白宮の聖女

sara

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第九章 唯々諾々

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 聖女は厳しい顔つきで、目の前でふんぞり返って座っている男に目線を投げつける。男は彼女の威嚇を気にすることもなく、薄ら笑いを浮かべている。

「私の願いを1つ叶えてくれれば、お前の望みも叶えてやろう。今後お前の神聖力はあてにしない。カガリにも手を出さないでやる」

 第二王子ドロノアの提案に、癒しの聖女サディアスの眉毛がピクリと動いた。
 願ってもない内容だが、この男の交換条件はきっと簡単なものではない。むしろ、ドロノアの願いを叶えた所で裏切られる可能性も高い。ここで判断を間違えるわけにはいかない。
 サディアスの脳裏には辱めれてからも気丈に振る舞う従者の姿が思い浮かぶ。

「疑っているな?ほら聖約書も用意させた」

 ドロノアはサディアスの目の前で書類を広げてみせた。確かにドロノアのサインが入った本物の聖約書だ。そして、その内容は。

「国境に行く前に、私の犬にも神聖力を与えて貰いたい。大事に育てた犬だ。死んでもらっては困るからな」

 ドロノアは数人の愛人を囲っている。その中でも1人、特に気に入っていて側仕えにしている者がいるという話は聞いていた。にしても王子がここまで、その者に執心だとは思わなかった。
 何にしろサディアスはその提案を受け入れるしかなかった。






 王子に連れて連れられ、たどり着いたのは地下の分厚い扉の前。入ると質素な薄暗い部屋だった。
 最低限の家具しかない、だだっ広い部屋の真ん中には全裸の男が両手を縛られで吊り下げられている。
 うなだれた彼の長い髪は乱れ、逞しい体も力なくぶら下がっている。サディアスが心配して近づくと目隠しもされているのがわかった。
 聖女はドロノワに非難の眼差しを向ける。

「そんな目で見るな。寝ているだけだ」

 彼の半開きの口からは浅く息が漏れ、涎がたれる。剥き出しの肌には暴行を受けた跡はないが、うっすら汗ばみ無数の赤い痕が見られた。    
 脱力した体とは裏腹にそそり立つ下半身は、口と同様に涎を垂らしていた。

「愛らしいだろ。こんな状態なのに躰は期待している」

 これがドロノアが溺愛する愛人らしい。

「大事に囲ってる割にはひどい仕打ちですね」

 聖女の声は冷たい。

「ほんの3日ほど薬漬けにしただけだぞ。こいつはいつも喜ぶ」

 手で笑みを隠すようにしていた王子は不意に真顔になりサディアスを見た。

「私がいいと言うまで神聖力を与えろ」

 王子は腕を組んで壁にもたれながら命令した。サディアスは狼狽えた。

「でも、彼は意識がないのに…」

「神聖力を注いでいる間に起きるだろ。起きても目隠しを取るなよ。声も出来るだけ出すな。万が一にもお前に情が移らないようにな。お前も聖女の素顔を知られたくないだろ?」

 聖人は保護されるため、基本的に素顔を隠して過ごさねばならない。儀式などの務めにもベールなどを使い顔は晒さずに出席する。
 サディアスは王子の言葉に頷くしかない。

「さぁ、そいつは女の経験が無いんだ。せっかくだから存分に気持ちよくしてやれ」

 聖女は観念して名前も知らない彼に近づいた。頬に優しく手を添える。手が触れると躰を小さく反応させたがまだ起きる様子はない。可哀想な彼の頬に口づけして祝福する。
 どれくらい強い薬なのかと試しに背筋をなぞってみると背中をそらす。彼はただ抱きしめて背中を両手で撫で回すだけでも声を荒げ、震えた。これでは相当つらいだろう。
 とにかく、熱を吐き出させて楽にしてやろうと陰茎に手を伸ばす。敏感になりきった棒に刺激を与えられ、躰全体をびくびくと反応させる。
 彼にもっと神聖力を注ごうと口づけする。息を出来るようにと、舌だけを侵入させる。彼の腰が刺激をもっと欲しがるように動く。
 完全な無意識の中でこれだ。日頃から欲望に忠実になるように育てられているのがわかる。
 目だけで王子の方を見ると二人の様子を楽しげに見ている。

 サディアスは彼の欲望を咥えてやった。鉄のように固くなりきった、その肉棒の鼓動が伝わってくる。
 舌全体で裏側を愛撫してやっていると、自ら腰を動かし勝手に出し入れし始める。嗜めるように強く長く吸い上げると声をあげ、痙攣した彼は口の中に熱い粘液を吐き出した。

「…殿下?」

 吐息を含んだ声が王子を呼んだ。意識が戻ったようだ。
 サディアスがドロノワを見ると、王子は黙ったまま、顎をしゃくって続けろと命令する。
 まだ精液を出し切ろうと脈打つ最中の棒を、もう一度口に含むと、出し入れしてしごきながら、片手で陰嚢を柔しく揉んだ。彼はさらによがる。

「…そんな、すぐ‥」

 すぐに肉棒が射精の兆しを見せる。彼が果てるその瞬間に玉を握る。精液を残らず絞り出される感覚に激しく彼の躰が跳ねる。聖女は絶頂している棒を強く吸いながら顔を前後する動きは止めない。


