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何が望みだ⁉︎
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「うむ。主の立場もあるだろうが、我ら聖獣が他の者からいいように使われるわけにはいかぬ」
ええー……黒銀ったら、何を言い出すのよ⁉︎
「そうですわねぇ。何事もはじめが肝心ですもの」
朱雀様まで!
「うん! あいつらのいいなりにはならないもんね!」
真白、嬉々として言わないで⁉︎
「……いったいどうしたいんだ?」
セイが呆れたように言い出しっぺの白虎様に聞いた。
「いや~別にぃ? 姿を見せろって言うんなら、俺たちがいつ学園内のどこをうろつこうが問題ないってこったろ?」
「……は?」
「そうか。我らが姿を見せぬからこのような事態になるわけだしな。本来であれば主を護るために我らはいるのだから、特別寮に留まらなければならない理由などないな」
「ええ、私たちが学園側に振り回される謂れはありませんもの。好きに行動させていただいてもよろしいですわよね?」
「そうだそうだー!」
「えええ……?」
どうやら皆、引きこもり生活に飽き飽きしていたみたい。
でも、こっそり抜け出して狩りとか行ってたよね……?
それとこれとは別ってこと?
「……要するに、好きに出歩きたいと。そういうことだな?」
頭が痛いとばかりにこめかみを押さえるセイに、白虎様はにんまりと笑う。
「当然。そもそも俺たちが特別寮に引きこもらなきゃいけない理由はねぇんだ。それでも大人しくしてるのはお前らの立場があるからしぶしぶだってのはわかってンだろ?」
「それはまあ……そうだな」
うん、それは私も本当に申し訳なく思ってる。
「なぁに、そんなに難しいことじゃねぇ。俺たちが学園内を何時でもどこでも自由に歩き回れて、俺たちに手を出そうとする阿呆どもがいればそいつらを蹴散らそうがお咎めはなし。そんだけだ」
「いやそれ難しいだろ⁉︎」
セイがすかさずツッコミを入れたけれど、私もそれは難しいと思うよ?
自由に出歩くのはいいとしても、蹴散らすのはダメでしょ……
「そうかぁ? 契約済の聖獣にちょっかいだそうとするなんてただの阿呆だろ。そういう奴はハナから聞く耳なんざ持ってねぇんだ。自分が何に手を出そうとしたのかわからせてやんなきゃなぁ?」
白虎様はそう言って手にしたどら焼きにガブっと齧り付いた。
「ええ、それはもう、そんなお馬鹿さんはきっちり躾すべきですわ。ふふっ……」
朱雀様が口角をあげて笑うけれど、目が……目が笑ってなくて怖いんですけど⁉︎
「うむ。それに我が主に手を出した時も同様に制裁を下すことも加えておくべきだな」
「さんせーい!」
「黒銀⁉︎ 真白⁉︎ 制裁だなんて、物騒なこと言っちゃダメでしょ⁉︎」
私はギョッとして止めるけれど、白虎様は手にしていたどら焼きを平らげると手をひらひらさせながら笑った。
「大丈夫だって。命までとるわけじゃないし。二度と俺たちにちょっかい出そうと思わないようにするだけだって」
「「いやそれ全く大丈夫じゃないよね⁉︎」」
セイと私の見事なハモリが談話室に響いたのだった。
ドッと疲れた私たちは料理をする気力もなく、インベントリに備蓄していた料理をいくつか出して夕食にした。
ちょうど私たちが食べ終わる頃にニール先生が帰ってきたので、私とセイの二人で今日のできごとを相談することにした。
「ニール先生、少しお話があって……」
「あ、学園長から話を聞いたんよだね? よろしく頼むね!」
ニール先生がにこやかに返してきた。
「僕としては時期尚早と思うんだけどねぇ。僕や学園長に早くしろとひっきりなしにせっついてきててねぇ……」
「え、ニール先生はお披露目には反対なんですか?」
意外だ。ニール先生のことだから「早く皆に紹介して聖獣の皆様も授業に参加してもらおう!」とか考えてるのかと思ってたのに。
「そりゃあそうさ。聖獣様っていうのはそう簡単に出会える存在じゃないんだよ? このドリスタン王国を護る聖獣レオン様だってそうそう国民の前に姿を見せたりしないんだからね。孤高にして神聖なる存在といっても過言じゃないんだ!」
……いや過言もいいとこですよ。
ニール先生が知らないだけで、レオン様は陛下と妃殿下の護衛に変装して入学式に来ていたし。
何なら市場の屋台でフラッと串焼きとか買いに行ったりしてるみたいですけど⁉︎
ニール先生が知らないだけだよね?
