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第二章
01 水没の層
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水没層とは、広義には、塔の水面上に出ている部分の最下層で、水没ぎりぎりの階、およびすぐその下の、塔内まで浸入した水に満ち水没している階層の両方を指す言葉であり、狭義には、実際に塔内を侵食する水の境目が見える場所、即ち最下層の吹き抜けとそれを囲む回廊を指す。
コミューンの民の殆どは、話に聞いたことはあっても、実際に水没層まで足を運ぶことはない。第一に、用事がない。第二に、水没層の吹き抜けを満たす黒々とした水は、ただでさえ水を恐れる民を震え上がらせずにはいられないから。それは、陽光の下、塔の外に広がる青みがかかった緑色の水と同じものであると頭ではわかっていても、じめじめした空気のなか、明かりの殆ど届かない塔の中心にぽっかり空いた巨大な吹き抜けを満たす漆黒の水は、見るからに忌まわしく、そこから発せられる瘴気を吸っただけで病気になりそうだ。
がらんどうの部屋から部屋を渡り歩き、吹き抜けを囲む回廊に出た時、ワタルは心臓を鷲掴みにされたかのような息苦しさを覚えた。ゲンヤが隣にいることがこれほど頼もしく思えたことはなかった。
覚悟の上で来たはずなのに。
吹き抜けを満たす水は、ワタルとゲンヤが立っている位置からかなり低いところで、軽く波打っていた。
「おかしいな」
ゲンヤが呟いた。
「なにが」
「水が減っている」
では、ゲンヤは以前にもここに来たことがあるのだ、とワタルは思う。少年時代に二人でやって来たそのあとに、ということだが。
「僕は、ここへ来るのは二度目だが」
ワタルは十年ほども前のことになる初回訪問時の記憶を呼び起こしながら言う。
「前は、そうだな、下の階の天井が隠れるぐらい水位が高かったはずだ。水は、ここから手を延ばせば、届きそうなところまで来ていた」
黒々とした水が足元近くまで迫っており、それで一層恐怖を掻き立てられたことをワタルはまざまざと思い出した。あの時は、下の階は完全に水に浸かっていて見えなかったのに、今は対岸の闇に眼を凝らして見れば、一階層下の回廊からホール、さらにその奥へと導くアーチ型の入り口の上の部分が見えており、奥に控えている完全な闇が一段と不安を掻き立てる。
「時間によって、あるいは季節によって多少の水位の変化はあるものだが、これほどの低下は」
ゲンヤが物思いに耽りながら回廊の手すりに近づくと、厳しい声が飛んできた。
「それに近づくな」
次いで、シャッという空気を切る音と共に、緑色に光る大きな黒い塊がゲンヤに躍りかかった。
ワタルが恐怖で固まっている間に、黒い塊は呆気にとられた顔のゲンヤのローブを咥え、ぐいと後ろに引いた。
「うわっ」
ほとんど投げ飛ばされたような勢いに、ゲンヤは咄嗟に受け身をとるのが精一杯で、ごろんと転がって壁にぶつかった。
緑色に発光する黒い物体は、床に倒れて顔をしかめているゲンヤにとびかかった。
「うわあああ、ゲンヤが食われる」
思わず恐怖の叫び声をあげたワタルの背後から、先程警告を発した声が再度飛んだ。
「あんな痩せっぽちを、食うわけなかろう」
ワタルが振り返ると、フードを被った小柄な人物が、目と鼻の先に立っていた。そのフードの中の顔は、仮面で隠されていた。
「出たあ!」
よろめいて手すりに手をついたワタルの下で、ばきっと不吉な音がした。柵状の石の手すりが壊れて、黒い水の中に崩れ落ちた。体の支えを失ったワタルも、黒い水に吸い寄せられるように、ゆっくりと倒れていく。
