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PART I
04 告白
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「死んでますか」
背後から声がしても俺は振り返らなかった。ノボルは俺の横に来て、水の入ったグラスを差し出した。俺は黙って受け取ると、一気に飲み干した。
「これは、誰なんでしょうか」
ノボルは抑揚のない声で呟いた。自分の部屋に人が倒れているのに随分呑気なことだ。座り心地抜群のソファぐったりとに体を預け、俺はノボルに訊いた。
「お前がやったんじゃないのか」
「やったって、何を」
ノボルはうつぶせの男の体を上に向けた。
男の顔にはアザや傷ができていたが、親でも見分けがつかないというほどの損傷ではなかったので、ガラス玉のような瞳を天井に向けている男が、またしても自分であることは否定のしようがなかった。ノボルは男の手首をとって生命の兆候を探していたが、首を振った。
「死んでる」
「お前なのか、俺を――そいつを殺したのは」
「なんで俺が」
ノボルは挑むような目をこちらに向けてきた。ノボルが握っている男の手に防御創ができているのが確認できた。ノボルが手を離すと、男の手は毛足の長い絨毯の上にぽとりと落ちた。
「だってここは、お前の部屋だろう」
「自分が殺した奴の死体が転がっているとわかっているところへ、あなたを連れてきたりしませんよ」
それは確かにそうだが、どこか腑に落ちないことがあった。
「だが、前の現場でもお前は目撃されている」
「さっき、ここへ来る前に言っていたことですか。顔に傷のある男。でも俺の顔には傷なんて」
俺はこめかみを指先でぐりぐりと押した。考えがまとまらなかった。何かがおかしかった。
「写真」俺は部屋の中を見回して、言った。自分の声が遠くから響いて聞こえた。
「家族の写真とか、ないのか」
「俺には家族なんていませんよ」
冷ややかにノボルが言った。
だが、あの優しそうな夫婦は。俺は暗いところに意識が滑り落ちていくのを感じた。
みんな必死だった。施設の子供というのは、できるだけいい家族にもらわれていきたいという剥き出しの欲望を隠そうともしない。「来客」があると職員から通知された時は、皆戦闘モードに入る。「きちんとするように」などというお達しがなくても、みんな精一杯とりつくろった身なりや振る舞いで、俺たちを品定めにやってきた客に媚びを売る。
俺とノボルだけは、それに参加しなかった。ノボルは施設に来て三年が経過してもまだ母親がいつか迎えに来てくれるという希望を捨てられず、それを生きる糧にしていた。俺は反抗期のまっただなかだった。要するに、ノボルよりも遥かにガキだったのだ。俺は大抵の場合、客から話しかけられても返事もせず、部屋の隅で顔を背けていた。
誰がどう見ても俺は可愛げのないガキだった。性格を抜きにしても、外見が。目つきが鋭く小狡そうで、「不機嫌そう」と怒っていない時でも言われた。お前のように不細工な子供は誰も貰いたがらない、と俺にぶん殴られた職員が大勢で俺を押さえ付けて報復する時に笑いながら言っていた。確かにそうだ、と俺は思った。あの連中が欲しがるのは、できる限り世の中の手垢に染まっていない幼子か、ノボルのように見るからに大人しそうな、守ってやりたくなるようないたいけな様子をした、子供らしい子供だった。
だがノボルは客に対しては、頑なに拒絶する態度をとっていた。あの夫婦がやって来た時も。
「人は見かけじゃわからないんですよ、サカイさん」
遠くの方から声がした。
その夫婦は、子供たち全員に声をかけていた。決して若くはないが、上品そうな身なりから裕福であることが見て取れた。皆が俺の大嫌いなアニメのキャラクターのように身をくねらせて上目遣いに媚びを売っている間、俺は部屋の隅で漫画を読んでいた。
