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理解したい
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それからなんだか気が抜けて、昼の2時まで眠ってしまった。変な時間に寝たせいで頭がずっとぼんやりしている。遅めの昼食を食べても、のろのろと課題を始めても目が覚めなかった。
ひとまず明日大学に行くまでに終わらせなければいけない課題は、らろあの配信までに片づけた。一息ついてぐっと背を伸ばしていると、らろあからのツイートの通知が入る。
『今日は22時くらい、今から帰るね~』というツイートに、流れ作業のようにいいねを押す。行ってきますは言われたけれど、今から帰るとはさすがに言われないか、と通話アプリを開いた。朝に『がんばって』と送った以降、何も届いてはいない。
今日は配信まで何をしよう。らろあの配信を見ていない期間は寝るまで本を読むとか、もうさっさと寝てしまうとかしていたけれど、22時というタイムリミットがある分、何かをしようという気が起きない。
とりあえず晩御飯を作ろうかと立ち上がった。晩御飯を食べたら、早めにお風呂に入ってあとはらろあの配信まで適当にSNSを眺める。それがいつものルーティンだけれど、時間を無駄使いしているような気がしなくもない。
かといって、彼の配信を見る以外にしたいことも特別思いつかなかった。結局いつも通り、配信が始まる少し前に待機画面を開いている。
22時になるといつも通り配信が始まった。らろあは普段通り、いまいちルールのわからないゲームをしている。これだけ見ているのだからそろそろ覚えられてもいいと思うのだけれど、びっくりするくらい内容がわからない。わからなすぎて、動きがないときは寝不足も相まってうとうとしてしまった。
らろあがゲームをしているのを見たいだけだから、わからなくても問題ない。なんて誰に向けるでもない言い訳をする。彼の配信を見続けることで何か身についたものといえば、この銃声を聞きながらでも眠れてしまう都合のいい体だった。
何戦か負けが続いて、らろあはコントローラーを放った。
「今日はもう終わり!」
そう言ってやや乱暴に配信が終わる。2日続けて日付が変わるより前に終わるのは久しぶりだった。せっかくだし今日は早寝をしようかな、と思っていると、通話アプリからの通知が入る。見るまでもなく、らろあからのメッセージだった。
『るるちゃんしゃべろ~』なんて、友達に話しかけるような言葉がそこにはあった。まだ緊張するけれど、断るという選択肢はなく、『いいよ~』と返す。今日はかけるよ、とも言われずに、そのまま通話がかかってきた。
昨日よりも指は震えていない。耳にスマホを当てると、少し疲れてそうな『もしもし』が聞こえてきた。
『今日も遅い時間にかけちゃってごめんね、大丈夫?』
「うん、全然大丈夫」
らろあからの電話に、大丈夫じゃないと返せるわけがなかった。よかった、とため息交じりに彼はつぶやく。
「なんか……疲れてる? 大丈夫?」
恐る恐るそう聞けば、らろあは大丈夫、と苦笑した。
『ゲームで負け続けてへこんでんのダサすぎるでしょ』
少しの間をおいて彼がそんな風に言うから、思わず笑ってしまう。私の笑い声を聞いたらしいらろあは、なに、と少し拗ねたように言った。
「いや、なんか可愛くて笑っちゃった……ごめんね」
そう言ってから、思わずかわいいと言ってしまったことが恥ずかしくなる。らろあはそれを知ってか知らずか、嬉しそうにふーんとつぶやいた。
『るるちゃんが一緒にゲームしてくれたらなー』
彼の何気ないそんな一言に、びくりと肩を揺らした。あんなに配信を見ていながらほとんどルールもわかっていないのに、らろあと一緒にプレイなんてできるわけがない。
そもそも私は昔からゲームをやるタイプじゃなかった。彼のやっているゲームじゃなくても、まともにプレイできるかは怪しい。
でもらろあがやりたいと言ってくれるなら、それに応えたいとも思った。
「……頑張ってみよっかなあ」
『えっ、ほんとに?』
彼は本気で言っていたらしく、初心者でも教えるし大丈夫、とおすすめの動画なんかを教えてくれた。何もわかっていない私のために説明してくれる彼の言葉は半分もわからなかったけれど、私と一緒にやりたいと思ってくれることがうれしかった。
ひとまず明日大学に行くまでに終わらせなければいけない課題は、らろあの配信までに片づけた。一息ついてぐっと背を伸ばしていると、らろあからのツイートの通知が入る。
『今日は22時くらい、今から帰るね~』というツイートに、流れ作業のようにいいねを押す。行ってきますは言われたけれど、今から帰るとはさすがに言われないか、と通話アプリを開いた。朝に『がんばって』と送った以降、何も届いてはいない。
今日は配信まで何をしよう。らろあの配信を見ていない期間は寝るまで本を読むとか、もうさっさと寝てしまうとかしていたけれど、22時というタイムリミットがある分、何かをしようという気が起きない。
とりあえず晩御飯を作ろうかと立ち上がった。晩御飯を食べたら、早めにお風呂に入ってあとはらろあの配信まで適当にSNSを眺める。それがいつものルーティンだけれど、時間を無駄使いしているような気がしなくもない。
かといって、彼の配信を見る以外にしたいことも特別思いつかなかった。結局いつも通り、配信が始まる少し前に待機画面を開いている。
22時になるといつも通り配信が始まった。らろあは普段通り、いまいちルールのわからないゲームをしている。これだけ見ているのだからそろそろ覚えられてもいいと思うのだけれど、びっくりするくらい内容がわからない。わからなすぎて、動きがないときは寝不足も相まってうとうとしてしまった。
らろあがゲームをしているのを見たいだけだから、わからなくても問題ない。なんて誰に向けるでもない言い訳をする。彼の配信を見続けることで何か身についたものといえば、この銃声を聞きながらでも眠れてしまう都合のいい体だった。
何戦か負けが続いて、らろあはコントローラーを放った。
「今日はもう終わり!」
そう言ってやや乱暴に配信が終わる。2日続けて日付が変わるより前に終わるのは久しぶりだった。せっかくだし今日は早寝をしようかな、と思っていると、通話アプリからの通知が入る。見るまでもなく、らろあからのメッセージだった。
『るるちゃんしゃべろ~』なんて、友達に話しかけるような言葉がそこにはあった。まだ緊張するけれど、断るという選択肢はなく、『いいよ~』と返す。今日はかけるよ、とも言われずに、そのまま通話がかかってきた。
昨日よりも指は震えていない。耳にスマホを当てると、少し疲れてそうな『もしもし』が聞こえてきた。
『今日も遅い時間にかけちゃってごめんね、大丈夫?』
「うん、全然大丈夫」
らろあからの電話に、大丈夫じゃないと返せるわけがなかった。よかった、とため息交じりに彼はつぶやく。
「なんか……疲れてる? 大丈夫?」
恐る恐るそう聞けば、らろあは大丈夫、と苦笑した。
『ゲームで負け続けてへこんでんのダサすぎるでしょ』
少しの間をおいて彼がそんな風に言うから、思わず笑ってしまう。私の笑い声を聞いたらしいらろあは、なに、と少し拗ねたように言った。
「いや、なんか可愛くて笑っちゃった……ごめんね」
そう言ってから、思わずかわいいと言ってしまったことが恥ずかしくなる。らろあはそれを知ってか知らずか、嬉しそうにふーんとつぶやいた。
『るるちゃんが一緒にゲームしてくれたらなー』
彼の何気ないそんな一言に、びくりと肩を揺らした。あんなに配信を見ていながらほとんどルールもわかっていないのに、らろあと一緒にプレイなんてできるわけがない。
そもそも私は昔からゲームをやるタイプじゃなかった。彼のやっているゲームじゃなくても、まともにプレイできるかは怪しい。
でもらろあがやりたいと言ってくれるなら、それに応えたいとも思った。
「……頑張ってみよっかなあ」
『えっ、ほんとに?』
彼は本気で言っていたらしく、初心者でも教えるし大丈夫、とおすすめの動画なんかを教えてくれた。何もわかっていない私のために説明してくれる彼の言葉は半分もわからなかったけれど、私と一緒にやりたいと思ってくれることがうれしかった。
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