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下処理の続き
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解体を終えた私達は、ひとまずソーセージ以外の内臓料理を作ろうと調理場に向かった。
「シン、ミルクはあるかしら?」
「あ? ミルクなら確か冷蔵室にまだあったと思うが……」
「じゃあ、ミルクを持ってきてくれるかしら?」
シンが冷蔵室に向かっている間に、私はインベントリからお目当ての内臓を取り出し、食べやすいサイズにカットしてから大きめのボウルに入れ、シンに渡した。
「これが浸るくらいミルクを入れて欲しいの」
「……は? おいこれ、さっきの内臓だろ⁉︎ 内臓にミルクって、どんなゲテモノ料理を作る気だよ⁉︎」
「ゲテモノ料理だなんて失礼ね。ミルクはもったいないけれど下処理に使うだけよ」
シンは内臓とミルクという組み合わせにギョッとしているけれど、臭みを取るにはこれが手っ取り早いのだ。
そう、私が今回使うのは肝臓……レバーだ。
前世ではレバーの臭みを取るのに私は牛乳を使っていた。
よく洗って水気を取り、食べやすいサイズにカットしたものを牛乳に20~30分も浸しておく。そうすると臭みも抜け食べやすくなるのだ。
私はその経験から、オークレバーにも応用してみることにした。
うまくいきますように……
「下処理にミルクを使うなんてもったいねぇだろ……ほら、こんなもんでいいか?」
シンはブツブツ言いながらもボウルにミルクを注いでくれた。
「ありがとう! これはこのまましばらく浸しておくとして……と」
これで下処理は大丈夫ね。さてと、これで何を作ろうかな。
一番に思いつくのはレバニラ炒めだよねぇ。でも臭いがキツイから、お父様はよくてもお母様が食べられないかもしれない。うーん、レバーは鉄分が豊富だから女性にこそしっかり食べてもらいたいし……
甘辛煮もいいけど、甘辛煮なら鳥レバーの方が私としては好みなのよね。また今度にしよう。あとは……よし、あれにしよう。
そうと決まれば善は急げとばかりに、私は準備にとりかかるのだった。
「さてと、まずは漬け込みダレを作ろうかな」
醤油、料理酒代わりのヤハトゥール酒、みりんにすりおろした生姜とにんにくをちょっぴり入れて混ぜ合わせる。
下処理の終わったレバーを取り出し、ミルクを清潔なふきんで拭き取り、漬け込みダレに入れて軽く混ぜ合わせてから冷蔵室に入れ少しの間漬け込む。うーん、15分くらいでいいかな?
ミルクに浸して下処理した内臓は、特に腐敗することなく、前世で見たレバーそのものだったわ。
黒銀に念のため鑑定してもらったんだけど、食べるのに問題はなさそうだったのでひと安心。
「よし、次は……これね!」
私は精米済みの米を出してもらい、それを粉々にするイメージを込めて魔法で粉砕した。
初めて魔法で精米しようとした時に、力加減やどうしたらいいのかわからず、思いっきり粉砕してしまったのだけれど、今やその失敗は餅つきの餅取り粉や米粉を作るのに活かされている。失敗してもこうして他のことに活かせれば失敗も悪くないよね。
精米にしても、ご飯の美味しさに目覚めた皆の協力で私が精米しなくてもよくなったので楽になった。とはいえ、精米はなんだかんだで面倒な作業ではあるので、ガルバノおじさまにお願いしてどうにか精米機を開発しないといけないわね……
本当は、おじさまの知り合いだという魔道具師さんにも協力をお願いできたらいいのだけれど、ティリエさんから「クリステアちゃんはあの魔道具狂いには近づかない方がいいわね」と忠告を受けたのでガルバノおじさまにお願いするしかなさそうだ。
その上で魔道具師さんに依頼する分には問題ないだろうし。
考え事をしつつもでは休むことなく粉砕した米をゴリゴリとすりこぎでさらに細かな粉にしていく。
そうしてできた米粉を漬け込み終わったレバーにまぶして油で揚げる。
フライパンみたいな底の浅いもので揚げれば油の使う量が少なくてすむのでオススメだ。
あとは、付け合わせの野菜や、お味噌汁なんかを作って、と。
「よし、完成ね!」
豚レバーの竜田揚げの完成!
米粉じゃなくて片栗粉でいいんだけど、ここでは片栗粉がバステア商会で漸く取り扱い始めただけで手に入りにくいのと、米粉でもカラッと揚がって美味しいので米粉で代用。これに炒ったゴマをパラリとかけると香ばしさが増して私は好きなんだよね。
ふふ、美味しくできたかな?
「シン、ミルクはあるかしら?」
「あ? ミルクなら確か冷蔵室にまだあったと思うが……」
「じゃあ、ミルクを持ってきてくれるかしら?」
シンが冷蔵室に向かっている間に、私はインベントリからお目当ての内臓を取り出し、食べやすいサイズにカットしてから大きめのボウルに入れ、シンに渡した。
「これが浸るくらいミルクを入れて欲しいの」
「……は? おいこれ、さっきの内臓だろ⁉︎ 内臓にミルクって、どんなゲテモノ料理を作る気だよ⁉︎」
「ゲテモノ料理だなんて失礼ね。ミルクはもったいないけれど下処理に使うだけよ」
シンは内臓とミルクという組み合わせにギョッとしているけれど、臭みを取るにはこれが手っ取り早いのだ。
そう、私が今回使うのは肝臓……レバーだ。
前世ではレバーの臭みを取るのに私は牛乳を使っていた。
よく洗って水気を取り、食べやすいサイズにカットしたものを牛乳に20~30分も浸しておく。そうすると臭みも抜け食べやすくなるのだ。
私はその経験から、オークレバーにも応用してみることにした。
うまくいきますように……
「下処理にミルクを使うなんてもったいねぇだろ……ほら、こんなもんでいいか?」
シンはブツブツ言いながらもボウルにミルクを注いでくれた。
「ありがとう! これはこのまましばらく浸しておくとして……と」
これで下処理は大丈夫ね。さてと、これで何を作ろうかな。
一番に思いつくのはレバニラ炒めだよねぇ。でも臭いがキツイから、お父様はよくてもお母様が食べられないかもしれない。うーん、レバーは鉄分が豊富だから女性にこそしっかり食べてもらいたいし……
甘辛煮もいいけど、甘辛煮なら鳥レバーの方が私としては好みなのよね。また今度にしよう。あとは……よし、あれにしよう。
そうと決まれば善は急げとばかりに、私は準備にとりかかるのだった。
「さてと、まずは漬け込みダレを作ろうかな」
醤油、料理酒代わりのヤハトゥール酒、みりんにすりおろした生姜とにんにくをちょっぴり入れて混ぜ合わせる。
下処理の終わったレバーを取り出し、ミルクを清潔なふきんで拭き取り、漬け込みダレに入れて軽く混ぜ合わせてから冷蔵室に入れ少しの間漬け込む。うーん、15分くらいでいいかな?
ミルクに浸して下処理した内臓は、特に腐敗することなく、前世で見たレバーそのものだったわ。
黒銀に念のため鑑定してもらったんだけど、食べるのに問題はなさそうだったのでひと安心。
「よし、次は……これね!」
私は精米済みの米を出してもらい、それを粉々にするイメージを込めて魔法で粉砕した。
初めて魔法で精米しようとした時に、力加減やどうしたらいいのかわからず、思いっきり粉砕してしまったのだけれど、今やその失敗は餅つきの餅取り粉や米粉を作るのに活かされている。失敗してもこうして他のことに活かせれば失敗も悪くないよね。
精米にしても、ご飯の美味しさに目覚めた皆の協力で私が精米しなくてもよくなったので楽になった。とはいえ、精米はなんだかんだで面倒な作業ではあるので、ガルバノおじさまにお願いしてどうにか精米機を開発しないといけないわね……
本当は、おじさまの知り合いだという魔道具師さんにも協力をお願いできたらいいのだけれど、ティリエさんから「クリステアちゃんはあの魔道具狂いには近づかない方がいいわね」と忠告を受けたのでガルバノおじさまにお願いするしかなさそうだ。
その上で魔道具師さんに依頼する分には問題ないだろうし。
考え事をしつつもでは休むことなく粉砕した米をゴリゴリとすりこぎでさらに細かな粉にしていく。
そうしてできた米粉を漬け込み終わったレバーにまぶして油で揚げる。
フライパンみたいな底の浅いもので揚げれば油の使う量が少なくてすむのでオススメだ。
あとは、付け合わせの野菜や、お味噌汁なんかを作って、と。
「よし、完成ね!」
豚レバーの竜田揚げの完成!
米粉じゃなくて片栗粉でいいんだけど、ここでは片栗粉がバステア商会で漸く取り扱い始めただけで手に入りにくいのと、米粉でもカラッと揚がって美味しいので米粉で代用。これに炒ったゴマをパラリとかけると香ばしさが増して私は好きなんだよね。
ふふ、美味しくできたかな?
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