19 / 56
#1 王道転入生編
新手の嫌がらせですか
しおりを挟む
風紀委員長、志野 千鶴───濡羽色の髪によく映える瑠璃色の瞳。陶器のような肌、長い睫毛。さすがは、ランキング上位の顔面。つよつよすぎる。見てるだけで寿命が伸びそうだ。
しかし、かっちりとした眼鏡が相手に怖い印書を与える。怖いって噂が流れるのも納得。
俺が風紀委員長に目を奪われていたところで、となりからガタリと席の動く音がした。
そちらを向けば、鈴芽がお盆を持って食堂から去ろうとしている。
「ごめん、ちょっと先に教室に帰ってるね」
そう言う鈴芽の声は、元気がなさげで思わず反射で声をかける。
「それ、片付けとくよ」
それとは鈴芽のお盆のことで、俺がそう言うと鈴芽は一瞬眉を下げたが「ごめん、甘えるよ」と言って俺にお盆を手渡した。
そのあとすぐ、鈴芽は風紀とすれ違う形で食堂を後にする。
うむむ、心配だな……転校二日目にして、生徒会長にみんなの前でキスされるなんてトラウマになるだろう。くそう、あの会長め! 絶対、人の気持ちとかわからないだろ!!
去り行く鈴芽を守るように、あのイケメン二人も一緒に去っていってしまった。お盆の片付けすらせずに。
……俺は確かに、鈴芽のプレートを片付けるとは言ったが、お前らのプレートまで片付けるとは一言も言ってないぞ?
そんなこと思いつつ、三人分のプレートの前でただ漠然とする。
ちょっと、三人分を一人に任せるのはひどくない? 確かに俺が片付けるよとは言ったけど。それは鈴芽限定だったし。当たり前な顔して、鈴芽を守ってたけど、あの二人結局なんなん? 鈴芽の同室?
心の中で文句を垂れ流すが、行ってしまった彼らを呼び戻す術も気力も俺にはなく、渋々三人分のを片付ける羽目になる。
風紀は、何やら生徒会長の不祥事の後始末に追われていた。と言っても、風紀委員長は生徒会長に直にお叱りにでも行くのか、食堂を去っていってしまった。行かないでと、チワワは涙目。金星先輩はそんなチワワたちにファンサという名の餌を与えていた。ファンサ精神旺盛。
三人分のお盆の片付け終わった頃には、もう昼休み終了のチャイムが流れる。
そういう成り行きで俺は、鞄の中にあった唯一の食べ物であるチョコだけ食べて午後をやり過ごすことになった。桃野くんは、お腹と背中がくっつきそうで、泣きたいよ。
しかし、かっちりとした眼鏡が相手に怖い印書を与える。怖いって噂が流れるのも納得。
俺が風紀委員長に目を奪われていたところで、となりからガタリと席の動く音がした。
そちらを向けば、鈴芽がお盆を持って食堂から去ろうとしている。
「ごめん、ちょっと先に教室に帰ってるね」
そう言う鈴芽の声は、元気がなさげで思わず反射で声をかける。
「それ、片付けとくよ」
それとは鈴芽のお盆のことで、俺がそう言うと鈴芽は一瞬眉を下げたが「ごめん、甘えるよ」と言って俺にお盆を手渡した。
そのあとすぐ、鈴芽は風紀とすれ違う形で食堂を後にする。
うむむ、心配だな……転校二日目にして、生徒会長にみんなの前でキスされるなんてトラウマになるだろう。くそう、あの会長め! 絶対、人の気持ちとかわからないだろ!!
去り行く鈴芽を守るように、あのイケメン二人も一緒に去っていってしまった。お盆の片付けすらせずに。
……俺は確かに、鈴芽のプレートを片付けるとは言ったが、お前らのプレートまで片付けるとは一言も言ってないぞ?
そんなこと思いつつ、三人分のプレートの前でただ漠然とする。
ちょっと、三人分を一人に任せるのはひどくない? 確かに俺が片付けるよとは言ったけど。それは鈴芽限定だったし。当たり前な顔して、鈴芽を守ってたけど、あの二人結局なんなん? 鈴芽の同室?
心の中で文句を垂れ流すが、行ってしまった彼らを呼び戻す術も気力も俺にはなく、渋々三人分のを片付ける羽目になる。
風紀は、何やら生徒会長の不祥事の後始末に追われていた。と言っても、風紀委員長は生徒会長に直にお叱りにでも行くのか、食堂を去っていってしまった。行かないでと、チワワは涙目。金星先輩はそんなチワワたちにファンサという名の餌を与えていた。ファンサ精神旺盛。
三人分のお盆の片付け終わった頃には、もう昼休み終了のチャイムが流れる。
そういう成り行きで俺は、鞄の中にあった唯一の食べ物であるチョコだけ食べて午後をやり過ごすことになった。桃野くんは、お腹と背中がくっつきそうで、泣きたいよ。
51
お気に入りに追加
379
あなたにおすすめの小説

