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#2 新入生歓迎会編
怖いよ、志野さん!
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「こんなとこで騒いでんじゃねぇよ」
「すみませんねぇ、まさか風紀委員長がここでサカってたとは思わなくてぇ!」
「無理矢理とか最悪だな」
「そんなこと体育館裏で、やってた人に言われたくないんですけどー? 仕事しろ、仕事。風紀は運営してればいいですよぉ?」
「生徒会だってそうだろ、殴るぞ」
「すぐ殴るとか言う! 自ら風紀乱しちゃってんじゃないですか」
「黙れ」
ここここここ、こっこれが風紀委員長なんです?! 口を開けば暴言しか言わないこの目の前の男が? 冗談きちぃぜ。こんな人にこの学園の風紀任されてたら、こんな学園にもなるよ!
いやはや、にわかに信じ難いが、髪色も瞳の色も風紀委員長のそれと一致している。この人があの鬼怖いと話題の志野 千鶴か。嘘じゃんね。違う意味で鬼怖じゃん。
隣には、おそらく先ほどまで風紀委員長とにゃんにゃんしてたであろうチワワが頬を朱に染めて俯いていた。風紀委員長、手が腰の位置にあっていかにもって感じ。
「風紀委員長が自ら風紀乱してるとか最悪すぎでしょ。チョベリバ~」
「お前だって無理矢理やってんじゃねぇ」
持ち前のヘラヘラフェイスは崩していないが、見るからに風紀委員長とバチバチな視線を交わしている美玲さん。
生徒会と風紀が険悪っていうの、都市伝説じゃなかったんだな。どっかの親衛隊が適当に流した噂かと思ってた。
「お前、一体誰に……」
風紀委員長は、ふと此方に視線を向けて、瑠璃色の瞳を細めた。
すると、次の瞬間、美玲さんはなぜか俺のことをギュッと優しく抱き寄せる。
「え」
ふんわりと、美玲さんの甘い香りが俺の鼻腔を擽る。俺を抱く力は優しいようで強かった。
「おい、会計。コイツ、桃野太郎か?」
「そうですけど、なんなんですー? なんで太郎くんのこと知ってるんですか」
「前、金星に取り調べさせたからな」
「どういうことです? 太郎くんが? 被害者として? 加害者として?」
「普通に情報収集のためだ」
「本当ですかぁ」
「あと、疑わしかったからな。こういう平凡な奴が一番何するかわらねぇ」
俺は抱き抱えられているので、美玲さんの胸あたりにちょうど顔がきていた。美玲さんの制服、いい匂いする───この思考、我ながらちょっとキモいな。親衛隊の子が見てたら、絶許案件すぎる。これは誤解なんです!
まあ己のキモさはともかく、俺は美玲さんの胸に顔を押し付けられている、と言っても過言ではない状態で、風紀委員長の方は向けない。向こうとしても、美玲さんによって力をかけられた。
だから、二人がどんな表情をしているのかは、いまいち不明瞭だが、声色として絶対美玲さん不機嫌である。美玲さんオコですね。
「なんで、お前そんな一般生徒に肩入れしてんだよ」
風紀委員長のそういった、疑問に満ちた声が聞こえる。そうね、俺もそう思う。ナイス質問だわ。
「肩入れ? 確かにしてるかもしれませんねぇ」
「なんでだよ」
「そりゃあ大切な幼馴染の、大切で大切で仕方がないお友達なんで」
「それだけか?」
「あと、こんなに純粋な子なんてこの学園になかなかいないんで。大切にしないとねぇ」
美玲さんはそう言って、俺の頭をポンポン撫でる。キャー、イケメンに触られちゃったワ! 桃野くんの胸がドキドキ、トゥインクル! それはそうとして、そろそろ解放してほしいです!
「そんな大切な子に手ェ出そうとしてたんだ?」
「こーんなにも可愛い子、抱かないでどうするんです?」
「あぁ、お前無節操だもんな」
「そんな風に思われてるんですかぁ。ショックだなぁー」
「あんまヘラヘラすんなよ。気に障る」
「あぁ、不快にさせてすみませんね。そういうキャラなんです」
「チッ」
「舌打ち怖ぁい」
「ちょっともう志野さんの近くにいると、俺も不快になるので俺たちはもう離れますねぇ」と。
火力高めの言葉を吐き捨てて、美玲さんは俺をそのまま引っ張って、体育館の表へと連れ出そうとした。
「勝手にしろ」
風紀委員長は絶対零度の声で、鼻で笑いつつそう言った。そのあと、後ろでチワワと風紀委員長の戯れる、キャッキャウフフは声が聞こえる。ワオワオ、お盛んなこと。
あれが風紀委員長とか全く信じられない。アンビリーバボー。これは普通に人間不信になるだろ。
「すみませんねぇ、まさか風紀委員長がここでサカってたとは思わなくてぇ!」
「無理矢理とか最悪だな」
「そんなこと体育館裏で、やってた人に言われたくないんですけどー? 仕事しろ、仕事。風紀は運営してればいいですよぉ?」
「生徒会だってそうだろ、殴るぞ」
「すぐ殴るとか言う! 自ら風紀乱しちゃってんじゃないですか」
「黙れ」
ここここここ、こっこれが風紀委員長なんです?! 口を開けば暴言しか言わないこの目の前の男が? 冗談きちぃぜ。こんな人にこの学園の風紀任されてたら、こんな学園にもなるよ!
