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初めての開発
いざ初体験へ!
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なんだか今日はよく喉が渇く。5月も終わり初夏にさしかかったこの頃。半袖から伸びる腕に太陽の熱が刺さる。夏好きのおれにとっては嬉しい季節だが喉が渇く理由はそれとは違う。
麦茶のペットボトルを開き口に含むと大きく傾け大量に流し込む。それらを一気に飲み干すと「あ゛ぁ~」とおっさんのような鳴き声をあげてしまった。
2回深呼吸をしてると信号が青に変わる。日曜日、東京某所、おれは今日遂に男とセックスするのだ!
信号を渡り曲がった先にマンションが見える。その401号室にお相手が待っている。リョウタさんだ。駿は知り合いじゃないって言ってたけどアカウントを通して以前からやり取りを交わしていたみたいでお互い認知はしていたようだ。そして本当に約束を取り付けてくれたのだ。
マンションに入ると右手側の呼び出しボタンが目に入る。401と入力し少し待つと受話器から男の声が聞こえる。
「もしもし」
「あ、はじめまして!約束してたコウイ……コウキです!」
緊張で思わず本名が出かかったのをすんでのところで止める。
「はいはい~今開けますね~」
受話器越しにリョウタさんがそういうとロックされていた扉が開く。おれは自分の胸に手を当てるまでもなく心臓がドクドクと波打っているのを感じる。こんなに緊張したのは部活の大会以来かもしれない。
エレベーターに乗り4Fのボタンを押す。息を整え駿に言いつけられたことを反芻する。
「1,相手の動きに逆らわないこと」
「2,痛いときは痛いということ」
「3,慣れるまでは我慢すること」
何回か唱えると少し気分が落ち着いてきた。両手を組み上に大きく伸びをする。
「まあ、なんとかなるべ。とりあえず楽しもう!」
エレベーターを降りてすぐ近くに401号室のプレートを見つける。インターホンを押すと応答する前に扉が開いた。
「やあ、こんにちは。コウキくん」
「はいっよろしくお願いします!」
リョウタさんはおれより5cmほど高い170cmちょいの垂れ目がちな優しそうな顔をした好青年だった。柔らかい笑顔で出迎えてくれたおかげでおれの緊張も少しやわらいだ。
「お邪魔します」と返事をし、中に入る。自宅に招かれたのだが一人暮らしにしては少し広いスペースで大人っぽい照明やシックなインテリアが並べてありお洒落な水槽まで飾られている。
「うわ~オシャレっすね~!」
「インテリア集めが趣味でね。悪くないでしょ」
「雑誌のカタログみたい!高そ~」
「はは。まあゆっくり座ってて」
リョウタさんは部屋のソファを指さしキッチンの方に向かった。おれはソファの横にバッグを置きゆっくり腰掛けた。
「うわっふっかふか!」
おれがしばらくソファの柔らかさに感動しているとリョウタさんは二人分のコップを持って戻ってきた。おれにコップを渡すと隣に座った。
「はい、緑茶飲める?」
「あっありがとうございます!飲めます!」
コップを受け取り口につけたところでハッとなる。そういえば飲み物に薬を盛る系のAVを最近見たなと思い出し、じっと中身を見る。
「はは、別に何も入れてないから安心していいよ」
「えっ! いや、そういうつもりじゃ……」
おれの警戒心を一瞬で見抜いたリョウタさんはおれのコップを手に取ると一口飲み口を開く。
「ほら、これで大丈夫?」
「あ、なんかすみません。別に悪い人とは思ってないんすけど……」
「いいよ~こういうの初めてなんでしょ? 警戒しちゃうよね」
「はは、ありがとうございます。じゃあ、いただきます!」
駿の言った通りリョウタさんは優しい人で良かった。緑茶をぐいっと口に流すと喉が渇いていたのもありめちゃくちゃ美味しく感じた。そのまま一気に全部飲み干してしまった。
「ぷはぁ~! 緑茶うま!」
「いい飲みっぷりだね~さすが合コンマニア」
