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それぞれの成長 パーティー編
10.大きくなっちゃった(3)
しおりを挟む「どうしたサブロ?」
「ピギッ!」
自信満々な顔をしたかと思うと、翼を大きく羽ばたく。それと同時に跳躍したサブロの体が浮き上がる。
「わ、飛んだ! ぶへっ、ちょっ、ちょっと!」
驚くよりも舞い上がる細かなゴミや埃から顔を守る作業に力が入る。俺は慌ててサブロに止めるように指示する。ここで飛んじゃ駄目。
フィルと一緒に宙を舞う埃を手で払っていると、サブロが着地し、しゅんとした。鳴き声も力がない。凹んでますと顔に書いてあるように見える。
「サブロ、飛べるのは凄かった。ただ羽ばたいたときの風がちょっとな」
「そうだねー。飛んだ状態で側にいるのもまた目立つよねー」
「んー、なんか良い方法ないかフィル?」
フィルが腕組みして唸る。
「【箱庭】みたいな魔道具はあるんだけど、色々と問題が……」
フィルいわく、魔道具自体が大きく重い。魔道具の中に生き物がいた場合【異空収納】に収めることができない。そして価格が馬鹿高い。という問題があるらしい。
「魔道具自体のサイズは小さいので二メートルくらい、重さは八百キロから、価格は安いので大金貨十五枚からだったはず。あ、あとは魔道具の核に魔石を補充しないと入れなくなるんだった。それも経費が馬鹿にならないらしいよ」
フィルが説明しているのは、リンドウ邸で使っている魔道具と同様の物だと察する。だが、聞く限りではまったく使い物になりそうもない。
「小型の物はない訳? 持ち運びできるような」
「んー、あるにはあるんだけど、入手はもっと困難。アルネスダンジョンの四十階層の主を討伐したときに低確率でドロップするアイテムなんだよ。従魔の勾玉っていう」
「それ持ってれば【箱庭】みたいに中に入れるんだ?」
「それがねー、入れないんだよ」
フィルによれば『従魔を中に収めることができる』という説明の品らしいのだが、実際には収めることができないというクレーム品であるとのこと。
「クレーム品って、ああ、なるほど、本当の従魔限定ってことか」
「そういうこと。多分、契約がされてない従魔は入れないってことだろうね」
「それならどっかで安く手に入れることはできないかな?」
クレーム品だし、と軽い考えで口に出したのだが、フィルは肩を竦めた。
「そう思うでしょ? ところがこっちも馬鹿みたいに高いんだよ。オークションで取り引きされるような物で、店頭販売はされてないんだ。レアドロップっていうのもあるんだけど、誰も取りに行かないからコレクターの間で価値が跳ね上がっちゃって」
「オークションに出品するような品ってことは、取れたら一攫千金なんじゃないの? それ狙いで四十階層の主を討伐しに行く冒険者もいそうなもんだけども」
「マッドピエロと連戦するってどう?」
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