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明かされる真実編

22.はじめてのおつかい(7)

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「気にせんでええよ」

「うむ、良くやった。十分だ」

 リンドウさんとスズランさんが苦笑しながら出てきた。もう隠れるのはめたようだ。ウイナちゃんとサイネちゃんがきょとんとする。

「リンドウ、用事はどうしたのじゃ?」

「そんなん、もう終わったわ」

 リンドウさんがサイネちゃんに手を伸ばし、巾着袋を受け取る。その中から金貨を一枚取り出し、泥棒をした少年の手に載せた。

「おいぼん他人ひとから物をるんは危ない。そうせなあかんくらい厳しい暮らしをしとるんかも知らんけどやな、辛いなら街外れの孤児院に行け。そこなら飯も食わせてもらえる」

 少年は金貨を握りしめ、不貞腐れたような顔をする。

「孤児院なんて無理だ。妹が病気なんだ。入れてもらえねーよ。さっきの奴らが言ってたんだ。病気持ちは追い返されるって」

「大丈夫だ。そこの院長はサクヤ殿と言ってな、出来た男だ。今は遠出しておるゆえ、不在だが、ミヅキ殿というとても気立ての良い副院長がおるから心配は無用だ。たとえどのような病気でも面倒を見てくれる」

「ああ、リンドウ様、スズラン様。なんて寛大な」

 ローズさんが感涙にむせぶ。

 確かにとても素晴らしい光景なのだが、さっきまでのリンドウさんたちの姿が頭にちらついて俺は素直に感動できなかった。

 中国被り面トーテムポールの破壊力は凄いようだ。

「デネブ、お前ら、住んどるとこ近いやろ? この坊主と、あと坊主の妹な、孤児院まで連れてったってくれんか?」

 デネブさんが「勿論です」と笑顔で頷く。ウイナちゃんとサイネちゃんが背から退くと、少年は「ごめんなさい」と言って二人に深々と頭を下げた。

「泥棒は駄目じゃが……妹が病気なら仕方ないのじゃ。もしサイネが病気でお金もなかったら、ウイナも同じことをしたかもしれんのじゃ」

「そうだな、俺もそうするかもしれねぇ」

「おお、赤いの! 話が分かるのじゃ!」

「赤いのですかー。じゃあ、アチシは青いのですねー。それでー、デネブ兄様はうすら青いのですねー」

「その通りだが、なんか腑に落ちんな。まぁいい。アープ、そろそろ行くぞ。神職の皆さんの邪魔になる。では、皆さん、失礼します」

 デネブさんが頭を下げ、それぞれが別れの挨拶を済ませた後で少年を連れて場を離れて行く。

 サイネちゃんとサツキ君はまだ凹んでいたが、今度はウイナちゃんが慰める側に回り、リンドウ一家はまだ買い物の途中だった青果店の方へと向かって行った。
 
 
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