24 / 117
静かな森の出会い編
11
しおりを挟む
よし、準備オッケーよ!
外に出ると、シャドウウルフとレッドキャップはいなくなっていた。
場所を移したみたいね。好都合だわ。
これで心置きなく、ルシウスの援護ができるってものよ。
私は大きく振りかぶって、ゴブリン二匹のいる方向へ石を投げた。
石は狙い通りに高く飛んだ。
だけど、力が足りなくてゴブリンの手前に落ちてしまった。
ドッと音がして土が跳ねる。
大変! 失敗しちゃった!
石に気づいて、ゴブリンがこっちを見た。
その瞬間、ルシウスが短剣を手にして飛び掛かっていた。
ルシウスはゴブリンの首を斬りつけて、すぐに後ろに下がる。
「ギギギャア!」
紫色の血飛沫が上がって、斬られたゴブリンが逃げ出した。
その後ろを、シクレアが飛んで追いかけていく。
残りの一匹は困惑した様子。逃げるゴブリンとルシウスとを交互に見ている。
今がチャンスね!
私はそれを見ながら少し近づいて、また石を投げた。
今度はしっかり当たった。三歳児だけど、割と飛ぶものね。
ゴブリンが驚いた様子でこっちを見る。
その隙に、ルシウスがゴブリンの胸に短剣を突き刺した。
「グギャアッ!」
ルシウスは短剣を引き抜くと、叫び声と血飛沫を上げるゴブリンを無視して、一目散に私の方へ駆けてきた。近くにくると嬉しそうに両手を広げた。
「ノイン! 君、すごいよ!」
ああっ、なんて笑顔なの!
表情の眩しさに目を細めていると、私の両脇に手を入れて抱き上げた。
「びっくりしたよ! こんなに小さいのに投石もできるんだね!」
「ル、ルチウちゅ! まだ終わっちぇない!」
そう言って指差したけど、ちょっと目を離した隙に、唖然とする光景に変わっていた。いつの間にか戻ってきていたシクレアが、ゴブリンを襲撃していた。
ゴブリンは、あたかもスズメバチに襲われる人のように、ぎゃあぎゃあ悲鳴を上げて、逃げようとしていた。だけど、ほうほうの体、叶わず。
ばたりと倒れて、その上に止まったシクレアの鎌にチクチク刺され続ける。
「うわ、あれはゴブリンより怖いね……」
「そうだにぇ……」
ゴブリンが動かなくなると、シクレアは翅を広げて飛び上がり、意気揚々と私たちの元へと帰ってきた。なんだか黄色っぽい。淡く光って見える。
《ノイン! なんか変な感じがする! あなたの中に戻るわ!》
そう言うなり、シクレアは私に体当たりするようにして浸透した。
変な感じって何――。
ドクン、と心臓が大きく脈打った。
【必要経験値に到達しました】
【進化先を選んでください】
【マンティス】
『ランクCの大型魔蟲に成長。スキルC大鎌を取得』
【ピクシー】
『ランクDの小型魔精に成長。スキルC治癒を取得』
【アルラウネベビー】
『ランクDの小型魔花に成長。スキルC誘因を取得』
音声ガイダンスと表示が出てきたけど、シクレアは何になりたいんだろう?
こっちで決めていいなら、スキルで見てピクシーで決まりなんだけど。
心の中で呼びかけてみると、《任せるわ》という返答があった。
なので、ピクシーで決定した。
【進化開始します】
その音声ガイダンスと表示が見えた途端、私は酷い眠気に襲われた。
あ、駄目。立ってられない。
最後の力で地面に座った直後、目の前が真っ暗になった。
外に出ると、シャドウウルフとレッドキャップはいなくなっていた。
場所を移したみたいね。好都合だわ。
これで心置きなく、ルシウスの援護ができるってものよ。
私は大きく振りかぶって、ゴブリン二匹のいる方向へ石を投げた。
石は狙い通りに高く飛んだ。
だけど、力が足りなくてゴブリンの手前に落ちてしまった。
ドッと音がして土が跳ねる。
大変! 失敗しちゃった!
石に気づいて、ゴブリンがこっちを見た。
その瞬間、ルシウスが短剣を手にして飛び掛かっていた。
ルシウスはゴブリンの首を斬りつけて、すぐに後ろに下がる。
「ギギギャア!」
紫色の血飛沫が上がって、斬られたゴブリンが逃げ出した。
その後ろを、シクレアが飛んで追いかけていく。
残りの一匹は困惑した様子。逃げるゴブリンとルシウスとを交互に見ている。
今がチャンスね!
私はそれを見ながら少し近づいて、また石を投げた。
今度はしっかり当たった。三歳児だけど、割と飛ぶものね。
ゴブリンが驚いた様子でこっちを見る。
その隙に、ルシウスがゴブリンの胸に短剣を突き刺した。
「グギャアッ!」
ルシウスは短剣を引き抜くと、叫び声と血飛沫を上げるゴブリンを無視して、一目散に私の方へ駆けてきた。近くにくると嬉しそうに両手を広げた。
「ノイン! 君、すごいよ!」
ああっ、なんて笑顔なの!
表情の眩しさに目を細めていると、私の両脇に手を入れて抱き上げた。
「びっくりしたよ! こんなに小さいのに投石もできるんだね!」
「ル、ルチウちゅ! まだ終わっちぇない!」
そう言って指差したけど、ちょっと目を離した隙に、唖然とする光景に変わっていた。いつの間にか戻ってきていたシクレアが、ゴブリンを襲撃していた。
ゴブリンは、あたかもスズメバチに襲われる人のように、ぎゃあぎゃあ悲鳴を上げて、逃げようとしていた。だけど、ほうほうの体、叶わず。
ばたりと倒れて、その上に止まったシクレアの鎌にチクチク刺され続ける。
「うわ、あれはゴブリンより怖いね……」
「そうだにぇ……」
ゴブリンが動かなくなると、シクレアは翅を広げて飛び上がり、意気揚々と私たちの元へと帰ってきた。なんだか黄色っぽい。淡く光って見える。
《ノイン! なんか変な感じがする! あなたの中に戻るわ!》
そう言うなり、シクレアは私に体当たりするようにして浸透した。
変な感じって何――。
ドクン、と心臓が大きく脈打った。
【必要経験値に到達しました】
【進化先を選んでください】
【マンティス】
『ランクCの大型魔蟲に成長。スキルC大鎌を取得』
【ピクシー】
『ランクDの小型魔精に成長。スキルC治癒を取得』
【アルラウネベビー】
『ランクDの小型魔花に成長。スキルC誘因を取得』
音声ガイダンスと表示が出てきたけど、シクレアは何になりたいんだろう?
こっちで決めていいなら、スキルで見てピクシーで決まりなんだけど。
心の中で呼びかけてみると、《任せるわ》という返答があった。
なので、ピクシーで決定した。
【進化開始します】
その音声ガイダンスと表示が見えた途端、私は酷い眠気に襲われた。
あ、駄目。立ってられない。
最後の力で地面に座った直後、目の前が真っ暗になった。
0
お気に入りに追加
243
あなたにおすすめの小説
最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅
散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー
2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。
人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。
主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m
【完結】元ドラゴンは竜騎士をめざす ~無能と呼ばれた男が国で唯一無二になるまでの話
樹結理(きゆり)
ファンタジー
ドラゴンが治める国「ドラヴァルア」はドラゴンも人間も強さが全てだった。
日本人とドラゴンが前世という、ちょっと変わった記憶を持ち生まれたリュシュ。
しかしそんな前世がありながら、何の力も持たずに生まれたリュシュは周りの人々から馬鹿にされていた。
リュシュは必死に強くなろうと努力したが、しかし努力も虚しく何の力にも恵まれなかったリュシュに十八歳のとき転機が訪れる。
許嫁から弱さを理由に婚約破棄を言い渡されたリュシュは、一念発起し王都を目指す。
家族に心配されながらも、周囲には馬鹿にされながらも、子供のころから憧れた竜騎士になるためにリュシュは旅立つのだった!
王都で竜騎士になるための試験を受けるリュシュ。しかし配属された先はなんと!?
竜騎士を目指していたはずなのに思ってもいなかった部署への配属。さらには国の争いに巻き込まれたり、精霊に気に入られたり!?
挫折を経験したリュシュに待ち受ける己が無能である理由。その理由を知ったときリュシュは……!?
無能と馬鹿にされてきたリュシュが努力し、挫折し、恋や友情を経験しながら成長し、必死に竜騎士を目指す物語。
リュシュは竜騎士になれるのか!?国で唯一無二の存在となれるのか!?
※この作品は小説家になろうにも掲載中です。
※この作品は作者の世界観から成り立っております。
※努力しながら成長していく物語です。
転生したらただの女の子、かと思ったら最強の魔物使いだったらしいです〜しゃべるうさぎと始める異世界魔物使いファンタジー〜
上村 俊貴
ファンタジー
【あらすじ】
普通に事務職で働いていた成人男性の如月真也(きさらぎしんや)は、ある朝目覚めたら異世界だった上に女になっていた。一緒に牢屋に閉じ込められていた謎のしゃべるうさぎと協力して脱出した真也改めマヤは、冒険者となって異世界を暮らしていくこととなる。帰る方法もわからないし特別帰りたいわけでもないマヤは、しゃべるうさぎ改めマッシュのさらわれた家族を救出すること当面の目標に、冒険を始めるのだった。
(しばらく本人も周りも気が付きませんが、実は最強の魔物使い(本人の戦闘力自体はほぼゼロ)だったことに気がついて、魔物たちと一緒に色々無双していきます)
【キャラクター】
マヤ
・主人公(元は如月真也という名前の男)
・銀髪翠眼の少女
・魔物使い
マッシュ
・しゃべるうさぎ
・もふもふ
・高位の魔物らしい
オリガ
・ダークエルフ
・黒髪金眼で褐色肌
・魔力と魔法がすごい
【作者から】
毎日投稿を目指してがんばります。
わかりやすく面白くを心がけるのでぼーっと読みたい人にはおすすめかも?
それでは気が向いた時にでもお付き合いください〜。
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編
転生魔法伝記〜魔法を極めたいと思いますが、それを邪魔する者は排除しておきます〜
凛 伊緒
ファンタジー
不運な事故により、23歳で亡くなってしまった会社員の八笠 美明。
目覚めると見知らぬ人達が美明を取り囲んでいて…
(まさか……転生…?!)
魔法や剣が存在する異世界へと転生してしまっていた美明。
魔法が使える事にわくわくしながらも、王女としての義務もあり──
王女として生まれ変わった美明―リアラ・フィールアが、前世の知識を活かして活躍する『転生ファンタジー』──
骨から始まる異世界転生~裸の勇者はスケルトンから成り上がる。
飼猫タマ
ファンタジー
トラックに轢かれて異世界転生したのに、骨になるまで前世の記憶を思い出せなかった男が、最弱スケルトンから成り上がってハーレム勇者?魔王?を目指す。
『小説家になろう』のR18ミッドナイトノベルズで、日間1位、週間1位、月間1位、四半期1位、年間3位。
完了済では日間、週間、月間、四半期、年間1位をとった作品のR15版です。
転生したら避けてきた攻略対象にすでにロックオンされていました
みなみ抄花
恋愛
睦見 香桜(むつみ かお)は今年で19歳。
日本で普通に生まれ日本で育った少し田舎の町の娘であったが、都内の大学に無事合格し春からは学生寮で新生活がスタートするはず、だった。
引越しの前日、生まれ育った町を離れることに、少し名残惜しさを感じた香桜は、子どもの頃によく遊んだ川まで一人で歩いていた。
そこで子犬が溺れているのが目に入り、助けるためいきなり川に飛び込んでしまう。
香桜は必死の力で子犬を岸にあげるも、そこで力尽きてしまい……
乙女ゲームの悪役令嬢は断罪回避したらイケメン半魔騎士に執着されました
白猫ケイ
恋愛
【本編完結】魔法学園を舞台に異世界から召喚された聖女がヒロイン王太子含む7人のイケメンルートを選べる人気のゲーム、ドキ☆ストの悪役令嬢の幼少期に転生したルイーズは、断罪回避のため5歳にして名前を変え家を出る決意をする。小さな孤児院で平和に暮らすある日、行き倒れの子供を拾い懐かれるが、断罪回避のためメインストーリー終了まで他国逃亡を決意。
「会いたかったーー……!」
一瞬何が起きたか理解が遅れる。新聞に載るような噂の騎士に抱きすくめられる様をみた、周囲の人がざわめく。
【イラストは自分で描いたイメージです。サクッと読める短めのお話です!ページ下部のいいね等お気軽にお願いします!執筆の励みになります!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる