25 / 56
#2 新入生歓迎会編
ワクワク新歓!
しおりを挟む
光陰矢の如しとは、まさにこのこと。
「いやぁ! 素晴らしいほどの晴天だね! 俺の心も澄みに澄み渡ってる! この世の全てにありがとう! きっと俺はこれから良質な“萌え”を摂取できるだろう! それはそうとして気分はどうだい、マイベストフレンド桃野!」
「銀河破壊爆弾を出してくれって、ドラえもんに泣き縋りたい気分だわ」
「それは素晴らしい! 今は二十三世紀じゃないぞ」
そんなこと知ってるよ。
つか、お前はなんでそんなに元気なんだよ、マイベストフレンド浦戸。その元気さ分けてくれ。
本日、五月某日。新入生歓迎会の日である。生徒たちはジャージを着て、第一グラウンドに招集されていた。
この学園のジャージは機能性が良く、デザインも謎に良い。加賀美みたいなイケメンが着ると、それなりにいい感じに仕上がる。普通にそれで街中を歩いてても、パッと見で違和感は全くない。むしろ、しゃれおつって感じ。
とは言っても、だ。
いくらデザインが良かろうが、俺みたいなやつが着たら普通のジャージである。平凡な俺にはイケメンパワーがないからな。
「快晴で日差しがすごいね……」
隣にいた鈴芽が、そう言って空を仰いだ。穏やかで平和だ。
左右で温度差が違いすぎる。
主に、浦戸のテンションがおかしいのである。なんで、そんなにハイテンションなんだよ。
「太陽も今日という日を祝福しているな!」
「うるさいよ、浦戸」
「祝福するのは別にいいけど、少し自重してほしかったね」
「この時期、けっこう紫外線えぐいからな」
「ヒャー美容男子桃野くん! キタコレ!」
「別にそんな美容に気を遣ってないんだけど。何にもきてないし、こないよ」
「美容に興味ないんだね。桃野くんの肌綺麗だからなんかしてるのかと思った」
「えー、ありがとう。何もしてないよ」
久々にこんな騒がしい気がする。桃野くんあまり友達がいないもんで、このような騒がしさは久々だ。
右から左へ縦横無尽に、様々な話題が飛び交う。太陽もそうだが、浦戸も少し自重すべきだと思う。うるさい。鈴芽の穏やかさを見習うべきだ。
「それでは、開会式を始めるのでみなさん並んでください」
そう言ったのは、我らがクールビューティ副会長。その指示に従って、みんながゾロゾロと動き出す。
おいおいマジかよ、始まっちゃうのかよ……。
「ワクワクだなぁ!」
「たぶんワクワクしてるの浦戸だけだよ」
「でも、ちょっと俺も楽しみかも」
「うそだろ、鈴芽」
ま、まあ、鈴芽はこの学園の異常さをまだまだ知らないからな。きっと、これから生活してるうちに知ることになるよ。望んでも、望まなくても。
「それでは、これから新入生歓迎会開会式を始めます」
お美しい立ち姿の副会長が、そうアナウンスする。
ついに来てしまったか、新歓。
「いやぁ! 素晴らしいほどの晴天だね! 俺の心も澄みに澄み渡ってる! この世の全てにありがとう! きっと俺はこれから良質な“萌え”を摂取できるだろう! それはそうとして気分はどうだい、マイベストフレンド桃野!」
「銀河破壊爆弾を出してくれって、ドラえもんに泣き縋りたい気分だわ」
「それは素晴らしい! 今は二十三世紀じゃないぞ」
そんなこと知ってるよ。
つか、お前はなんでそんなに元気なんだよ、マイベストフレンド浦戸。その元気さ分けてくれ。
本日、五月某日。新入生歓迎会の日である。生徒たちはジャージを着て、第一グラウンドに招集されていた。
この学園のジャージは機能性が良く、デザインも謎に良い。加賀美みたいなイケメンが着ると、それなりにいい感じに仕上がる。普通にそれで街中を歩いてても、パッと見で違和感は全くない。むしろ、しゃれおつって感じ。
とは言っても、だ。
いくらデザインが良かろうが、俺みたいなやつが着たら普通のジャージである。平凡な俺にはイケメンパワーがないからな。
「快晴で日差しがすごいね……」
隣にいた鈴芽が、そう言って空を仰いだ。穏やかで平和だ。
左右で温度差が違いすぎる。
主に、浦戸のテンションがおかしいのである。なんで、そんなにハイテンションなんだよ。
「太陽も今日という日を祝福しているな!」
「うるさいよ、浦戸」
「祝福するのは別にいいけど、少し自重してほしかったね」
「この時期、けっこう紫外線えぐいからな」
「ヒャー美容男子桃野くん! キタコレ!」
「別にそんな美容に気を遣ってないんだけど。何にもきてないし、こないよ」
「美容に興味ないんだね。桃野くんの肌綺麗だからなんかしてるのかと思った」
「えー、ありがとう。何もしてないよ」
久々にこんな騒がしい気がする。桃野くんあまり友達がいないもんで、このような騒がしさは久々だ。
右から左へ縦横無尽に、様々な話題が飛び交う。太陽もそうだが、浦戸も少し自重すべきだと思う。うるさい。鈴芽の穏やかさを見習うべきだ。
「それでは、開会式を始めるのでみなさん並んでください」
そう言ったのは、我らがクールビューティ副会長。その指示に従って、みんながゾロゾロと動き出す。
おいおいマジかよ、始まっちゃうのかよ……。
「ワクワクだなぁ!」
「たぶんワクワクしてるの浦戸だけだよ」
「でも、ちょっと俺も楽しみかも」
「うそだろ、鈴芽」
ま、まあ、鈴芽はこの学園の異常さをまだまだ知らないからな。きっと、これから生活してるうちに知ることになるよ。望んでも、望まなくても。
「それでは、これから新入生歓迎会開会式を始めます」
お美しい立ち姿の副会長が、そうアナウンスする。
ついに来てしまったか、新歓。
50
お気に入りに追加
379
あなたにおすすめの小説

無自覚お師匠様は弟子達に愛される
雪柳れの
BL
10年前。サレア皇国の武力の柱である四龍帝が忽然と姿を消した。四龍帝は国内外から強い支持を集め、彼が居なくなったことは瞬く間に広まって、近隣国を巻き込む大騒動に発展してしまう。そんなこと露も知らない四龍帝こと寿永は実は行方不明となった10年間、山奥の村で身分を隠して暮らしていた!?理由は四龍帝の名前の由来である直属の部下、四天王にあったらしい。四天王は師匠でもある四龍帝を異常なまでに愛し、終いには結婚の申し出をするまでに……。こんなに弟子らが自分に執着するのは自分との距離が近いせいで色恋をまともにしてこなかったせいだ!と言う考えに至った寿永は10年間俗世との関わりを断ち、ひとりの従者と一緒にそれはそれは悠々自適な暮らしを送っていた……が、風の噂で皇国の帝都が大変なことになっている、と言うのを聞き、10年振りに戻ってみると、そこに居たのはもっとずっと栄えた帝都で……。大変なことになっているとは?と首を傾げた寿永の前に現れたのは、以前よりも増した愛と執着を抱えた弟子らで……!?
それに寿永を好いていたのはその四天王だけでは無い……!?
無自覚鈍感師匠は周りの愛情に翻弄されまくる!!
(※R指定のかかるような場面には“R”と記載させて頂きます)
中華風BLストーリー、ここに開幕!

顔だけが取り柄の俺、それさえもひたすら隠し通してみせる!!
彩ノ華
BL
顔だけが取り柄の俺だけど…
…平凡に暮らしたいので隠し通してみせる!!
登場人物×恋には無自覚な主人公
※溺愛
❀気ままに投稿
❀ゆるゆる更新
❀文字数が多い時もあれば少ない時もある、それが人生や。知らんけど。

囚われた元王は逃げ出せない
スノウ
BL
異世界からひょっこり召喚されてまさか国王!?でも人柄が良く周りに助けられながら10年もの間、国王に準じていた
そうあの日までは
忠誠を誓ったはずの仲間に王位を剥奪され次々と手篭めに
なんで俺にこんな事を
「国王でないならもう俺のものだ」
「僕をあなたの側にずっといさせて」
「君のいない人生は生きられない」
「私の国の王妃にならないか」
いやいや、みんな何いってんの?

実はαだった俺、逃げることにした。
るるらら
BL
俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!
実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。
一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!
前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。
!注意!
初のオメガバース作品。
ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。
バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。
!ごめんなさい!
幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に
復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!

お前ら、、頼むから正気に戻れや!!
彩ノ華
BL
母の再婚で俺に弟が出来た。義理の弟だ。
小さい頃の俺はとにかく弟をイジメまくった。
高校生になり奴とも同じ学校に通うことになった
(わざわざ偏差値の低い学校にしたのに…)
優秀で真面目な子と周りは思っているようだが…上辺だけのアイツの笑顔が俺は気に食わなかった。
俺よりも葵を大事にする母に腹を立て…家出をする途中、トラックに惹かれてしまい命を落とす。
しかし目を覚ますと小さい頃の俺に戻っていた。
これは義弟と仲良くやり直せるチャンスなのでは、、!?
ツンデレな兄が義弟に優しく接するにつれて義弟にはもちろん愛され、周りの人達からも愛されるお話。

どうやら手懐けてしまったようだ...さて、どうしよう。
彩ノ華
BL
ある日BLゲームの中に転生した俺は義弟と主人公(ヒロイン)をくっつけようと決意する。
だが、義弟からも主人公からも…ましてや攻略対象者たちからも気に入れられる始末…。
どうやら手懐けてしまったようだ…さて、どうしよう。
無自覚副会長総受け?呪文ですかそれ?
あぃちゃん!
BL
生徒会副会長の藤崎 望(フジサキ ノゾム)は王道学園で総受けに?!
雪「ンがわいいっっっ!望たんっっ!ぐ腐腐腐腐腐腐腐腐((ペシッ))痛いっっ!何このデジャブ感?!」
生徒会メンバーや保健医・親衛隊・一匹狼・爽やかくん・王道転校生まで?!
とにかく総受けです!!!!!!!!!望たん尊い!!!!!!!!!!!!!!!!!!
___________________________________________
作者うるさいです!すみません!
○| ̄|_=3ズザァァァァァァァァァァ

案外、悪役ポジも悪くない…かもです?
彩ノ華
BL
BLゲームの悪役として転生した僕はBADエンドを回避しようと日々励んでいます、、
たけど…思いのほか全然上手くいきません!
ていうか主人公も攻略対象者たちも僕に甘すぎません?
案外、悪役ポジも悪くない…かもです?
※ゆるゆる更新
※素人なので文章おかしいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる