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明かされる真実編
10.そんな馬鹿なと言うに値する話(2)
しおりを挟む「プリオン病って知ってる? 有名どころだと、クールー病やクロイツフェルト・ヤコブ病。それに牛海綿状脳症。所謂、BSE。俗称だと狂牛病。どれもこれも発症すると脳が穴だらけになる致死率百パーセントの病気だよ」
ザラス大帝は渡り人を食べ、何も得られず衰弱死したという記録が残されている。
これをギーは、渡り人を食べてプリオン病に罹患した、或いは、この世界の人族を食べてプリオン病に罹患してしまい、救いを求めて渡り人を食べたが治らなかった、と解釈したそうだ。
既に実験も済ませていると言ったので、俺は底冷えするような寒さに襲われた。
渡り人にこの世界の人族を食べさせると、能力値の上昇はしたものの短期間でプリオン病らしき症状が出て衰弱死したらしい。
渡り人同士でもやったそうだが、こちらは能力値上昇なしで同様の結果に終わったとのこと。惨いことをする。
「潜伏期間は短いが、間違いなくプリオン病の類だよ。異世界仕様ってやつだ」
「ふふふ。坊主が信じられんという顔をしておるぞ」
「なぁに、話が終わりゃあ嫌でも信じるさ。さて、こっからが本題だ。俺ちゃんの辿った道と目的を聞いてもらうよ」
俺が信じられんのは話の内容よりも二人の神経の方なのだが、余計なことを言うと殺されそうなので、嘲笑う二人の意図を考えながらも黙って耳を傾けた。
ギーがこちらに渡ったのは二十年前。登山中、レンゲ山に転移したところを当時神職に就いていたオモトとカラタチという狐人のマモリに救われたそうだ。
その後、リンドウさん、スズランさんと共にマモリ見習いとして過ごしたらしいのだが、調理中、包丁で指を切ったスズランさんの血を舐めた後で、偶然にも僅かに能力値が上がったことに気づいたらしい。
そして俺たち同様ザラス大帝の逸話を聞かされ、これはもしやと調べた結果、先の話と繋がった。それを境に、ギーは亜人が言葉を理解して喋ることのできるだけの動物、狩りの対象、家畜、食べ物という風にしか思えなくなったのだという。
「俺ちゃん、面倒臭いことが大嫌いなんだわ。シンプルイズベスト。強けりゃ何したって問題なくなるってのが世の常だからさ、じゃあ強くなっちゃおうかって話。でも強くなるのって大変でしょ? そういう努力なんて、できればしたくないのよ」
楽な道があるならそちらを取る。人間、誰しもそうする。食べることで能力値が上がるのなら食べれば良い。何故なら、そういう仕様なのだから。
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