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㈦ユメスケ
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八月の終わりの朝。猫ひげ堂の門前を掃き清めつつ、ゴンタは手首で目をこすった。夏休み、本当は眠っていたい。けれど、オサカベとの約束だった。あの偏屈なじいさんの信頼を損ねるのが、ゴンタはどうしても嫌だった。帚で塵や砂利を塵とりに集め、店の裏のポリバケツへ捨てた。通りに打ち水し、トイレを掃除し、勘定台や座敷や格子戸を雑巾ですみからすみまで磨く。そうすると、もう開店時刻の九時だ。秋と書かれた札を、ゴンタは表がえした。春夏冬中。
客はめったに来なかったが、ゴンタは暇ではなかった。見世の間の掃除、道具の手入れ、品物の修繕や整頓。いったい、この狭い店のどこに、こんなに仕事があるのだろう。ゴンタは書棚から本を抜いて、新聞紙を敷いた床に積んだ。一冊数回ずつぱらぱらとまくって、すべてのページを空気にさらす。こうすると本に虫がつきにくくなるのだ。これが何百冊だ。
「タイキ。古本はやさしくあつかえ。それはもう出回ってないんだぞ」
しかも、オサカベのじいさんは厳しかった。ちょっとでも手を抜くと、すぐ見抜かれた。ゴンタは気の休まるときがなかった。朝昼のまかないと、たまのほうじ茶のサービスがなかったら、(もとは自分の蒔いた種とはいえ)とてもやっていられなかったろう。なんといってもタダ働きなのだ。
オサカベと二人がかりで、すべての本の虫干しを終えたころには、ゴンタは手が痛くなっていた。軒先で黒猫の夜叉を腕にオサカベはいう。
「もう始業式だな。あすからは夕方だけでいいぞ」
ありがたいお言葉に、ゴンタはほっとした。これからぐっと楽になる。
「何時に来ればいい?」
「学校が終わるのが二時すぎだろう。三時には顔をだしなさい」
「わかった」うなずいてから、ゴンタは思い至った。「あ、でも、火曜日と金曜日は寄るところが……」
「シュンスケか?」
オサカベはすぐに察した。ゴンタはうなずく。
「あいつがサボんなきゃ問題ないんだけど」
オサカベは神妙な顔つきをした。「シュンスケはサボっているわけではないんだ。人間、長い休みが必要なこともある」
「でも、もう一年半だよ。あれじゃシュンスケじゃなくて、ユメスケだ」
「おまえにまで責められたら、シュンスケは立つ瀬がないだろう」
わかっていた。でも、苛立たしい歯痒さを、ゴンタは抑えられなかった。倉田シュンスケともあろう者が、何をやってるんだ?
日の傾いた猫ひげ堂の庭、曼殊沙華の赤が秋風にそよいだ。
♂
金曜日の放課後、ゴンタは倉田宅の呼び鈴を押した。ぴいぃーん・ぽおぉーん、といやにまのびした音がして、ゴンタはため息をついた。二千何百回目かのため息だ。
シュンスケはでてこない。ゴンタは呼び鈴をしつこく鳴らした。十ぺん目くらいで、ドアのむこうに気配がした。
「せかさないでよ。いわれなくても帰るよ」
知っている女子の声に、ゴンタはめんくらった。ドアからでてきたのは、やっぱりコマネチ、小野カオリだった。梶原中の制服を着くずして、へたな化粧をしている。ゴンタをみて、小野は嘲った笑みを浮かべた。ゴンタはむっとして睨みかえした。小野は蜻蜓のようについっといなくなった。
ゴンタが玄関に入ると、シュンスケはふわっとあくびした。頬にかかるほどのざんばら髪と、くたびれたTシャツとジーンズ。そんな格好であっても、きっと、シュンスケは女の子からは魅力的に映るのだ。
「小野と何してたの?」
「しりとり」
シュンスケはまともに答える気がないようだ。ゴンタは苦にがしさを顔にださないよう努めたけれど、成功しているかはわからなかった。ゴンタは無言でクリアファイルをわたした。学校のプリント類だ。シュンスケはよくみもせず下駄箱に置いた。ゴンタはきく。
「あしたは学校いけそう?」
「行けたら行く」
返事はいつも同じだった。そして、朝になるとシュンスケは眠りこんで、午後にようやく目を覚ます。この一年半、ずっとそうだった。
「女と遊ぶ元気はあっても、学校は行けねえの?」
「使うエネルギーがちがう」
「教室で座って授業きいてるふりするだけじゃん」
「知らないやつばっかなんだもん」
「おれがいるだろ」
「同じ教室、同じ机、同じ制服。気持ち悪くない?」
「気持ち悪くない」
「ゴンタはふつうだからな」
シュンスケは大人のように苦笑した。ゴンタは吐き捨てた。
「どうせ、おれは凡人だよ」
「なに怒ってんの。ほめてんじゃん」
赤茶の目が、困った瞬きをした。ゴンタはため息をついて、ドアノブに手をかけた。
「また、火曜に来るから」
うしろ手にドアをしめた。シュンスケは何も答えなかった。
🐈⬛
涼風の吹きだまる、猫ひげ堂の見世の間に先客ふたり。和泉と万葉がチェス盤をはさんでいる。万葉の白のクイーンが和泉の黒のキングを追いつめていた。水色のランドセルを肘かけに、万葉は不敵に笑っている。有名中高一貫校の詰襟をゆるめて、和泉はほほえんだ。
「まいっちゃうよ。万葉ちゃん手かげんしてくれないんだもん」
ゴンタも笑った。レディーファーストの和泉のことだから、実力の七割ほどで相手してやっているのだろう。それを知ったら、万葉は怒って泣くにちがいないけれど……。
見世の間にひらりと舞いこむ影。燕尾蝶は奥行を測るように座敷を一周した。勘定台の夜叉は追いかけこそしなかったが、蝶をみつめてしっぽを震わせた。燕尾蝶は万葉の前髪にとまった。万葉は大きな目をまん丸くして、息を飲んでいる。和泉が声をひそめた。
「すごいね、髪飾りみたいだ」
「こわい、とって」
万葉は泣きそうな顔。ゴンタは蝶に手をのばした。蝶はひらりとかわして、こんどはゴンタの顔へ迫った。ゴンタは逃げたけれど、蝶は鼻にしがみついた。手先を振っても、動じなかった。ゴンタは途方に暮れた。和泉と万葉は大笑いした。
「そういえば、オサカベさんの提灯も揚羽蝶だね」
和泉が云った。勘定台のうえの提灯、コミカルに図案化された蝶。蝶は生まれ変わりと不死のシンボルだと、いつかオサカベは語った。ゴンタは万葉にいう。
「蝶は魂の化身だから、いじめちゃダメなんだ。これも誰かの魂かも」
「知ってる。ギリシア神話で、魂って意味でプシュケーって名前の、チョウチョの羽を生やした女神がいたんでしょう」
万葉は得意そうに云った。ゴンタは肯いた。
「そう、psychēは今では精神って意味だけど、もともとは魂と蝶って二重の意味があった。動詞だと息を吐くって意味で、吐きだされた魂が蝶になるって思想が古代ギリシアの人々にあったんだね。古代中国にも、死者の魂が蝶になるって迷信があってね。荘子も『斉物論』に、胡蝶の夢って説話を書いてて……」
「ゴンタくんの話、長いから、もういい」
万葉はそっぽを向いた。和泉は笑った。六つも下の子に軽んじられて、ゴンタはおもしろくなかった。万葉はケータイ電話をとりだし、メールボックスをひらいて、表情を華やがせた。
「あ、シュン兄から来てた」
「シュンスケぇ?」
つい、すっとんきょうな声をゴンタはあげた。二人がメールをやりとりしているなんて初耳だった。ゴンタはケータイを持っていない。高校に合格したら買ってやると両親は譲らなかった。
「あいつ、不良だぞ」
「でも、やさしいもん。ゴンタくんにはカンケーないでしょ」
万葉は画面を隠した。ゴンタは口に苦いものがこみあげるのを感じた。五歳のころから、万葉はシュンスケを慕っていた。万葉のランドセルが赤系ではなく水色なのも、シュンスケの影響だ。もし万葉が好いているのが和泉だったら、ゴンタは素直に応援できた。お坊ちゃんとお嬢さま。お似あいだ。でも、あのトラブルメーカー=シュンスケが相手だと思うと……ゴンタはむしゃくしゃしながら勘定台の雑巾がけをした。鼻の燕尾蝶は、いまだ動かなかった。
ほうじ茶をいれながら、オサカベは口をゆがめた。
「おまえの鼻は、よほどいいにおいがするんだろうな」
「塩分があるからかな。それにしたって変だよ、この蝶」
オサカベはゴンタの鼻の高さに身をかがめて、燕尾蝶にささやいた。
「長居しすぎると、帰れなくなるぞ。早く戻れ」
言葉を理解したかのように、蝶は急に離れた。しばし見世の間をふらふら舞っていたが、やがて間口からでていった。
🐈⬛
仕事帰りの宵、ゴンタは仙雲寺を訪ねた。仏間から読経の声と木魚の音。ゴンタは邪魔しないよう、静かに戸をあけて、二十畳のすみに正座して待った。小さな木魚と大きなお鈴、漆塗りの経机に真鍮の花。対の置灯籠のほの明かり、祭壇の左手はずらりと位牌で埋まり、右手も埋まりつつあった。つるりと光る頭。大正生まれの二十二代目住持は読経を終え、僧衣の袖を振ってゴンタに向きなおった。
「おや、悩んどる顔やな」
「和尚さんは、恋をしたことありますか?」
住持は懐から紙煙草を咥えて、マッチで火をつけた。「そら、もちろん」
「お坊さんなのに?」
わはは、と住持は煙を吐いて笑った。「ハナから坊主ちゃう。わては恋多き男やったぞ」
「モテたんですか?」
住持は舌をだした。「惚れっぽかっただけや。愛の告白なんぞいっぺんもされたことあらへん。告白はいつもするほうやった」
「ずっとまえから、好きな子がいるんです。けど、その子はシュンスケが好きみたいで。でも、シュンスケはほかにつきあってる子がいて。シュンスケってバレンタインチョコいつも一、二コはもらうんです。ぼくはチョコもらったことないんですよ。ぼくってつまんない人間なのかなって気がしてきて」
「切実やな。モテるモテへんは、走りの速いトロいとおんなじや。生まれつき、ある程度決まっとる」
ゴンタは心底がっかりした。住持はほほえんで、煙草の灰を灰皿に落とした。
「けど、人生は長い。長い時間のなかで、モテるモテへんは小さいこっちゃ。それよりも、おのれと馬の合う、長く一緒におられる相手がみつかるかどうかのほうが大事やがな。そないに悲観することあらへん。おまえの人となりをみて、好いてくれる子ぉはおるよ」
「そう……だといいんですけど。なんか、そんなつまんないことで悩んでる自分も情けなくて」
「タイキはおのれを客観視でけとるんやな。そら大事なことや。悩みや欲望ちゅうのんを、わてらの世界では煩悩いうんやけど、生きとるかぎり、煩悩はどうしても起こる。それをなるべく少のぅして、苦しみを減らそうっちゅうんが、仏の教えやな。いわば客観視は、その最初の一歩やね。誰に教えられずとも、それがでける。たいしたもんやで。オサカベがみこんだだけのことはある」
「そうでしょうか」
「わてがひとつだけ、あんさんにいえることがあるとしたら」
「あるとすれば?」
「世の中の半分は女や、いうこっちゃ」
ゴンタは座布団のうえでずっこけそうになった。住持は煙を吐いて、呵々大笑した。
🐈⬛
火曜日の放課後、ゴンタは倉田宅の呼び鈴を押した。ぴいぃーん・ぽおぉーん、といやにまのびした音がして、ゴンタはため息をついた。
シュンスケはすぐにでてきた。伸びきった黒のTシャツ。シュンスケはゴンタの目をみなかった。いぶかしく思いつつも、ゴンタはクリアファイルをわたした。シュンスケはよくみもせず下駄箱に置いた。ゴンタはいう。
「おまえさ、万葉ちゃんと、いつからメールしてんの?」
「えーっと、あいつが小学校あがってすぐ?」
そんなにまえから? ゴンタは出し抜かれた気分だった。
「おまえ、小野とつきあってんだよな」
「べつに、つきあってない。あいつ、もうかわいくないし」
シュンスケはあくびした。ゴンタはいう。
「そういうの、不誠実じゃないの?」
「ゴンタはまじめだな」
そっぽを向いたまま、シュンスケは苦笑した。ゴンタはむっとした。
「悪かったな」
「おれって不良?」
「え?」
「ゴンタ、いってたじゃん。あいつ不良だぞ、って万葉に」
どうしてシュンスケが知っているのか。立ちぎきでもしていたのか。けれど、そんな気配などしなかった。
「こんどから呼び鈴ならさなくていい。ポストにつっこんどいて」
「なんで」
「おれ、もうすぐ死ぬと思う」
シュンスケの声は、ゆうべのアニメの話でもするように軽かった。ゴンタは慎重にいう。
「なんで」
シュンスケは両手で蝶のかたちをつくって、ひらひらと動かした。
「すげえんだぜ、昆虫って。みえる光が、ぜんぜんちがう。人じゃみえない光までみえる」
「何をいってる?」
「あの蝶の体を借りたんだ。そうやって散歩するのが好きで。生身ででかけると、学校は? って大人にきかれるだろ。でも、やりすぎた。魂の糸が細くなっちゃってさ、そろそろ切れそうなんだ。だから、もう、来なくていいよ」
シュンスケは手ぶりで、頭から延びる糸を示した。こいつが、死ぬ? 思わず、ゴンタは怒鳴った。