「……あ、だめ、待って、まだ、いって」


 泣き声を上げる彼は痙攣し、すぐにまた精液を漏らす。その液が出てくる穴に舌を入れるように刺激する。
 聖女は何度も様々な手で絶頂させ、休む間を与えず、彼を快楽に落とし続けた。
 果てる陰茎から何も出なくなると、ようやく口から彼を解放した。






「流石だな。勉強になる」

 ドロノアがサディアスを煽る。自分の主人の声が思っていたより遠くから聞こえたことで、彼が強張る。

「…あ、これは、誰」

 彼は今まで自分を嬲っていた相手が主人で無いことを悟り怯えた。

「もちろん可愛いお前への褒美だ。初めての女の体を楽しめ」

 ドロノワは笑いを含ませた声で言う。

「どこを触ってほしいかお願いしてみたらどうだ?きっと、その娼婦は叶えてくれるぞ」

 彼は意外にも、その言葉をすんなり受け止め、何も出なくなった肉棒をまた固くした。
 これほど神聖力を渡せば、どんな毒や媚薬の効果も癒せるはずだが、余程強い薬なのか彼の素質なのか、感心さえ覚える。
 彼は小さく

「後ろ…」

と言う。

 サディアスはねだる彼の引き締まった尻の蕾を探す。見つけて、指で触れると嬉しそうに反応する。
 唾液を含ませた舌で舐め一帯を濡らしてやる。彼が顔に尻を押し付けるようにふるから窒息しそうになった。息継ぎするため顔を離し、指の腹で刺激を与える。
 そして、もう一度を舌を近づけた。強い快楽を好む彼のために穴に舌先を抜き差ししながら、片手で竿をしごき、もう片手の手のひらで先端がこすれるように動かす。
 彼のよがり声は石造りの部屋に反響して響いた。しばらくすると、また背中を仰け反らせて透明な飛沫を前方に放った。

 彼に息を整える間を与えてから、指先を柔らかくなった穴に出し入れしてみる。徐々に深めると、そこは指を締めるように収縮した。
 彼はまた勝手に腰を動かす。指を増やしてやると、声を上げ喜ぶ。

「また、前も、して」

 棒はまた固く立ち上がっている。
 次は穴を2本の指で責めながら、肉棒を口に頬張る。彼は腰を前後に動かし、喉のさらに奥に入りたがり、指をより深くに欲しがった。サディアスは彼の望みを叶える。穴の深くに指を刺し込み、ひときわ敏感な場所を探し当て、かき乱す。彼はまた口内で弾けた。

 黙って見ていた王子が2人に近寄った。

「そろそろ女を試したいだろ?お前の為に穴を準備してやるからな」

 ドロノアは無遠慮にサディアスの足を持ち上げ、股の間を舐めた。

「この娼婦はお前の可愛い姿に、こんなにも濡らしてるぞ」

 わざと水音をたてて舐めて、啜る。そして指を入れて、ぐちゃぐちゃとかき混ぜた。
 目を塞がれ、他の感覚が鋭くなっている彼は、その音と女の吐息が耳をくすぐるだけでまた肉を強張らせた。

「はやく……」
 
 待ち焦がれる下僕の為に、ドロノワはサディアスを抱え上げ、その秘部を下僕の肉棒に差し出す。そして、押し付けるように動かすが、肉棒は支えがなくフラフラと動くため、2人は粘液を擦り合わせるばかりだった。

 もどかしそうに腰を揺らす下僕を見て

「ほら、こいつを男にしてやれ」

と聖女に促す。

 仕方なく手で棒を秘所に導くと、待ち切れない様子で一気に潜り込んでくる。彼は新しい感覚に小さく痙攣しながら、感嘆の声をはき出す。

「どうだ、女の中は?やっと男になれたな」
 
 彼は応えずに涎を垂らしながら腰を振った。
 王子も下僕がより奥まで刺せるようにと、サディアスを彼の方に押し付ける。その動きは棒で聖女の腹側の肉壁を突き破ろうとしているようだ。
 急に強い快感を与えられた聖女は目の前に火花が散って、堪えきれず声をあげる。王子に体を持ち上げられ、自由がないサディアスは、打ち付けられる快感から逃れようが無かった。
 収縮し自分の肉棒に絡みつく膣内を感じて、彼は長い髪を振り乱した。新しい快楽を一心不乱に求める。
 登りつめ、何かを出そうとする肉棒が、何も出せないまま絶頂を迎えた。
 彼は意識を飛ばし脱力して、躰が力無く紐にぶら下がるだけになった。

「聖約書を持っていけ」

 王子は聖女を下ろすと満足気に、出口を指さした。

「早く行け、これからお楽しみなんだ」

 ドロノワは服を脱ぎ、自分の大きくなったものを取り出しながら彼に向き直った。





 震える足を引きずり、聖なる仕掛けで白宮へ戻ったサディアスは自分の部屋にたどり着く前にカガリに見付けられた。乱れた姿に驚き、何かを言おうと近づく彼に抱きつくと、その匂いを吸い込むように大きく息をする。
 従者は差し出しだされた書類を受け取り、中身を確認すると聖女を強く抱きしめた。

「私の為に自分を犠牲にするようなことはしないでください」

 震える声にサディアスも弱々しく抱きしめ返す。

「あなたが私にしてることでしょ?……10年前から、ずっと」

サディアスは呟くように言い返す。

「……あなたの為なら」

 従者は主の額に口づけながらささやく。

「わたしもよ……」


 サディアスは瞼を閉じて答えた。






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