さようなら竜生 外伝

永島ひろあき

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夜の子供達

裏切り

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 夜の森の中を疾走する夜月とダスタに、風に乗った草花や木々、妖精達からこちらへおいでよ、そんなに急いで何処に行くの、私達と語らいましょう、踊りましょう、歌いましょうといくつもの誘いの声が掛る。
 夜にこそ真の生を得るバンパイアの血を持つ彼らだからこそ届く誘惑の声を、彼らは一顧だにせず速度を緩めない。
 月光は夜月を照らすのを邪魔する木々の枝葉を殊のほか憎んだに違いない。傍らを走るダスタは改めて夜月の横顔を見て、戦いに赴く者としては失格も良い所の感想を抱いていた。
 ダスタの心中を知っていようと知らずとも、夜月は顧みる事はしないだろう。彼は視線を前方に据えたまま、ダスタに新たな言葉を投げかける。

「このペンダントを持っていたバンパイアもそうだが、その被害者達の様子が尋常ではなかった」

 夜月の手の中で、縦に割られたダイヤモンドが差し込む月の光を浴びて輝いている。あるいは、夜月の美貌に照らされて、か。
 他ならぬ夜月自身の手によって縦に割られたペンダントの持ち主は、ダスタの反応を見るにザグフと関係があったらしいが……
 ダスタは口を閉ざしたまま、夜月の語るに任せている。

「バンパイアに血を吸われた者は、大なり小なり血を吸ったバンパイアの影響を受けてしまう。それでもバンパイアになりきる前ならば本来の人格を残しているものだ。
 しかし、このペンダントの持ち主に血を吸われた被害者は、全員が同じような凶暴性を発露し、同じように瞳を赤く変え、牙をあらわにした醜い表情を浮かべていた。被害者同士で滅ぼし合う光景は、異常という他あるまい。
 そしてこのペンダント――虚ろなる無垢とやらを持っていたバンパイアも、戦いを重ねる内に徐々に被害者と同じように変わっていった。
 あの聖騎士を自称したバンパイアもまた変えられたのではないか? このペンダントによってな。所有者の心身を侵食し、変質させる。それが、君達がこの神器もどきを危険視する理由か?」

「……」

 答えないダスタの態度に何を見たのか、夜月は何やら納得した様子で、ふむ、と呟いた。

「ふむ、理由の一つではありそうだ。他にも理由はあるのだろう。先程のカズノの反応を見れば、ザグフの鎧もこのペンダントと近しい性質を有している可能性が高い。いくら血を吸われたとはいえ、あそこまで眷属化が凶暴な方向に進行するのは妙だった。
 今は理性を保てているようだが、あの男が精神を侵されれば加速度的に吸血の被害者は増え、バンパイアという種そのものを危険視する潮流も生まれるだろう。おれとしても母の故郷でそんな事が起きるのは好ましくない。少なくともザグフを灰にするまでは、君の邪魔はせん」

「一つ、よろしゅうございますか?」

 まるで主君に問いかける家臣のようだと、ダスタは自分自身に驚いた。夜月はダスタの内心を知ってか知らずか、視線で問いの先を促した。こちらもまた主人から従う者へと向けるが如き態度だ。
 通常、ダンピールにそのような態度を取られれば、ほとんどのバンパイアは烈火の怒りを見せるが、ダスタにはそれを当然だと受け入れる心の動きしかなかった。精神を共有している妹のアシュは驚いてこそいるが、それだけだ。

「今更、この状況に陥ってまで貴方を疑いはしません。ただ、貴方の兄君についてお伺いしても? 同じようにしてこの大陸に渡り、すぐに別れたとおっしゃっておりましたが……」

「こちらについてからの奴の足取りは、おれも知らん。奴もおれがどう行動したのかは知るまい。おれから言えるのは、奴はいい加減でずぼらで自分勝手な阿呆だという事くらいだ」

 思わずダスタが目を丸くして言葉を失う位、夜月の言葉に実感が込められていた。それはもう、たっぷりと。



「夜月の野郎はええかっこしいで、口を閉じて黙っていれば格好がつくと思っている勘違い野郎だ」

 こう夜空が答えたのは、館へと帰還直後にユハに弟である夜月について問われたからである。これには質問を発したユハも、こっそり聞き耳を立てていたザグフも目を丸くして、同じように“本当に仲の悪い兄弟なのだな”と思ったほどである。
 なにしろ夜月の名前を出された瞬間に見せた夜空の渋面ときたら! これでもかという嫌悪感と忌々しさによって形作られており、ユハの目が見えないのは幸いだったという他ない。