それに、私たちの契約聖獣たちを見てるのに、孤高にして神聖なる存在って……
私は黒銀や真白を思い浮かべるけれど、食いしん坊で過激なまでの過保護な保護者としか思えない。
「それに僕は特別寮で観察できるから必要ないし……と。いや、まあ、その、聖獣の皆様に変にストレスを与えてはいけないと思うからね!」
「はあ」
今、本音が漏れてたよね?
確かにニール先生はわざわざそんな場を設ける必要がないもんねぇ。
私たちがジトっとニール先生を見つめると、先生は慌てたように続けた。
「あの、ほら、本当は君たちの周囲の環境がもう少し落ちついてからのほうが聖獣の皆様の負担も減ると思ったからね! そう説明もしたんだよ⁉︎」
「負担……ですか?」
セイが聞き返すとどうやらごまかせたみたいだとホッとした様子で答えた。
「そう、君たちまだクラス分けされていないだろう? クラス分け後のほうが人間関係がある程度固定されるだろうから聖獣様たちの警戒対象も定まる分、楽になるんじゃないかと思ってね」
「警戒対象……?」
どういうこと?
「うん。君たちは特別クラス……通称Sクラスに振り分けられるのが決まってるからね。Sクラスは成績優秀な生徒揃いだ。聞き分けのいい子ばかりだろうから、変に好奇心でいっぱいの下位の生徒の中にいるよりは過ごしやすいと思うよ?」
「えっ? Sクラス?」
なにそれ。特別クラス?
「そうだよ。先日行った適正検査や筆記試験で優秀な成績を納めた生徒ばかりさ。他のクラスと比べて生徒数が少ないから警戒対象が少ない分、聖獣の皆様も気が楽じゃないかな?」
いやいやいや。それって魔力豊富で成績優秀な子たちばかりってことよね?
普通の生徒より攻撃力だって高めかもしれないじゃない。むしろ警戒度数引き上げられるやつじゃないの⁉︎
「ああ、そうそう。君たちの友人の……えーと、マ……マリ……なんだっけ? 彼女もSクラスだよ。よかったね」
「えっ! ほ、本当ですか?」
「うん。彼女は君たちと同じくらい筆記試験の成績がよかったし、適正も……と、これは僕がベラベラ話すことじゃないな」
「マリエルさんが、同じクラス……」
「あ、そうそう。マリエル嬢だ。彼女もいる分君たちも楽しく過ごせるから聖獣の皆様も喜ぶだろうからね」
や、やったー! マリエルちゃんとセイが同じクラスだなんて!
ぼっち回避だやったー!
「ありがとうございます! それじゃ失礼しま……」
部屋に戻って皆に教えなきゃ!
そう思って立ち去ろうとした私をセイが引き止めた。
「ありがとうございます。それはそれとして、お披露目のことですが……」
あ、そうだった。嬉しさのあまりすっかり忘れるとこだった。
セイが白虎様たちの要望を伝えると、ニール先生はうーん……と考え込んでしまった。
「校内を自由に動けるというのは構わないと思うけど……さすがに、お咎めなしっていうのはどうかなぁ……僕としては問題ないけど、学園長や他の教師たちが何て言うかな」
……ニール先生はいいんだ⁉︎
「明日、学園長に確認してみるよ。聖獣の皆様からしてみれば当然のことだしね」
ニール先生はあくまでも聖獣のために動くつもりのようで、今後の対応について学園長や教師たちと協議してくれることになった。
「……よろしくお願いします」
セイはスッと綺麗な礼をしてから自室に戻っていった。
私は、ニール先生に食堂のマジックボックスに夕食を入れておいたことを伝えてから自室に向かったのだった。
ええー……黒銀ったら、何を言い出すのよ⁉︎
「そうですわねぇ。何事もはじめが肝心ですもの」
朱雀様まで!
