107 / 386
連載
バレてーら……
しおりを挟む
レオン様にオークを殲滅したことがバレているだなんて……いったいどうして⁉︎
動揺を隠せない私を余所に、黒銀は憮然として答える。
「ドーリスだか何だか知らぬが、ここより西の地でオークどもを蹴散らしたのは間違いないな」
ちょっ、黒銀ったら、あっさり答えてどうするのよおぉ⁉︎
「あー……やっぱりか。最近ドーリス領を通ってきた商隊や冒険者どもからオークが増えてきたからって聞いてたし、そろそろどうにかしなきゃなって思ってたんだよ。それなのに、今朝方オークの気配がすっかり消えちまっただろぉ? 気になって転移してみりゃあ、殲滅された後ときた」
うあー……そりゃそうだよね。
集落ができるくらいだから目撃情報もあるだろうし、調査しようって話にもなるよ……
前回もその前に殲滅しちゃったんだっけ。
「そこにフェンリルの……」
「黒銀だと言うておろうが」
「……黒銀の魔力の気配が残ってたんでな。一応確認に来たってわけだ」
黒銀さんや、今呼び名を気にしてる場合じゃないからね⁉︎ 空気読もう?
「先程言ったとおり、我がオークを殲滅したのは間違いない。わかったなら疾く去るがよい」
黒銀は、シッシッと言わんばかりにレオン様を帰そうとする。
ちょっとおおぉ? 黒銀さん⁉︎ そういう態度は良くないぞ!
「ったく、取りつく島もねぇなぁ。お前がやったってのはハナからわかってんだ」
レオン様は苦笑すると、スッと笑みを消して黒銀に鋭い目線を向けた。
「なんで、わざわざ他領まで行った? お前ほど強大な力の持ち主が大暴れしたら、悪目立ちするだろうが」
「……オークを確実に手に入れようと思ってな。いそうなところにアテがあったから行ってみれば、たまたま群れに当たったから殲滅せねばと思ったまでのこと」
「お前なぁ……オークの集落なんてぇのはそんな簡単に無くなりも逃げたりしやしねぇんだから、ちょこーっとだけ狩って帰りゃいいだろうが。要はやりすぎなんだよ」
レオン様は頭をガリガリと掻きながら、はぁ……とため息をついた。
うぅ、レオン様の言うことが正論すぎて……
「レオン様、申し訳ございません。私が黒銀にオークを獲ってくるように頼んだのです」
「ああ。そうだろう。コイツがここまで度が過ぎたことをやるとしたら、契約者のためとしか思えないからな」
「本当に申し訳ございません……」
「主! 我が勝手にしたことで主が此奴に謝罪する必要などない!」
「馬鹿野郎! 聖獣契約舐めんな。お前はただ主人たるお嬢を独占するための手段と思ってるのかもしれんが、人間がお前のような強大な力を持つ聖獣と契約するってのは重い責任を伴うんだよ! 主人を大事にしたいならちったあ考えろ!」
「ひっ!」
レオン様が黒銀に向けて怒鳴った時の迫力に恐怖を覚えた私は、思わず悲鳴をあげてしまった。
「! 主に手出しは許さんぞ!」
「くりすてあを、こわがらせるやつは、ゆるさない!」
威圧に怯える私を庇うように黒銀と真白が私の前に立った。
「レオン様、娘は威圧に慣れていないのだ、抑えてはくれまいか?」
お父様が二人を制するように立ち塞がりそう言うと、レオン様が決まり悪そうな表情になった。
その途端、締め付けるような恐怖感が消え去った。
……今のが、威圧……?
め、めめめめーっちゃ怖かった……!
ちびらなくて良かった!
乙女の尊厳は守られた……!
「……あー、すまん。お嬢を怖がらせるつもりはなかった」
「い、いえ。こちらが悪いのですから……」
「お嬢、聖獣と契約するってことの責任の重さやリスクってのは承知してるな?」
「は、はい……」
……多分。まだまだ至らない点はあると思うから、ちゃんと勉強しなきゃ。
私がしっかりしないと、皆に迷惑をかけるってことが今回のことで重々見に染みたよ……
---------------------------
漫画「転生令嬢は庶民の味に飢えている」第3話は、10月10日(木)更新です!
是非読んでくださいませ~!
動揺を隠せない私を余所に、黒銀は憮然として答える。
「ドーリスだか何だか知らぬが、ここより西の地でオークどもを蹴散らしたのは間違いないな」
ちょっ、黒銀ったら、あっさり答えてどうするのよおぉ⁉︎
「あー……やっぱりか。最近ドーリス領を通ってきた商隊や冒険者どもからオークが増えてきたからって聞いてたし、そろそろどうにかしなきゃなって思ってたんだよ。それなのに、今朝方オークの気配がすっかり消えちまっただろぉ? 気になって転移してみりゃあ、殲滅された後ときた」
うあー……そりゃそうだよね。
集落ができるくらいだから目撃情報もあるだろうし、調査しようって話にもなるよ……
前回もその前に殲滅しちゃったんだっけ。
「そこにフェンリルの……」
「黒銀だと言うておろうが」
「……黒銀の魔力の気配が残ってたんでな。一応確認に来たってわけだ」
黒銀さんや、今呼び名を気にしてる場合じゃないからね⁉︎ 空気読もう?
「先程言ったとおり、我がオークを殲滅したのは間違いない。わかったなら疾く去るがよい」