「何を読んでいるの」
振り向く前からふわりといい匂いがした。化粧をしていない首の白さが目に飛び込んできた。きれいに整えられた顔はまともに見ることができなかった。
「別に」
俺はそっぽを向いて、引き続き漫画に没頭しているふりをした。女性は更に二つ三つ俺に質問をした。俺は全て下を向いたまま一言で回答を済ませた。男の方もやってきて、
「あっちの端っこに居る子は、どういう子かな」と訊いてきた。男が指さしているのはノボルだった。
「あいつ、泣き虫だけど、素直でいい奴だよ。俺と違って、勉強も得意だ。ここの職員も手がかからなくていい子だって言ってる。おばさんたち、貰うんならああいう奴にしなよ」
男はうっすらと笑みを口元に浮かべ「そうか、ありがとう」と言った。
夫婦がノボルの方に行きかけたので、俺は緊張を解いて今度こそ本当に漫画に集中しようと思った。その時
「あなた、この傷はどうしたの?」
再度いい匂いがふわっと漂って、女の指が優しく俺の頬に触れた。俺は驚いて女の手を力いっぱい払いのけた。思った以上にでかい音が響いた。
目を吊り上げた職員が小走りにこちらにやって来るのが見えた。また反省室に閉じ込められるのか、と俺はげんなりした。暗闇で食事も水も与えてもらえないのだ。毎度のことだが、あれは相当なダメージを受ける。
しかし女は笑顔で職員を制した。
「私ったら、ごめんなさい。勝手に触れるなんて、ルール違反もいいところだわ。本当にごめんなさいね」
その女――夫婦は、結局ノボルを選んだ。よい選択だ、と俺は思った。あんな夫婦の家に貰われていくのなら悪くないんじゃないか。だが、俺のような跳ねっ返りにはそんな幸福はやって来ない。それは子供心によくわかっていた。
「あの二人が親でも幸せになれなかったというのか。こんな豪勢な部屋で暮らしてるっていうのに。俺の夢を壊すなよ」
自分の声がどんどん遠ざかっていく気がした。
「人は見かけによらない、って言ったでしょ。サカイさん、あの二人と施設で初めて会った時、俺になんて言ったと思います?」
さあなあ。俺は目頭を押さえて首を振った。頭が重かった。
「あそこにいる頬に傷のある子は、どうしてけがをしたのかって。あの子はどういう子かって。俺は、あの子は乱暴者だって答えたんだ。喧嘩ばかりして、施設の鼻つまみ者だって」
俺は目を閉じたまま低い声で笑った。ノボルの言う通りだったからだ。
「俺はあせった。あの人たち、あんたを引き取るつもりだって思った。だから俺、腕の火傷の痕を見せて、あんたにやられたって言ったんだ。ここから出たいんだってすがり付いた」
「ちびの癖になかなか賢いじゃないか」俺は笑った。
「笑い事じゃない!」
急にノボルが怒りを爆発させたので、俺は目を開いた。
「それであんたの人生は、台無しになった。俺が嘘をついて、あの夫婦を騙したから。俺の傷は職員にやられたものだったし、あんたの頬の傷は、その俺を職員から助けようとして殴られた時のものだったのに。俺は――」
「そんなこと、俺は覚えちゃいない」
俺はノボルの目を見て言った。
「それに、勝手に人の人生を台無し呼ばわりするな。浮気調査が専門だからって、馬鹿にするな」
「俺を庇ってくれたのはあんただけだったのに。俺はまんまと嘘をついてあの人達の子供になった。だけど、人はみかけじゃ、わからないんだ」
ノボルはがっくりとうなだれて、死んでいる俺の方に目線を落とした。
「その年になってまだ甘ったれたことを言っているのかお前は。さすがにもう面倒見切れないぞ」
俺はそっと上着の内ポケットに手を伸ばした。
