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【兄視点】バステア商会
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僕たちを乗せた馬車はほどなくして目的地である街へ。
「バステア商会に到着いたしました。」
御者が到着を告げる。
一応はお忍びなので、馬車は公爵家の紋章入りの豪華なものではなく、なんてことはない普通の馬車だ。
…父上に言って馬車の中、せめて座面だけでもなんとかした方が良いと進言しよう。若干痛む腰を上げ、馬車の外へと降り立った。
「へえ…外観は特にヤハトゥールを意識したわけではないんだな。」
続いて降りてきたレイ殿下が建物を見上げた。
「そのようですね。でも食材品だけではなく装飾品や美術品など、ヤハトゥール産の様々な品を扱っているそうですよ。」
「そうか。とりあえず入ってみるとするか!」
レイ殿下は意気揚々と建物の中へと入って行った。
僕はと言うと、建物の中にクリステアの魔力の気配を感じて動揺していた。
…しまったな、クリステアの目的はここだったのか。バステア商会はうちに食材などを納品するため、しょっちゅう屋敷に出入りしていると聞いていたからここには来ないだろうと思っていたのに。
レイ殿下の後を追って店内に入ると、外観とは打って変わって、異国情緒たっぷりの内装に目を奪われた。
珍しいタペストリーを横目に、ザッと店内を見渡すもクリステアの姿は見えなかった。
良かった。今は商談用の応接間にでも案内されているのだろうか。変装するとは聞いていたが懇意にしているバステア商会の人間が気付かないはずはないだろう。
少し安心して、店内を見て回ることにした。
ふと奥の方へ目をやると先客がいた。
燃えるような赤毛の、肉感的な美女だ。男物の服を着ているが、女性的なシルエットは隠しようがないのでひと目で女性とわかった。ちょうど小さな壺を手にしたところだった。
「迫力のある美女だな。」
僕にこそっと耳打ちするレイ殿下だか、静かな店内だ。小声とは言え聞こえてしまったようだ。その女性は僕たちに気づくと軽く会釈してその場を離れた。奥の方へ向かうと言うことは関係者だろうか。
「ようこそおいでくださいました。何かお探しですか?」
奥から店の者がやってきた。きっと先ほどの女性が声をかけてくれたのだろう。
「ああ、具体的に何と言うわけではないんだが…ここはヤハトゥールの品揃えが素晴らしいと聞いてな。何か面白いものはないかとやってきた次第だ。」
「左様でございますか。」
お忍びだからと街に溶け込めるような服装にしてきたつもりだったが、身なりから上客だと判断されたようで、従業員は終始にこにこしていた。
「バステア商会に到着いたしました。」
御者が到着を告げる。
一応はお忍びなので、馬車は公爵家の紋章入りの豪華なものではなく、なんてことはない普通の馬車だ。
…父上に言って馬車の中、せめて座面だけでもなんとかした方が良いと進言しよう。若干痛む腰を上げ、馬車の外へと降り立った。
「へえ…外観は特にヤハトゥールを意識したわけではないんだな。」
続いて降りてきたレイ殿下が建物を見上げた。
「そのようですね。でも食材品だけではなく装飾品や美術品など、ヤハトゥール産の様々な品を扱っているそうですよ。」
「そうか。とりあえず入ってみるとするか!」
レイ殿下は意気揚々と建物の中へと入って行った。
僕はと言うと、建物の中にクリステアの魔力の気配を感じて動揺していた。
…しまったな、クリステアの目的はここだったのか。バステア商会はうちに食材などを納品するため、しょっちゅう屋敷に出入りしていると聞いていたからここには来ないだろうと思っていたのに。
レイ殿下の後を追って店内に入ると、外観とは打って変わって、異国情緒たっぷりの内装に目を奪われた。
珍しいタペストリーを横目に、ザッと店内を見渡すもクリステアの姿は見えなかった。
良かった。今は商談用の応接間にでも案内されているのだろうか。変装するとは聞いていたが懇意にしているバステア商会の人間が気付かないはずはないだろう。
少し安心して、店内を見て回ることにした。
ふと奥の方へ目をやると先客がいた。
燃えるような赤毛の、肉感的な美女だ。男物の服を着ているが、女性的なシルエットは隠しようがないのでひと目で女性とわかった。ちょうど小さな壺を手にしたところだった。
「迫力のある美女だな。」
僕にこそっと耳打ちするレイ殿下だか、静かな店内だ。小声とは言え聞こえてしまったようだ。その女性は僕たちに気づくと軽く会釈してその場を離れた。奥の方へ向かうと言うことは関係者だろうか。
「ようこそおいでくださいました。何かお探しですか?」
奥から店の者がやってきた。きっと先ほどの女性が声をかけてくれたのだろう。
「ああ、具体的に何と言うわけではないんだが…ここはヤハトゥールの品揃えが素晴らしいと聞いてな。何か面白いものはないかとやってきた次第だ。」
「左様でございますか。」
お忍びだからと街に溶け込めるような服装にしてきたつもりだったが、身なりから上客だと判断されたようで、従業員は終始にこにこしていた。
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