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それぞれの成長 パーティー編
9.大きくなっちゃった(2)
しおりを挟む「ん? 待てよ?」
「ねぇ、さっきから何してんのさ? 僕は洗濯物じゃないんだけど」
「いや、ちょっと実験中なんだよ。サブロ、俺に【ダウン】を掛けてくれ」
サブロは困ったような顔で小首を捻る。俺に攻撃したくないようだと覚る。
「実験だから大丈夫だ。かけてくれ」
渋々といった様子で、サブロが俺に【ダウン】を使った。能力値が二割落ちた状態から更に二割低下していた。
どうやらサブロと一緒なら重ね掛けができるようだ。これはとんでもない力を得たなと思ったが、すぐにまた二割に戻る。
「あ、そうか、効果時間」
確認してみたところ、十五秒ほどだった。魔力消費量も一回につき五十と結構多め。三属性融合だからかやたらと消費量の多い【迅雷】と変わらない。
「で、終わったの?」
「うん、終わった。能力値減衰スキルの効果を試してたんだ。ところでフィルよ、ある数値の二割引き後の二割引きってどうなる?」
「えーっと、三十六パーセント引きくらいじゃない?」
フィルが少し考えた様子を見せて答え、ハッとした顔をする。
「まさかそんなに減衰させられるってこと⁉」
「十五秒くらいだけどね。でも基本は二割だろうな」
興奮して唾を飛ばし始めたフィルを下ろし、代わりにサブロを抱っこする。撫でるとつぶらな黒目を閉じて笑う。ちょっと重量感が出て迫力も増してしまったが、まだまだ可愛い。
しかし、これはもう肩に乗せるのは難しいな。どうしようかね。
従魔の証であるブレスレットは無事だった。左前足、というか今は左腕と表現した方がしっくりくるその手首に緩めて巻いてあった。
おそらく成長を予期したサブロが自分で外し、成長後に付け直したのだと思う。俺でも巻き直すのが難しそうだと思っていたのに、上手く巻き直されていた。
俺の視線に気づいたのか、サブロが誇らしげに胸を張り、従魔の証を見せてきた。
ちゃんと巻けてるでしょ、褒めて褒めて、と言っているように感じたので「よーしよしよし」と全身を撫で回してやる。
サブロはくすぐったいのかギャピギャピ鳴きながら転げ回る。可愛い。
「ユーゴ、思ったんだけどさ、こんなに大きくなっちゃったら、サブロはもう肩に乗せられないんじゃない?」
「うん、それは俺も考えてた。だけど隣を連れて歩くのも歩幅が違いすぎるからね。こっちに合わせて無理しちゃうだろうし、どうしようかなって」
そんな会話をしていると、サブロがいそいそと俺の手から逃れて立ち上がり腕組みした。誇らしげに胸を張って、鼻息をふんすと吐き出す。
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