「バカなことしてないで、学校来いよ!」
「ムダだよ。出席日数がたりない。受験できねえよ」
「なんでだよ。おまえはもっと強かったろ」
「おれもそう思ってたよ。でも、そうじゃなかった」
潤んだ赤茶の目。シュンスケは倒れこむみたいに、ゴンタを抱きしめた。大人になりかけの、しなやかな体。三十六度の熱。どうして、これが死ぬんだ? ゴンタはわからなかった。わかりたくもなかった。シュンスケはゴンタを抱いたままドアをあけて、おもてへ押しだした。シュンスケは悲しく笑った。
「みようとしなくてもみえるのに、みようとしてもみえないもの、なぁーんだ?」
ゴンタは答えられなかった。シュンスケはドアをしめた。
それから、どんなに呼び鈴を鳴らしても、シュンスケはもう顔をださなかった。
🐈⬛
猫ひげ堂でせわしく手を動かしながら、ゴンタはシュンスケのことを考えた。あいつが、死ぬかもしれない。けれど、どんなに考えても、シュンスケを救う手立ては浮かんでこなかった。だって、シュンスケは救われたがっていないのだ。
その日の仕事を終えて、ゴンタはいとまを告げようとした。オサカベは茶封筒を差しだした。
「ほら。きょうでひと月だ。真面目に、よく頑張ったな。今は生真面目や正直を悪くいう風潮があるが、おまえの実直さは、おまえの財産だ。それを忘れるな」
その封筒がお給料だと気づくまでに、ゴンタは時間がかかった。浮かない様子のゴンタに、オサカベはいう。
「シュンスケか」
目玉が熱くなってくるのを、ゴンタはおさえられなかった。ゴンタは小さな子みたいにわあわあ泣いた。両肩に、オサカベの骨ばった手が乗った。
「おまえは、どうしたいんだ? シュンスケに、どうなってほしいんだ?」
ゴンタは顔をあげた。きっと、涙と鼻水でぐちゃぐちゃだ。
「オサカベさんみたいになりたい。シュンスケに生きててほしい」
しゃくりあげるゴンタの頭をぽんとひと撫でして、じいさんは懐中時計をだした。オサカベの兄の物だ。
「兄が死ぬとき、私は何もできなかった。だが、シュンスケは、死なせない。死なせるもんか」
オサカベは時計の発条を巻いた。時計を手に、ゴンタは文字盤をみつめた。きゃしゃな秒針は刻一刻と確実に進んでいた。
🐈⬛
日曜日の夕方だった。権上宅のインターフォンが鳴った。モニターに映った顔に、ゴンタは玄関へ走りでた。
白いトレーナーを着たシュンスケは、落ちついてみえた。「おまえに、頼みがあってさ」
シュンスケの部屋は、すっきりと整頓されていた。正座したシュンスケの後頭部をゴンタはみおろして、その長い髪の毛に慎重に鋏を入れた。しゃき、しゃき、しゃき……ゆるい癖のある赤毛が、床の新聞紙に落ちる。
「おれに生きててほしいって、おまえが泣いてたって、オサカベのおっちゃんがいってて。おれもいろいろ考えたのな。仙雲寺の和尚さんいるべ、おっちゃんの友だちの。あの人が口きいてくれて、本山で修行できることになった」
「あそこ、ナニ宗だっけ?」
「臨済宗心妙寺派。正法山、京都だよ」
「ああ」
「わかる?」
「わかんね」
「おれも」
シュンスケは笑い声を立てた。ゴンタも笑った。
「山に入ったら連絡とれないし、何年も帰ってこれない」
「何年くらい?」
「さあな」
鋏を動かしながら、ゴンタは洟をすすった。
適度に髪の短くなった頭を、シュンスケは感触を確かめるふうに撫でた。
「あとは、あっちでカミソリ当ててもらう。ありがとうな」
ゴンタは驚いた。シュンスケが初めて礼を云った。ノック音。ドアの隙間から、シュンスケの母親がうなずいた。
ほんとうは、見送りは厳禁だった。修行はもう始まっているのだ。立ち会ったのは、オサカベとゴンタだけ。つるりと光る頭を撫でて、仙雲寺の住持は云う。
「雑念が晴れたようやな」
「はい」
笠に錫杖の行脚装束のシュンスケはニカッと前歯をみせた。そして、左手首から水晶の念珠を抜いてゴンタによこした。
「何も持っていけないんだ。おれが立派な坊さんになるまで、元気でいろよ」
二十五粒の水晶は、掌にひやりと冷たかった。ゴンタは両目に溜まった熱が決壊しないよう、黙ってうなずいた。シュンスケはいう。
「みようとしなくてもみえるのに、みようとしてもみえないもの、なぁーんだ?」
「夢だ」
