19 / 29
ルルモア大学進学~二年生編
7
しおりを挟む
講義が終了し、アルベルトとメイ、エイプリルの三人が講義室を後にしました。手を繋いだあの日から、アルベルトはメイに冷たくすることはありません。
エイプリルともありのままというものの意味について腹を割って話し、三人はとても仲良くなっていました。相変わらずイーブン合戦が行われることもありますが、今ではそれも単なるお遊び。とても平和な日々を過ごしています。
そんな楽しいキャンパスライフを過ごす三人の後を、ジュリーはこっそりとつけていきます。これまで、度重なる嫌がらせを計画してきましたが、どれも実行することができていませんでした。いざやろうと心に決めても、必ず躊躇いが生まれてしまうのです。それは、こんなことをして何になる、という葛藤によるものでした。
ジュリーはこれまでずっとアルベルトを見てきました。実直で正義感溢れる男の姿に何度も恋の溜め息を溢してきました。その上、一途に想い続け、ひたむきな努力を続けるメイの姿も見て応援し、ときには切なさに涙してきています。
要するにジュリーは人情味のある情熱の人なのです。その心根の良さが邪魔をして、嫌がらせの計画は立てても踏み止まることができていたという訳です。
しかしながら、それにも限度というものがありまして……。
一年が過ぎ、最早、エイプリルに対する嫉妬心が抑えきれなくなりました。
ついに、これまで考えてきた計画が実行される日が訪れたのです。
(見とけ! まずは小手調べじゃ!)
ジュリーはメイ同様に優秀です。それはもう緻密に大量に計画を打ち立て、練り上げてきました。ただ、それらの残虐性に自分自身が怖れ慄き『これは怖い。いくらなんでもやりすぎじゃ』と、大半を放棄しています。
ですので、残ったものは安全が考慮されているものばかりです。更には、それを発端に、みんなと少しは打ち解けられたらいいなという打算が含まれているので、陰湿さの欠片もありません。そうです。ジュリーは単純にコミュ障なのです。
そんな残念伯爵令嬢ジュリーの第一の計画は『あら、ドレスの裾を踏んづけちゃってごめんあそばせ』です。これは歩いているエイプリルの後ろからドレスのスカートの裾を踏んづけて転ばせるという計画です。
実行する日の為に、何度もイメージトレーニングを行ってきました。もちろん、脚力の強化もです。ジュリーの太ももとふくらはぎは今や至高の域に達していました。
廊下を歩く生徒の隙間をすいすいと通り抜け、ジュリーはエイプリルの背後に到着しました。緊張と高揚感で、脈拍が上がり、心臓が大きく脈打ちます。
エイプリルともありのままというものの意味について腹を割って話し、三人はとても仲良くなっていました。相変わらずイーブン合戦が行われることもありますが、今ではそれも単なるお遊び。とても平和な日々を過ごしています。
そんな楽しいキャンパスライフを過ごす三人の後を、ジュリーはこっそりとつけていきます。これまで、度重なる嫌がらせを計画してきましたが、どれも実行することができていませんでした。いざやろうと心に決めても、必ず躊躇いが生まれてしまうのです。それは、こんなことをして何になる、という葛藤によるものでした。
ジュリーはこれまでずっとアルベルトを見てきました。実直で正義感溢れる男の姿に何度も恋の溜め息を溢してきました。その上、一途に想い続け、ひたむきな努力を続けるメイの姿も見て応援し、ときには切なさに涙してきています。
要するにジュリーは人情味のある情熱の人なのです。その心根の良さが邪魔をして、嫌がらせの計画は立てても踏み止まることができていたという訳です。
しかしながら、それにも限度というものがありまして……。
一年が過ぎ、最早、エイプリルに対する嫉妬心が抑えきれなくなりました。
ついに、これまで考えてきた計画が実行される日が訪れたのです。
(見とけ! まずは小手調べじゃ!)
ジュリーはメイ同様に優秀です。それはもう緻密に大量に計画を打ち立て、練り上げてきました。ただ、それらの残虐性に自分自身が怖れ慄き『これは怖い。いくらなんでもやりすぎじゃ』と、大半を放棄しています。
ですので、残ったものは安全が考慮されているものばかりです。更には、それを発端に、みんなと少しは打ち解けられたらいいなという打算が含まれているので、陰湿さの欠片もありません。そうです。ジュリーは単純にコミュ障なのです。
そんな残念伯爵令嬢ジュリーの第一の計画は『あら、ドレスの裾を踏んづけちゃってごめんあそばせ』です。これは歩いているエイプリルの後ろからドレスのスカートの裾を踏んづけて転ばせるという計画です。
実行する日の為に、何度もイメージトレーニングを行ってきました。もちろん、脚力の強化もです。ジュリーの太ももとふくらはぎは今や至高の域に達していました。
廊下を歩く生徒の隙間をすいすいと通り抜け、ジュリーはエイプリルの背後に到着しました。緊張と高揚感で、脈拍が上がり、心臓が大きく脈打ちます。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
私はただ一度の暴言が許せない
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
厳かな結婚式だった。
花婿が花嫁のベールを上げるまでは。
ベールを上げ、その日初めて花嫁の顔を見た花婿マティアスは暴言を吐いた。
「私の花嫁は花のようなスカーレットだ!お前ではない!」と。
そして花嫁の父に向かって怒鳴った。
「騙したな!スカーレットではなく別人をよこすとは!
この婚姻はなしだ!訴えてやるから覚悟しろ!」と。
そこから始まる物語。
作者独自の世界観です。
短編予定。
のちのち、ちょこちょこ続編を書くかもしれません。
話が進むにつれ、ヒロイン・スカーレットの印象が変わっていくと思いますが。
楽しんでいただけると嬉しいです。
※9/10 13話公開後、ミスに気づいて何度か文を訂正、追加しました。申し訳ありません。
※9/20 最終回予定でしたが、訂正終わりませんでした!すみません!明日最終です!
※9/21 本編完結いたしました。ヒロインの夢がどうなったか、のところまでです。
ヒロインが誰を選んだのか?は読者の皆様に想像していただく終わり方となっております。
今後、番外編として別視点から見た物語など数話ののち、
ヒロインが誰と、どうしているかまでを書いたエピローグを公開する予定です。
よろしくお願いします。
※9/27 番外編を公開させていただきました。
※10/3 お話の一部(暴言部分1話、4話、6話)を訂正させていただきました。
※10/23 お話の一部(14話、番外編11ー1話)を訂正させていただきました。
※10/25 完結しました。
ここまでお読みくださった皆様。導いてくださった皆様にお礼申し上げます。
たくさんの方から感想をいただきました。
ありがとうございます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、
今後はいただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきます。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。
夢草 蝶
恋愛
侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。
そのため、当然婚約者もいない。
なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。
差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。
すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
婚約者の幼馴染?それが何か?
仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた
「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」
目の前にいる私の事はガン無視である
「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」
リカルドにそう言われたマリサは
「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」
ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・
「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」
「そんな!リカルド酷い!」
マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している
この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ
タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」
「まってくれタバサ!誤解なんだ」
リカルドを置いて、タバサは席を立った
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる