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#3生徒会編
反抗期 VS 犬っころ
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「欠伸、多いね」
「まだねみぃ……」
「眠いのに起きて偉い!」
「はは、ありがと。加賀美もな」
朝。起きるなり欠伸を連発するどうしようもない俺を全肯定してくれる加賀美。優しい。
「朝食食べに行こっか」
「そうだな」
日課のスマホ確認。目を滑らせて、色んな通知を見ていく。
「あっ」
「どうしたの、桃ちゃん」
俺が思わず声を上げると、洗面台で寝癖と格闘している加賀美が此方を見た。俺は「いや、なんでもない」と言って言葉を濁す。
そういえば、白雪さんの連絡先まだ登録してなかったな……と思いまして。
ま、後でやればいいよね。
「ねぇ先輩、はやく連絡先交換しましょうよ!」
「そう焦るな」
「焦りますよ! 一刻を争う事態」
「落ち着け、花咲」
「そうだ、うるせぇ」
「お前に言われたくないんですけどぉ?!」
「おい喧嘩すんな」
「先輩、喧嘩なんかしてないです!」
「いや喧嘩してんじゃん」
「輝夜が一方的になんか言ってきただけです」
「お前自分のこと棚に上げるよな」
朝食を食べに来た俺。その両隣には、花咲と輝夜、愛おしき後輩サンド。この二人は、中学の時から喧嘩ばかりで、現に今も言い合いをしている。別に仲が悪いわけじゃないと思うのだが、言い合いが絶えない。元気と言えば元気である。
「先輩、バスケ部のグループライン入ります?」
「いやなんでだよ。俺、もうバスケやってねぇし」
「え? また始めるんじゃないんですか?」
「だからやらないって言ってるじゃん」
「先輩の話なんも聞いてないな」
「輝夜に言われるほど屈辱なことはないんだけど」
「事実だろ」
「いつも先輩に歯向かってばっかりの奴が何言ってんだ」
「お前ら喧嘩するなよ」
「先輩はいいから黙っててください」
「あっ、はい……」
「おいお前、先輩に指図するなんて千年早いぞ!」
「うるせぇ犬っころの分際で」
「反抗期のクソガキに言われてたまるか」
朝食食べてるだけなのにこんなに賑やかなのは初めてだ。ちょっと静かにして欲しい。でも今これを言ったとて、忠犬の花咲の方は「わかりました!」と言って従ってくれるが、輝夜の方は「先輩は早く朝食食べてください」とツンツンした態度で言ってくるだろう。お年頃だからね。二人の喧嘩を収めるのは俺では力不足である。
目の前に視線を配れば、加賀美と鈴芽が何故か隣同士で話して飯を食べていた。
友達と友達が話してるのってちょっと面白い。
話が盛り上がっているのか、二人ともニコニコと笑みを浮かべて話していた。
鈴芽の隣には専属SP(違う)である白狼さんと永神さんが無言で飯を食べている。白狼さんは、鈴芽の背後で加賀美に対して無言の圧を与えていた。永神さんは白狼さんの隣で、ただ一点を見つめて虚無ってる。こわ。
意味の分からない謎面子。おそらく、この面子で朝飯を食べることは今日が最初で最後だろう。
そして、驚くべきことにこの面子は皆顔面偏差値がバリ高かった。有り得ない話。アンビリーバボー。
俺と鈴芽以外、強強な顔面の持ち主しかいない。顔面が輝いちゃってるキラメキ集団である。周りからも一目を置かれている。シャイな桃野くん困惑。
「先輩スタンプ送っときましたよ」
「おーありがと」
「えっ、先輩のアイコン何これ可愛い」
「ありがと」
俺のアイコンは親愛なる鬼原という先輩に描いてもらった猫の絵である。猫の無気力な姿勢と顔が大変愛おしい。是非、全人類に見てもらいたい。
「これは犬ですかね?」
「全然違う」
「えっ?! ごめんなさい! えーっと、あれですよね、あれ」
「あれだよ」
「キツネ?」
「花咲、もういいよ。大丈夫」
「あーっ!! 本っ当にごめんなさい!」
「猫ですよね、これ」
「お、さすが輝夜。正解!」
「はぁ?!」
「先輩への理解度が足りないんじゃない?」
「はぁ~~~?!」
「おい喧嘩はやめろ」
俺の声掛けは虚しく、二人はすぐに言い合いを始めてしまった。
愛の深さに時間は関係ないだの、俺の方が先輩を理解してるだの、俺で痴話喧嘩みたいなものをしている。俺を挟んで言い合うのはやめてほしい。
前は前で、加賀美と鈴芽という謎メンツ、そして白狼さんは加賀美から俺の方を睨んできたし、永神さんにいたっては、いまだに謎の一点をひたすらに見つめて和食セットを食している。やっぱ怖いけど、そうなる気持ちも分かる気がするぜ。