ゴンタは答えた。シュンスケは寂しげに、だが晴れやかに笑った。
住持とシュンスケの錫杖の小環が寂々と鳴った。二人は振りかえらず、薄明の角を曲がってみえなくなった。秋の金鳳蝶がひらひらと、通りを横切った。ゴンタは念珠を握って、目を袖でこすった。オサカベの手が、ぽんと頭を撫でた。
客はめったに来なかったが、ゴンタは暇ではなかった。見世の間の掃除、道具の手入れ、品物の修繕や整頓。いったい、この狭い店のどこに、こんなに仕事があるのだろう。ゴンタは書棚から本を抜いて、新聞紙を敷いた床に積んだ。一冊数回ずつぱらぱらとまくって、すべてのページを空気にさらす。こうすると本に虫がつきにくくなるのだ。これが何百冊だ。
「タイキ。古本はやさしくあつかえ。それはもう出回ってないんだぞ」
しかも、オサカベのじいさんは厳しかった。ちょっとでも手を抜くと、すぐ見抜かれた。ゴンタは気の休まるときがなかった。朝昼のまかないと、たまのほうじ茶のサービスがなかったら、(もとは自分の蒔いた種とはいえ)とてもやっていられなかったろう。なんといってもタダ働きなのだ。
オサカベと二人がかりで、すべての本の虫干しを終えたころには、ゴンタは手が痛くなっていた。軒先で黒猫の夜叉を腕にオサカベはいう。
「もう始業式だな。あすからは夕方だけでいいぞ」
ありがたいお言葉に、ゴンタはほっとした。これからぐっと楽になる。
「何時に来ればいい?」
「学校が終わるのが二時すぎだろう。三時には顔をだしなさい」
「わかった」うなずいてから、ゴンタは思い至った。「あ、でも、火曜日と金曜日は寄るところが……」
「シュンスケか?」
オサカベはすぐに察した。ゴンタはうなずく。
「あいつがサボんなきゃ問題ないんだけど」
オサカベは神妙な顔つきをした。「シュンスケはサボっているわけではないんだ。人間、長い休みが必要なこともある」
「でも、もう一年半だよ。あれじゃシュンスケじゃなくて、ユメスケだ」
「おまえにまで責められたら、シュンスケは立つ瀬がないだろう」
わかっていた。でも、苛立たしい歯痒さを、ゴンタは抑えられなかった。倉田シュンスケともあろう者が、何をやってるんだ?
日の傾いた猫ひげ堂の庭、曼殊沙華の赤が秋風にそよいだ。
♂
金曜日の放課後、ゴンタは倉田宅の呼び鈴を押した。ぴいぃーん・ぽおぉーん、といやにまのびした音がして、ゴンタはため息をついた。二千何百回目かのため息だ。
シュンスケはでてこない。ゴンタは呼び鈴をしつこく鳴らした。十ぺん目くらいで、ドアのむこうに気配がした。
「せかさないでよ。いわれなくても帰るよ」
知っている女子の声に、ゴンタはめんくらった。ドアからでてきたのは、やっぱりコマネチ、小野カオリだった。梶原中の制服を着くずして、へたな化粧をしている。ゴンタをみて、小野は嘲った笑みを浮かべた。ゴンタはむっとして睨みかえした。小野は蜻蜓のようについっといなくなった。
ゴンタが玄関に入ると、シュンスケはふわっとあくびした。頬にかかるほどのざんばら髪と、くたびれたTシャツとジーンズ。そんな格好であっても、きっと、シュンスケは女の子からは魅力的に映るのだ。
「小野と何してたの?」
「しりとり」
シュンスケはまともに答える気がないようだ。ゴンタは苦にがしさを顔にださないよう努めたけれど、成功しているかはわからなかった。ゴンタは無言でクリアファイルをわたした。学校のプリント類だ。シュンスケはよくみもせず下駄箱に置いた。ゴンタはきく。
「あしたは学校いけそう?」
「行けたら行く」
返事はいつも同じだった。そして、朝になるとシュンスケは眠りこんで、午後にようやく目を覚ます。この一年半、ずっとそうだった。
「女と遊ぶ元気はあっても、学校は行けねえの?」
「使うエネルギーがちがう」
「教室で座って授業きいてるふりするだけじゃん」
「知らないやつばっかなんだもん」
「おれがいるだろ」
「同じ教室、同じ机、同じ制服。気持ち悪くない?」
「気持ち悪くない」
「ゴンタはふつうだからな」
シュンスケは大人のように苦笑した。ゴンタは吐き捨てた。
「どうせ、おれは凡人だよ」
「なに怒ってんの。ほめてんじゃん」
赤茶の目が、困った瞬きをした。ゴンタはため息をついて、ドアノブに手をかけた。
