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冥界の剣
第三話 一難去って
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クガイの“へえ”はこの女へと向けられたものだ。クゼもウロトやゲンテツとは別格だが、この女も同じこと。
なによりこの状況で果たして敵か味方か、迅速に判断しなければならない。クゼが警戒の意識を見せている以上、あちら側の増援ではなさそうだが……。フードを目深に被ったままの女が、静かに口を開く。吹き付ける氷雪を思わせる、そんな声。
「奇妙な道具を使うお前達の仲間は、ここに来るまでに全て片付けておいた」
「なに?」
クゼの眉が一度跳ねた。女の発言はクゼにとって意外なものだったようだ。女に仲間が倒された事か、それとも自分も知らぬ仲間がいた事か。クゼはクガイと女への警戒は緩めずに、しばし沈黙する。
ウロトとゲンテツも苦痛に冷や汗や呻き声をこぼしながら、クゼからの指示を待っている。クガイ共々、お互いが動きを見せればいつでも戦いを再開させられる状態を維持している。
ピンと張りつめた緊張感に、クムが思わず引き付けを起こしそうになった時、クゼが沈黙の帳を破る。
「ウロト、ゲンテツ、引き上げるぞ。引き時だ」
それまで蹲っていたゲンテツと血の止まらぬウロトも、次の瞬間にはクゼの傍に戻っていた。
クガイが退く動きを見せる三人へ木刀の切っ先を向け、からかうように口を開く。クゼ以外の二人は手負いだ。女がどの程度の力量かクガイには分からないが、クゼの仲間を倒してきたというのなら敵には回るまい。
「躾が行き届いているな。だが、おめおめと逃がすとでも?」
「戯言はよせ。私はお前達二人を相手にしても構わんが、それではなにも失わずには済まないだろう。クムさんは一時、お前達に預けるとしよう」
クゼが言い終えるよりも早く、そしてクガイよりも先に女が動いていた。低く身を沈めて地を蹴り、疾風の速さで斬りかかっていた。その足が止まったのは、クゼが羽虫を払うように左手を女へ振るった直後だった。
女の振るった直剣が空中でなにかを弾く金属音が響き、強制的に彼女の足が止まる。
女とクガイの目は、クゼの左手の袖の中へ赤い縄の付いた刃――縄鏢が吸い込まれるように引き戻されるのを見ていた。
「そう急くな。私達はいずれまたクムさんを保護する為に足を運ぶ。どうしても私達の邪魔をしたいというのであれば、彼女の傍から離れぬことだ」
ウロトがゲンテツの腰へ舌鋼鞭を巻きつけて、有無を言わさずに引き寄せて肩に担ぐ。クガイの一撃を受けた同僚が限界に達しているのを見抜いていたのだ。
そのまま大人一人を担いでいるとは信じがたい動作で木塀に飛び上がると、クゼを待たずに瞬く間に離れてゆく。クゼは二人が十分に離れたのを確認してから自分も木塀の上に飛び上がる。
「ではごきげんよう、いずれ近いうちに」
ウロトとゲンテツが去った今、二対一に持ち込めると判断したクガイと女がクゼを追って飛び出そうとした瞬間、石畳にばら撒かれていた毒塗りの金貨がバチバチと激しい音を立てて発光し、
「ちい、いかん!」
クガイがクムを庇った直後、毒塗り金貨全てが四方へ雷と衝撃波を発しながら凄まじい勢いで爆裂した。
襲い来る砕けた石畳の破片や土くれ、爆風から、クムを羽織で庇いながら、クガイはクゼの念の入れ具合に愚痴を零していた。
「口封じの毒を塗り、いざとなったら撤退用の爆弾か。ありゃ、武器としても使っているな」
爆発が収まり、もうもうと土煙の立ち込める中でクガイは立ち上がり、せき込むクムの安否を確認した。
「無事か、クム」
「けほ、けほ、はい、大丈夫です。庇ってくれてありがとうございます、クガイさん」
「俺が勝手に助けると決めた話さ。気にしなさんな。それであっちのお嬢さんは知り合いか?」
収まり始めた煙を割って、いまだ直剣を片手に持った女が姿を見せる。
