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寮に戻りましょう!
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出入り口の混雑を避けるため、私たちはゆっくりと荷物をまとめてから講堂を出た。
授業が終わった開放感ではしゃぐ生徒たちがそのまま足早に食堂のあるサロン棟へ入っていくのを横目で見ながら、私たちは特別寮に向かった。
「ねぇマリエルさん、今更だけど食堂に行かなくてもよかったの? 食事はいらないと連絡したほうが……」
「昼食は食堂で摂る決まりじゃないから大丈夫ですよ。学園内にはカフェテラスが点在していて、そこで軽食をいただく方もいらっしゃいますし。基本的に朝晩は食堂で摂る決まりですけど、昼食に限ってはサロン棟に持ち込むのだって許可されてますから」
「え、そうなの?」
「ええ。貴族の館で働きたい平民の生徒が、給仕のマナーについて自主練習をしたいと学園に希望を出して許可されたのが始まりらしいですけど。マナーの自主練習とか色々理由をつけておけば貴族でも大丈夫みたいです」
ふむ、生徒の自主性にまかせているけれど、それを逆手にとってランチ会したりする生徒もいるってことかしら。
「実際、資格試験前は平民の生徒がサロン棟のメイドに教わりながら特訓しているそうですよ。平民の上級生が下級生にそうやってアドバイスしていると聞きました」
「へえ、それはいいことね」
講義の時のように、平民は貴族と違って卒業後の生活がかかっているからか、真剣さが違うよね。
低位だったり、跡取りではない貴族の子も婿入り先が決まらなければ就職しなくちゃいけないから、自分の将来を見据えて真面目に勉強に取り組む子が多いみたい。
そういえば、私の侍女であるミリアの実家は子爵家なのだけれど、八人姉妹+弟一人の間に生まれた彼女は婚約者が決まらなかったこともあり、学園卒業後、我が家に就職したのだと聞いたわ。
そして高位貴族の場合はというと、ほとんどの子が入学前に家庭教師をつけているからか、すでに理解している内容のようで、余裕というか、舐めてかかっている節があり、授業態度もあまり良いとは言えなかった。
そのせいか、入学時に高成績だった高位貴族が、卒業前には中位~低位貴族の子に成績を抜かれてしまう、なんてことがあるみたいなのよね。
……私も気を抜かないよう気をつけなくちゃ。
「クリステア様、私も練習が必要になったら教えてくださいね? 私、マナーとかまだ慣れてなくて……」
マリエルちゃんがえへへ、と照れ笑いしながら言った。
か、かわいい……!
「もちろんよ! まかせてちょうだい!」
スポ根ばりの厳しさに定評のあるレティア先生仕込みのマナーを伝授するから!
私がふんす! と決意している横でマリエルちゃんがぶるっと震えた。
「あらマリエルさん、どうしたの?」
「え? いえあの、ちょっと寒気がして」
マリエルちゃんは二の腕をさすりながら答えた。もうすっかり春の陽気で暖かいのに?
「まあ……風邪の引き始めかしら? 昼食は温まるものにしましょうね」
「……! じゃあとん……じゃない、オーク汁がいただきたいです!」
「ええいいわよ。まだストックがあるからそれを出しましょう」
「やったー! ありがとうございます! さ、急いで寮に行きましょう!」
マリエルちゃんが今にもスキップしそうな勢いで私の手を引いた。
あれ? 元気そうじゃないの。
風邪ひいたんじゃないならいいけど……
「マリエルさん、あんまり急ぐと転ぶわよ」
「え~? 大丈夫ですよ~! うぉっとぉ!」
マリエルちゃんは石畳みにつまづいてつんのめったところを間一髪で踏みとどまった。
もう、言わんこっちゃない。
転んで怪我しなくてよかったけれど、「うおっとぉ!」は貴族の令嬢らしくないわよ?
隣にいたセイは咄嗟に助けようとしたものの、奇声を上げて踏みとどまったマリエルちゃんをぽかんと見つめていた。
「あ、あはは……」
笑ってごまかそうとするマリエルちゃんからそっと目をそらして見なかったふりをするセイは紳士だと思うわ。
「マリエルさん、オーク汁は逃げないからゆっくり行きましょうね?」
「は……はーい」
私がにっこり笑って釘を刺すと、マリエルちゃんが小さくなった。
「……ふっ、くく」
セイ……笑いをこらえきれてないわよ?
