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学園に戻ります!
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学園に戻るため、地味め(なくせに最新かつ高性能)な馬車に乗り込み、屋敷をあとにする。
貴族街を通り過ぎて商人街に入ると、下町に近づくにつれて道路脇に飲食店の屋台が増えてくる。
忙しい朝は料理しないで屋台の料理で済ます商人や行商人、冒険者たちが屋台を物色しているのを眺めていると、馬車が人混みのせいでスピードが落ちているようだった。
早めに出れば午前の授業に間に合うかと思ったけれど、このままだと遅刻になってしまうので、午後からにしたほうがよさそうね。
御者に急がなくてよいから安全に走行するように伝えて、外の喧騒を眺める。
屋台の威勢のいい客引きの声を聞きながら、客とのやりとりを観察すると、具材たっぷりのスープをかっこむように食べている商人、朝から串焼きを貪ったり、保存がきく食材を買い求めている冒険者など、見ていて興味深い。
シンの情報によると、スープにラースを入れて雑炊風にしている屋台が数店あるとのこと。
朝に食べるもよし、体調不良の時もサラサラと食べられてお腹に溜まるからと商人をはじめとした平民たちに人気が高まりつつあるそうな。
家畜の餌と忌避されていたラースが、今ではこうして市民権を得ているのがすごく誇らしいわ。
イディカもサモナール国では初めこそ受け入れられにくいかもしれないけれど、ラースのように普通に食べられるようになると思う。
何なら、ドリスタン王国では忌避感が薄れてきた分イディカの浸透が早いかもしれない。
香辛料と一緒に爆発的に売れるかもだよね。
冒険者には受けがあまり良くなさそうだけど、硬く焼きしめたパンとベーコンを齧るだけじゃなくて、ベーコンとラースをハーブや香辛料を入れて煮込んだスープを食べてほっこりする時間があってもいいと思うんだけどな。
そんなことを考えるうちに、馬車は屋台で混み合った道を抜けて、学園に向かう方向の道へ大きく曲がっていったのだった。
商人街を抜けるのに時間がかかったために、学園の門は閉ざされていた。
御者が門番に私物の馬車を利用する学園の生徒に向けて発行している通行証を掲示して門を開けてもらい、特別寮の前まで馬車で向かう許可を得てから再び馬車を走らせる。
特別寮に着くと、ちょうど授業を終えて空き時間をサロンや寮で過ごそうと戻ってきた生徒たちの姿がちらほらと見えた。
インベントリにほとんどの荷物を収納している私たちは注目を集める前にそそくさと特別寮の中に入り、馬車を帰らせる。
自室に戻り、インベントリに収納していた荷物を取り出してミリアに整理を頼んでから食堂に向かう。
厨房に入り、料理長に頼んで分けてもらっていた精米済みのイディカや香辛料などを食糧庫に収納していると、白虎様が厨房に入ってきた。
「おう、おかえりお嬢。なにやら大変だったみたいだな」
「あはは……ちょっとしたゴタゴタに巻き込まれまして」
「セイやマリエル嬢が心配してたぜ」
あらら、やっぱり心配させちゃったか。
「とりあえず念話でお嬢が戻ったってセイに伝えたんだが、昼飯はこっちで食うみたいだぜ」
「あら、それじゃ心配かけたお詫びに昼食の準備をしておこうかしら」
私は公爵家で分けてもらった焼きたての丸パンをインベントリから出して横から切り込みを入れて上下二つに分けておく。
レタスを数枚洗って適当にちぎり、トマトは厚めにスライスしておく。
ストックしておいたハンバーグのタネをインベントリから取り出し、熱したフライパンで焼き、パンも別のフライパンで軽く焼き目をつけてからバターを塗り、レタス、ハンバーグ、薄くケチャップを塗ってからトマト、さらにレタスを乗せてパンで挟む。
洗ったじゃがいもをくし切りにしてフライパンにそれらがひたひたになるくらいに入れた油を熱してフライドポテトを揚げる。
ミリアに頼んで、濃いめに入れたアイスティーを作ってもらい、ハンバーガーセットの完成。
丸パンや余分に焼いておいたハンバーグなど中に挟む具材はとりあえずインベントリ内に用意しておいて、おかわりが欲しい人には自分でセットしてもらうことにしよう。
ちょうど人数分のセットが盛り付け終わったところでセイとマリエルちゃんが帰ってきたようで、玄関ホールから賑やかな声が聞こえてきたので厨房を出て食堂で迎えることにした。
「皆おかえりなさい……まあ、アリシア様もいらっしゃったのですね」
セイやマリエルちゃんと一緒にアリシア様が食堂に入ってきた。
「え……ええ、お邪魔かと思ったのですが、マリエルさんたちに誘われましたので」
遠慮がちに、でも少しだけ「しかたなくですわよ」感を出しつつ答えるアリシア様。
ダメですよ、アリシア様。
後ろで「うん、これはいいツンデレ」と生暖かい目でマリエルちゃんが見てますってば。
うん、かわいいツンデレだわ。
「お邪魔だなんてそんなことありませんわ。ちょうどお昼の支度をしていたところですの。食べていってくださいな」
私は素早くアリシア様の分のハンバーガーセットをこしらえたのだった。
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貴族街を通り過ぎて商人街に入ると、下町に近づくにつれて道路脇に飲食店の屋台が増えてくる。
忙しい朝は料理しないで屋台の料理で済ます商人や行商人、冒険者たちが屋台を物色しているのを眺めていると、馬車が人混みのせいでスピードが落ちているようだった。
早めに出れば午前の授業に間に合うかと思ったけれど、このままだと遅刻になってしまうので、午後からにしたほうがよさそうね。
御者に急がなくてよいから安全に走行するように伝えて、外の喧騒を眺める。
屋台の威勢のいい客引きの声を聞きながら、客とのやりとりを観察すると、具材たっぷりのスープをかっこむように食べている商人、朝から串焼きを貪ったり、保存がきく食材を買い求めている冒険者など、見ていて興味深い。
シンの情報によると、スープにラースを入れて雑炊風にしている屋台が数店あるとのこと。
朝に食べるもよし、体調不良の時もサラサラと食べられてお腹に溜まるからと商人をはじめとした平民たちに人気が高まりつつあるそうな。
家畜の餌と忌避されていたラースが、今ではこうして市民権を得ているのがすごく誇らしいわ。
イディカもサモナール国では初めこそ受け入れられにくいかもしれないけれど、ラースのように普通に食べられるようになると思う。
何なら、ドリスタン王国では忌避感が薄れてきた分イディカの浸透が早いかもしれない。
香辛料と一緒に爆発的に売れるかもだよね。
冒険者には受けがあまり良くなさそうだけど、硬く焼きしめたパンとベーコンを齧るだけじゃなくて、ベーコンとラースをハーブや香辛料を入れて煮込んだスープを食べてほっこりする時間があってもいいと思うんだけどな。
そんなことを考えるうちに、馬車は屋台で混み合った道を抜けて、学園に向かう方向の道へ大きく曲がっていったのだった。
商人街を抜けるのに時間がかかったために、学園の門は閉ざされていた。
御者が門番に私物の馬車を利用する学園の生徒に向けて発行している通行証を掲示して門を開けてもらい、特別寮の前まで馬車で向かう許可を得てから再び馬車を走らせる。
特別寮に着くと、ちょうど授業を終えて空き時間をサロンや寮で過ごそうと戻ってきた生徒たちの姿がちらほらと見えた。
インベントリにほとんどの荷物を収納している私たちは注目を集める前にそそくさと特別寮の中に入り、馬車を帰らせる。
自室に戻り、インベントリに収納していた荷物を取り出してミリアに整理を頼んでから食堂に向かう。
厨房に入り、料理長に頼んで分けてもらっていた精米済みのイディカや香辛料などを食糧庫に収納していると、白虎様が厨房に入ってきた。
「おう、おかえりお嬢。なにやら大変だったみたいだな」
「あはは……ちょっとしたゴタゴタに巻き込まれまして」
「セイやマリエル嬢が心配してたぜ」
あらら、やっぱり心配させちゃったか。
「とりあえず念話でお嬢が戻ったってセイに伝えたんだが、昼飯はこっちで食うみたいだぜ」
「あら、それじゃ心配かけたお詫びに昼食の準備をしておこうかしら」
私は公爵家で分けてもらった焼きたての丸パンをインベントリから出して横から切り込みを入れて上下二つに分けておく。
レタスを数枚洗って適当にちぎり、トマトは厚めにスライスしておく。
ストックしておいたハンバーグのタネをインベントリから取り出し、熱したフライパンで焼き、パンも別のフライパンで軽く焼き目をつけてからバターを塗り、レタス、ハンバーグ、薄くケチャップを塗ってからトマト、さらにレタスを乗せてパンで挟む。
洗ったじゃがいもをくし切りにしてフライパンにそれらがひたひたになるくらいに入れた油を熱してフライドポテトを揚げる。
ミリアに頼んで、濃いめに入れたアイスティーを作ってもらい、ハンバーガーセットの完成。
丸パンや余分に焼いておいたハンバーグなど中に挟む具材はとりあえずインベントリ内に用意しておいて、おかわりが欲しい人には自分でセットしてもらうことにしよう。
ちょうど人数分のセットが盛り付け終わったところでセイとマリエルちゃんが帰ってきたようで、玄関ホールから賑やかな声が聞こえてきたので厨房を出て食堂で迎えることにした。
「皆おかえりなさい……まあ、アリシア様もいらっしゃったのですね」
セイやマリエルちゃんと一緒にアリシア様が食堂に入ってきた。
「え……ええ、お邪魔かと思ったのですが、マリエルさんたちに誘われましたので」
遠慮がちに、でも少しだけ「しかたなくですわよ」感を出しつつ答えるアリシア様。
ダメですよ、アリシア様。
後ろで「うん、これはいいツンデレ」と生暖かい目でマリエルちゃんが見てますってば。
うん、かわいいツンデレだわ。
「お邪魔だなんてそんなことありませんわ。ちょうどお昼の支度をしていたところですの。食べていってくださいな」
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