 さて、夜月がカズノに持たせていた木彫りの竜という予想外もあり、一旦、ザグフの館に戻った三人であるが、帰還直後は正面玄関のエントランスホールへと出たのだが、すぐにザグフ専用の医療設備のある場所へと向かっている。
 しっかりと自分の足で歩いているザグフだが、周囲にはすぐさま駆けつけてきた医師と警護の騎士達が取り巻いており、万が一、ザグフの足取りが乱れたなら彼らがすぐに支えとなるだろう。もちろん、全員バンパイアである。

 他のバンパイアやホムンクルス、銀人等は間もなくあるだろう夜月と追手からの襲撃に備え、警戒を最大限にしている。マサケやビエマ達もバンパイア達から侮蔑の視線を向けられながら、仕事に勤しんでいるだろう。
 ザグフが足を止めたのは、正面を向いて祈りを捧げる乙女の姿が彫刻された鋼鉄の大扉の前だった。誰が押すでもなく自動で開いた大扉の向こうへと医師とザグフが進む。
 蝶番の軋む音と共に開いた大扉の向こうには、一度に五十人がゆったりと寛げそうな正方形の湯船があった。湯船の縁が膝の高さまであり、深さがどれほどあるのかは、湯船を満たす真っ赤な液体によって底が見通せず分からない。

「血の風呂か。絞りたてだな」

 大扉が開かれた途端、吹きつけてきた濃い血臭に、夜空が口元を押さえながら呟く。その傍らで足を止めていたユハはぶるりと小さく体を震わせた。
 あまりに濃厚な血の臭いで、夜空の中のバンパイアの血が疼き、彼の身体から妖気と呼ぶべき気配が立ち昇っていたのである。

「おっと、悪いな。繊細なユハには毒だったか」

「いえ、少し驚いてしまっただけです、夜空様」

「そうかい? ならいいが、あの風呂が医療設備?」

「はい。正式には再生の間と申します」

「分かりやすい名前だな。お、ありゃ、鎧を着たまま頭まで浸かるのか」

 夜空の見ている前で、ザグフは兜すら脱がずに鮮血で満たされた湯船へと足を踏み入れ、中心部へと向けて歩を進めて行く。膝が浸かり、腰が浸かり、肩が浸かり、見る間に頭の先まで血の中へと完全に沈みきった。
 湯船の近くに控えた医師が抱えていた鞄から硝子壜を取り出して、なにやら調合を始めたところで大扉が再び閉じて、夜月にそれ以上の観察を許さなかった。

「バンパイアにとっちゃ血こそ最高最良の妙薬か。それにしても、あの様子だと“鎧の方も血を吸っている”な。 そこのところはどうなんだい、先輩方」

 夜月は大扉を塞ぐ五名のバンパイア騎士に軽い調子で問うが、主同様、全身を鎧兜で固め、肌の露出の一切ない彼らは軽薄で無礼なダンピールに冷淡な声で答えた。

「貴様の知る必要のない事だ。いずれ子爵様からお声が掛るだろう。それまでは館の中で待機しておけ」

「へいへい。それじゃ、ユハ、行くぜ」

「はい。お部屋にお戻りになられますか?」

「いや、まだ職場の知らないところが多いから散策といこうや。それとクリキンの奴の見舞いにも行ってやろうぜ」

「でしたら、クリキン様は第二医療室で治療を受けておられますから、そちらへご案内いたします」

 ユハが先に立って進むのにつられて、夜空はこの場を後にした。双子の弟の気性と能力ならば、ものの数時間でこの館に攻め込んでくるだろう。おそらく追手のバンパイアも夜月と手を組んでくる可能性が高い。
 残された時間はわずかだが、有意義に使わにゃな、と夜空は今にも口笛を吹きだしそうな上機嫌さ歩を進めていった。

 クリキンの見舞いに行くと口にした夜空だったが、その道中、あっちへふらふら、こっちへふらふらと目につく部屋という部屋を覗こうとしてはユハに説明ないしは制止され、まるで落ち着きの無い子供のような振る舞いを続けた。
 これにはユハも多少疲れを覚えたが、楽しそうに館の隅々まで探検しようとしているような夜空の様子に、まるで母親にでもなったような気持ちになり、彼女自身も知らず笑みを浮かべていた。