「また、火曜に来るから」
うしろ手にドアをしめた。シュンスケは何も答えなかった。
🐈⬛
涼風の吹きだまる、猫ひげ堂の見世の間に先客ふたり。和泉と万葉がチェス盤をはさんでいる。万葉の白のクイーンが和泉の黒のキングを追いつめていた。水色のランドセルを肘かけに、万葉は不敵に笑っている。有名中高一貫校の詰襟をゆるめて、和泉はほほえんだ。
「まいっちゃうよ。万葉ちゃん手かげんしてくれないんだもん」
ゴンタも笑った。レディーファーストの和泉のことだから、実力の七割ほどで相手してやっているのだろう。それを知ったら、万葉は怒って泣くにちがいないけれど……。
見世の間にひらりと舞いこむ影。燕尾蝶は奥行を測るように座敷を一周した。勘定台の夜叉は追いかけこそしなかったが、蝶をみつめてしっぽを震わせた。燕尾蝶は万葉の前髪にとまった。万葉は大きな目をまん丸くして、息を飲んでいる。和泉が声をひそめた。
「すごいね、髪飾りみたいだ」
「こわい、とって」
万葉は泣きそうな顔。ゴンタは蝶に手をのばした。蝶はひらりとかわして、こんどはゴンタの顔へ迫った。ゴンタは逃げたけれど、蝶は鼻にしがみついた。手先を振っても、動じなかった。ゴンタは途方に暮れた。和泉と万葉は大笑いした。
「そういえば、オサカベさんの提灯も揚羽蝶だね」
和泉が云った。勘定台のうえの提灯、コミカルに図案化された蝶。蝶は生まれ変わりと不死のシンボルだと、いつかオサカベは語った。ゴンタは万葉にいう。
「蝶は魂の化身だから、いじめちゃダメなんだ。これも誰かの魂かも」
「知ってる。ギリシア神話で、魂って意味でプシュケーって名前の、チョウチョの羽を生やした女神がいたんでしょう」
万葉は得意そうに云った。ゴンタは肯いた。
「そう、psychēは今では精神って意味だけど、もともとは魂と蝶って二重の意味があった。動詞だと息を吐くって意味で、吐きだされた魂が蝶になるって思想が古代ギリシアの人々にあったんだね。古代中国にも、死者の魂が蝶になるって迷信があってね。荘子も『斉物論』に、胡蝶の夢って説話を書いてて……」
「ゴンタくんの話、長いから、もういい」
万葉はそっぽを向いた。和泉は笑った。六つも下の子に軽んじられて、ゴンタはおもしろくなかった。万葉はケータイ電話をとりだし、メールボックスをひらいて、表情を華やがせた。
「あ、シュン兄から来てた」
「シュンスケぇ?」
つい、すっとんきょうな声をゴンタはあげた。二人がメールをやりとりしているなんて初耳だった。ゴンタはケータイを持っていない。高校に合格したら買ってやると両親は譲らなかった。
「あいつ、不良だぞ」
「でも、やさしいもん。ゴンタくんにはカンケーないでしょ」
万葉は画面を隠した。ゴンタは口に苦いものがこみあげるのを感じた。五歳のころから、万葉はシュンスケを慕っていた。万葉のランドセルが赤系ではなく水色なのも、シュンスケの影響だ。もし万葉が好いているのが和泉だったら、ゴンタは素直に応援できた。お坊ちゃんとお嬢さま。お似あいだ。でも、あのトラブルメーカー=シュンスケが相手だと思うと……ゴンタはむしゃくしゃしながら勘定台の雑巾がけをした。鼻の燕尾蝶は、いまだ動かなかった。
ほうじ茶をいれながら、オサカベは口をゆがめた。
「おまえの鼻は、よほどいいにおいがするんだろうな」
「塩分があるからかな。それにしたって変だよ、この蝶」
オサカベはゴンタの鼻の高さに身をかがめて、燕尾蝶にささやいた。
「長居しすぎると、帰れなくなるぞ。早く戻れ」
言葉を理解したかのように、蝶は急に離れた。しばし見世の間をふらふら舞っていたが、やがて間口からでていった。
🐈⬛
仕事帰りの宵、ゴンタは仙雲寺を訪ねた。仏間から読経の声と木魚の音。ゴンタは邪魔しないよう、静かに戸をあけて、二十畳のすみに正座して待った。小さな木魚と大きなお鈴、漆塗りの経机に真鍮の花。対の置灯籠のほの明かり、祭壇の左手はずらりと位牌で埋まり、右手も埋まりつつあった。つるりと光る頭。大正生まれの二十二代目住持は読経を終え、僧衣の袖を振ってゴンタに向きなおった。
「おや、悩んどる顔やな」
「和尚さんは、恋をしたことありますか?」
住持は懐から紙煙草を咥えて、マッチで火をつけた。「そら、もちろん」