「だから、それに近寄るなと言うたではないか」
うんざりしたような声とともに、ワタルのローブの端がぐいと引っ張られ、乱暴に放り投げられた。ワタルも床を転がって、先に倒れていたゲンヤにぶつかって静止した。ゲンヤに覆い被さって顔を舐めまわしていた黒い塊が飛び退り、抗議の声を上げた。
「カーッ」
「お前たちは、なぜひとの忠告を素直に聞かぬのだ」
呆れ果てたという様子で二人を見下ろす仮面の人物が言った。
「なんだ、君だったのか」
ワタルの緊張が一気に解けた。
「一体誰だと思ったのだ」と猫の世話係は冷たく言い放った。
猫の世話係は、まだ動悸が治まらない胸の辺りを押さえつつ立ち上がったワタルを無視して崩れ落ちた手すりの前にかがみ込んでいる。フードを取り払った姿は、仮面もその下の皮膚、さらに髪までまっ白で、薄く光って見える。
手すりはワタルの腰の位置ぐらいの高さ、柱状の手すり子が均等に並ぶ上に笠木が横に通った構造なのだが、世話係二人分ぐらいの幅が破損して水の中に落ちていた。この階層の手すりは石造りなので、残骸は既に沈み、水面には何も浮いていない。
「まさか、手すりに細工してあったのか?」
ワタルが恐る恐る近づいて尋ねると、世話係は振り向きもせずに答える。
「何のために? いつか、ここにやって来る誰かが、不用心にももたれかかって転落するように? そんな効率の悪いことをする馬鹿者がいるか」
エルの話では、猫の世話係は前にもここに来ていたことが目撃されているから、彼のことを恨んでいる不特定多数の人間の犯行かもしれない、と内心思いつつ、ワタルは頭を振った。
「確かに、それは、ない、かも」
下手な細工を見破られて報復に出られたら恐ろしいから、そんな愚かな真似をする者はいないだろう、という結論にワタルは達した。
猫の世話係は、手すりに沿って歩き始めた。体重をかけないよう手すりの表面に軽く手を添わせている。
「特に細工をしたような痕跡は見当たらない。そもそも、この辺りは老朽化が著しい。単なる経年劣化かもしれない。だが」と折れた手すりの断面を調べていたゲンヤも、猫の世話係とは反対回りで手すりに沿って回廊を歩き始めた。
ワタルは、呪われた(としか思えない)黒い水に落ちかけたショックが冷めやらず、手すりから二歩離れたところから破損個所を観察してみたが、やはり何も見つからなかった。
ゲンヤが立ち止まった。
「ここに、おかしな跡がある」
ワタルと猫の世話係も集まって、ゲンヤが指さすものを見る。手すり子の下の部分だ。
「何かが、こすれたような跡かな」とワタルが首を傾げると
「この擦れた跡の角度からすると、下からロープを投げてここをくぐらせ、下からよじ登ったようだ」と猫の世話係が、手すりに寄りかからないよう注意しながら、身を乗り出して下を眺めて、言った。
「真下の壁が汚れている。向こうで崩れた手すりの下の壁にも、よく似た汚れが付着していた。恐らく、ただでさえ脆くなっていたところへ侵入者によって余計な負荷がかけられ崩壊寸前になっていた。そこへ、たまたま注意力散漫な馬鹿者がやってきて、親切な忠告を無視して手を触れたから、ああなったのだ」
「それではやはり、賊はここから侵入したことになる」とゲンヤ。
「少なくとも、それが最も簡単な経路ではあるだろう」と世話係は言った。
「なぜ」とワタルは納得がいかない顔で問うた。
「死体じゃあるまいし、どうして生きた人間がこんな吹き抜けから侵入してくるんだ」
あの少年は、塔の外に身投げをして、一旦沈んだ体が、塔内に入り込み、体内に溜まったガスのせいで膨らみ、吹き抜けに浮かんできたのだったが、生きた人間の場合はそんなことは――
「ワタル」
ゲンヤに肩を掴まれて、ワタルは我に返った。ゲンヤは険しい顔でワタルを見つめながら、言う。
「この吹き抜け以外、外から侵入できるところはない。外側の水面に近い窓は、塞いだり鉄格子を付けたりしてある。内側も、この水没層から下へ向かう階段などは塞いである。これは、外部からの侵入に備えているというよりは、うっかり足を踏み外して水の中に転落したら命を落としかねないからだが。これらのバリケードが破られた形跡はなかった、と警備団長から報告を受けている。だが、水没層の水位が下がっている今ならば、外部から潜って塔内に侵入し、この吹き抜けまでたどり着くことも、そう難しくはないだろう」
そんなことのできる人間が居るのだろうか。
塔は広大だ。特に、巨大な塔を支える土台に近い部分である水没層は、はるか上層にある職人区域よりも、一段と広い。外部から潜って塔内に潜入し、水没層をひたすら泳いで、吹き抜けまで到達するなんて。中心に向かえば太陽の光は届かなくなるだろう。水もそれ以外も全て真っ暗な中、水位が下がったとはいえ、天井が恐ろしく低く、そして迫りくるように感じられる中、一体何が潜んでいるかわからない水の中を泳いで塔の中心を目指す――想像しただけでワタルは気分が悪くなった。
そうしてようやく吹き抜けに辿りついたら、ロープを使ってくたびれ切った体で、どうにか回廊にまで這い上がる。そして、塔内をうろつく。一体なんのために。
「それでは、やはり何者かが外部から侵入したということか」ワタルはしわがれ声で言った。
「それは、まだわからない」と猫の世話係はそっけない。
「しかし、ここを見張らせておけば、何かが引っかかるはずだ。おやあ」
頓狂な声をあげた世話係に、ワタルは警戒心を高めた。
「なんだい、何を見つけた?」
「ネコチャンがいない」
「えっ」
「不審人物が塔内をうろついているかもしれないというのに、どこに行ったのかな」
そう言って、世話係はそわそわと小走りに去った。
「早く捕まえないと、猫に食べられるかもしれないな……」
不安そうなワタルに、ゲンヤがにやりと笑って、言う。
「だったら、ここに張り込んでみるかい」
コミューンの民の殆どは、話に聞いたことはあっても、実際に水没層まで足を運ぶことはない。第一に、用事がない。第二に、水没層の吹き抜けを満たす黒々とした水は、ただでさえ水を恐れる民を震え上がらせずにはいられないから。それは、陽光の下、塔の外に広がる青みがかかった緑色の水と同じものであると頭ではわかっていても、じめじめした空気のなか、明かりの殆ど届かない塔の中心にぽっかり空いた巨大な吹き抜けを満たす漆黒の水は、見るからに忌まわしく、そこから発せられる瘴気を吸っただけで病気になりそうだ。
がらんどうの部屋から部屋を渡り歩き、吹き抜けを囲む回廊に出た時、ワタルは心臓を鷲掴みにされたかのような息苦しさを覚えた。ゲンヤが隣にいることがこれほど頼もしく思えたことはなかった。
覚悟の上で来たはずなのに。
吹き抜けを満たす水は、ワタルとゲンヤが立っている位置からかなり低いところで、軽く波打っていた。
「おかしいな」
ゲンヤが呟いた。
「なにが」
「水が減っている」
では、ゲンヤは以前にもここに来たことがあるのだ、とワタルは思う。少年時代に二人でやって来たそのあとに、ということだが。
「僕は、ここへ来るのは二度目だが」
ワタルは十年ほども前のことになる初回訪問時の記憶を呼び起こしながら言う。
「前は、そうだな、下の階の天井が隠れるぐらい水位が高かったはずだ。水は、ここから手を延ばせば、届きそうなところまで来ていた」
黒々とした水が足元近くまで迫っており、それで一層恐怖を掻き立てられたことをワタルはまざまざと思い出した。あの時は、下の階は完全に水に浸かっていて見えなかったのに、今は対岸の闇に眼を凝らして見れば、一階層下の回廊からホール、さらにその奥へと導くアーチ型の入り口の上の部分が見えており、奥に控えている完全な闇が一段と不安を掻き立てる。
「時間によって、あるいは季節によって多少の水位の変化はあるものだが、これほどの低下は」
ゲンヤが物思いに耽りながら回廊の手すりに近づくと、厳しい声が飛んできた。
「それに近づくな」
次いで、シャッという空気を切る音と共に、緑色に光る大きな黒い塊がゲンヤに躍りかかった。
ワタルが恐怖で固まっている間に、黒い塊は呆気にとられた顔のゲンヤのローブを咥え、ぐいと後ろに引いた。
「うわっ」
ほとんど投げ飛ばされたような勢いに、ゲンヤは咄嗟に受け身をとるのが精一杯で、ごろんと転がって壁にぶつかった。
緑色に発光する黒い物体は、床に倒れて顔をしかめているゲンヤにとびかかった。
「うわあああ、ゲンヤが食われる」
思わず恐怖の叫び声をあげたワタルの背後から、先程警告を発した声が再度飛んだ。
「あんな痩せっぽちを、食うわけなかろう」
ワタルが振り返ると、フードを被った小柄な人物が、目と鼻の先に立っていた。そのフードの中の顔は、仮面で隠されていた。
「出たあ!」
よろめいて手すりに手をついたワタルの下で、ばきっと不吉な音がした。柵状の石の手すりが壊れて、黒い水の中に崩れ落ちた。体の支えを失ったワタルも、黒い水に吸い寄せられるように、ゆっくりと倒れていく。
「だから、それに近寄るなと言うたではないか」
うんざりしたような声とともに、ワタルのローブの端がぐいと引っ張られ、乱暴に放り投げられた。ワタルも床を転がって、先に倒れていたゲンヤにぶつかって静止した。ゲンヤに覆い被さって顔を舐めまわしていた黒い塊が飛び退り、抗議の声を上げた。
「カーッ」
「お前たちは、なぜひとの忠告を素直に聞かぬのだ」
呆れ果てたという様子で二人を見下ろす仮面の人物が言った。
「なんだ、君だったのか」
ワタルの緊張が一気に解けた。
「一体誰だと思ったのだ」と猫の世話係は冷たく言い放った。
猫の世話係は、まだ動悸が治まらない胸の辺りを押さえつつ立ち上がったワタルを無視して崩れ落ちた手すりの前にかがみ込んでいる。フードを取り払った姿は、仮面もその下の皮膚、さらに髪までまっ白で、薄く光って見える。
手すりはワタルの腰の位置ぐらいの高さ、柱状の手すり子が均等に並ぶ上に笠木が横に通った構造なのだが、世話係二人分ぐらいの幅が破損して水の中に落ちていた。この階層の手すりは石造りなので、残骸は既に沈み、水面には何も浮いていない。
「まさか、手すりに細工してあったのか?」
ワタルが恐る恐る近づいて尋ねると、世話係は振り向きもせずに答える。
「何のために? いつか、ここにやって来る誰かが、不用心にももたれかかって転落するように? そんな効率の悪いことをする馬鹿者がいるか」
エルの話では、猫の世話係は前にもここに来ていたことが目撃されているから、彼のことを恨んでいる不特定多数の人間の犯行かもしれない、と内心思いつつ、ワタルは頭を振った。
「確かに、それは、ない、かも」
下手な細工を見破られて報復に出られたら恐ろしいから、そんな愚かな真似をする者はいないだろう、という結論にワタルは達した。
猫の世話係は、手すりに沿って歩き始めた。体重をかけないよう手すりの表面に軽く手を添わせている。
「特に細工をしたような痕跡は見当たらない。そもそも、この辺りは老朽化が著しい。単なる経年劣化かもしれない。だが」と折れた手すりの断面を調べていたゲンヤも、猫の世話係とは反対回りで手すりに沿って回廊を歩き始めた。
ワタルは、呪われた(としか思えない)黒い水に落ちかけたショックが冷めやらず、手すりから二歩離れたところから破損個所を観察してみたが、やはり何も見つからなかった。
ゲンヤが立ち止まった。
「ここに、おかしな跡がある」
ワタルと猫の世話係も集まって、ゲンヤが指さすものを見る。手すり子の下の部分だ。
「何かが、こすれたような跡かな」とワタルが首を傾げると
「この擦れた跡の角度からすると、下からロープを投げてここをくぐらせ、下からよじ登ったようだ」と猫の世話係が、手すりに寄りかからないよう注意しながら、身を乗り出して下を眺めて、言った。
「真下の壁が汚れている。向こうで崩れた手すりの下の壁にも、よく似た汚れが付着していた。恐らく、ただでさえ脆くなっていたところへ侵入者によって余計な負荷がかけられ崩壊寸前になっていた。そこへ、たまたま注意力散漫な馬鹿者がやってきて、親切な忠告を無視して手を触れたから、ああなったのだ」
「それではやはり、賊はここから侵入したことになる」とゲンヤ。
「少なくとも、それが最も簡単な経路ではあるだろう」と世話係は言った。
「なぜ」とワタルは納得がいかない顔で問うた。
「死体じゃあるまいし、どうして生きた人間がこんな吹き抜けから侵入してくるんだ」
あの少年は、塔の外に身投げをして、一旦沈んだ体が、塔内に入り込み、体内に溜まったガスのせいで膨らみ、吹き抜けに浮かんできたのだったが、生きた人間の場合はそんなことは――
「ワタル」
ゲンヤに肩を掴まれて、ワタルは我に返った。ゲンヤは険しい顔でワタルを見つめながら、言う。
「この吹き抜け以外、外から侵入できるところはない。外側の水面に近い窓は、塞いだり鉄格子を付けたりしてある。内側も、この水没層から下へ向かう階段などは塞いである。これは、外部からの侵入に備えているというよりは、うっかり足を踏み外して水の中に転落したら命を落としかねないからだが。これらのバリケードが破られた形跡はなかった、と警備団長から報告を受けている。だが、水没層の水位が下がっている今ならば、外部から潜って塔内に侵入し、この吹き抜けまでたどり着くことも、そう難しくはないだろう」
そんなことのできる人間が居るのだろうか。
塔は広大だ。特に、巨大な塔を支える土台に近い部分である水没層は、はるか上層にある職人区域よりも、一段と広い。外部から潜って塔内に潜入し、水没層をひたすら泳いで、吹き抜けまで到達するなんて。中心に向かえば太陽の光は届かなくなるだろう。水もそれ以外も全て真っ暗な中、水位が下がったとはいえ、天井が恐ろしく低く、そして迫りくるように感じられる中、一体何が潜んでいるかわからない水の中を泳いで塔の中心を目指す――想像しただけでワタルは気分が悪くなった。
そうしてようやく吹き抜けに辿りついたら、ロープを使ってくたびれ切った体で、どうにか回廊にまで這い上がる。そして、塔内をうろつく。一体なんのために。
「それでは、やはり何者かが外部から侵入したということか」ワタルはしわがれ声で言った。
「それは、まだわからない」と猫の世話係はそっけない。
「しかし、ここを見張らせておけば、何かが引っかかるはずだ。おやあ」
頓狂な声をあげた世話係に、ワタルは警戒心を高めた。
「なんだい、何を見つけた?」
「ネコチャンがいない」
「えっ」
「不審人物が塔内をうろついているかもしれないというのに、どこに行ったのかな」
そう言って、世話係はそわそわと小走りに去った。
「早く捕まえないと、猫に食べられるかもしれないな……」
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