「ところでよ、ユハ」

 館にいくつかある武器庫の入り口で、中を覗き込みながらの夜空の問いに、ユハは愛らしく小首を傾げて答えた。

「はい。なにかご質問ですか?」

「はは、おれが次に何をするか分かって来たんじゃないのか。なあに、追手をぶっ飛ばして、夜月の野郎をコテンパンにした後の話よ。お前さんはなにかしたい事とかあんのかい。
 今日作られたばっかりで、趣味も何もないかも知れんが、したい事くらいはねえのか?」

「ええっと、ううん、私のしたい事、ですか。……すぐには思いつきません。ザグフ様の御命令により創造されてから、私の心の最も多くを占めているのは夜空様のお世話をする事ですから、私自身の楽しみの為に何かをするという考えを抱いた事がありません」

 夜空は、困った表情で右頬に手を当てて悩むユハを振り返り、同じように苦笑を口元に浮かべた。

「そういう答えが返ってくるんじゃねえかとは思っていたが、ま、しゃあねえ。見た目は二十歳そこそこ、精神年齢もそれ位に設定しているみたいだが、実際に生きた時間が一日未満じゃな。
 ふむ、しかしよ、おれの世話役として作り出されたんなら、一般的な家事に留まらず武芸百般、魔道の知識もそこそこ与えられているんじゃねえのか? 特技として何かしら設定されている中で、暇が出来たら手をつけてみたい事とかねえのかい?」

 今度はある程度の方向性を持たせ、誘導する夜空の問いに、ユハはたっぷり十秒の間を置いてから答えた。目隠しの布で目の動きは見えなくとも、頬や口元の変化でおおよその感情は読み取れる。夜空の目には、ユハが何かを見つけたと見えた。

「それでしたら、そうですね、お料理には興味があるかもしれません。まだ食事らしい食事は摂っていませんが、これからも夜空様のお傍でお世話をして生きてゆくとなれば、食事を摂る必要が出てまいります。
 館の料理人達の用意したもので済ませてもよいのですが、叶うのであれば私自身の手でお料理をしてみたいものです。でも、夜空様はダンピールですからお食事にはあまり拘りはないのでしょうか?」

「そんな事はねえよ。血が一番滋養になるのは事実だし、生きてゆくには不可欠だが、他の人間種と同じように食事は出来るし、味覚もそう変わらん。ただ、食事の量に関して言えば、おれと同じ年頃の人間の男と比べれば半分で腹一杯になっちまうがな」

 この少ない食事量は夜空に限った話ではなく、ダンピール全般に言える事だ。ユハもその知識を与えられていたから、少量しか食べられない夜空は食事にそれ程興味がないのでは、と思ったのである。

「でしたら夜空様に、いつか私の手料理を食べていただければ、これ以上幸いな事はございません。世話役の身でありながら、過ぎた願いではございますが、心の片隅に留めておいてくだされば何よりです」

「そう畏まらんでいいぜ。ユハは器用そうだから最初から上手くいくかもしれんが、もし上手くいかなかったとしても、それはそれで成長の過程を観察出来て面白そうだ。
 なんにせよ、今のゴタゴタが片付いてからだが、ユハの手料理って楽しみが出来たのは幸いだ。話を振って良かったぜ」

「ふふ、夜空様が喜んでくださったのなら、私も興味を抱いた甲斐がございました」

「そうか、それならいいや。さて、そろそろクリキンの奴の顔でも見にいくとするか。ここの医療技術を考えりゃ死んではいないだろうが、負傷者に追手と夜月の相手はさせられねえよな」

 どうやら、この青年にも少しくらいは他者を労わる気持ちの持ち合わせがあるらしかった。
 それからも夜空は限られた時間の中で、警護にあたっているマサケやビエマのところに顔を出しては冷やかしているのか、労っているのか、ユハには判断できないお喋りをしていった。
 世話役であると同時に監視役でもあるユハは、夜空が怪しい素振りを見せたならザグフに報告する義務があるが、今のところ、怪しい素振りはない。夜空の社交性と意地の悪い所が合わさった結果の行動だろう。

 ようやく夜空がクリキンの居る第二医療室へ到着した頃には、館の中で夜空の通行が許される範囲のほぼ全てを見終わっていた。
 第二医療室はバンパイア以外の種族の為の医療室であり、現在の利用者はクリキンただ一人である。追手が侵入した際の戦闘で戦ったホムンクルスや他の人間種は既に治療を終えたか、治療の甲斐も虚しく死亡している為だ。