いやはや、にわかに信じ難いが、髪色も瞳の色も風紀委員長のそれと一致している。この人があの鬼怖いと話題の志野 千鶴か。嘘じゃんね。違う意味で鬼怖じゃん。
隣には、おそらく先ほどまで風紀委員長とにゃんにゃんしてたであろうチワワが頬を朱に染めて俯いていた。風紀委員長、手が腰の位置にあっていかにもって感じ。
「風紀委員長が自ら風紀乱してるとか最悪すぎでしょ。チョベリバ~」
「お前だって無理矢理やってんじゃねぇ」
持ち前のヘラヘラフェイスは崩していないが、見るからに風紀委員長とバチバチな視線を交わしている美玲さん。
生徒会と風紀が険悪っていうの、都市伝説じゃなかったんだな。どっかの親衛隊が適当に流した噂かと思ってた。
「お前、一体誰に……」
風紀委員長は、ふと此方に視線を向けて、瑠璃色の瞳を細めた。
すると、次の瞬間、美玲さんはなぜか俺のことをギュッと優しく抱き寄せる。
「え」
ふんわりと、美玲さんの甘い香りが俺の鼻腔を擽る。俺を抱く力は優しいようで強かった。
「おい、会計。コイツ、桃野太郎か?」
「そうですけど、なんなんですー? なんで太郎くんのこと知ってるんですか」
「前、金星に取り調べさせたからな」
「どういうことです? 太郎くんが? 被害者として? 加害者として?」
「普通に情報収集のためだ」
「本当ですかぁ」
「あと、疑わしかったからな。こういう平凡な奴が一番何するかわらねぇ」
俺は抱き抱えられているので、美玲さんの胸あたりにちょうど顔がきていた。美玲さんの制服、いい匂いする───この思考、我ながらちょっとキモいな。親衛隊の子が見てたら、絶許案件すぎる。これは誤解なんです!
まあ己のキモさはともかく、俺は美玲さんの胸に顔を押し付けられている、と言っても過言ではない状態で、風紀委員長の方は向けない。向こうとしても、美玲さんによって力をかけられた。
だから、二人がどんな表情をしているのかは、いまいち不明瞭だが、声色として絶対美玲さん不機嫌である。美玲さんオコですね。
「なんで、お前そんな一般生徒に肩入れしてんだよ」
風紀委員長のそういった、疑問に満ちた声が聞こえる。そうね、俺もそう思う。ナイス質問だわ。
「肩入れ? 確かにしてるかもしれませんねぇ」
「なんでだよ」
「そりゃあ大切な幼馴染の、大切で大切で仕方がないお友達なんで」
「それだけか?」
「あと、こんなに純粋な子なんてこの学園になかなかいないんで。大切にしないとねぇ」
美玲さんはそう言って、俺の頭をポンポン撫でる。キャー、イケメンに触られちゃったワ! 桃野くんの胸がドキドキ、トゥインクル! それはそうとして、そろそろ解放してほしいです!
「そんな大切な子に手ェ出そうとしてたんだ?」
「こーんなにも可愛い子、抱かないでどうするんです?」
「あぁ、お前無節操だもんな」
「そんな風に思われてるんですかぁ。ショックだなぁー」
「あんまヘラヘラすんなよ。気に障る」
「あぁ、不快にさせてすみませんね。そういうキャラなんです」
「チッ」
「舌打ち怖ぁい」
「ちょっともう志野さんの近くにいると、俺も不快になるので俺たちはもう離れますねぇ」と。
火力高めの言葉を吐き捨てて、美玲さんは俺をそのまま引っ張って、体育館の表へと連れ出そうとした。
「勝手にしろ」
風紀委員長は絶対零度の声で、鼻で笑いつつそう言った。そのあと、後ろでチワワと風紀委員長の戯れる、キャッキャウフフは声が聞こえる。ワオワオ、お盛んなこと。
あれが風紀委員長とか全く信じられない。アンビリーバボー。これは普通に人間不信になるだろ。
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