224 / 386
連載
聖獣契約するには
しおりを挟む
「我らと契約したいと思っているのならば、諦めるがいい。それに、先だってこの学園の長に警告されたのを忘れたのか?」
黒銀は低い声と冷ややかな目つきでエイディー様を見下ろす。
さすがに威圧まではかけていないけれど、普通のちびっ子なら粗相しかねない雰囲気を醸しだすのはやめよう?
「え、あ? ち、違います! そうじゃなくて、今後もし聖獣様と出会う機会に恵まれた時、契約を成功させるための条件があれば教えていただきたいんです!」
エイディー様が慌てて説明するけれど、そもそも聖獣様と出会う機会なんてほとんどないのだ。
セイは事情が事情だし、私の場合は白虎様がスカウト(?)してきたわけだから。
たまたまその二人が学園にやってきただけで、聖獣様は姿を拝めるだけでも奇跡と言ってもいいぐらいの確率のはずなのよ。
それに、契約の条件って言われても「美味しいごはんが作れること」ってわけじゃないから。
……そうだよね?
黒銀たちを見ると、さっきまでのような警戒は鳴りを潜めているけれど、冷ややかな視線は変わらない様子。
「我ら聖獣と主が出会うのは偶然ではなく必然。契約に至るのも決まりがあるわけではない。全ては出会うべくして出会い、成されるものなのだ」
え、そうだっけ?
黒銀は白虎様についてきただけだよね?
言うなれば押しかけ契約じゃなかった?
黒銀の中で、あれは運命的な出会いで、契約したのは必然だったと美化されてるの?
黒銀の記憶改ざん説を疑いつつも、私の作ったごはんがきっかけで契約を決めたなんてことが知られたら「悪食令嬢は聖獣様に変なものを食べさせて屈服させ契約に至った」と悪意まじりに揶揄されかねない。
そう考えたら黒銀の答えが無難な気がして、余計なことは言わぬが花と沈黙を貫く。
セイがチラッとこちらを見たのは気にしない。気にしないったら気にしない。
「……ふむふむ、それで?」
背後からの声に驚いて振り向くと、ニール先生がメモを片手に立っていた。
「ニール先生⁉︎」
「ん? 気にしないで話を続けてくれたまえ。僕にとっても興味深い内容だからね!」
さ、どうぞ? と続きを促されても。
始業間際に立ち話をしていた私たちがいけないんだけど、それを黙認する教師ってどうかと思う。
皆が唖然としていると、ニール先生の後ろにいたマーレン師が持っていた杖でニール先生の頭をゴン! と叩いた。
「痛っ!」
「全く、おぬしという奴は……ほれほれ、皆早く着席しなさい」
マーレン師の言葉で皆があたふたと着席していく。
私は、黒銀と真白の見学の許可を得るためにその場に残った。
「ニール先生、マーレンし……先生、黒銀と真白が授業を見学したいそうなのですけれど、許可していただけますでしょうか」
「もちろんさ! なんなら毎日でも……痛っ⁉︎」
ニール先生が喜色満面で答えると、またマーレン師の杖がニール先生の頭に直撃した。
「懲りんのう、おぬしは。黒銀どのに真白どの。見学は構いませんが、ここは学びの場。子どもたちの学業の妨げになるようでしたら出て行っていただきますがよろしいですかな?」
「無論だ。主の邪魔をするつもりはない」
「うん、だいじょーぶ」
いや、現時点で邪魔してるってば。
うう、入学からお騒がせ続きの生徒ですみません。
「それでは許可いたしましょう」
「感謝する」
「ありがとー」
ああ、正式に許可がおりてしまった。
マーレン師もなんだかんだいって聖獣様に憧れてるから甘いのよね。
「途中何か質問させていただくこともありますしょうが、それはかまいませんかな?」
「我らで答えられるものであれば」
「十分です。それではお二方はこちらにお座りください」
マーレン師は教壇の近くの壁際にインベントリから取り出した椅子を置き、二人を座らせた。
それを見た生徒が「え、あれってインベントリ⁉︎」「すごい!」と声をあげた。
え、インベントリってやっぱりそんなにレアな魔法なの?