クガイに警戒を隠さぬ視線を向けたが、すぐにクガイの庇っているクムへと向けなおして、仮面のように固い表情がふっと和らぐ。
「怪我はないか、クム?」
「はい、大丈夫です、ハクラさん」
「なんだ、前からの知り合いか?」
当然の疑問を口にするクガイを二人が見る。どうやら蚊帳の外なのはクガイの方らしい。
答えたのはクムだ。二人の間に流れる緊張した空気に気付き、それをどうにかしようと努力したのだ。
「はい、ハクラさんは私の屋台のお客さんなんです」
「屋台?」
「私、普段は屋台で料理を出して暮らしているから、それで」
「ほぉん。それなら今回の騒動が片付いたら、ぜひ買わせてもらうよ」
「はい!」
元気よく答えるクムの顔には無邪気な明るさと、商売人としてお客さん相手の愛嬌の良さが同居していた。やっぱり肝が据わっている、とクガイが感心したところでハクラが口を開く。
「お互いの事情を把握するにしても、場所を変えるべきだろう。奴らは引き下がったが、いつまた来るとも限らん」
「もっともだな。で、どこかいい隠れ家を知っているかい?」
「あの、私の家は?」
「それは駄目だ。クムの家の周りには不審な連中がうろついている。戻ったところで獣の口に自ら飛び込むようなものだ」
「お前さん、ハクラといったか。どうだい、どこか身を潜めるのにあてはないか?」
クガイの問いにハクラはふるふると小さく首を左右に振る。顔立ちや雰囲気は随分と大人びているが、そうしていると実に子供っぽい。
「私がこの街に来たのは三日前だ」
「そうかい。それじゃ隠れ家なんぞ用意出来ねえわな。それなら俺の方のあてを使うとしよう。詳しい話は道すがらといこうや」
「クム?」
この男を信用するのか、と暗に問うハクラにクムはクガイの顔を見上げてから頷き返した。
「うん。この人は、クガイさんは大丈夫」
「分かった。君の人を見る目を信じよう」
「よし。そんじゃ行くか。さっきの爆発で人も集まってくるだろう。下手すりゃ妖怪もな。しっかしまあ、ここまで魔性の入り混じっている街は初めてだぜ。腰を据えて少しは慣れたが、つくづくとんでもねえ街だな、この楽都は」
なによりこの状況で果たして敵か味方か、迅速に判断しなければならない。クゼが警戒の意識を見せている以上、あちら側の増援ではなさそうだが……。フードを目深に被ったままの女が、静かに口を開く。吹き付ける氷雪を思わせる、そんな声。
「奇妙な道具を使うお前達の仲間は、ここに来るまでに全て片付けておいた」
「なに?」
クゼの眉が一度跳ねた。女の発言はクゼにとって意外なものだったようだ。女に仲間が倒された事か、それとも自分も知らぬ仲間がいた事か。クゼはクガイと女への警戒は緩めずに、しばし沈黙する。
ウロトとゲンテツも苦痛に冷や汗や呻き声をこぼしながら、クゼからの指示を待っている。クガイ共々、お互いが動きを見せればいつでも戦いを再開させられる状態を維持している。
ピンと張りつめた緊張感に、クムが思わず引き付けを起こしそうになった時、クゼが沈黙の帳を破る。
「ウロト、ゲンテツ、引き上げるぞ。引き時だ」
それまで蹲っていたゲンテツと血の止まらぬウロトも、次の瞬間にはクゼの傍に戻っていた。
クガイが退く動きを見せる三人へ木刀の切っ先を向け、からかうように口を開く。クゼ以外の二人は手負いだ。女がどの程度の力量かクガイには分からないが、クゼの仲間を倒してきたというのなら敵には回るまい。
「躾が行き届いているな。だが、おめおめと逃がすとでも?」
「戯言はよせ。私はお前達二人を相手にしても構わんが、それではなにも失わずには済まないだろう。クムさんは一時、お前達に預けるとしよう」
クゼが言い終えるよりも早く、そしてクガイよりも先に女が動いていた。低く身を沈めて地を蹴り、疾風の速さで斬りかかっていた。その足が止まったのは、クゼが羽虫を払うように左手を女へ振るった直後だった。
女の振るった直剣が空中でなにかを弾く金属音が響き、強制的に彼女の足が止まる。
女とクガイの目は、クゼの左手の袖の中へ赤い縄の付いた刃――縄鏢が吸い込まれるように引き戻されるのを見ていた。
「そう急くな。私達はいずれまたクムさんを保護する為に足を運ぶ。どうしても私達の邪魔をしたいというのであれば、彼女の傍から離れぬことだ」
ウロトがゲンテツの腰へ舌鋼鞭を巻きつけて、有無を言わさずに引き寄せて肩に担ぐ。クガイの一撃を受けた同僚が限界に達しているのを見抜いていたのだ。
そのまま大人一人を担いでいるとは信じがたい動作で木塀に飛び上がると、クゼを待たずに瞬く間に離れてゆく。クゼは二人が十分に離れたのを確認してから自分も木塀の上に飛び上がる。
「ではごきげんよう、いずれ近いうちに」
ウロトとゲンテツが去った今、二対一に持ち込めると判断したクガイと女がクゼを追って飛び出そうとした瞬間、石畳にばら撒かれていた毒塗りの金貨がバチバチと激しい音を立てて発光し、
「ちい、いかん!」
クガイがクムを庇った直後、毒塗り金貨全てが四方へ雷と衝撃波を発しながら凄まじい勢いで爆裂した。
襲い来る砕けた石畳の破片や土くれ、爆風から、クムを羽織で庇いながら、クガイはクゼの念の入れ具合に愚痴を零していた。
「口封じの毒を塗り、いざとなったら撤退用の爆弾か。ありゃ、武器としても使っているな」
爆発が収まり、もうもうと土煙の立ち込める中でクガイは立ち上がり、せき込むクムの安否を確認した。
「無事か、クム」
「けほ、けほ、はい、大丈夫です。庇ってくれてありがとうございます、クガイさん」
「俺が勝手に助けると決めた話さ。気にしなさんな。それであっちのお嬢さんは知り合いか?」
収まり始めた煙を割って、いまだ直剣を片手に持った女が姿を見せる。
クガイに警戒を隠さぬ視線を向けたが、すぐにクガイの庇っているクムへと向けなおして、仮面のように固い表情がふっと和らぐ。
「怪我はないか、クム?」
「はい、大丈夫です、ハクラさん」
「なんだ、前からの知り合いか?」
当然の疑問を口にするクガイを二人が見る。どうやら蚊帳の外なのはクガイの方らしい。
答えたのはクムだ。二人の間に流れる緊張した空気に気付き、それをどうにかしようと努力したのだ。
「はい、ハクラさんは私の屋台のお客さんなんです」
「屋台?」
「私、普段は屋台で料理を出して暮らしているから、それで」
「ほぉん。それなら今回の騒動が片付いたら、ぜひ買わせてもらうよ」
「はい!」
元気よく答えるクムの顔には無邪気な明るさと、商売人としてお客さん相手の愛嬌の良さが同居していた。やっぱり肝が据わっている、とクガイが感心したところでハクラが口を開く。
「お互いの事情を把握するにしても、場所を変えるべきだろう。奴らは引き下がったが、いつまた来るとも限らん」
「もっともだな。で、どこかいい隠れ家を知っているかい?」
「あの、私の家は?」
「それは駄目だ。クムの家の周りには不審な連中がうろついている。戻ったところで獣の口に自ら飛び込むようなものだ」
「お前さん、ハクラといったか。どうだい、どこか身を潜めるのにあてはないか?」
クガイの問いにハクラはふるふると小さく首を左右に振る。顔立ちや雰囲気は随分と大人びているが、そうしていると実に子供っぽい。
「私がこの街に来たのは三日前だ」
「そうかい。それじゃ隠れ家なんぞ用意出来ねえわな。それなら俺の方のあてを使うとしよう。詳しい話は道すがらといこうや」
「クム?」
この男を信用するのか、と暗に問うハクラにクムはクガイの顔を見上げてから頷き返した。
「うん。この人は、クガイさんは大丈夫」
「分かった。君の人を見る目を信じよう」
「よし。そんじゃ行くか。さっきの爆発で人も集まってくるだろう。下手すりゃ妖怪もな。しっかしまあ、ここまで魔性の入り混じっている街は初めてだぜ。腰を据えて少しは慣れたが、つくづくとんでもねえ街だな、この楽都は」
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