「あいつらは、人間の皮を被った悪魔だった。本当なら、あいつらの餌食になるのは、あんたのはずだったのに。あいつらは、最初あんたに目をつけていた。体が頑丈そうで、生意気そうだったから。その方が楽しめるって、あいつらは思っていたんだ。それなのに」
「まさか、そんなことが利点になるとは思わなかったなあ」
俺は左手で顎を撫でさすりながら言った。伸びた髭が指先でざらついた。
「あんたが、悪いんだ」
ノボルが飛びかかって来たのと俺がポケットからピストルを取り出したのとほぼ同時だったが、酒を飲み過ぎた影響で、俺の動作は普段より緩慢だった。
手からピストルが弾き飛ばされ、俺は床の上に引き倒された。両腕で必死に防御したが、何発かはまともに顔面にくらった。しかし所詮、ノボルのような温室育ちのボンボンは、俺みたいな野良猫の敵ではなかった。
俺はノボルの攻撃をかわして横っ腹に膝蹴りを加えると、相手がひるんだ隙に顔面に強烈な右をくらわせた。声も出さずに、ノボルの体が横に倒れた。俺は奴の体の下から抜け出し、立ち上がって部屋の隅に転がっていたピストルを拾い上げた。
ノボルの左頬に傷ができていた。しかし、受けたダメージは俺の方が酷かった。俺はハンカチを取り出し鼻血を拭った。唇も切れていた。
伸びているノボルと、死体の男を交互に見比べた。傷の具合から見て、この部屋で死んでいる男――どう見ても俺――の死因は撲殺、ということになるのだろうか。XXXの俺の部屋で殺されていた俺とは明らかに死因が異なる。俺がユミだかルミだかから依頼されたのは、俺の部屋に転がっていた男のことであり、だったら俺はナイフが胸に刺さっていた男の事件を負うべきだ、とふらつく頭で俺は考えた。
ノボルはどちらの殺しもやってないと言っていた。それが本当かどうか、俺にはわからない。ノボルの言う通り、ひとは変わるものだし、見た目ではわからないものだ。
だが、先の殺しで、俺は事件の手がかりと思しきブツを入手していた。死体が手に握っていたものと、玄関に落ちていたもの。とりあえずは、それらを追ってみることにしよう。
俺はノボルが息をしていることを確認してから部屋を出た。
背後から声がしても俺は振り返らなかった。ノボルは俺の横に来て、水の入ったグラスを差し出した。俺は黙って受け取ると、一気に飲み干した。
「これは、誰なんでしょうか」
ノボルは抑揚のない声で呟いた。自分の部屋に人が倒れているのに随分呑気なことだ。座り心地抜群のソファぐったりとに体を預け、俺はノボルに訊いた。
「お前がやったんじゃないのか」
「やったって、何を」
ノボルはうつぶせの男の体を上に向けた。
男の顔にはアザや傷ができていたが、親でも見分けがつかないというほどの損傷ではなかったので、ガラス玉のような瞳を天井に向けている男が、またしても自分であることは否定のしようがなかった。ノボルは男の手首をとって生命の兆候を探していたが、首を振った。
「死んでる」
「お前なのか、俺を――そいつを殺したのは」
「なんで俺が」
ノボルは挑むような目をこちらに向けてきた。ノボルが握っている男の手に防御創ができているのが確認できた。ノボルが手を離すと、男の手は毛足の長い絨毯の上にぽとりと落ちた。
「だってここは、お前の部屋だろう」
「自分が殺した奴の死体が転がっているとわかっているところへ、あなたを連れてきたりしませんよ」
それは確かにそうだが、どこか腑に落ちないことがあった。
「だが、前の現場でもお前は目撃されている」
「さっき、ここへ来る前に言っていたことですか。顔に傷のある男。でも俺の顔には傷なんて」
俺はこめかみを指先でぐりぐりと押した。考えがまとまらなかった。何かがおかしかった。
「写真」俺は部屋の中を見回して、言った。自分の声が遠くから響いて聞こえた。
「家族の写真とか、ないのか」
「俺には家族なんていませんよ」
冷ややかにノボルが言った。