「お坊さんなのに?」
わはは、と住持は煙を吐いて笑った。「ハナから坊主ちゃう。わては恋多き男やったぞ」
「モテたんですか?」
住持は舌をだした。「惚れっぽかっただけや。愛の告白なんぞいっぺんもされたことあらへん。告白はいつもするほうやった」
「ずっとまえから、好きな子がいるんです。けど、その子はシュンスケが好きみたいで。でも、シュンスケはほかにつきあってる子がいて。シュンスケってバレンタインチョコいつも一、二コはもらうんです。ぼくはチョコもらったことないんですよ。ぼくってつまんない人間なのかなって気がしてきて」
「切実やな。モテるモテへんは、走りの速いトロいとおんなじや。生まれつき、ある程度決まっとる」
ゴンタは心底がっかりした。住持はほほえんで、煙草の灰を灰皿に落とした。
「けど、人生は長い。長い時間のなかで、モテるモテへんは小さいこっちゃ。それよりも、おのれと馬の合う、長く一緒におられる相手がみつかるかどうかのほうが大事やがな。そないに悲観することあらへん。おまえの人となりをみて、好いてくれる子ぉはおるよ」
「そう……だといいんですけど。なんか、そんなつまんないことで悩んでる自分も情けなくて」
「タイキはおのれを客観視でけとるんやな。そら大事なことや。悩みや欲望ちゅうのんを、わてらの世界では煩悩いうんやけど、生きとるかぎり、煩悩はどうしても起こる。それをなるべく少のぅして、苦しみを減らそうっちゅうんが、仏の教えやな。いわば客観視は、その最初の一歩やね。誰に教えられずとも、それがでける。たいしたもんやで。オサカベがみこんだだけのことはある」
「そうでしょうか」
「わてがひとつだけ、あんさんにいえることがあるとしたら」
「あるとすれば?」
「世の中の半分は女や、いうこっちゃ」
ゴンタは座布団のうえでずっこけそうになった。住持は煙を吐いて、呵々大笑した。
🐈⬛
火曜日の放課後、ゴンタは倉田宅の呼び鈴を押した。ぴいぃーん・ぽおぉーん、といやにまのびした音がして、ゴンタはため息をついた。
シュンスケはすぐにでてきた。伸びきった黒のTシャツ。シュンスケはゴンタの目をみなかった。いぶかしく思いつつも、ゴンタはクリアファイルをわたした。シュンスケはよくみもせず下駄箱に置いた。ゴンタはいう。
「おまえさ、万葉ちゃんと、いつからメールしてんの?」
「えーっと、あいつが小学校あがってすぐ?」
そんなにまえから? ゴンタは出し抜かれた気分だった。
「おまえ、小野とつきあってんだよな」
「べつに、つきあってない。あいつ、もうかわいくないし」
シュンスケはあくびした。ゴンタはいう。
「そういうの、不誠実じゃないの?」
「ゴンタはまじめだな」
そっぽを向いたまま、シュンスケは苦笑した。ゴンタはむっとした。
「悪かったな」
「おれって不良?」
「え?」
「ゴンタ、いってたじゃん。あいつ不良だぞ、って万葉に」
どうしてシュンスケが知っているのか。立ちぎきでもしていたのか。けれど、そんな気配などしなかった。
「こんどから呼び鈴ならさなくていい。ポストにつっこんどいて」
「なんで」
「おれ、もうすぐ死ぬと思う」
シュンスケの声は、ゆうべのアニメの話でもするように軽かった。ゴンタは慎重にいう。
「なんで」
シュンスケは両手で蝶のかたちをつくって、ひらひらと動かした。
「すげえんだぜ、昆虫って。みえる光が、ぜんぜんちがう。人じゃみえない光までみえる」
「何をいってる?」
「あの蝶の体を借りたんだ。そうやって散歩するのが好きで。生身ででかけると、学校は? って大人にきかれるだろ。でも、やりすぎた。魂の糸が細くなっちゃってさ、そろそろ切れそうなんだ。だから、もう、来なくていいよ」
シュンスケは手ぶりで、頭から延びる糸を示した。こいつが、死ぬ? 思わず、ゴンタは怒鳴った。
「バカなことしてないで、学校来いよ!」
「ムダだよ。出席日数がたりない。受験できねえよ」
「なんでだよ。おまえはもっと強かったろ」
「おれもそう思ってたよ。でも、そうじゃなかった」
潤んだ赤茶の目。シュンスケは倒れこむみたいに、ゴンタを抱きしめた。大人になりかけの、しなやかな体。三十六度の熱。どうして、これが死ぬんだ? ゴンタはわからなかった。わかりたくもなかった。シュンスケはゴンタを抱いたままドアをあけて、おもてへ押しだした。シュンスケは悲しく笑った。
「みようとしなくてもみえるのに、みようとしてもみえないもの、なぁーんだ?」
ゴンタは答えられなかった。シュンスケはドアをしめた。
それから、どんなに呼び鈴を鳴らしても、シュンスケはもう顔をださなかった。
🐈⬛
猫ひげ堂でせわしく手を動かしながら、ゴンタはシュンスケのことを考えた。あいつが、死ぬかもしれない。けれど、どんなに考えても、シュンスケを救う手立ては浮かんでこなかった。だって、シュンスケは救われたがっていないのだ。
その日の仕事を終えて、ゴンタはいとまを告げようとした。オサカベは茶封筒を差しだした。
「ほら。きょうでひと月だ。真面目に、よく頑張ったな。今は生真面目や正直を悪くいう風潮があるが、おまえの実直さは、おまえの財産だ。それを忘れるな」
その封筒がお給料だと気づくまでに、ゴンタは時間がかかった。浮かない様子のゴンタに、オサカベはいう。
「シュンスケか」
目玉が熱くなってくるのを、ゴンタはおさえられなかった。ゴンタは小さな子みたいにわあわあ泣いた。両肩に、オサカベの骨ばった手が乗った。
「おまえは、どうしたいんだ? シュンスケに、どうなってほしいんだ?」
ゴンタは顔をあげた。きっと、涙と鼻水でぐちゃぐちゃだ。
「オサカベさんみたいになりたい。シュンスケに生きててほしい」
しゃくりあげるゴンタの頭をぽんとひと撫でして、じいさんは懐中時計をだした。オサカベの兄の物だ。
「兄が死ぬとき、私は何もできなかった。だが、シュンスケは、死なせない。死なせるもんか」
オサカベは時計の発条を巻いた。時計を手に、ゴンタは文字盤をみつめた。きゃしゃな秒針は刻一刻と確実に進んでいた。
🐈⬛
日曜日の夕方だった。権上宅のインターフォンが鳴った。モニターに映った顔に、ゴンタは玄関へ走りでた。
白いトレーナーを着たシュンスケは、落ちついてみえた。「おまえに、頼みがあってさ」
シュンスケの部屋は、すっきりと整頓されていた。正座したシュンスケの後頭部をゴンタはみおろして、その長い髪の毛に慎重に鋏を入れた。しゃき、しゃき、しゃき……ゆるい癖のある赤毛が、床の新聞紙に落ちる。
「おれに生きててほしいって、おまえが泣いてたって、オサカベのおっちゃんがいってて。おれもいろいろ考えたのな。仙雲寺の和尚さんいるべ、おっちゃんの友だちの。あの人が口きいてくれて、本山で修行できることになった」
「あそこ、ナニ宗だっけ?」
「臨済宗心妙寺派。正法山、京都だよ」
「ああ」
「わかる?」
「わかんね」
「おれも」
シュンスケは笑い声を立てた。ゴンタも笑った。
「山に入ったら連絡とれないし、何年も帰ってこれない」
「何年くらい?」
「さあな」
鋏を動かしながら、ゴンタは洟をすすった。
適度に髪の短くなった頭を、シュンスケは感触を確かめるふうに撫でた。
「あとは、あっちでカミソリ当ててもらう。ありがとうな」
ゴンタは驚いた。シュンスケが初めて礼を云った。ノック音。ドアの隙間から、シュンスケの母親がうなずいた。
ほんとうは、見送りは厳禁だった。修行はもう始まっているのだ。立ち会ったのは、オサカベとゴンタだけ。つるりと光る頭を撫でて、仙雲寺の住持は云う。
「雑念が晴れたようやな」
「はい」
笠に錫杖の行脚装束のシュンスケはニカッと前歯をみせた。そして、左手首から水晶の念珠を抜いてゴンタによこした。
「何も持っていけないんだ。おれが立派な坊さんになるまで、元気でいろよ」
二十五粒の水晶は、掌にひやりと冷たかった。ゴンタは両目に溜まった熱が決壊しないよう、黙ってうなずいた。シュンスケはいう。
「みようとしなくてもみえるのに、みようとしてもみえないもの、なぁーんだ?」
「夢だ」
ゴンタは答えた。シュンスケは寂しげに、だが晴れやかに笑った。
住持とシュンスケの錫杖の小環が寂々と鳴った。二人は振りかえらず、薄明の角を曲がってみえなくなった。秋の金鳳蝶がひらひらと、通りを横切った。ゴンタは念珠を握って、目を袖でこすった。オサカベの手が、ぽんと頭を撫でた。
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