黒銀は、シッシッと言わんばかりにレオン様を帰そうとする。
ちょっとおおぉ? 黒銀さん⁉︎ そういう態度は良くないぞ!
「ったく、取りつく島もねぇなぁ。お前がやったってのはハナからわかってんだ」
レオン様は苦笑すると、スッと笑みを消して黒銀に鋭い目線を向けた。
「なんで、わざわざ他領まで行った? お前ほど強大な力の持ち主が大暴れしたら、悪目立ちするだろうが」
「……オークを確実に手に入れようと思ってな。いそうなところにアテがあったから行ってみれば、たまたま群れに当たったから殲滅せねばと思ったまでのこと」
「お前なぁ……オークの集落なんてぇのはそんな簡単に無くなりも逃げたりしやしねぇんだから、ちょこーっとだけ狩って帰りゃいいだろうが。要はやりすぎなんだよ」
レオン様は頭をガリガリと掻きながら、はぁ……とため息をついた。
うぅ、レオン様の言うことが正論すぎて……
「レオン様、申し訳ございません。私が黒銀にオークを獲ってくるように頼んだのです」
「ああ。そうだろう。コイツがここまで度が過ぎたことをやるとしたら、契約者のためとしか思えないからな」
「本当に申し訳ございません……」
「主! 我が勝手にしたことで主が此奴に謝罪する必要などない!」
「馬鹿野郎! 聖獣契約舐めんな。お前はただ主人たるお嬢を独占するための手段と思ってるのかもしれんが、人間がお前のような強大な力を持つ聖獣と契約するってのは重い責任を伴うんだよ! 主人を大事にしたいならちったあ考えろ!」
「ひっ!」
レオン様が黒銀に向けて怒鳴った時の迫力に恐怖を覚えた私は、思わず悲鳴をあげてしまった。
「! 主に手出しは許さんぞ!」
「くりすてあを、こわがらせるやつは、ゆるさない!」
威圧に怯える私を庇うように黒銀と真白が私の前に立った。
「レオン様、娘は威圧に慣れていないのだ、抑えてはくれまいか?」
お父様が二人を制するように立ち塞がりそう言うと、レオン様が決まり悪そうな表情になった。
その途端、締め付けるような恐怖感が消え去った。
……今のが、威圧……?
め、めめめめーっちゃ怖かった……!
ちびらなくて良かった!
乙女の尊厳は守られた……!
「……あー、すまん。お嬢を怖がらせるつもりはなかった」
「い、いえ。こちらが悪いのですから……」
「お嬢、聖獣と契約するってことの責任の重さやリスクってのは承知してるな?」
「は、はい……」
……多分。まだまだ至らない点はあると思うから、ちゃんと勉強しなきゃ。
私がしっかりしないと、皆に迷惑をかけるってことが今回のことで重々見に染みたよ……
---------------------------
漫画「転生令嬢は庶民の味に飢えている」第3話は、10月10日(木)更新です!
是非読んでくださいませ~!
153
お気に入りに追加
14,171
あなたにおすすめの小説


【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!
月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。
そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。
新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ――――
自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。
天啓です! と、アルムは――――
表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。
下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。
ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。
小説家になろう様でも投稿しています。

あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?

公爵令嬢はアホ係から卒業する
依智川ゆかり
ファンタジー
『エルメリア・バーンフラウト! お前との婚約を破棄すると、ここに宣言する!!」
婚約相手だったアルフォード王子からそんな宣言を受けたエルメリア。
そんな王子は、数日後バーンフラウト家にて、土下座を披露する事になる。
いや、婚約破棄自体はむしろ願ったり叶ったりだったんですが、あなた本当に分かってます?
何故、私があなたと婚約する事になったのか。そして、何故公爵令嬢である私が『アホ係』と呼ばれるようになったのか。
エルメリアはアルフォード王子……いや、アホ王子に話し始めた。
彼女が『アホ係』となった経緯を、嘘偽りなく。
*『小説家になろう』でも公開しています。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。