俺も彼に習って、心を無にしてひたすらにお味噌汁を啜りましたとさ…………。
「まだねみぃ……」
「眠いのに起きて偉い!」
「はは、ありがと。加賀美もな」
朝。起きるなり欠伸を連発するどうしようもない俺を全肯定してくれる加賀美。優しい。
「朝食食べに行こっか」
「そうだな」
日課のスマホ確認。目を滑らせて、色んな通知を見ていく。
「あっ」
「どうしたの、桃ちゃん」
俺が思わず声を上げると、洗面台で寝癖と格闘している加賀美が此方を見た。俺は「いや、なんでもない」と言って言葉を濁す。
そういえば、白雪さんの連絡先まだ登録してなかったな……と思いまして。
ま、後でやればいいよね。
「ねぇ先輩、はやく連絡先交換しましょうよ!」
「そう焦るな」
「焦りますよ! 一刻を争う事態」
「落ち着け、花咲」
「そうだ、うるせぇ」
「お前に言われたくないんですけどぉ?!」
「おい喧嘩すんな」
「先輩、喧嘩なんかしてないです!」
「いや喧嘩してんじゃん」
「輝夜が一方的になんか言ってきただけです」
「お前自分のこと棚に上げるよな」
朝食を食べに来た俺。その両隣には、花咲と輝夜、愛おしき後輩サンド。この二人は、中学の時から喧嘩ばかりで、現に今も言い合いをしている。別に仲が悪いわけじゃないと思うのだが、言い合いが絶えない。元気と言えば元気である。
「先輩、バスケ部のグループライン入ります?」
「いやなんでだよ。俺、もうバスケやってねぇし」
「え? また始めるんじゃないんですか?」
「だからやらないって言ってるじゃん」
「先輩の話なんも聞いてないな」
「輝夜に言われるほど屈辱なことはないんだけど」
「事実だろ」
「いつも先輩に歯向かってばっかりの奴が何言ってんだ」
「お前ら喧嘩するなよ」
「先輩はいいから黙っててください」
「あっ、はい……」
「おいお前、先輩に指図するなんて千年早いぞ!」
「うるせぇ犬っころの分際で」
「反抗期のクソガキに言われてたまるか」
朝食食べてるだけなのにこんなに賑やかなのは初めてだ。ちょっと静かにして欲しい。でも今これを言ったとて、忠犬の花咲の方は「わかりました!」と言って従ってくれるが、輝夜の方は「先輩は早く朝食食べてください」とツンツンした態度で言ってくるだろう。お年頃だからね。二人の喧嘩を収めるのは俺では力不足である。
目の前に視線を配れば、加賀美と鈴芽が何故か隣同士で話して飯を食べていた。
友達と友達が話してるのってちょっと面白い。
話が盛り上がっているのか、二人ともニコニコと笑みを浮かべて話していた。
鈴芽の隣には専属SP(違う)である白狼さんと永神さんが無言で飯を食べている。白狼さんは、鈴芽の背後で加賀美に対して無言の圧を与えていた。永神さんは白狼さんの隣で、ただ一点を見つめて虚無ってる。こわ。
意味の分からない謎面子。おそらく、この面子で朝飯を食べることは今日が最初で最後だろう。
そして、驚くべきことにこの面子は皆顔面偏差値がバリ高かった。有り得ない話。アンビリーバボー。
俺と鈴芽以外、強強な顔面の持ち主しかいない。顔面が輝いちゃってるキラメキ集団である。周りからも一目を置かれている。シャイな桃野くん困惑。
「先輩スタンプ送っときましたよ」
「おーありがと」
「えっ、先輩のアイコン何これ可愛い」
「ありがと」
俺のアイコンは親愛なる鬼原という先輩に描いてもらった猫の絵である。猫の無気力な姿勢と顔が大変愛おしい。是非、全人類に見てもらいたい。
「これは犬ですかね?」
「全然違う」
「えっ?! ごめんなさい! えーっと、あれですよね、あれ」
「あれだよ」
「キツネ?」
「花咲、もういいよ。大丈夫」
「あーっ!! 本っ当にごめんなさい!」
「猫ですよね、これ」
「お、さすが輝夜。正解!」
「はぁ?!」
「先輩への理解度が足りないんじゃない?」
「はぁ~~~?!」
「おい喧嘩はやめろ」
俺の声掛けは虚しく、二人はすぐに言い合いを始めてしまった。
愛の深さに時間は関係ないだの、俺の方が先輩を理解してるだの、俺で痴話喧嘩みたいなものをしている。俺を挟んで言い合うのはやめてほしい。
前は前で、加賀美と鈴芽という謎メンツ、そして白狼さんは加賀美から俺の方を睨んできたし、永神さんにいたっては、いまだに謎の一点をひたすらに見つめて和食セットを食している。やっぱ怖いけど、そうなる気持ちも分かる気がするぜ。
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