 ずらりと四十台のベッドが並ぶ、真っ白で清潔な印象を受ける医療室の真ん中のあたりにあるベッドにクリキンの姿があった。医療行為を担当しているのは、専門の知識と技術を与えられたホムンクルスとゴーレム達だ。
 色白のホムンクルスに許可を取り、医療室に入った夜空はこちらに気付いて軽く手を振るクリキンの元へと向かう。

「あら、お見舞いに来てくれたの? ありがとう。ここにはそういう気遣いの出来る人間が少なくって、退屈していたのよ。ここのホムンクルスの子達は誠実で真面目だけれど、お喋りには向いていないのよね」

 夜空達を歓迎する意思を笑みとして浮かべるクリキンの言葉に嘘は無さそうだ。ふんわりと見た目にも柔らかそうなベッドの上で上半身を起こしたクリキンの顔色は良く、胴体を横断した切り傷も丁寧に包帯が巻かれ、簡素な寝巻越しにもかすかな刺激臭がしている。傷口を塞ぐ為の特殊な薬の発する臭いだ。
 夜空はベッドの脇に置かれている来客用の椅子を取り出し、先にユハを座らせてから自分も座る。

「その分じゃ命の大事にはならずに済んだようだな。元の鋏捌きを取り戻すには、もう三日か四日ってところか?」

「お医者様でもないのに良く分かるわね。ここのお医者様の見立てでは神経や血管が繋がるのに最低で三日。そこから元の技量を発揮できるかどうかは、あたしの努力次第よ」

「ここの雇い主殿は見る目が厳しいからな。努力を怠ったら即解雇を言い渡されそうだな」

「その分、他のバンパイアのところと比べたら、用心棒の待遇は良いのよ。昼の守りがメインだから、夜になったら待機を言い渡されるのは何処でも同じだけれど」

「そりゃ、昼に動けないのがバンパイアだからな。ここのご当主はちぃっと変わり種だが、そこを補うのが用心棒だろう」

「ま、そうでもなければ朱塗りの大地で人間が腕っ節で成り上がるなんて、出来ないしね。あたしに限ってはこんな有様だし、今は夜だし。ジークライナスからの追手が再び襲ってきても、今のあたしじゃ十秒も足止め出来ないのは残念だわ。貴方なら返り討ちにするでしょうけれど」

「おう。追手相手ならおれは負けんよ。マサケのやりあった“おれ”相手だと、ちと面倒なのが問題だけどな。それでもまあ、なんとかすらあな。お前さんは大人しく休んでおきな」

 夜空は右手を伸ばしてクリキンの左肩を軽く叩いた。労っているのだと誰にも分かる優しい仕草に、労われたクリキンが少し驚いたのが、夜空にとっては心外だった。

「そんな意外そうな顔をすんなよ。人並みと言ったら言い過ぎだが、おれだって少しは情ぐらいあらあな」

「ふふ、そうみたいね。なら貴方に任せてあたしはここで短い休憩を楽しむとしましょうか」

「お前さんなら荒事をやらんでも、芸として披露すればいくらでも食っていけそうだがね」

「とっても疲れた時とかには、そういう風に考える事もあるわね。子供相手に切り紙芸でもして、それか紙芝居でも良いかもしれないわね。でも、今のあたしは用心棒なの。そうそう自分の都合で明日から用心棒を辞めますとは言えないわ」

「雇用主の方は簡単に解雇を言い渡してきそうで、どうにも雇われた側の立場が弱いな。おれの方で抗議の一つもするか。労働者の正統な権利だってな」

「そんな度胸があるのは、この館の中では貴方位のものねえ。良くも悪くもこれまで居なかった人材ね」

「周りを肯定しかしない奴らで固めちゃ、健全とは言い難いと思うがね。ま、おれが口を出すこっちゃねえや。そんじゃな。よく食って寝ときな。そいつが一番だ」

 夜空はそれだけ言って、クリキンの肩から手を離し、ユハを伴って第二医療室を後にした。クリキンは二人の姿が扉の向こうへと消えるまで、目で追い続けた。



 ザグフが領地から持ち出してきた館は、峡谷の奥に建てられていた。三方は峡谷に塞がれ、正面は深い森林によって埋まっており、攻めるのに難しい配置となっている。
 防壁らしいものがないのは、攻められても返り討ちに出来るという自信の表れであるかもしれない。館の正面に広がる森林から、煌びやかな短剣を手にした布人形と真っ赤な槌のゴーレム達が飛び出し、馬鹿正直に館を攻め落とさんと大地を走る。