私とマリエルちゃんは顔を見合わせてアイコンタクトで「私たちが使えるのは内緒にしておくべきよね」と頷きあった。
いやもう皆、未来からきた猫型ロボットのお話を見せてあげたい。そしたら皆インベントリ習得し放題だよきっと……
「はい、皆静かに! 午後からは専門コースの見学をしていくよ」
ニール先生が黒板に学園内の地図を貼りつけた。
「午前中は君たちそれぞれに適したコースについて相談したけど、午後は実際に各コースを見学して自分に向いているか判断してもらうよ。まずはここに移動して……」
ニール先生の説明によると、魔導具コースや貴族コース、執事やメイドなどの家政コースなど、技能や職能に関するコースを見学していくのだそう。
見学ルートの説明を終えると全員を立たせ、ニール先生の先導でコースを回ることになった。
「すまんがクリステア嬢は聖獣様と一緒に最後尾についてくれるかの。ニールのやつの気が散ってはいかんのでな。わしがついとるから質問があればわしに聞けばええぞい」
「マーレン先生、ひどいです!」
「ええからおぬしは先へ進まんか。こういう時のためにわしがおるんじゃからの」
シッシッとマーレン師がニール先生を追い立てる。
何気にひどいけど、昔からこんな感じだったんだろうなあ。
ニール先生の先導で生徒たちが動き始めた。
私たちはゾロゾロと歩いていく生徒たちの最後尾について歩いていると、前方からゆるゆると遅れるようにしてロニー様が後方へ下がってきた。
チラチラと振り返りながら、わざとゆっくり歩いている。
どう見てもこれはマーレン師目当てよね。
そしてついにロニー様が私たちの目の前にやってきた。
「これ、おぬし遅れておるぞい。早う行きなされ」
マーレン師がロニー様に注意すると、ロニー様はつつつ……とマーレン師に近づき、マーレン師の歩みを合わせた。
「マーレン先生。先ほどはお話しできませんでしたが、僕は先生の書いた『魔導具の変遷』を読んで以来、いつか先生の指導を受けるのを夢見ていました。こうしてお会いすることができて光栄です!」
瓶底メガネでよくわからないけれど、きっと目をキラキラさせているに違いない。
「おお、おぬしの年齢であれを読んでおるのか、それは関心じゃな」
著書の読者とあって、マーレン師は相好を崩す。
「マーレン先生のように素晴らしい魔導具をこの世に送り出すのが夢なんです。学園の卒業生で魔導具師として一流の腕を持つオーウェン氏もマーレン先生のお弟子だったと聞いていますが、本当ですか?」
「ん? ああ……あやつな、うんまあ、そうじゃなぁ」
「すごい! やはりマーレン先生に師事すれば間違いない……!」
期待たっぷりにグッと拳を握るロニー様と渋い顔をするマーレン師の表情が対照的だ。
「魔導具狂い」と呼ばれる魔導具師・オーウェンさんがマーレン師のお弟子さんというのは秘密ではないけれど、あまり大っぴらにはしたくないことなのかも。
「マーレン先生、オーウェン氏は今どちらにいらっしゃるのかご存知ですか? ぜひお会いしたいのですが」
「あやつは……ええと、どこじゃったかのう?」
マーレン師がチラッと私のほうを見るけれど、小さく頭を振った。
オーウェンさんがエリスフィード領にいるとロニー様に知られたらもう、睨まれるどころか怨まれるかもしれない。
「そうですか……もしわかったら教えてくださいね!」
触らぬロニー様に祟りなし。
私はそっとロニー様から距離をとり、皆の後を追ったのだった。
---------------------------
皆様、あけましておめでとうございます!
