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ルルモア大学進学~二年生編

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 講義が終了し、アルベルトとメイ、エイプリルの三人が講義室を後にしました。手を繋いだあの日から、アルベルトはメイに冷たくすることはありません。
 エイプリルともありのままというものの意味について腹を割って話し、三人はとても仲良くなっていました。相変わらずイーブン合戦が行われることもありますが、今ではそれも単なるお遊び。とても平和な日々を過ごしています。

 そんな楽しいキャンパスライフを過ごす三人の後を、ジュリーはこっそりとつけていきます。これまで、度重なる嫌がらせを計画してきましたが、どれも実行することができていませんでした。いざやろうと心に決めても、必ず躊躇いが生まれてしまうのです。それは、こんなことをして何になる、という葛藤によるものでした。

 ジュリーはこれまでずっとアルベルトを見てきました。実直で正義感溢れる男の姿に何度も恋の溜め息を溢してきました。その上、一途に想い続け、ひたむきな努力を続けるメイの姿も見て応援し、ときには切なさに涙してきています。
 要するにジュリーは人情味のある情熱の人なのです。その心根の良さが邪魔をして、嫌がらせの計画は立てても踏み止まることができていたという訳です。

 しかしながら、それにも限度というものがありまして……。

 一年が過ぎ、最早、エイプリルに対する嫉妬心が抑えきれなくなりました。
 ついに、これまで考えてきた計画が実行される日が訪れたのです。

(見とけ! まずは小手調べじゃ!)

 ジュリーはメイ同様に優秀です。それはもう緻密に大量に計画を打ち立て、練り上げてきました。ただ、それらの残虐性に自分自身が怖れ慄き『これは怖い。いくらなんでもやりすぎじゃ』と、大半を放棄しています。
 ですので、残ったものは安全が考慮されているものばかりです。更には、それを発端に、みんなと少しは打ち解けられたらいいなという打算が含まれているので、陰湿さの欠片もありません。そうです。ジュリーは単純にコミュ障なのです。

 そんな残念伯爵令嬢ジュリーの第一の計画は『あら、ドレスの裾を踏んづけちゃってごめんあそばせ』です。これは歩いているエイプリルの後ろからドレスのスカートの裾を踏んづけて転ばせるという計画です。
 実行する日の為に、何度もイメージトレーニングを行ってきました。もちろん、脚力の強化もです。ジュリーの太ももとふくらはぎは今や至高の域に達していました。

 廊下を歩く生徒の隙間をすいすいと通り抜け、ジュリーはエイプリルの背後に到着しました。緊張と高揚感で、脈拍が上がり、心臓が大きく脈打ちます。
 
 
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