 深い森の静寂を地鳴りのような疾走の音がかき乱し、人型の水銀――銀人と武装したホムンクルス達が布人形とゴーレムを迎え撃たんと館から出陣する。
 布人形とゴーレムは合わせて二十程。対して館――ザグフ側の兵士は四十を越える。倍の敵を相手に布人形達は傷つくのを恐れず、足を切り落とされるか壊されない限り前進を止めない。

 ホムンクルスを含めて、本当の意味で生命を持つ者はこの場には居ないと言えたかもしれない。
 布人形はダスタとアシュが一度、館に侵入した際に使用した手駒の残り全てを投入したもので、赤いゴーレムは夜月が即興で作り出した戦力だ。
 人間の父親がゴーレム作りに一家言のある人物だとかで、即興の割にゴーレムの造作は観賞用の華美な甲冑を思わせる見事な造作だ。おまけに本職のゴーレムクリエイターの手からなる戦闘用ゴーレム顔負けの戦闘能力まで持つとあっては、ダスタは呆れ混じりに感心するしかない。

 両軍の兵士達が激突し、静寂をかき乱す音の種類を幾つも増やし、地面に転がる死体や残骸の数が二十を数えた頃に、館の中から鎧兜で全身を固めた一団が姿を見せた。
 バンパイアの館から黒く染まった空に月と星の輝く時刻に姿を見せる以上、全員がバンパイアであった。ザグフに従ったバンパイア達は決して多くはないだろうが、忌まわしきジークライナス女王からの追手との戦いに、全員の士気は高い。
 騎士達の先頭に立ち、全身を覆い隠す大盾と大戦鎚を構えた騎士は、おそらく隊長格なのだろう。率いてきた騎士達を振り返ってひび割れた鐘を思わせる大声で檄を飛ばす。

「忌まわしきジークライナスの猟犬を討ち取り、ガルドナ子爵家の矜持が折れていない事を示す絶好の機会が巡り来た。ガルドナの騎士達よ、今日まで屈辱に耐えて磨き抜いた武勇を示すのだ!!」

 彼らの覇気に応じるようにして、森林と館の敷地の境となる所に夜月がいつの間にか姿を見せていた。騎士達は新入りの双子の弟だというダンピールの姿に色めき立ち、手に手に構えた武器に殺気を漲らせる。
 ダンピールの分際で、不遜にも我らの主を滅ぼそうとする愚か者に鉄槌を! 騎士達の誰もが考えを一つにしていた。対して、夜月は愛剣を抜いてさえいない。館から出てきた騎士達を一瞥し、館からそれ以上新たな敵が出現しないのを確認する。

「ここまで釣り出せたのなら上出来か」

 夜月の漏らした言葉は、彼を目掛けて殺到する騎士達の耳には届かなかった。その代わり、館の上空で蝙蝠の翼を広げるダスタの耳にはしっかりと届いていた。

「ええ。残りは館の中、いえ、地下に籠っている様子。まずは有象無象と邪魔な上物を灰にしてしまいましょう。ええ、ええ、折角この朱塗りの大地に訪れた平穏を乱す愚か者共。既に女王陛下のご慈悲は尽きた。己らの愚行の報いを受けるがいい!」

 ダスタの右手に構えられた月針の穂先が館を指示した瞬間、館の頭上に白々と輝く雲が生じた。あまりの眩さに夜月へと向かっていた騎士達が足を止め、頭上の異変に目を向ける。
 この時、雲と見えたのは、髪の毛よりも細い月光の針だ。月の光さえあれば無尽蔵に針へと変えられる月針の力により、雲と見間違えるほど膨大な数の月光の針が作り出されていたのである。

 無数の月光の針が一斉に降り注ぐ光景は、豪雨というよりも雲がそのまま恐ろしい速さで落下してきたかのようだった。
 館そのものに防衛機構が仕込まれていたようで、降り注ぐ月光の針を半球形の光の障壁が受け止めたが、それも精々が数秒の事。硝子の砕ける音と共に障壁は消え去り、館の敷地全てと足を止めていたガルドナの騎士達に慈悲なく月光の針が降り注ぐ。