本年ものんびりマイペースで頑張りますので、まったりお付き合いいただけますと幸いです( ´ ▽ ` )
年明け早々、文庫版「転生令嬢は庶民の味に飢えている」三巻が発売になります!
レジーナのサイトや私のTwitterでも告知しますのでよろしくお願いいたします!
文庫版では書き下ろし番外編がおまけで掲載されておりますのでぜひお読みくださいませ。
そして、昨年末にコミカライズ版「転生令嬢は庶民の味に飢えている」三巻が発売しておりますのでこちらも描き下ろし番外編が17ページ掲載!ぜひお楽しみくださいませ~!
黒銀は低い声と冷ややかな目つきでエイディー様を見下ろす。
さすがに威圧まではかけていないけれど、普通のちびっ子なら粗相しかねない雰囲気を醸しだすのはやめよう?
「え、あ? ち、違います! そうじゃなくて、今後もし聖獣様と出会う機会に恵まれた時、契約を成功させるための条件があれば教えていただきたいんです!」
エイディー様が慌てて説明するけれど、そもそも聖獣様と出会う機会なんてほとんどないのだ。
セイは事情が事情だし、私の場合は白虎様がスカウト(?)してきたわけだから。
たまたまその二人が学園にやってきただけで、聖獣様は姿を拝めるだけでも奇跡と言ってもいいぐらいの確率のはずなのよ。
それに、契約の条件って言われても「美味しいごはんが作れること」ってわけじゃないから。
……そうだよね?
黒銀たちを見ると、さっきまでのような警戒は鳴りを潜めているけれど、冷ややかな視線は変わらない様子。
「我ら聖獣と主が出会うのは偶然ではなく必然。契約に至るのも決まりがあるわけではない。全ては出会うべくして出会い、成されるものなのだ」
え、そうだっけ?
黒銀は白虎様についてきただけだよね?
言うなれば押しかけ契約じゃなかった?
黒銀の中で、あれは運命的な出会いで、契約したのは必然だったと美化されてるの?
黒銀の記憶改ざん説を疑いつつも、私の作ったごはんがきっかけで契約を決めたなんてことが知られたら「悪食令嬢は聖獣様に変なものを食べさせて屈服させ契約に至った」と悪意まじりに揶揄されかねない。
そう考えたら黒銀の答えが無難な気がして、余計なことは言わぬが花と沈黙を貫く。
セイがチラッとこちらを見たのは気にしない。気にしないったら気にしない。
「……ふむふむ、それで?」
背後からの声に驚いて振り向くと、ニール先生がメモを片手に立っていた。
「ニール先生⁉︎」
「ん? 気にしないで話を続けてくれたまえ。僕にとっても興味深い内容だからね!」
さ、どうぞ? と続きを促されても。
始業間際に立ち話をしていた私たちがいけないんだけど、それを黙認する教師ってどうかと思う。
皆が唖然としていると、ニール先生の後ろにいたマーレン師が持っていた杖でニール先生の頭をゴン! と叩いた。
「痛っ!」
「全く、おぬしという奴は……ほれほれ、皆早く着席しなさい」
マーレン師の言葉で皆があたふたと着席していく。
私は、黒銀と真白の見学の許可を得るためにその場に残った。
「ニール先生、マーレンし……先生、黒銀と真白が授業を見学したいそうなのですけれど、許可していただけますでしょうか」
「もちろんさ! なんなら毎日でも……痛っ⁉︎」
ニール先生が喜色満面で答えると、またマーレン師の杖がニール先生の頭に直撃した。
「懲りんのう、おぬしは。黒銀どのに真白どの。見学は構いませんが、ここは学びの場。子どもたちの学業の妨げになるようでしたら出て行っていただきますがよろしいですかな?」
「無論だ。主の邪魔をするつもりはない」
「うん、だいじょーぶ」
いや、現時点で邪魔してるってば。
うう、入学からお騒がせ続きの生徒ですみません。
「それでは許可いたしましょう」
「感謝する」
「ありがとー」
ああ、正式に許可がおりてしまった。
マーレン師もなんだかんだいって聖獣様に憧れてるから甘いのよね。
「途中何か質問させていただくこともありますしょうが、それはかまいませんかな?」
「我らで答えられるものであれば」
「十分です。それではお二方はこちらにお座りください」
マーレン師は教壇の近くの壁際にインベントリから取り出した椅子を置き、二人を座らせた。
それを見た生徒が「え、あれってインベントリ⁉︎」「すごい!」と声をあげた。
え、インベントリってやっぱりそんなにレアな魔法なの?
