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夢から醒める
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目が覚めると、なんだか頭がぐらぐらした。仕舞い込んでいた体温計を出してきて熱を測ると、39度の熱がある。こんな熱を出したのは久しぶりだった。
家におかゆとか、ゼリーとか気の利いたものは存在しない。まして大学に入ってから体調も崩していなかったから、薬さえなかった。水道水をコップに入れて一気に呷り、Tシャツを着替えて布団に入る。こういうとき、実家がどれだけありがたかったかが身にしみてわかる。
昼も夜もわからなくなるまで眠り、熱が下がったのは水曜日の朝だった。モヤモヤしていた頭が軽くなり、なんだか夢から醒めたような心地になっている。妙にすっきりしていた。
何気なくスマホを手に取ると、紬と茉優からのメッセージの通知がたまっている。ベッドで三角座りをしながら、通知をタップした。上にあった紬の方から開く。
『今日休み?』『大丈夫?』『体調崩してんの?』『動けないなら家行こうか』『何かいるものとかある?』
紬からはそんなメッセージが月曜からずっと届いている。何スクロールもしないといけないメッセージ量に驚くとともに、それだけ心配されていることが嬉しかった。ひとまず無事だと伝えなければ、と返信を打ち込む。
『もう大丈夫! ありがとう、明日は大学行くから』
そう返すと、数秒も経たないうちに返信がきた。『そっか、よかった』と簡潔なものだったが、その返信の速さがどれだけ心配してくれていたかを物語っていてにやにやする。
メッセージ一覧に戻り、茉優の名前をタップすると、1番上にはなぜか紬の写真があった。添えられたメッセージに『渚ちゃんのことが心配でメッセージを送りまくる紬ちゃん』とある。そうか、あのメッセージは茉優の隣で打っていたのか、と思うとほほえましかった。
『渚ちゃん大丈夫~?』『プリントは取ってあるし、ノートも見せたげるから安心して休んでて大丈夫だよ~』
茉優から届いたメッセージはそれだけで、2人の心配の仕方が違うのも面白い。紬の写真が目に入るたびに笑ってしまいながら、茉優へも返信をする。『ありがとう、明日は行く~!』とだけ返すと、数分後にスタンプが送られてきた。
ぐっと背筋を伸ばして、陽の光の差し込むカーテンを開ける。快晴だった。
その日1日ゆっくりと休み、木曜日の朝、大学へと向かう。こんなに晴れ晴れとした気分で大学へ向かうのは久しぶりだった。電車の中から外を眺める。今日も晴れていて、いい天気だった。
教室には、すでに2人の姿があった。後ろからそっと近づき、わっと驚かす。茉優はあんまり驚かなくて、紬の方がやけにびっくりしていた。
「渚ちゃんおはよ、大丈夫?」
茉優がにこにこと笑いながら、そんな風に言った。もう大丈夫、と頷くと、よかったと笑う。
「大丈夫ならよかったけど、返信くらいしなよ」
「いや、風邪ひいてめちゃくちゃ寝込んでて」
紬はムッとした顔をしながらも、心配していたのがひしひしと伝わる。お母さんみたいだなんて思ったけれど、そう言えば本当に怒られてしまいそうだ。
「これ、休んでたときのプリントね。ノート写真撮る?」
「あー、うん。ありがとう」
茉優が鞄からプリントを取り出し、ノートも差し出してくれる。それを受け取りながら、2人に土日にあった出来事を話すかどうか迷っていた。
紬はきっと怒るだろう。茉優は怒られている私を見て、なぐさめてくれるかもしれない。そんな光景は見えているけれど、私の行動を誰かに怒ってほしかった。
「……あのさ」
緊張で声がかすれる。2人の視線がこちらへ向いた。
「土曜日に、さ。結局らろあのとこ行っちゃったの」
家におかゆとか、ゼリーとか気の利いたものは存在しない。まして大学に入ってから体調も崩していなかったから、薬さえなかった。水道水をコップに入れて一気に呷り、Tシャツを着替えて布団に入る。こういうとき、実家がどれだけありがたかったかが身にしみてわかる。
昼も夜もわからなくなるまで眠り、熱が下がったのは水曜日の朝だった。モヤモヤしていた頭が軽くなり、なんだか夢から醒めたような心地になっている。妙にすっきりしていた。
何気なくスマホを手に取ると、紬と茉優からのメッセージの通知がたまっている。ベッドで三角座りをしながら、通知をタップした。上にあった紬の方から開く。
『今日休み?』『大丈夫?』『体調崩してんの?』『動けないなら家行こうか』『何かいるものとかある?』
紬からはそんなメッセージが月曜からずっと届いている。何スクロールもしないといけないメッセージ量に驚くとともに、それだけ心配されていることが嬉しかった。ひとまず無事だと伝えなければ、と返信を打ち込む。
『もう大丈夫! ありがとう、明日は大学行くから』
そう返すと、数秒も経たないうちに返信がきた。『そっか、よかった』と簡潔なものだったが、その返信の速さがどれだけ心配してくれていたかを物語っていてにやにやする。
メッセージ一覧に戻り、茉優の名前をタップすると、1番上にはなぜか紬の写真があった。添えられたメッセージに『渚ちゃんのことが心配でメッセージを送りまくる紬ちゃん』とある。そうか、あのメッセージは茉優の隣で打っていたのか、と思うとほほえましかった。
『渚ちゃん大丈夫~?』『プリントは取ってあるし、ノートも見せたげるから安心して休んでて大丈夫だよ~』
茉優から届いたメッセージはそれだけで、2人の心配の仕方が違うのも面白い。紬の写真が目に入るたびに笑ってしまいながら、茉優へも返信をする。『ありがとう、明日は行く~!』とだけ返すと、数分後にスタンプが送られてきた。
ぐっと背筋を伸ばして、陽の光の差し込むカーテンを開ける。快晴だった。
その日1日ゆっくりと休み、木曜日の朝、大学へと向かう。こんなに晴れ晴れとした気分で大学へ向かうのは久しぶりだった。電車の中から外を眺める。今日も晴れていて、いい天気だった。
教室には、すでに2人の姿があった。後ろからそっと近づき、わっと驚かす。茉優はあんまり驚かなくて、紬の方がやけにびっくりしていた。
「渚ちゃんおはよ、大丈夫?」
茉優がにこにこと笑いながら、そんな風に言った。もう大丈夫、と頷くと、よかったと笑う。
「大丈夫ならよかったけど、返信くらいしなよ」
「いや、風邪ひいてめちゃくちゃ寝込んでて」
紬はムッとした顔をしながらも、心配していたのがひしひしと伝わる。お母さんみたいだなんて思ったけれど、そう言えば本当に怒られてしまいそうだ。
「これ、休んでたときのプリントね。ノート写真撮る?」
「あー、うん。ありがとう」
茉優が鞄からプリントを取り出し、ノートも差し出してくれる。それを受け取りながら、2人に土日にあった出来事を話すかどうか迷っていた。
紬はきっと怒るだろう。茉優は怒られている私を見て、なぐさめてくれるかもしれない。そんな光景は見えているけれど、私の行動を誰かに怒ってほしかった。
「……あのさ」
緊張で声がかすれる。2人の視線がこちらへ向いた。
「土曜日に、さ。結局らろあのとこ行っちゃったの」
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