 本来、月の光と夜の闇とは、バンパイアにとって最大の味方だ。しかし月針によって針の形に束ねられた月の光は、バンパイアにとって最大の敵へと変化していた。
 本来、活力と安心感を与えてくれる筈の月の光が、この時ばかりは不滅の肉体を滅ぼす武器となり、あり得ない裏切りにバンパイアの肉体ばかりか魂さえも反射的に悲鳴を挙げる。

 実際には悲鳴を発する事も出来ずに肉片一つ残さず月光の針に貫かれた騎士達は人数分の灰のみを残し、館もまた基礎となる部分を残して徹底して破壊されており、もはや廃墟とすら呼べぬ惨状である。
 ダスタが月光の針で出来た雲を降らせてから、わずか一分とかからぬ内にガルドナの騎士達と館が消失してしまったのだ。ついでに布人形とゴーレムも全滅していたが、元々囮として運用したものだから、損失は予定通りだ。
 たった今、跡地になったばかりの館へと足を進める夜月の傍らに、ダスタが蝙蝠の翼を緩やかに動かして、音もなく降り立つ。

「最初に侵入した時にはコレをしなかったのか?」

「あの時はアシュが表に出ておりましたから。それにザグフと直接対決するところまでは持って行けました。あの鎧の前に退かざるを得ませんでしたが……」

「ふむ、そうか。君のお陰で残りは地下に籠っている本命だけか」

「ええ。バンパイアは土地の霊気との相性もまた重要です。端的に言うと相性の悪さは寝心地の悪さにつながりますから、一時の拠点であろうとも地下に棺を置き、土地との相性を良くしようと努めるのは当然のこと。反逆の徒であっても、それは変わりありませんわ」

「ザグフは月の恩恵を受けられないのに慣れなければ、等と言っていたが、土の方と手を切る理由はないか」

「ええ、自ら進んで味方を減らせる状況ではないでしょう。……番犬の登場ですね」

 上物を吹き飛ばされた館の跡地には地下へと続く階段がいくつか顔を覗かせていたが、その内のいくつかからガルドナ子爵家子飼いと見える魔獣達が、夜月達への殺意と食欲を発しながら姿を見せていた。
 今は灰へと変わった騎士達が、自分達がてこずった場合の切り札として用意していたのだろう。

「ヒドラとリンドブルム、ランドクラーケン……朱塗りの大地から連れ出してきた魔物に手を加えたものかしら」

「どれも血を吸われているな。元々の凶暴性に加えてバンパイアの不死性も追加か。余程追い詰められなければ、こうはしないと聞くが?」

 夜月とダスタを睨む魔獣達の瞳は全て赤々と輝き、全身からは凍えるような妖気を発している。本来なら顔を合わせた直後に殺し合いを始める類の魔獣達だが、今は足並みを揃えて侵入者を抹殺する事だけを考えている。

「まあ、領地を追われた敗残者ですから、どれだけ見栄を張っても追い込まれた状況に置かれているのは変わりありませんわ。一時の屈辱に耐えて再起を図ると言えば、自分も家臣も何とか我慢できるのでしょう」

「母国と連中の立場が逆にならんように君が努力しているわけか」

「そうなりますけれど、私だけの話ではありませんわ。この場に限っては、貴方も私と立場を近しくしているのですよ」

「宮仕えの身ではないのでな。そこが君とおれとで大きく異なる」

「さようですか。まったく、俸禄分の仕事をするのも楽ではありませんわ。さて、お喋りはここまでですね。あちらの獣共の涎がひどい事になっています。
 魔獣共をバンパイアに変えたのは、私とこの月針を相手にするには下策。それを思い知らせて差し上げましょう。それとミスター、この場は私がお引き受けいたしますわ。お先に地下に行ってくださるかしら? ついでに兄君を抑えてくださると助かるのですけれど」

「自己犠牲の精神ではなさそうだ」

「貴方の兄君は厄介ですわ。ザグフ一人ならば私が渾身の力を持って滅ぼしますが、兄君まではとても相手が出来ません。適材適所という言葉をご存じ?」

「そうだな、ここは年長者の意見を尊重しよう」

 言い終わるのと同時に夜月の右手には、例の赤い長剣が握られていた。いつ、どこから取り出したのかダスタにも分からなかったが、それよりも夜月の発言の一部に二重人格のバンパイアはひっかかりを覚えていた。

「いくらバンパイアが長命な種族とはいえ、女性にそのような口の利き方は感心いたしませんわ!」

「それは失礼をした。次からは気をつけよう」

「ええ、次があるように健闘を祈りますわ」



 夜空とユハがザグフからの呼び出しの念話を受け取ったのは、ちょうど地上にある館が月針によって物理的に消滅させられた時刻であった。
 クリキンの居た第二医療室を含め、二人は地下施設に居た為、月針の襲撃を受けずに済んでいたのである。与えられた居室で襲撃を警戒中とは思えない態度で寛いでいた夜空は、これから散歩にでも行くような雰囲気でザグフの待つ部屋へと向かう。むろん、案内はユハが務めている。

「あの、夜空様。先程の揺れは……」

「あの追手ちゃんだろう。月の光を針に変えていただろう? どこまでが効果範囲か知らんが、場合によっちゃ視界全部の月の光を針に変えられるなんて可能性もある。今頃、上は全滅しているかもな。そうだとしても倒すべき敵は二人だけだ。そう怯えんでいいぜ」

「は、はい」

「そろそろ雇い主殿も本腰を挙げて戦う準備を整えるだろうさ。少ない家臣のほとんどを灰にされちまっただろうし、腸が煮えくりかえっているに違いねえ」

 夜空の指摘は実際に正しいものだった。いずれ朱塗りの大地の覇権を得るべく、力を蓄える為にこんな辺境に来たにもかかわらず、夜月とダスタとの戦闘によって、ザグフは希少な純バンパイアの家臣のほとんどを失ってしまっている。
 血を吸えば増やせる成り上がりとは違い、純粋なバンパイアはそう易々と増やせはしないのだ。ましてや苦楽を共にしてきた家臣となればなおさらだ。

 ザグフに呼び出しを受けて向かったのは、ガルドナ子爵家の家宝を収蔵する宝物庫であった。この状況で呼びつけるのに、さて、適切な場所かどうか怪しいが、夜空はザグフが温存していた武具なり魔道具なりを出すのだろう、と予想している。
 これまでの事を考えると、ひと際豪勢な造りと厳重な警備が敷かれていてもおかしくない宝物庫だが、不思議な事に警備の騎士やホムンクルスの類はおらず、宝物庫の扉は開きっぱなしになっていた。
 夜空だけでなくユハも不思議そうに首を傾げるが、二人の脳裏に

“来たか。そのまま入るが良い”

 とザグフからの念話が届いた為、二人はそのまま足を踏み入れる。宝物庫の中には何もなかった。金貨の山も、複数の宝石で装飾された短剣や無数のダイヤモンドを連ねた煌びやかなネックレスやアクセサリもない。
 宝物庫内部の亜空間に宝物が収蔵されていて、特定のキーワードか動作によって亜空間に隠された宝物が現れる、よくある魔法セキュリティだ。

 がらんとした宝物庫の中は灰色の石を積み重ねられただけの、なんとも寂しい雰囲気の空間が広がっている。
 ザグフはその中心で初めて見るサファイア色の刃を持つ大剣を持ち、その切っ先を床に突き立てて、二人の到着を待っていた。
 ザグフから吹き付けてくる妖気の質が変化している事に気付き、夜空の目がかすかに細められる。血の風呂に浸かって、本人も“鎧”も飢えを満たして活力に満ちたと見える。

「まかり越しましたぜ、子爵」

「相変わらずお前は雇われとは思えぬ態度だな」

「非正規雇用だからな。礼儀も待遇相応で勘弁願いたい」

「ふん、このおれを前に大した度胸だ」

 “おれ”ねえ、と夜空は心中で呟いた。私でなくなっているのは、それだけ余裕がなく本性が露わになっているからなのか、それとも闘争本能に火でも点いたか。

「それでそちらの大剣が子爵の切り札? これまでは鎧だけで戦っていたが、いよいよやる気になったか」

 夜空の視線が自分の持つ大剣に注がれているのを察し、ザグフは恭しく大剣を持ち上げて、そのサファイアの刀身に自分と夜空の顔を映した。

「これなるは魔剣アズエラン。我がガルドナ家の初代が東方への遠征にて、朽ちた社より見つけ出したる宝物よ」

「ふむ、こっちの肌を打つ魔力だ。そちらの鎧とは違う雰囲気だが、なるほど、子爵がいざという時に持ち出すのも納得がいくわ。他に手札は増やさんのかい?」

「ふん、この剣の他はお前の弟や追手を相手取るには力が不足している。これがおれの最強の攻めと守りよ。他は要らん」

 そう言って、ザグフは右手一本で握り直したアズエランを一振りする。アズエランの青い光が剣風に乗って、宝物庫の空間を薙ぐ。星屑のように青い光が瞬く中、ザグフは夜空へと一歩を踏み出した。
 ザグフから放射される妖気に殺気が混じり、自分に叩きつけられるのを夜空は感じた。こりゃ、あかんかなと口中で呟いた。

