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静かな森の出会い編

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 ——まぶたの裏が白くなって、目を開けるとルシウスがいた。
 天井で光の球が浮いている。
 半身を起こして辺りを見回すと部屋の前にいると分かった。
 
 私の前には、シャドウウルフとライトウルフの夫婦が座っている。
 二匹とも、なんだか神妙な面持ちに見える。私を見る目が変わった感じだ。
 
「ノインが起きるまで待ってくれてたみたいだよ」

「ちょうなんだ。ルチウちゅは?」

「僕は今起きたところ。ノインが外で寝てるから驚いたよ」

 風邪を引くといけないから、今度からは気をつけてね。
 そう言って、ルシウスは私の頭を撫でた。
 やだなに、この幸せ。ほっぺがぽっぽしてきちゃう。
 両手で頬を押さえずにはいられない。
 落ち着くのよ、アンコ。いえ、ノイン。

 深呼吸して、シャドウウルフたちに向き直る。
 すると二匹が伏せをした。なぜか、お礼をしていると分かった。

《ノイン、ありがとう。俺もこいつも、この通り元気になった》

《主人から話は聞きました。ありがとうございます》

《いいのよ。私たちも、ここに住まわせてほしくてやったようなもんだし》

 シャドウウルフが、かぶりを振る。

《それでも普通は追い出そうとするものだ。話を聞いてくれて感謝する》

《魔物と人は相容れない存在。そのように定められた中で、ノイン様のような方とお会いできて、本当に嬉しく思っているのです。これは、星の導きに違いありません》

《確かに、そうね。私はこの星、エルモアに導かれてここに来たから》

《なんと⁉ ノインは星の使者様だったのか⁉》

《やはり、奇跡だったのですね……!》

 二匹が大きく目を見開いて起き上がる。

《ノイン様、これまでの無礼を許してくれ。俺はアスラ。従者にしてもらいたい》

《わたくし、ディーヴァも、夫と共にお仕えさせてください。星の使者様の為に働けるなど、わたくしたちにとって幸せでしかありません。どうか、お願いいたします》

 星の使者というのが何なのか分からなかったけど、取り敢えず二匹を受け入れた。
 話はあとでもできるからね。

 早速、私の中にある住処に案内しようか。
 と思ったけど、二匹とも臭かったので、まずは洗うことにした。

 アスラが臭かった理由は、ディーヴァが怪我と毒で苦しんでいたからって分かると、臭いと言ったことを申し訳なく思った。奥さんの為に一生懸命だったのよね。

 素敵な夫婦じゃない。一緒に暮らせるのが嬉しいわ。

「ねぇ、ルチウちゅ、しぇっけんって持ってりゅ?」

「しぇっけん? ああ、石鹸ね。うん、持ってるよ」

「ちゅかわせて、もりゃってもいーい?」

「もちろん。ついでに僕たちも洗おう。洗濯もしたいからね」

 ルシウスの言葉通り、その後はみんなで泡だらけになった。
 洗うのが大変で、ハァハァしてる暇もなかったけど、この世界に来て初めて楽しめた。
 その日は、ルシウスと一緒に、アスラとディーバのモフモフした毛に包まれて眠った。
 微かに花の香りがして、とても幸せな気分だった。
 
 
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