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ドグマ組騒動編
12.ドグマ組長のお見舞いに行こう(7)
しおりを挟む「ミヅキ、ありゃあ一体何だ?」
「い、いえ。私にも分かりません。初めて目にしました」
「見たことがない?」
「エディ、責めるな。薄い光だったからな、ありゃあ肌を露出させねぇと気づけねぇだろ。サクヤはよく気づいたもんだぜ」
「たまたまです。肌着の隙間が目に入ったので」
「あ、すんません。ちょっと失礼」
ヤス君がドグマ組長の体を調べる。
「これ、何か塗ってありますね」
「それは、この塗り薬です。痛み止めだと言われて……」
ミヅキさんが貝殻の薬入れを袖口から取り出す。それをヤス君が受け取り凝視し、臭いを嗅ぐ。
「うん、ちょっと嫌な感じがします。多分、遅効性の弱毒っすね。ユーゴさん、俺はフィル君と一緒にレイさんのところに行ってきます。なんとなく話が見えてきたんで。最悪な繋がり方しましたけど」
エノーラ武具店の旦那さん、元王国術師で呪符研究者のレイさんの名前が出たこと、そして最悪な繋がり方という言葉を聞いて、俺の頭に、とあるパーティーの姿が浮かぶ。
「ノッゾさんたち絡んでる?」
ヤス君が真面目な顔で「だと思います」と首肯する。
「なら対処は早い方がいいね。こっちでも話は訊いておくから、そっちはお願い。できればエドワードさんも一緒に行ってもらえると助かるんですが」
「分かった。詳細はヤスヒトに馬車で聞く」
「お願いします」
ヤス君とエドワードさんが出ていくのを見送る。
「ユーゴ、ノッゾが絡んでるってなぁどういうことだ」
「うーん、俺はヤス君ほど頭が回る訳じゃないんですが、多分こうだという推測は立ちます。まず、確認なんですが、ミヅキさん、その塗り薬はいつから使ってますか?」
「これは、もう十数年前から使っております」
「では、ドグマ組長が今のような苦しみ方をするようになったのは?」
「三月ほど前からです。それまでは調子が良くなっていたのですが……」
俺は塗り薬を渡したのが誰か、そして三ヶ月より以前に体の調子を良くする施術があるという謳い文句で近づいた人物がいなかったかを訊ねた。
結果、一人の医者がすべての事柄に関わっているということが分かった。
「サイガさん、すいませんがその医者を取っ捕まえてもらうよう誰かに指示してもらえますか? もしかしたらラグナス帝国も関わってくるかもしれません」
「何だと⁉ ちょっと待て、ユーゴ、もう少し詳しく説明しちゃくんねぇか!」
「俺からも頼む!」
サクちゃんに頭を下げられたかと思ったら「私からもお願いいたします」とミヅキさんにまで頭を下げられてしまった。
余計なこと言わなきゃ良かった……。
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