無自覚お師匠様は弟子達に愛される
雪柳れの
BL
10年前。サレア皇国の武力の柱である四龍帝が忽然と姿を消した。四龍帝は国内外から強い支持を集め、彼が居なくなったことは瞬く間に広まって、近隣国を巻き込む大騒動に発展してしまう。そんなこと露も知らない四龍帝こと寿永は実は行方不明となった10年間、山奥の村で身分を隠して暮らしていた!?理由は四龍帝の名前の由来である直属の部下、四天王にあったらしい。四天王は師匠でもある四龍帝を異常なまでに愛し、終いには結婚の申し出をするまでに……。こんなに弟子らが自分に執着するのは自分との距離が近いせいで色恋をまともにしてこなかったせいだ!と言う考えに至った寿永は10年間俗世との関わりを断ち、ひとりの従者と一緒にそれはそれは悠々自適な暮らしを送っていた……が、風の噂で皇国の帝都が大変なことになっている、と言うのを聞き、10年振りに戻ってみると、そこに居たのはもっとずっと栄えた帝都で……。大変なことになっているとは?と首を傾げた寿永の前に現れたのは、以前よりも増した愛と執着を抱えた弟子らで……!?
それに寿永を好いていたのはその四天王だけでは無い……!?
無自覚鈍感師匠は周りの愛情に翻弄されまくる!!
(※R指定のかかるような場面には“R”と記載させて頂きます)
中華風BLストーリー、ここに開幕!
目立たないでと言われても
みつば
BL
「お願いだから、目立たないで。」
******
山奥にある私立琴森学園。この学園に季節外れの転入生がやってきた。担任に頼まれて転入生の世話をすることになってしまった俺、藤崎湊人。引き受けたはいいけど、この転入生はこの学園の人気者に気に入られてしまって……
25話で本編完結+番外編4話

噂の補佐君
さっすん
BL
超王道男子校[私立坂坂学園]に通う「佐野晴」は高校二年生ながらも生徒会の補佐。
[私立坂坂学園]は言わずと知れた同性愛者の溢れる中高一貫校。
個性強過ぎな先輩後輩同級生に囲まれ、なんだかんだ楽しい日々。
そんな折、転校生が来て平和が崩れる___!?
無自覚美少年な補佐が総受け
*
この作品はBのLな作品ですので、閲覧にはご注意ください。
とりあえず、まだそれらしい過激表現はありませんが、もしかしたら今後入るかもしれません。
その場合はもちろん年齢制限をかけますが、もし、これは過激表現では?と思った方はぜひ、教えてください。

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!
タッター
BL
ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。
自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。
――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。
そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように――
「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」
「無理。邪魔」
「ガーン!」
とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。
「……その子、生きてるっすか?」
「……ああ」
◆◆◆
溺愛攻め
×
明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

俺の親友がモテ過ぎて困る
くるむ
BL
☆完結済みです☆
番外編として短い話を追加しました。
男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ)
中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。
一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ)
……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。
て、お前何考えてんの?
何しようとしてんの?
……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。
美形策士×純情平凡♪
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

囚われた元王は逃げ出せない
スノウ
BL
異世界からひょっこり召喚されてまさか国王!?でも人柄が良く周りに助けられながら10年もの間、国王に準じていた
そうあの日までは
忠誠を誓ったはずの仲間に王位を剥奪され次々と手篭めに
なんで俺にこんな事を
「国王でないならもう俺のものだ」
「僕をあなたの側にずっといさせて」
「君のいない人生は生きられない」
「私の国の王妃にならないか」
いやいや、みんな何いってんの?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる