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完結後おまけ編
閑話 因縁の対決(1)
しおりを挟むズガァンという音が鳴り、電撃の帯が走った。
リンドウとスズランが、その黄色い閃光の中に飲み込まれる。
それは、紛れもなくユーゴの【迅雷砲】だった。
放ったのは、リンドウとスズランから数百メートル離れた空中にいる二人――。
「あんだよ。呆気ねーな。もちっと加減しろよニルリティ」
「馬鹿を言え。あれだけの攻撃をする相手に加減などしておれるか。して、穴はどうしたものかのう。もうこちらからは開けんが、なにか妙案はあるか?」
「妙案ねぇ……」
咥え煙草の先端がじりじりと根本へ進む。
ギーは紫煙を吐き出して肩を竦める。
「駄目だ。なんも浮かばねぇ。でもま、そんなに焦ることもないでしょ。向こうに予備の座標置いてあっから、十日もすりゃまた繋がるよ。んなことより、二人で撃つ必要なかったなこりゃ。雲まで吹っ飛んじまった」
ギーが手で庇を作って遠くを見る。射線の跡には何一つ残っていない。
能力値がカンストした二人の超高火力遠距離術。
まともに喰らえばただでは済まない。
(あの坊や、とんでもねぇ術持ってやがったな。やっぱ殺しとくべきだったか)
ギーは舌打ちする。ユーゴの術とスキルは奪ったが、ユーゴがそれを使えなくなった訳ではない。秘密を話した以上、ユーゴもまた亜人を食らって能力値をカンストする可能性がある。その状態で敵に回られると、非常に厄介だと思い始めていた。
もっとも、そのユーゴはもういないのだが、それを知らないギーは、自ら放ったユーゴの術を目にして、そういった事を考えてしまった。
そしてもう一つ、リンドウたちが現れたことで、ユーゴに頼んだ伝言がしっかりと届けられたという事実に意識を取られてしまった。
その隙が、ユーゴの置き土産になるとも知らずに――。
「はぁ、参ったね。多分、あの坊やがリンドウたちに話してくれたんだろうけど、これは予想外だったな。あいつらの面、拝み損ねちまった」
ギーは嘆息を溢してニルリティに視線を移す。
直後、その顔に貼りついている嘘臭い薄ら笑いが消えた。
ニルリティの胸から何かが突き出ていた。
それは、閉じられた鉄扇。
ニルリティは自分の胸を見て戦慄く。何が起きたか分からなかった。
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