「なんすかそれ! てかなんで知ってんすか?」
「ハヤトくんから少し君のこと教えてもらったからね」
「ハヤト?」
「ああ、えーと、君のお友達」
言われて思い出す。そういえばあのアカウントの名前もハヤトだった。駿がリョウタさんに連絡する際におれの情報をいくつか教えたという話を聞かされていた。
「お金が欲しくてビデオに出たいから開発してほしいって、面白い子がいるもんだと思ったよ」
「あー改めて聞くと我ながらヤバいなとは思ってます……」
「正直どうかと思ってたけど、実際会ってみたらコウキくんの出るビデオ見たくなったな」
「え?なんでですか?」
「そりゃあ、かわいいからね」
そう言うとリョウタさんはおれの頭を撫でる。さらっとした手ではあるもののやっぱり男に撫でられると体がゾワッとしてしまう。
「はは、本当にノンケなんだね~」
「いや~こればっかりはすみません。カワイイとかもよくわかんないっす。」
「かわいいはこっちの人からしたら褒め言葉だよ。あんまり気にしないで」
「そうなんすか~」
「ま、ゆっくりやるから安心して。傷つけたらハヤトくんに殺されちゃうからね」
「いや、ないない! あいつはそんなことで怒んないっすよ!」
駿は高校時代おれがサッカーの練習中に足を骨折したとき、包帯でぐるぐる巻になったおれの足を見て爆笑しながら写真を撮った男だ。あいつがおれの事で怒るとか全く想像できない。
「へぇそうなの? ……まあ緊張も少しほぐれてきたみたいだし、そろそろ始めようか」
「は、はい!」
そういってリョウタさんは飲み干したコップを持ち立ち上がる。おれも遅れて後に続く。
「まずはシャワーを浴びようか。お尻も洗わないとね」
「それって、例のヤツっすか……?」
「なんだよ例のヤツって。面白い子だなぁ」
男同士のセックスではケツにちんこを挿れるわけだからちゃんと中を洗わないといけない。調べてみたけどどうやら中に水を入れるらしい。想像しただけで恐ろしい。そんな強張るおれの顔を見てリョウタさんは笑っている。
「ちゃんとやれば安全だよ。しっかりやらないと気持ちよくなれないからね」
「が、がんばります」
そうして、おれの長い一日が始まった。
麦茶のペットボトルを開き口に含むと大きく傾け大量に流し込む。それらを一気に飲み干すと「あ゛ぁ~」とおっさんのような鳴き声をあげてしまった。
2回深呼吸をしてると信号が青に変わる。日曜日、東京某所、おれは今日遂に男とセックスするのだ!
信号を渡り曲がった先にマンションが見える。その401号室にお相手が待っている。リョウタさんだ。駿は知り合いじゃないって言ってたけどアカウントを通して以前からやり取りを交わしていたみたいでお互い認知はしていたようだ。そして本当に約束を取り付けてくれたのだ。
マンションに入ると右手側の呼び出しボタンが目に入る。401と入力し少し待つと受話器から男の声が聞こえる。
「もしもし」
「あ、はじめまして!約束してたコウイ……コウキです!」
緊張で思わず本名が出かかったのをすんでのところで止める。
「はいはい~今開けますね~」
受話器越しにリョウタさんがそういうとロックされていた扉が開く。おれは自分の胸に手を当てるまでもなく心臓がドクドクと波打っているのを感じる。こんなに緊張したのは部活の大会以来かもしれない。
エレベーターに乗り4Fのボタンを押す。息を整え駿に言いつけられたことを反芻する。
「1,相手の動きに逆らわないこと」
「2,痛いときは痛いということ」
「3,慣れるまでは我慢すること」
何回か唱えると少し気分が落ち着いてきた。両手を組み上に大きく伸びをする。
「まあ、なんとかなるべ。とりあえず楽しもう!」
エレベーターを降りてすぐ近くに401号室のプレートを見つける。インターホンを押すと応答する前に扉が開いた。
「やあ、こんにちは。コウキくん」
「はいっよろしくお願いします!」
リョウタさんはおれより5cmほど高い170cmちょいの垂れ目がちな優しそうな顔をした好青年だった。柔らかい笑顔で出迎えてくれたおかげでおれの緊張も少しやわらいだ。