それに、いっそ笑い飛ばしてあげたほうがマリエルちゃんのダメージが少ないと思うわ。
「……くっ、いっそ殺せ……」
マリエルちゃんが赤くなりながら私にしか聞こえないくらいの小さな声でボソッつぶやいた。
くっころさんか!
マリエルちゃんってば、美少女なのにちょっと残念なところがあるよね。
私も前世ではオタクだったから、照れ隠しにネタを挟みたくなる気持ちはわからなくもないけど、貴族令嬢なんだからちょっと抑えよう?
私はマリエルちゃんの肩をポンポンと叩いてそっと励ましたのだった。
寮に戻ると、ちょうどミリアが階段を降りてきたところだった。
「おかえりなさいませ、クリステア様」
「ただいま、ミリア。これから皆で昼食をいただくわ。悪いけれど、これを部屋に置いてきてくれるかしら」
私は持っていた荷物をミリアに手渡した。
「かしこまりました」
「お願いね。そうだ、真白や黒銀は大人しく留守番していたかしら?」
朝あれだけごねていた二人が出迎えにこないなんて不思議だわ。
「お二人でしたら、白虎様と一緒に狩りへ出かけられましたが……」
「「えっ?」」
私とセイの驚きがシンクロした。
狩りって、外に出ちゃったってこと?
「ジッと待ってるだけは性に合わないだろうから発散させてやる、護りは朱雀だけで大丈夫だろうと白虎様がおっしゃって……」
「あいつめ……すまん、クリステア嬢。トラが余計なことを」
セイがハァ、とため息をつきつつ謝罪してきた。
「いえ、こちらこそ二人が落ち着かないせいで白虎様に気をつかわせてしまって……」
「俺が何だって?」
「ふぎゃっ⁉︎」
「ふぎゃって……きゃあ、とかもうちょっと令嬢らしい驚き方があるだろが」
白虎様が呆れた様子で私を見た。
「おい、白虎の。おぬしが主を驚かせたのが悪いのだろうが!」
「そうだよ! くりすてあにあやまれ!」
「へいへい、俺が悪うござんしたね」
うう……油断してた。くうぅ、白虎様めぇ……
横でセイとマリエルちゃんが一生懸命笑いをこらえていた。
くっ、いっそ殺せ!
---------------------------
ミリアの家庭についてのエピソードは、文庫版一巻の巻末書き下ろしに掲載されております。気になる方は文庫版一巻をチェックしてみてくださいね。
そして! コミカライズ版「転生令嬢は庶民の味に飢えている」2巻がついに先週末発売されました!
巻末の書き下ろし漫画に、原作ではイラスト化されていなかった人たちが登場しております!豪華メンバーです!
要チェックですよ~!( ´ ▽ ` )
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「え、そうなの?」
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「へえ、それはいいことね」
講義の時のように、平民は貴族と違って卒業後の生活がかかっているからか、真剣さが違うよね。
低位だったり、跡取りではない貴族の子も婿入り先が決まらなければ就職しなくちゃいけないから、自分の将来を見据えて真面目に勉強に取り組む子が多いみたい。
そういえば、私の侍女であるミリアの実家は子爵家なのだけれど、八人姉妹+弟一人の間に生まれた彼女は婚約者が決まらなかったこともあり、学園卒業後、我が家に就職したのだと聞いたわ。
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そのせいか、入学時に高成績だった高位貴族が、卒業前には中位~低位貴族の子に成績を抜かれてしまう、なんてことがあるみたいなのよね。
……私も気を抜かないよう気をつけなくちゃ。
「クリステア様、私も練習が必要になったら教えてくださいね? 私、マナーとかまだ慣れてなくて……」
マリエルちゃんがえへへ、と照れ笑いしながら言った。
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「……ふっ、くく」
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「あいつめ……すまん、クリステア嬢。トラが余計なことを」
セイがハァ、とため息をつきつつ謝罪してきた。
「いえ、こちらこそ二人が落ち着かないせいで白虎様に気をつかわせてしまって……」
「俺が何だって?」
「ふぎゃっ⁉︎」
「ふぎゃって……きゃあ、とかもうちょっと令嬢らしい驚き方があるだろが」
白虎様が呆れた様子で私を見た。
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「へいへい、俺が悪うござんしたね」
うう……油断してた。くうぅ、白虎様めぇ……
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