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冥界の剣

第十九話 冥界の剣

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「魔界の木偶がこの世で大きな顔をするものではないぞ」

 タン、と軽やかな音を立ててクゼの左足が大壊の額を叩き、クゼの練り上げた闘気が巨大な怪物の体内を見る間に蹂躙してゆく。一拍の間を置いて大壊の全身が内側からボコボコと音を立てて膨れ上がりはじめ、大きな音を立てながら連続して破裂してゆく。
 同じ気を扱う者として、クガイがクゼの見せた技について簡単にハクラに説明する。ハクラも分かってはいるだろうが、念には念を入れたのだろう。

「相手に流し込んだ自分の気と相手の気をわざと反発させて、体の内側から派手に破壊する技だな。気かそれに類する守りが無ければ、いくら鎧兜で身を固めていても意味がない類の技だ。ちと厄介だぞ」

「触れればそれで終わりの即死技か。ふむ、確かに厄介ではある。あちらに敵意があればな」

「ま、そういうわけだ」

 灰無や百刃百足と同じくボロボロと灰のように崩れてゆく大壊から、クゼがふわりと足音も立てずに着地する。ちょうどクガイと正面から向かい合う位置だった。
 その後ろから大壊の右腕を拘束していた舌の鞭――舌鋼鞭の使い手であるウロトと大壊の体勢を崩した人間砲弾のゲンテツが駆け寄ってきて、クゼの左右に控える。三人とも戦意がないのは間違いない。

「お久しぶりです、クムさん、クガイ、ハクラ」

 クゼが両手を腰の後ろで組み、あくまで友好的な笑みを浮かべて朗らかに挨拶をしてくる。たった今、巨大な怪物を葬ったばかりとは思えない態度に、クムは目を白黒させているが、クガイとハクラは動じた様子もなくクゼ達と相対している。

「この路地に入ってすぐに魔界の産物共とやり合う羽目になったが、けしかけたのはおたくらか?」

「ふ、本気で疑っているわけでもあるまい。奴らを使うのは無尽会の流儀ではない。それに奴らは加減が利かない。クムさんに危害を加えるのを何とも思わないだろう。そういう意味では、君達二人が護衛だったのは不幸中の幸いだった」

「世辞はいらねえよ。それより奴らがお前さん達の手先じゃないっていうのなら、どこのどいつが仕掛けてきた相手だ。わざわざ無尽会って口にしたんなら、ラドウ一派も違うって言いたいんだろう?」

 クガイの指摘に、クゼはわずかに顔を顰めていかにも苦渋の判断と言わんばかりの顔で重々しく頷く。

「端的に言って、火急の事態が生じました。お手数ですが、改めてお話をさせていただけませんか、クムさん」

 少なくとも真摯に聞こえるクゼからの提案に、クムは難しい顔をする。クムからすればクゼは疫病神同然だが、自分に対する悪意の少なさや危害を加えまいと徹底している姿勢は確かだ。その男が火急の事態と口にしているとなれば、多少なり気になるもの。
 あと一つ、即座に判断するには決め手に欠ける状況に一石を投じたのは、何時からいたのか、クゼ達の後ろから姿を見せたアカシャであった。しゃなりしゃなりと歩いてきて、その場にいる全員の視線を集めてから頭を小さく下げる。

「こんにちは、皆さん。クゼ様より助成を求められましたので、タランダに代わり私が同行しておりました」

 アカシャの登場にクガイの目が険しく細められる。タランダとアカシャの力が必要になるとなれば、それは魔導や呪術が深く関わってくる。
 クガイとハクラはそちらの方面に関しては専門家というわけではない。タランダ程の実力者が必要となる事態となれば、クガイとハクラにとっては相性が悪いと言わざるを得ない。

「助力の内容が俺達の居場所を突き止めるというものなら、俺達も素直に話を聞いていられんが、どうなんだい?」

 クガイは一歩前に出て、ハクラとクムを背後に構える。返答次第ではこの場での戦闘を厭わぬクガイの姿勢に、ウロトとゲンテツは気色ばむがクゼが右手を上げてそれを制する。

「タランダ殿とアカシャ殿に助力を請うたのは、蔵の異常に対応する為です。既に連中の展開した人避けの術は解けています。直に野次馬達が殺到してくるでしょう。せめて場所を変えませんか?」

「でしたら私達のところへ。タランダと私の名に誓って、皆様に危害が加えられないよう最善を尽くします」

 そう告げるアカシャを見て、クムは腹を括ったようだった。ハクラに降ろしてもらい、クガイの背中に声をかける。

「行きましょう、クガイさん。いい加減、この騒ぎも終わらせないと」

「ん。クムがそう言うのなら、いや、そう覚悟を決めたのなら従おう」

「感謝します、クムさん」

 クムの目にもクガイの目にも、クゼが深く腰を折って頭を下げる姿に、少なくとも偽りは無いように思われた。これでクゼが三人を陥れる為の罠を用意していたなら、天下有数の大詐欺師だ。
 クゼの提案を飲み、アカシャに案内されたのはタランダの天幕のどこかにある居住空間の一室だった。周囲を薄紫の布に囲われて、足元には毛足の長い幾何学模様の絨毯が敷かれている。
 アカシャが手早く人数分のお茶を用意する間に、クガイとクゼ達は円卓を挟んで向かい合う形で椅子に腰かけた。お茶の用意が終わったアカシャは椅子には座らず、両者の間に立った。中立であるという立場表明だろうか。

「まず私からの提案に応じてくださり、感謝します。クムさん」

「いえ、私も色々と考える時間があったので、流されるままではいられないと腹を括りました。早速ですけれど、クゼさんの言う火急の事態はいったいなんなのですか?」

「以前に見た時よりも良い顔をしている。よい経験をされたようだ。……我々無尽会はクムさんの父親である大冒険家にして大資産家フウナンの隠し財宝を求めて、これまで行動していました。フウナンについては?」

「先日、アカシャさんから伺いました。そんな有名な人が父親だなんて、何かの間違いじゃないかと思ったくらいです」

「国を超えた有名人ですからね。さて、多大な苦労の果てにフウナンの隠し財宝の蔵を発見した我々ですが、次に問題となったのは蔵に鍵が掛かっていた事です」

「だから私が持っているかもしれない鍵を狙って、クゼさんともう一人の人が動いたのですよね?」

「ええ。会長からフウナンの財宝について任されたのが、私とラドウでしたから。ですからつい先日までは私とラドウとの間で、功績争いとなった一面もあります。
 そのままならば、クムさんから鍵を得ようとし続けたでしょうが、蔵に異常が生じた為に風向きは大きく変わる事となりました」

「さっきの魔界の産物だっていう怪物ですね」

「おっしゃる通りです。加えて言えば蔵の鍵は別にありました」

「へっ!?」

 クゼの思わぬ発言に思わず声を出したクムだが、声こそ出さなかったもののクガイとハクラも大なり小なり驚いた。なにしろ蔵の鍵は別にあったと言われては。

「じゃ、じゃあ、もう私に用はないのでは? あ、ひょっとしてそれを伝える為に?」

「いいえ。それに奴らが鍵を寄越せ、というようなことを口にしてはいませんでしたか?」

「あ、言っていました。鍵を寄越せ、鍵を寄越せってしつこく何度も」

 路地に入ってから姿を見せた灰無、百刃百足、大壊の異形の姿と脅威を思い出して、クムが大きく顔を顰めるのを見て、クゼは同意するように頷く。
 魔界の産物たるあれらは地上の生物や天界の神性に対する悪意が核となっている。人間が直に対面すればあれは絶対の敵だと、己の生命を脅かすものだと体と魂が理解する。

「実をいうと鍵らしきものは見つかりました。けれどそれが蔵の鍵じゃないのなら、私が持っているのはなんなのですか?」

 このクムの問いかけが重要な鍵だ、とクガイ達はクゼの雰囲気の変化と一瞬だけ苦み走った表情の変化から察した。どうもこのクゼという男は、クムのことを気にかけている節が多々見受けられる。
 これまでクガイが入手した情報からするに、クゼは無尽会の中でも一般人への被害を嫌い、仁義を通す事を重視する穏健派、もっといえば話の通じる相手として知られている。
 だからこそのクムへの態度とも取れるし、それ以外にもなにかあると一癖も二癖もある連中と接してきたクガイには思えてならなかった。

「蔵の鍵は既に開き、詳細は述べられませんが私達は支出に見合うだけの利益を十分に得ています。しかし、私達の求める最大の宝がまだ手に入っていません。クムさんが持っている鍵とは、“蔵の”ではなくその最大の宝の鍵なのです」

「その最大の宝というのは?」

 このクムの問いにクゼは口をつぐんだ。ソレを口にするのは無尽会幹部として、組織の重要機密を暴露するのと等しい。おいそれと口にしてよいものならば、機密とは言わない。そして、それを知った場合、クムの身に及ぶかもしれない危険を考慮して、彼は口をつぐんだ。