「お邪魔します」と返事をし、中に入る。自宅に招かれたのだが一人暮らしにしては少し広いスペースで大人っぽい照明やシックなインテリアが並べてありお洒落な水槽まで飾られている。
「うわ~オシャレっすね~!」
「インテリア集めが趣味でね。悪くないでしょ」
「雑誌のカタログみたい!高そ~」
「はは。まあゆっくり座ってて」
リョウタさんは部屋のソファを指さしキッチンの方に向かった。おれはソファの横にバッグを置きゆっくり腰掛けた。
「うわっふっかふか!」
おれがしばらくソファの柔らかさに感動しているとリョウタさんは二人分のコップを持って戻ってきた。おれにコップを渡すと隣に座った。
「はい、緑茶飲める?」
「あっありがとうございます!飲めます!」
コップを受け取り口につけたところでハッとなる。そういえば飲み物に薬を盛る系のAVを最近見たなと思い出し、じっと中身を見る。
「はは、別に何も入れてないから安心していいよ」
「えっ! いや、そういうつもりじゃ……」
おれの警戒心を一瞬で見抜いたリョウタさんはおれのコップを手に取ると一口飲み口を開く。
「ほら、これで大丈夫?」
「あ、なんかすみません。別に悪い人とは思ってないんすけど……」
「いいよ~こういうの初めてなんでしょ? 警戒しちゃうよね」
「はは、ありがとうございます。じゃあ、いただきます!」
駿の言った通りリョウタさんは優しい人で良かった。緑茶をぐいっと口に流すと喉が渇いていたのもありめちゃくちゃ美味しく感じた。そのまま一気に全部飲み干してしまった。
「ぷはぁ~! 緑茶うま!」
「いい飲みっぷりだね~さすが合コンマニア」
「なんすかそれ! てかなんで知ってんすか?」
「ハヤトくんから少し君のこと教えてもらったからね」
「ハヤト?」
「ああ、えーと、君のお友達」
言われて思い出す。そういえばあのアカウントの名前もハヤトだった。駿がリョウタさんに連絡する際におれの情報をいくつか教えたという話を聞かされていた。
「お金が欲しくてビデオに出たいから開発してほしいって、面白い子がいるもんだと思ったよ」
「あー改めて聞くと我ながらヤバいなとは思ってます……」
「正直どうかと思ってたけど、実際会ってみたらコウキくんの出るビデオ見たくなったな」
「え?なんでですか?」
「そりゃあ、かわいいからね」
そう言うとリョウタさんはおれの頭を撫でる。さらっとした手ではあるもののやっぱり男に撫でられると体がゾワッとしてしまう。
「はは、本当にノンケなんだね~」
「いや~こればっかりはすみません。カワイイとかもよくわかんないっす。」
「かわいいはこっちの人からしたら褒め言葉だよ。あんまり気にしないで」
「そうなんすか~」
「ま、ゆっくりやるから安心して。傷つけたらハヤトくんに殺されちゃうからね」
「いや、ないない! あいつはそんなことで怒んないっすよ!」
駿は高校時代おれがサッカーの練習中に足を骨折したとき、包帯でぐるぐる巻になったおれの足を見て爆笑しながら写真を撮った男だ。あいつがおれの事で怒るとか全く想像できない。
「へぇそうなの? ……まあ緊張も少しほぐれてきたみたいだし、そろそろ始めようか」
「は、はい!」
そういってリョウタさんは飲み干したコップを持ち立ち上がる。おれも遅れて後に続く。
「まずはシャワーを浴びようか。お尻も洗わないとね」
「それって、例のヤツっすか……?」
「なんだよ例のヤツって。面白い子だなぁ」
男同士のセックスではケツにちんこを挿れるわけだからちゃんと中を洗わないといけない。調べてみたけどどうやら中に水を入れるらしい。想像しただけで恐ろしい。そんな強張るおれの顔を見てリョウタさんは笑っている。
「ちゃんとやれば安全だよ。しっかりやらないと気持ちよくなれないからね」
「が、がんばります」
そうして、おれの長い一日が始まった。
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