だが、あの優しそうな夫婦は。俺は暗いところに意識が滑り落ちていくのを感じた。
みんな必死だった。施設の子供というのは、できるだけいい家族にもらわれていきたいという剥き出しの欲望を隠そうともしない。「来客」があると職員から通知された時は、皆戦闘モードに入る。「きちんとするように」などというお達しがなくても、みんな精一杯とりつくろった身なりや振る舞いで、俺たちを品定めにやってきた客に媚びを売る。
俺とノボルだけは、それに参加しなかった。ノボルは施設に来て三年が経過してもまだ母親がいつか迎えに来てくれるという希望を捨てられず、それを生きる糧にしていた。俺は反抗期のまっただなかだった。要するに、ノボルよりも遥かにガキだったのだ。俺は大抵の場合、客から話しかけられても返事もせず、部屋の隅で顔を背けていた。
誰がどう見ても俺は可愛げのないガキだった。性格を抜きにしても、外見が。目つきが鋭く小狡そうで、「不機嫌そう」と怒っていない時でも言われた。お前のように不細工な子供は誰も貰いたがらない、と俺にぶん殴られた職員が大勢で俺を押さえ付けて報復する時に笑いながら言っていた。確かにそうだ、と俺は思った。あの連中が欲しがるのは、できる限り世の中の手垢に染まっていない幼子か、ノボルのように見るからに大人しそうな、守ってやりたくなるようないたいけな様子をした、子供らしい子供だった。
だがノボルは客に対しては、頑なに拒絶する態度をとっていた。あの夫婦がやって来た時も。
「人は見かけじゃわからないんですよ、サカイさん」
遠くの方から声がした。
その夫婦は、子供たち全員に声をかけていた。決して若くはないが、上品そうな身なりから裕福であることが見て取れた。皆が俺の大嫌いなアニメのキャラクターのように身をくねらせて上目遣いに媚びを売っている間、俺は部屋の隅で漫画を読んでいた。
「何を読んでいるの」
振り向く前からふわりといい匂いがした。化粧をしていない首の白さが目に飛び込んできた。きれいに整えられた顔はまともに見ることができなかった。
「別に」
俺はそっぽを向いて、引き続き漫画に没頭しているふりをした。女性は更に二つ三つ俺に質問をした。俺は全て下を向いたまま一言で回答を済ませた。男の方もやってきて、
「あっちの端っこに居る子は、どういう子かな」と訊いてきた。男が指さしているのはノボルだった。
「あいつ、泣き虫だけど、素直でいい奴だよ。俺と違って、勉強も得意だ。ここの職員も手がかからなくていい子だって言ってる。おばさんたち、貰うんならああいう奴にしなよ」
男はうっすらと笑みを口元に浮かべ「そうか、ありがとう」と言った。
夫婦がノボルの方に行きかけたので、俺は緊張を解いて今度こそ本当に漫画に集中しようと思った。その時
「あなた、この傷はどうしたの?」
再度いい匂いがふわっと漂って、女の指が優しく俺の頬に触れた。俺は驚いて女の手を力いっぱい払いのけた。思った以上にでかい音が響いた。
目を吊り上げた職員が小走りにこちらにやって来るのが見えた。また反省室に閉じ込められるのか、と俺はげんなりした。暗闇で食事も水も与えてもらえないのだ。毎度のことだが、あれは相当なダメージを受ける。
しかし女は笑顔で職員を制した。
「私ったら、ごめんなさい。勝手に触れるなんて、ルール違反もいいところだわ。本当にごめんなさいね」
その女――夫婦は、結局ノボルを選んだ。よい選択だ、と俺は思った。あんな夫婦の家に貰われていくのなら悪くないんじゃないか。だが、俺のような跳ねっ返りにはそんな幸福はやって来ない。それは子供心によくわかっていた。
「あの二人が親でも幸せになれなかったというのか。こんな豪勢な部屋で暮らしてるっていうのに。俺の夢を壊すなよ」
自分の声がどんどん遠ざかっていく気がした。
「人は見かけによらない、って言ったでしょ。サカイさん、あの二人と施設で初めて会った時、俺になんて言ったと思います?」
さあなあ。俺は目頭を押さえて首を振った。頭が重かった。
「あそこにいる頬に傷のある子は、どうしてけがをしたのかって。あの子はどういう子かって。俺は、あの子は乱暴者だって答えたんだ。喧嘩ばかりして、施設の鼻つまみ者だって」
俺は目を閉じたまま低い声で笑った。ノボルの言う通りだったからだ。
「俺はあせった。あの人たち、あんたを引き取るつもりだって思った。だから俺、腕の火傷の痕を見せて、あんたにやられたって言ったんだ。ここから出たいんだってすがり付いた」
「ちびの癖になかなか賢いじゃないか」俺は笑った。
「笑い事じゃない!」
急にノボルが怒りを爆発させたので、俺は目を開いた。
「それであんたの人生は、台無しになった。俺が嘘をついて、あの夫婦を騙したから。俺の傷は職員にやられたものだったし、あんたの頬の傷は、その俺を職員から助けようとして殴られた時のものだったのに。俺は――」
「そんなこと、俺は覚えちゃいない」
俺はノボルの目を見て言った。
「それに、勝手に人の人生を台無し呼ばわりするな。浮気調査が専門だからって、馬鹿にするな」
「俺を庇ってくれたのはあんただけだったのに。俺はまんまと嘘をついてあの人達の子供になった。だけど、人はみかけじゃ、わからないんだ」
ノボルはがっくりとうなだれて、死んでいる俺の方に目線を落とした。
「その年になってまだ甘ったれたことを言っているのかお前は。さすがにもう面倒見切れないぞ」
俺はそっと上着の内ポケットに手を伸ばした。
「あいつらは、人間の皮を被った悪魔だった。本当なら、あいつらの餌食になるのは、あんたのはずだったのに。あいつらは、最初あんたに目をつけていた。体が頑丈そうで、生意気そうだったから。その方が楽しめるって、あいつらは思っていたんだ。それなのに」
「まさか、そんなことが利点になるとは思わなかったなあ」
俺は左手で顎を撫でさすりながら言った。伸びた髭が指先でざらついた。
「あんたが、悪いんだ」
ノボルが飛びかかって来たのと俺がポケットからピストルを取り出したのとほぼ同時だったが、酒を飲み過ぎた影響で、俺の動作は普段より緩慢だった。
手からピストルが弾き飛ばされ、俺は床の上に引き倒された。両腕で必死に防御したが、何発かはまともに顔面にくらった。しかし所詮、ノボルのような温室育ちのボンボンは、俺みたいな野良猫の敵ではなかった。
俺はノボルの攻撃をかわして横っ腹に膝蹴りを加えると、相手がひるんだ隙に顔面に強烈な右をくらわせた。声も出さずに、ノボルの体が横に倒れた。俺は奴の体の下から抜け出し、立ち上がって部屋の隅に転がっていたピストルを拾い上げた。
ノボルの左頬に傷ができていた。しかし、受けたダメージは俺の方が酷かった。俺はハンカチを取り出し鼻血を拭った。唇も切れていた。
伸びているノボルと、死体の男を交互に見比べた。傷の具合から見て、この部屋で死んでいる男――どう見ても俺――の死因は撲殺、ということになるのだろうか。XXXの俺の部屋で殺されていた俺とは明らかに死因が異なる。俺がユミだかルミだかから依頼されたのは、俺の部屋に転がっていた男のことであり、だったら俺はナイフが胸に刺さっていた男の事件を負うべきだ、とふらつく頭で俺は考えた。
ノボルはどちらの殺しもやってないと言っていた。それが本当かどうか、俺にはわからない。ノボルの言う通り、ひとは変わるものだし、見た目ではわからないものだ。
だが、先の殺しで、俺は事件の手がかりと思しきブツを入手していた。死体が手に握っていたものと、玄関に落ちていたもの。とりあえずは、それらを追ってみることにしよう。
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