私とマリエルちゃんは顔を見合わせてアイコンタクトで「私たちが使えるのは内緒にしておくべきよね」と頷きあった。
いやもう皆、未来からきた猫型ロボットのお話を見せてあげたい。そしたら皆インベントリ習得し放題だよきっと……
「はい、皆静かに! 午後からは専門コースの見学をしていくよ」
ニール先生が黒板に学園内の地図を貼りつけた。
「午前中は君たちそれぞれに適したコースについて相談したけど、午後は実際に各コースを見学して自分に向いているか判断してもらうよ。まずはここに移動して……」
ニール先生の説明によると、魔導具コースや貴族コース、執事やメイドなどの家政コースなど、技能や職能に関するコースを見学していくのだそう。
見学ルートの説明を終えると全員を立たせ、ニール先生の先導でコースを回ることになった。
「すまんがクリステア嬢は聖獣様と一緒に最後尾についてくれるかの。ニールのやつの気が散ってはいかんのでな。わしがついとるから質問があればわしに聞けばええぞい」
「マーレン先生、ひどいです!」
「ええからおぬしは先へ進まんか。こういう時のためにわしがおるんじゃからの」
シッシッとマーレン師がニール先生を追い立てる。
何気にひどいけど、昔からこんな感じだったんだろうなあ。
ニール先生の先導で生徒たちが動き始めた。
私たちはゾロゾロと歩いていく生徒たちの最後尾について歩いていると、前方からゆるゆると遅れるようにしてロニー様が後方へ下がってきた。
チラチラと振り返りながら、わざとゆっくり歩いている。
どう見てもこれはマーレン師目当てよね。
そしてついにロニー様が私たちの目の前にやってきた。
「これ、おぬし遅れておるぞい。早う行きなされ」
マーレン師がロニー様に注意すると、ロニー様はつつつ……とマーレン師に近づき、マーレン師の歩みを合わせた。
「マーレン先生。先ほどはお話しできませんでしたが、僕は先生の書いた『魔導具の変遷』を読んで以来、いつか先生の指導を受けるのを夢見ていました。こうしてお会いすることができて光栄です!」
瓶底メガネでよくわからないけれど、きっと目をキラキラさせているに違いない。
「おお、おぬしの年齢であれを読んでおるのか、それは関心じゃな」
著書の読者とあって、マーレン師は相好を崩す。
「マーレン先生のように素晴らしい魔導具をこの世に送り出すのが夢なんです。学園の卒業生で魔導具師として一流の腕を持つオーウェン氏もマーレン先生のお弟子だったと聞いていますが、本当ですか?」
「ん? ああ……あやつな、うんまあ、そうじゃなぁ」
「すごい! やはりマーレン先生に師事すれば間違いない……!」
期待たっぷりにグッと拳を握るロニー様と渋い顔をするマーレン師の表情が対照的だ。
「魔導具狂い」と呼ばれる魔導具師・オーウェンさんがマーレン師のお弟子さんというのは秘密ではないけれど、あまり大っぴらにはしたくないことなのかも。
「マーレン先生、オーウェン氏は今どちらにいらっしゃるのかご存知ですか? ぜひお会いしたいのですが」
「あやつは……ええと、どこじゃったかのう?」
マーレン師がチラッと私のほうを見るけれど、小さく頭を振った。
オーウェンさんがエリスフィード領にいるとロニー様に知られたらもう、睨まれるどころか怨まれるかもしれない。
「そうですか……もしわかったら教えてくださいね!」
触らぬロニー様に祟りなし。
私はそっとロニー様から距離をとり、皆の後を追ったのだった。
---------------------------
皆様、あけましておめでとうございます!
