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宿場町~裏社会編

21.宿場町に到着したなら毒の沼地で遊びましょう(5)

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「多分っすけど、この世界の創造主は、魔素を均一に保ちたいんだと思います。それで、魔物を殺して魔素を還元させた者に褒賞が与えられるシステムを作ったんじゃないかな、と」

「褒賞の目安が魔物化した生物ってことか」

「そういうことっすね」

「はー、ヤスヒトってそんなことまで考えてるんだね。僕はそういうもんだと思って考えたことすらなかったよ」

「ヤス君だからね。お陰で納得いったよ。魔物の中にだけ魔石が存在するのも何でだろうって思ってたけど、要は取得者に持ち運ばせる為ってことね」

 魔素が凝縮したものが魔石。この世界では古来よりあらゆる種族の生活に利用されている。いわば電池のようなもの。

「消費された魔素ってどうなるんだ?」

「そりゃ使ったらなくなるでしょ。でもそれじゃあ魔素は減る一方なんで、どっかから流れ込んできてるんだと思うんすよね」

「ああ、それはリンドウさんが言ってた魔物の沢山いる世界だろうね。魔素溜まりが大きくなると繋がるって言ってたし。俺たちの知らないところで、魔物の氾濫が起きてるってことか」

 森が開き、毒の沼地に到着。濃い紫色で、いたるところで小さな泡が立っている。かすみが掛かっているので、温度が高いようにも見える。もっとも、確認するつもりは毛頭ないが。

「あ、あのガスっぽいの、あんまり近寄らない方いいかもっすね」

「言われなくてもそうするつもりだったよ」

「ああ、既にドブ臭いからな。多分あのもやが原因だろ。ん、あれじゃないか?」

 サクちゃんが指差す。その方向に、イノリノミヤ神社で見たような祠があった。ただ、場所は沼地の直ぐ側だ。

「うえー、俺あそこに行かなきゃいけないんすかー」

「しょうがないだろ。行ってこい」

「僕もここで待ってるから行っておいでよ」

「いや、ヤス君が一人であそこにってのはどう考えても駄目でしょ。沼から何か飛び出てくるかもしれないし、誰か一緒に行かないと危ないと思うよ」

 じゃんけんを提案しようとしたが、サクちゃんとフィルから「どうぞどうぞ」と手の平を出された。

 ここで否定して、じゃんけんに持ち込むのもヤス君に悪い気がしたので、受け入れることにした。

「すんません、ユーゴさん」

「気にしなくていいよ。後でネチネチ言って昼飯は二人に出させよう」

 話しながらベチャベチャと泥濘ぬかるみを歩いて祠の前に行く。そんなに強い魔物が出ることはないと訊いているが警戒は怠らない。

 長居したくないという思いからだろう、祠の前に着くなりヤス君が魔力を送った。

 祠の扉が開き、紫色に輝く光の球が現れる。

 そして扉はパタンとすぐに閉じた。

「え、終わり⁉」

「そうなるよね。俺もサクちゃんも光属性取るとき同じ反応だったよ」

「えー……てか、これちゃんと使えるようになってんすか?」

 ヤス君が言い終えた直後、沼がぜた。
 
 
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