「うん! あいつらのいいなりにはならないもんね!」
真白、嬉々として言わないで⁉︎
「……いったいどうしたいんだ?」
セイが呆れたように言い出しっぺの白虎様に聞いた。
「いや~別にぃ? 姿を見せろって言うんなら、俺たちがいつ学園内のどこをうろつこうが問題ないってこったろ?」
「……は?」
「そうか。我らが姿を見せぬからこのような事態になるわけだしな。本来であれば主を護るために我らはいるのだから、特別寮に留まらなければならない理由などないな」
「ええ、私たちが学園側に振り回される謂れはありませんもの。好きに行動させていただいてもよろしいですわよね?」
「そうだそうだー!」
「えええ……?」
どうやら皆、引きこもり生活に飽き飽きしていたみたい。
でも、こっそり抜け出して狩りとか行ってたよね……?
それとこれとは別ってこと?
「……要するに、好きに出歩きたいと。そういうことだな?」
頭が痛いとばかりにこめかみを押さえるセイに、白虎様はにんまりと笑う。
「当然。そもそも俺たちが特別寮に引きこもらなきゃいけない理由はねぇんだ。それでも大人しくしてるのはお前らの立場があるからしぶしぶだってのはわかってンだろ?」
「それはまあ……そうだな」
うん、それは私も本当に申し訳なく思ってる。
「なぁに、そんなに難しいことじゃねぇ。俺たちが学園内を何時でもどこでも自由に歩き回れて、俺たちに手を出そうとする阿呆どもがいればそいつらを蹴散らそうがお咎めはなし。そんだけだ」
「いやそれ難しいだろ⁉︎」
セイがすかさずツッコミを入れたけれど、私もそれは難しいと思うよ?
自由に出歩くのはいいとしても、蹴散らすのはダメでしょ……
「そうかぁ? 契約済の聖獣にちょっかいだそうとするなんてただの阿呆だろ。そういう奴はハナから聞く耳なんざ持ってねぇんだ。自分が何に手を出そうとしたのかわからせてやんなきゃなぁ?」
白虎様はそう言って手にしたどら焼きにガブっと齧り付いた。
「ええ、それはもう、そんなお馬鹿さんはきっちり躾すべきですわ。ふふっ……」
朱雀様が口角をあげて笑うけれど、目が……目が笑ってなくて怖いんですけど⁉︎
「うむ。それに我が主に手を出した時も同様に制裁を下すことも加えておくべきだな」
「さんせーい!」
「黒銀⁉︎ 真白⁉︎ 制裁だなんて、物騒なこと言っちゃダメでしょ⁉︎」
私はギョッとして止めるけれど、白虎様は手にしていたどら焼きを平らげると手をひらひらさせながら笑った。
「大丈夫だって。命までとるわけじゃないし。二度と俺たちにちょっかい出そうと思わないようにするだけだって」
「「いやそれ全く大丈夫じゃないよね⁉︎」」
セイと私の見事なハモリが談話室に響いたのだった。
ドッと疲れた私たちは料理をする気力もなく、インベントリに備蓄していた料理をいくつか出して夕食にした。
ちょうど私たちが食べ終わる頃にニール先生が帰ってきたので、私とセイの二人で今日のできごとを相談することにした。
「ニール先生、少しお話があって……」
「あ、学園長から話を聞いたんよだね? よろしく頼むね!」
ニール先生がにこやかに返してきた。
「僕としては時期尚早と思うんだけどねぇ。僕や学園長に早くしろとひっきりなしにせっついてきててねぇ……」
「え、ニール先生はお披露目には反対なんですか?」
意外だ。ニール先生のことだから「早く皆に紹介して聖獣の皆様も授業に参加してもらおう!」とか考えてるのかと思ってたのに。
「そりゃあそうさ。聖獣様っていうのはそう簡単に出会える存在じゃないんだよ? このドリスタン王国を護る聖獣レオン様だってそうそう国民の前に姿を見せたりしないんだからね。孤高にして神聖なる存在といっても過言じゃないんだ!」
……いや過言もいいとこですよ。
ニール先生が知らないだけで、レオン様は陛下と妃殿下の護衛に変装して入学式に来ていたし。
何なら市場の屋台でフラッと串焼きとか買いに行ったりしてるみたいですけど⁉︎
ニール先生が知らないだけだよね?
それに、私たちの契約聖獣たちを見てるのに、孤高にして神聖なる存在って……
私は黒銀や真白を思い浮かべるけれど、食いしん坊で過激なまでの過保護な保護者としか思えない。
「それに僕は特別寮で観察できるから必要ないし……と。いや、まあ、その、聖獣の皆様に変にストレスを与えてはいけないと思うからね!」
「はあ」
今、本音が漏れてたよね?
確かにニール先生はわざわざそんな場を設ける必要がないもんねぇ。
私たちがジトっとニール先生を見つめると、先生は慌てたように続けた。
「あの、ほら、本当は君たちの周囲の環境がもう少し落ちついてからのほうが聖獣の皆様の負担も減ると思ったからね! そう説明もしたんだよ⁉︎」
「負担……ですか?」
セイが聞き返すとどうやらごまかせたみたいだとホッとした様子で答えた。
「そう、君たちまだクラス分けされていないだろう? クラス分け後のほうが人間関係がある程度固定されるだろうから聖獣様たちの警戒対象も定まる分、楽になるんじゃないかと思ってね」
「警戒対象……?」
どういうこと?
「うん。君たちは特別クラス……通称Sクラスに振り分けられるのが決まってるからね。Sクラスは成績優秀な生徒揃いだ。聞き分けのいい子ばかりだろうから、変に好奇心でいっぱいの下位の生徒の中にいるよりは過ごしやすいと思うよ?」
「えっ? Sクラス?」
なにそれ。特別クラス?
「そうだよ。先日行った適正検査や筆記試験で優秀な成績を納めた生徒ばかりさ。他のクラスと比べて生徒数が少ないから警戒対象が少ない分、聖獣の皆様も気が楽じゃないかな?」
いやいやいや。それって魔力豊富で成績優秀な子たちばかりってことよね?
普通の生徒より攻撃力だって高めかもしれないじゃない。むしろ警戒度数引き上げられるやつじゃないの⁉︎
「ああ、そうそう。君たちの友人の……えーと、マ……マリ……なんだっけ? 彼女もSクラスだよ。よかったね」
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「マリエルさんが、同じクラス……」
「あ、そうそう。マリエル嬢だ。彼女もいる分君たちも楽しく過ごせるから聖獣の皆様も喜ぶだろうからね」
や、やったー! マリエルちゃんとセイが同じクラスだなんて!
ぼっち回避だやったー!
「ありがとうございます! それじゃ失礼しま……」
部屋に戻って皆に教えなきゃ!
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「ありがとうございます。それはそれとして、お披露目のことですが……」
あ、そうだった。嬉しさのあまりすっかり忘れるとこだった。
セイが白虎様たちの要望を伝えると、ニール先生はうーん……と考え込んでしまった。
「校内を自由に動けるというのは構わないと思うけど……さすがに、お咎めなしっていうのはどうかなぁ……僕としては問題ないけど、学園長や他の教師たちが何て言うかな」
……ニール先生はいいんだ⁉︎
「明日、学園長に確認してみるよ。聖獣の皆様からしてみれば当然のことだしね」
ニール先生はあくまでも聖獣のために動くつもりのようで、今後の対応について学園長や教師たちと協議してくれることになった。
「……よろしくお願いします」
セイはスッと綺麗な礼をしてから自室に戻っていった。
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