本年ものんびりマイペースで頑張りますので、まったりお付き合いいただけますと幸いです( ´ ▽ ` )
年明け早々、文庫版「転生令嬢は庶民の味に飢えている」三巻が発売になります!
レジーナのサイトや私のTwitterでも告知しますのでよろしくお願いいたします!
文庫版では書き下ろし番外編がおまけで掲載されておりますのでぜひお読みくださいませ。
そして、昨年末にコミカライズ版「転生令嬢は庶民の味に飢えている」三巻が発売しておりますのでこちらも描き下ろし番外編が17ページ掲載!ぜひお楽しみくださいませ~!
162
お気に入りに追加
14,171
あなたにおすすめの小説

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

【短編】婚約破棄?「喜んで!」食い気味に答えたら陛下に泣きつかれたけど、知らんがな
みねバイヤーン
恋愛
「タリーシャ・オーデリンド、そなたとの婚約を破棄す」「喜んで!」
タリーシャが食い気味で答えると、あと一歩で間に合わなかった陛下が、会場の入口で「ああー」と言いながら膝から崩れ落ちた。田舎領地で育ったタリーシャ子爵令嬢が、ヴィシャール第一王子殿下の婚約者に決まったとき、王国は揺れた。王子は荒ぶった。あんな少年のように色気のない体の女はいやだと。タリーシャは密かに陛下と約束を交わした。卒業式までに王子が婚約破棄を望めば、婚約は白紙に戻すと。田舎でのびのび暮らしたいタリーシャと、タリーシャをどうしても王妃にしたい陛下との熾烈を極めた攻防が始まる。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
ここは私の邸です。そろそろ出て行ってくれます?
藍川みいな
恋愛
「マリッサ、すまないが婚約は破棄させてもらう。俺は、運命の人を見つけたんだ!」
9年間婚約していた、デリオル様に婚約を破棄されました。運命の人とは、私の義妹のロクサーヌのようです。
そもそもデリオル様に好意を持っていないので、婚約破棄はかまいませんが、あなたには莫大な慰謝料を請求させていただきますし、借金の全額返済もしていただきます。それに、あなたが選んだロクサーヌは、令嬢ではありません。
幼い頃に両親を亡くした私は、8歳で侯爵になった。この国では、爵位を継いだ者には18歳まで後見人が必要で、ロクサーヌの父で私の叔父ドナルドが後見人として侯爵代理になった。
叔父は私を冷遇し、自分が侯爵のように振る舞って来ましたが、もうすぐ私は18歳。全てを返していただきます!
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。

兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?
志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。
そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄?
え、なにをやってんの兄よ!?
…‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。
今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。
※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化

公爵令嬢はアホ係から卒業する
依智川ゆかり
ファンタジー
『エルメリア・バーンフラウト! お前との婚約を破棄すると、ここに宣言する!!」
婚約相手だったアルフォード王子からそんな宣言を受けたエルメリア。
そんな王子は、数日後バーンフラウト家にて、土下座を披露する事になる。
いや、婚約破棄自体はむしろ願ったり叶ったりだったんですが、あなた本当に分かってます?
何故、私があなたと婚約する事になったのか。そして、何故公爵令嬢である私が『アホ係』と呼ばれるようになったのか。
エルメリアはアルフォード王子……いや、アホ王子に話し始めた。
彼女が『アホ係』となった経緯を、嘘偽りなく。
*『小説家になろう』でも公開しています。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。