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実技試験編
10 一難去った男
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これにて、魔力実技試験イベントは終了となる。俺もカイリもヒロインのレインもモグリソンくんも死ぬことは無かったのだから、まずまずなデッドエンド回避ではないだろうか。
強いて言うので在れば本来あるはずだった、レインのエロスチルである躓いた拍子にラッキースケベでレインのでかい胸に主人公が顔を埋める事となるシーンはオタクとして生で見たかった。どうやら余計な存在……俺やモグリソンが介入した事でエロイベは流れてしまったようだ。
「さて、そろそろ俺達も帰――」
その時、流れた血が多かったせいか貧血気味になっていた俺の身体は急に立ち上がった事で、ゆらりと大きく視界が揺れた。
「危ない!先輩」
倒れそうになる俺に対して咄嗟に腕を出して支えようとしたカイリだが、バランス悪く俺に巻き込まれる形で共に倒れ込んだ。
ドサリと男2人が倒れたことで、レインとモグリソンも心配し俺達にかけよるが何故か2人は「あー……」と言葉を言い淀ませた。
「これは……」
「まるでルーク様がカイリ・フェンディルを押し倒しているように見えますね」
躓いた拍子で着ていた制服のシャツのボタンがとれ、俺は胸元がはだけた状態でカイリに馬乗りになっていた。直ぐ近くに整ったカイリの顔があり、息が触れ合ってしまうくらいの距離だ。
「なんだか……艶めかしい光景だ……」
「誰が押し倒すか!」
「先輩、あの、俺はぜんぜんこのままでも」
「すぐに降りる!これは事故だ!ってレイン・ゴーティスは何故嬉しそうな顔をしている?!」
「な、なぜだか先輩とカイリが絡み合っている姿を見て己の知らない扉が開きかけていて」
「閉じろ閉じろ」
最悪のラッキースケベだ、最後の最後に誰得なのだ。なぜ、ヒロインのエロスチルがなくて悪役令息の無駄エロスチルが解放されるんだ。解せない、全く解せない展開である。誰得だ。俺のエロゲーヒロインのエロスチルを返して欲しい。
1年生の実技試験が終了後、俺の周囲の環境とやらもまたさらに変わった。
あの後、俺は念のためにとモグリソンに連れられながら医務室へ向かいうっかり魔獣の森へ入って襲われた等と誤魔化して診て貰ったのだが、試験会場に残ったカイリとレインが試験中に大型魔獣を討伐したこと、そして2年のルーク・アルバンベルトに助けて貰ったと若干盛った結果報告を教師陣にしたらしい。
その結果。
「きゃあ!ルーク先輩よ!」
「ごらんになって、ルーク様がいらしているわ」
「ルーク様!先日の1年生の実技試験にて後輩をお守りになられたと聞きました!素敵ですわ!」
「でゅふ」
俺、元々モテていたが現在爆裂なモテかたをしている。立てば黄色の歓声、座れば黄色の歓声、歩けば黄色の大歓声生活だ。思わずオタク笑いも漏れ出てしまう。
しかし、いくら今モテたとしてもゲームのルークも生徒達からある一定の人気があったなかで、最期を魔獣に食い殺されエンドを迎えている。油断が出来る状態では相も変わらずないわけだ。
……でも、女の子からの声援というのはやはり気持ちが良いもので。手とかも振ってみちゃおうかなと、右手をあげかけた所で邪魔者が横入りしてきた。
「ルーク様は見世物ではないぞ!今からルーク様は昼食を召し上がるのだ!」
「ルーク先輩、今日こそは俺にアーンさせて下さい。その、腕を怪我させたのは俺の責任でもありますし手取り足取り」
「ルーク先輩、私からもお願いだ。どうかカイリに甲斐甲斐しく世話をされてやってくれないだろうか。どうやら私は先輩とカイリが仲良くしている姿を見るだけで胸の高鳴りが――」
「……随分やかましくなった」
彼らが実技試験以降、俺の学校生活を過ごす環境が変化する事となった要因達である。
休み時間になれば1年後輩のカイリは俺の元へやってきて世話をしたい傍に居たいとここぞとばかりに近づいてくるし、モグリソンは俺への忠誠心がさらに高まりあちこちに威嚇をするまさに犬のような存在になった。そしてレインはというと、あれから変な扉が開いてしまったようで俺とカイリの絡みが見たいだけでついてくる。俺が立てば、彼らも立つし、俺が歩けば、彼らも歩く。
カイリは原作ゲーム通り先の実技試験は1位の結果で終ったようで、サポートをしていたレインも学年3位の結果を出した優秀な生徒達である。特にカイリは光属性の生徒として話題となっている中で成績も優秀となれば誰もが彼の存在に注目することだろう。
そんな学園の皆が彼を注目する中で、そのような生徒達を俺が従えているとなればさらに皆が俺に注目するのだ。つまり、変な事をすればその瞬間、大勢の監視下におかれているような状況である俺はすぐにバレて即食い殺しエンドとなることもありえるのだ。最悪の環境下である。
主人公から離れて、デッドエンド回避の平凡ライフを送る目的だったというのに、そんな生活とは大きくかけ離れた生活をおくらざるを得ない現実である。平凡ライフを手に入れるのは、こんなにも難しいものなのか。悪役令息縛り、なかなかにきつすぎる。
はぁとついてみたため息は、黄色の声援にかき消されていった。
-実技試験編 終-
強いて言うので在れば本来あるはずだった、レインのエロスチルである躓いた拍子にラッキースケベでレインのでかい胸に主人公が顔を埋める事となるシーンはオタクとして生で見たかった。どうやら余計な存在……俺やモグリソンが介入した事でエロイベは流れてしまったようだ。
「さて、そろそろ俺達も帰――」
その時、流れた血が多かったせいか貧血気味になっていた俺の身体は急に立ち上がった事で、ゆらりと大きく視界が揺れた。
「危ない!先輩」
倒れそうになる俺に対して咄嗟に腕を出して支えようとしたカイリだが、バランス悪く俺に巻き込まれる形で共に倒れ込んだ。
ドサリと男2人が倒れたことで、レインとモグリソンも心配し俺達にかけよるが何故か2人は「あー……」と言葉を言い淀ませた。
「これは……」
「まるでルーク様がカイリ・フェンディルを押し倒しているように見えますね」
躓いた拍子で着ていた制服のシャツのボタンがとれ、俺は胸元がはだけた状態でカイリに馬乗りになっていた。直ぐ近くに整ったカイリの顔があり、息が触れ合ってしまうくらいの距離だ。
「なんだか……艶めかしい光景だ……」
「誰が押し倒すか!」
「先輩、あの、俺はぜんぜんこのままでも」
「すぐに降りる!これは事故だ!ってレイン・ゴーティスは何故嬉しそうな顔をしている?!」
「な、なぜだか先輩とカイリが絡み合っている姿を見て己の知らない扉が開きかけていて」
「閉じろ閉じろ」
最悪のラッキースケベだ、最後の最後に誰得なのだ。なぜ、ヒロインのエロスチルがなくて悪役令息の無駄エロスチルが解放されるんだ。解せない、全く解せない展開である。誰得だ。俺のエロゲーヒロインのエロスチルを返して欲しい。
1年生の実技試験が終了後、俺の周囲の環境とやらもまたさらに変わった。
あの後、俺は念のためにとモグリソンに連れられながら医務室へ向かいうっかり魔獣の森へ入って襲われた等と誤魔化して診て貰ったのだが、試験会場に残ったカイリとレインが試験中に大型魔獣を討伐したこと、そして2年のルーク・アルバンベルトに助けて貰ったと若干盛った結果報告を教師陣にしたらしい。
その結果。
「きゃあ!ルーク先輩よ!」
「ごらんになって、ルーク様がいらしているわ」
「ルーク様!先日の1年生の実技試験にて後輩をお守りになられたと聞きました!素敵ですわ!」
「でゅふ」
俺、元々モテていたが現在爆裂なモテかたをしている。立てば黄色の歓声、座れば黄色の歓声、歩けば黄色の大歓声生活だ。思わずオタク笑いも漏れ出てしまう。
しかし、いくら今モテたとしてもゲームのルークも生徒達からある一定の人気があったなかで、最期を魔獣に食い殺されエンドを迎えている。油断が出来る状態では相も変わらずないわけだ。
……でも、女の子からの声援というのはやはり気持ちが良いもので。手とかも振ってみちゃおうかなと、右手をあげかけた所で邪魔者が横入りしてきた。
「ルーク様は見世物ではないぞ!今からルーク様は昼食を召し上がるのだ!」
「ルーク先輩、今日こそは俺にアーンさせて下さい。その、腕を怪我させたのは俺の責任でもありますし手取り足取り」
「ルーク先輩、私からもお願いだ。どうかカイリに甲斐甲斐しく世話をされてやってくれないだろうか。どうやら私は先輩とカイリが仲良くしている姿を見るだけで胸の高鳴りが――」
「……随分やかましくなった」
彼らが実技試験以降、俺の学校生活を過ごす環境が変化する事となった要因達である。
休み時間になれば1年後輩のカイリは俺の元へやってきて世話をしたい傍に居たいとここぞとばかりに近づいてくるし、モグリソンは俺への忠誠心がさらに高まりあちこちに威嚇をするまさに犬のような存在になった。そしてレインはというと、あれから変な扉が開いてしまったようで俺とカイリの絡みが見たいだけでついてくる。俺が立てば、彼らも立つし、俺が歩けば、彼らも歩く。
カイリは原作ゲーム通り先の実技試験は1位の結果で終ったようで、サポートをしていたレインも学年3位の結果を出した優秀な生徒達である。特にカイリは光属性の生徒として話題となっている中で成績も優秀となれば誰もが彼の存在に注目することだろう。
そんな学園の皆が彼を注目する中で、そのような生徒達を俺が従えているとなればさらに皆が俺に注目するのだ。つまり、変な事をすればその瞬間、大勢の監視下におかれているような状況である俺はすぐにバレて即食い殺しエンドとなることもありえるのだ。最悪の環境下である。
主人公から離れて、デッドエンド回避の平凡ライフを送る目的だったというのに、そんな生活とは大きくかけ離れた生活をおくらざるを得ない現実である。平凡ライフを手に入れるのは、こんなにも難しいものなのか。悪役令息縛り、なかなかにきつすぎる。
はぁとついてみたため息は、黄色の声援にかき消されていった。
-実技試験編 終-
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