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それぞれの成長 元戦乙女隊編
26.お洒落な髪形と狙われる女子(2)
しおりを挟む女子たちが普段通り板金鎧と兜を着用していたなら、おそらくここまで酷くはならなかったのだろうが、今回は全員、兜なしで革製の軽鎧を着用している。
一般的な冒険者と装いが変わらず美人揃い。その上、俺を含めて皆若い。要するに侮られているということ。これはいつ絡まれてもおかしくない。
トラブルは遠慮したいんだよなー。
なるべく早く四十階層に到達したいので、無駄は極力避けたかった。なので、絡まれたと決まった時点で、問答無用で感電させていくことにした。
それからなんだかんだあって、中層にいる男性冒険者の間でアフロが大流行した。大半が気絶していたが、その後でどうなろうが知ったことじゃない。
悪因悪果。自業自得だよ。
世の中、悪い奴は結構いるようだ。ダンジョンの中は証拠が残ることもないし、魔物より人がパーティー全滅の原因である率の方が高いのかもしれない。
数カ月過ぎてようやく気付く。これまでは次の階層に続く下り階段を見つけることを目的としていたので、関係がなさそうな小部屋は素通りしていた。速度に重きを置いていたからこその盲点。非道の痕跡はそういった場所に隠されていた。
これは、勝手に小部屋の扉を開けて中に入ってしまうという悪癖を持つ、イザベラがいたからこそ分かった事実。ちなみにヤス君抜きで潜った四十一階層でも、罠を恐れて小部屋には入っていない。俺が小部屋に入ったのは今回が初めてだ。
部屋は謎が解けるまで出られなくなる罠が仕掛けられていた。謎自体は単純なもので、置いてある三つの像の向きを変えるというもの。石板に手掛かりが書かれているので、文字さえ読めれば簡単に解ける。
だが、もし先ほどのような男たちがここに女性を追い込む、或いは連れ込んだら、謎を解く暇など与えはしないだろう。脱出不可能な部屋に早変わりだ。
どうせ見つけるなら宝箱が良かったな。
遺品を見つめて、そんな言葉を心で呟く。人為的に引き裂かれたと思しき衣服や付着した血痕などを見る限り、この部屋でろくでもないことが行われたのだろうと容易に想像がついた。
そういう目的でダンジョンに入る者もいるのだと、このとき初めて理解した次第。
被害者の遺品は、レノアが火術を使えるので燃やしてもらった。俺がダークフレイムで燃やすこともできるが、想像すると絵面に問題があったので任せた次第。
「人の所業ではないな」
「ああ、クズだ。魔物の餌にでもなっちまえばいーんだ」
「ユーゴが、さっき、そうしたでしょ?」
「え、俺? あー! そうか、感電させた奴らの中にいたかもしれないね!」
「彼女たちの苦しみ以上に酷い目に遭うことを願いますわ」
余計な時間は取られたが、それでも小一時間ほどで三十階層の主の部屋まで到達した。確認したところ、女子たちの魂格が十八になっていたので、階層主であるジャイゴーレムの討伐は任せることにした。実戦経験を積むには良い頃合いだろう。
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