で有る彼女の祖父母と話していたが貴族の事情なのでこれにも関わらない。
相手は嬉しそうにしていたので悪いことではないと思う。
その後、地下にある牢屋に彼女たちを襲っていた人たちを出し、武器や防具を含めた身に付けている物を即収納した。
武器を持ったままだと危険かなと思って試しにやってみたら出来た。
最初から出来たのか最近出来るようになったのかはわからないが、やれることが増えるのは良いことだ。
「高等学校で嫌なことが有っても相手を全裸にするなよ」
「女性にはしないですね」
「男でもだ、相手によっては決闘になる」
めんどくさそうなので全裸まではやめておこう。
*
家に帰ってきた後、風呂で身体を洗い用意された服に着替える。
屋敷内用の着衣のはずなのだが、俺が普段着ている服よりも上等で枚数も多い。
農村生まれとしては落ち着かない。
「似合うじゃないか」
「変じゃないですか?」
「動きも様になってるし、短期間の詰め込みにしてはらしく仕上がってるな。あとは話し方か」
「必要な場では気にしますよ」
竜騎士さんもそんな感じですよね?
その後義理の両親に挨拶。
自分を引き取ってくれたことに対するお礼と道中の話などをする。
収納内に入っている幾つかの魔物を倒してくれるとのことなので、後日一緒に城へ行くことになった。
良い訓練になると両親共にニコニコ顔で言っていたのがなんか怖いです。
その日は屋敷内の客間で眠った。
明日に離れを案内してくれるとのこと、それと離れの前に池を作る話もした。
排水の許可は既にもらってあると言う話なので、明日中に大体のことはできると思う。
うちの庭師と相談して池を作るのに必要な物を事前に集めているので、基礎部分を作り上げた後はこの家の庭師に丸投げしたい。
*
「例の収納庫が王都についたそうですよ」
「名前で呼んでやれよ」
「貴方が認めたのはスキルでしょう?」
「スキルもだ。普通の奴だったら街は増えていなかっただろうさ」
*
「まずは地竜を出してくれ」
「はい」
30人くらいの騎士と10人くらいの魔法使いと一緒に王都から馬車で半日ほど離れた草原に来ている。
最初は王城内の訓練所で魔獣退治をする予定だったのだが、試しに出した地竜を見た偉い人たちが青やら赤い顔してダメ出しをしてきたのでここでやることになった。
王様や王子とかは討伐する様子を見れないと反対していたが、城が壊れた時は自費で直してもらいますよと財政大臣に言われて引き下がった。
俺は当事者としてその会議?に参加していたのだが、途中で飽きて眠気を我慢するのに必死だった。
予定よりも早い1時間くらいで討伐が完了。
重傷者も出てないし地竜を倒したことで自信がついたのか、皆さん良い顔しているな。
「1時間後に2体目を出します、治療が済み次第各自休憩を行ってください。次は先程倒した物よりも2回りほど大きな地竜になりますが、弱っているのでそこまで苦労はしないと思います」
…たぶん。
彼は戦う力がなくても戦闘集団に対抗出来ることを教えてくれた魔物だ、思い通りに動かせないけどさ。
戦場で傷付き弱っているので大きくてもさっきのより楽なんじゃないかなと思う。
「うわ…」
「ひっ…」
楽だと思ってました。
近場で見てなかったのでわからなかったと言い訳したい。
戦場で兵士相手に暴れた彼はその大きさも合わさって迫力が凄かった。
傷付き流れる血、手には肉片、口もとは血で赤いし、今噛み砕いた兵士を吐き出しましたよ…。
騎士さん引いてるし、魔法使いの女性倒れたよ。
「し、収納! 収納!」
「はい!」
収納しました!
弱っているはずなのにめちゃめちゃギラギラしてたよ!
「どうしますか?」
「しばらく休憩し、落ち着いたら別な個体を頼む」
「わかりました。…落ち着きますかね?」
「あんな殺意をぶつけられたのは初めてだろうからな、難しいかもしれん」
今回仕切っている団長さん曰く、今回参加した人たちは訓練はしていても実戦経験がないので精神的に甘いところがあるそうだ。
あの地竜は良い刺激になるから倒さずに新人研修で使おうとニコニコしながら言っていた。
地竜を倒して調子に乗ったところにあれを見せたのは上出来だと褒められもしたけど、特に狙ってないです。
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