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それぞれの成長 元戦乙女隊編
27.誰であろうが死ぬときは死ぬ(1)
しおりを挟む「わ、私たちだけで倒せるだろうか?」
「大丈夫。かなり大きいけど、基本的には道中出現したゴーレムと変わらないし、力と耐久力だけで動きが緩慢というか、はっきり言って愚鈍だからね」
「作戦はどうすんだ? レイジトロルのときに言ってた感じで良いのか?」
「んー、俺は皆の属性や使える術を把握してないから、そこは話し合って決めて欲しいかな。戦技とか取れてるなら確認して試してみれば良いと思うし」
「ゴーレム相手なら、打撃武器に持ち替えた方が良いかもしれませんわね」
「じゃあ、装備、交換する人、言って」
女子たちがニーナの側に集まり、それぞれ注文して装備品の変更を行い始める。
レノアは棘付き鉄球が短い鎖で繋げられた両手持ちのフレイル、イザベラは同じく両手持ちのウォーハンマー、エリーゼとニーナは片手持ちのメイスに武器を変更。
ニーナがせっせと交換した武器を【異空収納】に放り込んでいく。相変わらず表情が乏しいが、少し変化が分かるようになってきた。今は皆を待たせてはいけないと慌てているようだ。「よいしょ、よいしょ」という棒読みの掛け声が可愛らしい。
「もしかして、【異空収納】使えるのってニーナだけ?」
「いや、私も使えるんだが、装備品はニーナに任せてるんだ」
「エリーゼは、魔物の素材とか、食料とか、お薬担当。分担、してる」
「私も覚えたいのですけれど、コツが掴めないのですわよね」
「へへっ、アタイとレノアは考えなさすぎと考えすぎで上手くいかねーんだ」
へー。と生返事しながら、俺はしれっと階層主の扉を開けた。四メートルほどある巨大なゴーレムが微動だにせず部屋の中央で待ち受けている。
「部屋に入った瞬間から動き出すから、心の準備が出来たら入ってね。急かすつもりはないけど、最終地点は四十階層だからね。ここで満足しないでね」
女子たちが表情を引き締めて頷き、階層主の部屋へと足を踏み入れる。それと同時に、ジャイゴーレムの目が光り両腕を振り上げる。
レノア以外の三人が散開し、ジャイゴーレムに向かって駆けてゆく。俺はその光景を見ながらゆっくりと部屋に足を踏み入れた。
「おおおりゃああっ!」
イザベラがウォーハンマーを振りかぶり、ジャイゴーレムの右膝を側面から打つ。ガッと硬い音を鳴らして岩の欠片が飛ぶ。ジャイゴーレムは両手を組み合わせ、イザベラに向かって振り下ろす。が、イザベラは背後に回り込んでそれを難なく躱した。
「えい、えい!」
「やぁっ! たあっ!」
ジャイゴーレムがイザベラに意識を向けているのを確認したニーナとエリーゼが、左膝に駆け寄りメイスを細かく振るう。ジャイゴーレムが二人を標的にするのを見計らうように、レノアが駆け出し、その顔面に火球を放ってぶつける。
「エリーゼ! ニーナ! 狙われてますわよ!」
叫びつつ、レノアが駆け寄った勢いをフレイルに乗せて振るう。
「食らいなさーい!」
エリーゼとニーナに向かい、両手を振りかぶったジャイゴーレムの胴体に鉄球が直撃。イザベラの一撃に負けず劣らぬ大きな音が部屋に響き、岩の破片が散る。
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