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#1 王道転入生編
新手の嫌がらせですか
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風紀委員長、志野 千鶴───濡羽色の髪によく映える瑠璃色の瞳。陶器のような肌、長い睫毛。さすがは、ランキング上位の顔面。つよつよすぎる。見てるだけで寿命が伸びそうだ。
しかし、かっちりとした眼鏡が相手に怖い印書を与える。怖いって噂が流れるのも納得。
俺が風紀委員長に目を奪われていたところで、となりからガタリと席の動く音がした。
そちらを向けば、鈴芽がお盆を持って食堂から去ろうとしている。
「ごめん、ちょっと先に教室に帰ってるね」
そう言う鈴芽の声は、元気がなさげで思わず反射で声をかける。
「それ、片付けとくよ」
それとは鈴芽のお盆のことで、俺がそう言うと鈴芽は一瞬眉を下げたが「ごめん、甘えるよ」と言って俺にお盆を手渡した。
そのあとすぐ、鈴芽は風紀とすれ違う形で食堂を後にする。
うむむ、心配だな……転校二日目にして、生徒会長にみんなの前でキスされるなんてトラウマになるだろう。くそう、あの会長め! 絶対、人の気持ちとかわからないだろ!!
去り行く鈴芽を守るように、あのイケメン二人も一緒に去っていってしまった。お盆の片付けすらせずに。
……俺は確かに、鈴芽のプレートを片付けるとは言ったが、お前らのプレートまで片付けるとは一言も言ってないぞ?
そんなこと思いつつ、三人分のプレートの前でただ漠然とする。
ちょっと、三人分を一人に任せるのはひどくない? 確かに俺が片付けるよとは言ったけど。それは鈴芽限定だったし。当たり前な顔して、鈴芽を守ってたけど、あの二人結局なんなん? 鈴芽の同室?
心の中で文句を垂れ流すが、行ってしまった彼らを呼び戻す術も気力も俺にはなく、渋々三人分のを片付ける羽目になる。
風紀は、何やら生徒会長の不祥事の後始末に追われていた。と言っても、風紀委員長は生徒会長に直にお叱りにでも行くのか、食堂を去っていってしまった。行かないでと、チワワは涙目。金星先輩はそんなチワワたちにファンサという名の餌を与えていた。ファンサ精神旺盛。
三人分のお盆の片付け終わった頃には、もう昼休み終了のチャイムが流れる。
そういう成り行きで俺は、鞄の中にあった唯一の食べ物であるチョコだけ食べて午後をやり過ごすことになった。桃野くんは、お腹と背中がくっつきそうで、泣きたいよ。
しかし、かっちりとした眼鏡が相手に怖い印書を与える。怖いって噂が流れるのも納得。
俺が風紀委員長に目を奪われていたところで、となりからガタリと席の動く音がした。
そちらを向けば、鈴芽がお盆を持って食堂から去ろうとしている。
「ごめん、ちょっと先に教室に帰ってるね」
そう言う鈴芽の声は、元気がなさげで思わず反射で声をかける。
「それ、片付けとくよ」
それとは鈴芽のお盆のことで、俺がそう言うと鈴芽は一瞬眉を下げたが「ごめん、甘えるよ」と言って俺にお盆を手渡した。
そのあとすぐ、鈴芽は風紀とすれ違う形で食堂を後にする。
うむむ、心配だな……転校二日目にして、生徒会長にみんなの前でキスされるなんてトラウマになるだろう。くそう、あの会長め! 絶対、人の気持ちとかわからないだろ!!
去り行く鈴芽を守るように、あのイケメン二人も一緒に去っていってしまった。お盆の片付けすらせずに。
……俺は確かに、鈴芽のプレートを片付けるとは言ったが、お前らのプレートまで片付けるとは一言も言ってないぞ?
そんなこと思いつつ、三人分のプレートの前でただ漠然とする。
ちょっと、三人分を一人に任せるのはひどくない? 確かに俺が片付けるよとは言ったけど。それは鈴芽限定だったし。当たり前な顔して、鈴芽を守ってたけど、あの二人結局なんなん? 鈴芽の同室?
心の中で文句を垂れ流すが、行ってしまった彼らを呼び戻す術も気力も俺にはなく、渋々三人分のを片付ける羽目になる。
風紀は、何やら生徒会長の不祥事の後始末に追われていた。と言っても、風紀委員長は生徒会長に直にお叱りにでも行くのか、食堂を去っていってしまった。行かないでと、チワワは涙目。金星先輩はそんなチワワたちにファンサという名の餌を与えていた。ファンサ精神旺盛。
三人分のお盆の片付け終わった頃には、もう昼休み終了のチャイムが流れる。
そういう成り行きで俺は、鞄の中にあった唯一の食べ物であるチョコだけ食べて午後をやり過ごすことになった。桃野くんは、お腹と背中がくっつきそうで、泣きたいよ。
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