冥業剣めいごうけん。それがフウナンの蔵に残された最大の宝の名です」

「アカシャ殿」

「何故と問われますか? ふふ、世に伝わるフウナンの冒険譚の中でも最難関とされる冥界下り。その最中で彼が手に入れて地上に帰還する際に冥界に置いていったとされる、名前すら伝えられなかった剣。
 ですが、事実は違います。フウナンは冥界の亡者をも斬る冥界の剣を、この生者の世へと持ち帰り秘匿したのです。クゼ様、貴方様が、いえ、無尽会の会長であるあの方が冥業剣の所在を知っていたように、私共も知っていたというだけの話。驚くべきものではありません」

「……私はまだ貴女方の実力を理解していなかったようだ。こうなれば隠し立てても意味がない。
 無尽会の最大の狙いはその冥業剣です。悪霊を斬る程度の剣ならこの街ではいくらでも量産できます。しかし、冥界の鉱物を用い、冥界の鍛冶が鍛え上げたあの剣はモノが違う。
 例え金銀を山と積もうと、本来ならば冥界に赴き奇跡のような巡り合わせがなければ得られない宝剣。冥業剣に用いられた技術の一部なりとも解析できれば、その利益は言うまでもありますまい」

 クゼから彼ら無尽会が求める宝について聞かされて、クムは話の大きさに眩暈のする思いだったが、それでも自分なりに解釈して話を進めようと努力する。クガイは表情を引き締め、ハクラもなにやら考え込んでいる様子だ。
 窮地にあっても余裕を崩さぬ彼らがそのような反応をするとは、アカシャの口にした冥業剣とはそれだけの品なのだろう。

「その“めーごーけん”がとても大事だというお話は分かったつもりです。でも、それがどうして火急の事態に繋がるのか、まだよく分かりません。さっき、路地で私達を襲ってきたあの怪物達となんの関係が?」

 そう冥業剣が蔵に収蔵され、特別な管理がされていたとしても、それが先程の灰無達をはじめとする怪物達の出現に繋がるというのか。クムの質問は話の核心を確かに突いていた。

「ソレについてタランダ殿に情報屋として、そして極めて優れた魔術師としての知識と技術を頼ったのです。フウナンが冥界より持ち帰りし冥業剣。これはあまりの強力さゆえに滅多に使われる機会はありませんでした。私達の調べた限りで多くても精々二度。
 そして最後に使われた二度目の戦いにおいて、冥業剣はあるモノを封じたのです。そしてそのモノごと蔵の中へと隠された。怪物共を生み出し、放ったのはその封印されているモノです」

 話の雲行きが怪しくなってきたところで、クガイがそれまでの表情とは打って変わって皮肉気な笑みを浮かべるや、クゼに話の続きを促す。あるいはクガイにとってはこの状況も慣れたものの一つなのか。

「勿体ぶらずに言ったらどうだい? あんたらが目の色を変えて欲する曰く付きの魔剣で封じているような存在だ。万が一にも蘇れば楽都がただでは済まない。そういう類の手合いだろ?」

 実態を知らないから余裕があるとも見えるクガイの言動にも、クゼは気分を害した様子もなく答えを明らかにする。

「ええ。その通りです。冥業剣にて封じられているのは、大浸食以前に魔界より姿を現して、地上を大混乱に陥れた八柱の魔神に仕えし四十八体の魔王の内の一体、禍羅漢まがらかん
 山を抜き、湖を割り、雲を斬り裂く剛力といかなる聖剣、呪術を用いても傷つけられぬ白銀色の肉体を持つ獣頭の怪物ですよ。なにせお伽噺の中に出てくる怪物ですので、詳細は今なお調査中ですが楽観視できる相手ではありますまい」

「アカシャ、悪いが俺はこの土地の情勢と歴史に疎い。お前さんとタランダはその禍羅漢とやらをどの程度の脅威だと認識している?」

「では百年前、ここより西方の地にて残存していた魔王が復活した際の被害につきまして、掻い摘んでお話いたしましょう。
 その魔王は過去の戦いによって半死半生の状態ではありましたが、中央から派遣された精鋭四万と術士二千、更に近隣の名だたる大妖怪と緊急事態に駆け付けた仙人達の連合により、十日間に及ぶ戦いの末にかろうじて滅びました。
 それまでに二つの都市と周辺の集落が灰となり、死者は三十万を数えました。また連合軍も無事に生きて帰ったものは三分の一にも満たなかったとか。
 現代は過去よりも技術の進んだ部分もありますが、神仙に由来する神聖な武具や法具に関しては、その数を大きく減らしています。魔王討伐に多大な犠牲を必要とした大きな理由ですね」

「つまり、百年経った現代じゃあ、魔王を倒すのはなおさら難しいって話か」

「はい。ですけれどもここは楽都でありますから」

「出たな、“ここは楽都”って台詞。それを言っておけば大概のことは通せると、この街の住人は本気で信じているから頭が痛いぜ」

「ふふ、けれども事実ですから。魔神が封印されている都市なんて、世界を見回しても早々ありませんわ」

「世界中にあってたまるか。悪いな、話が逸れたな。それでクゼ、あの灰無共はその魔王が呼び寄せたってんなら、封印が弱まっているって解釈していいのか?」

「ああ、その通りだ。クムさんとは別件で蔵の鍵を見つけた我々は蔵の内部を調査し、多くの財を得ました。そして最奥にて厳重に封印が施された一室に到達し、そこから溢れ出てきた魔界の怪物共と交戦状態に突入しました。
 冥業剣の封印が何らかの理由で緩んだのか、それとも外部から何者かの干渉があったのか。それは不明ですが極めて面倒な事態になったのは間違いありません」

「それで? どうしてクムに話が繋がるわけだい。クムの持っている鍵があれば、冥業剣とその封印をどうにかできる確証があるのか?」

「ええ。最深部の部屋から溢れ出た怪物共との戦闘の最中、同行した術士が確認しています。床も天井も水晶状の物質で囲われた部屋の奥に祭壇があり、冥業剣はその祭壇に突き立てられていたそうです。
 しかし冥業剣の刀身の根元になにかが嵌められていたと思しい空洞があったと、報告を受けています。足を踏み入れた直後、冥業剣が祭壇に突き立てられていた個所から瘴気が噴出し、怪物達が大量発生して襲い掛かってきたのです。
 私達の手の者で蔵の内部を制圧し、怪物共が溢れないように駆逐していましたが、クムさん達が襲われたことから悪い想像が当たってしまったようです」

 悔恨を噛み潰す表情のクゼに対し、ここでアカシャが話の捕捉を入れた。

「禍羅漢が楽都に存在する瘴気に干渉し、魔物達を作り出したのです。また冥業剣の封印についてですが、冥業剣をあえて不完全な形にすることで、剣を動かせないようにする術式が施されています。逆に完全な形にすれば祭壇から抜く事が出来るようになるわけです」

 フウナンには魔術師や呪術師の類の仲間も多かったから、冥業剣に加えて封印の術式を施したのはその中の誰かだろう。蔵が開かれてなおクムが狙われた理由に納得し、クガイはちらりとクムを見やった。

「なるほど、禍羅漢とやらは冥業剣を完全な形にして抜く為に、クムの持っている鍵を求めているわけか。そうなると正確には鍵ではなく、冥業剣の装飾品かなにかってわけか」

「なんだかもっと規模の大きいというか、とんでもない相手に狙われる羽目になっちゃいましたねえ」

 顔も知らぬ父親の残した遺品は、つくづくろくでもない事態を招き寄せてくるばかり。これで母から受け継いだ品でなかったら、クムはさっさと目の前のクゼに押し付けて手放す決意をしたかもしれない。クムはその誘惑に駆られながら、クゼに質問した。

「あの、でしたら私がクゼさんに鍵をお渡しして封印し直してもらえれば、それで解決ですよね。お母さんの形見を手放すのは心苦しいですけれど、そんな大変な怪物を閉じ込めるのに必要なら、お母さんも許してくれると思います」

 クムの申し出に、クゼはますます苦渋の色を浮かべるものだから、クムとハクラは意味が分からなかった。クガイは人生経験の差か、クゼがそうした理由を察してアカシャに問う視線を向ける。アカシャは心得たとばかりに驚くべき事を口にする。

「格の高い霊剣や魔剣にはよくある事ですが、剣は主を選びます。より優れた技量、より輝かしい魂、あるいはより強い欲望や憎悪、怒りの持ち主を。そして冥業剣の場合は老若男女、種族、戦いの技量を問わずただ一人を主とします。その主の生命が尽きるまで」

「そうなると前の主はフウナンだよな。それじゃあ今の主は……まさか、クムだと言うつもりか、アカシャ」

「残念ながらその通りです。クム様の前の主がお母様。お母様の死後、冥業剣の所有権が欠けた部位と共にクム様に移りました。冥業剣に核となる部位を取り付けて完全なものとし、緩んだ封印をかけ直すには、クム様が手ずから行わなければなりません」

 つまり化け物共がひしめく蔵の中へ、クムが自ら赴かなければならないと、アカシャは残酷な事実を口にした。そしてあまりに過酷な事実を突きつけられたクムは、クゼばかりかウロトやゲンテツからも憐れみの視線を向けられながら

「ええ~!?」

 そんなのってない! と言わんばかりの表情で叫ぶのだった。
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