「そして夜空よ、貴様に反逆の意思ありとして、この場で貴様を処断する」

「ほー。そいつぁまたなんでだい? この土壇場で血迷ったか? おれが何かあんたの不利益になる真似をしたかね」

 夜空はまだ長剣を握ってはおらず、おどけるように両肩を竦めた。その間もザグフは足を止めない。

「もとよりおれが貴様を信用も信頼していないのも、貴様は承知の上であったろう。貴様が館に戻ってから、我が館の中を歩き回る際、なにやら撒いていたのを知らぬと思ったか。マサケやビエマ、クリキンにも何かを盛ったな? あやつらの悉くが行動不能に陥っている」

「ふうん、ユハは何も気づいていないが、濡れ衣じゃねえの?」

「ユハは貴様の監視役だが、ユハさえ誤魔化せれば気付かれないと貴様を油断させる為の囮よ。館の中はおれの掌の中に等しい。壁も廊下も全ておれの指と目と耳に等しいのだ。
 なによりアズエランの他に武器はないと告げた時、貴様の気配が楽しげに揺れたわ。この鎧以外に警戒すべきものが無いと知り、油断したか」

 更にザグフが一歩を詰める。ザグフからの言葉の数々を受けて、夜空は一度表情を消すと、すぐに悪戯のばれた子供のように笑う。

「なんでえ、もう少し隠してここぞって時にばらすつもりだったんだがなあ」

 そう言うや、夜空の右手にあの赤い長剣が握られる。しかし、その刃の長さがおおよそ三分の二にまで短くなっている。

「館ん中に撒いたのはこの剣の破片みたいなもんさ。館に施された術を乗っ取るのに使った。乗っ取り途中だけどな。マサケ達に盛ったのも同じさ。ま、眠り薬みたいなもんだ。おれが起こせば後遺症も何もねえよ」

「ふん、狙いは何だ? 我がガルドナ子爵家の財か? それともこの鎧か? バンパイアになりたいと望んだのは偽りであったか」

「ん~、バンパイアになるのに多少の誘惑を感じているのは事実さ。ダンピールなら誰だって考えるだろう。でもまあ、わざわざあんたなんぞにして貰おうとは思わねえ。それにあんたは領民でもない相手の血を吸ったろう?
 相手が自分のところの領民だったら、それは領主の権利だ。どう扱ってもおれが口を挟む問題じゃねえ。だがあんたが血を吸ったのは、何の罪も無けりゃ血を吸われる謂れもない女の子だ。そんな野郎はただの悪党さ。そんな野郎に同類にされるのはご免だね」

 ゆっくりと夜空の握る長剣の切っ先が持ち上げられてゆき、ザグフの心臓を指し示す位置で止まった。

「それにおれは痛いし、きついが、お天道様の下を歩けるダンピールってのを気に入ってんのさ。人間の父ちゃんとバンパイアの母ちゃんの血を半分ずつ引いている証明だと思えば、そう悪いもんでもない。
 最後におれは性根が捻じくれていてよ。調子に乗った悪党が目的を達成する寸前でご破算にされて、絶望する顔を見るのが楽しくって仕方ねえのよ。あんたをどう持ち上げて、どう蹴落とすかを考えていたんだが、こうなっちゃしょうがねえ。残念だぜ、子爵」

「慮外者め。いっそ清々しいわ。アズエランに久しぶりに味わわせる最初の血は貴様だ。次に貴様の弟と追手よ。心からおれに臣従していればよかったと、今わの際に悔むがいい」

「悔やまねえよ。その鎧の底と限界も大体分かっ……っ」

 夜空とザグフの殺気が生み出す緊張が限界を迎え、破裂しようとした瞬間、夜空の体が小さく揺れた。彼の背中にユハがぶつかったのだ。夜空は肩越しにユハを振り返る。

「ああ、ああ、夜空様、申し訳、ありません。でも、でも、これが、私、でも貴方に、私……」

 何処に仕舞っていたのか、ユハは銀の短剣を握り、それを深々と夜空の背中へと突き立てていた。生み出された時にザグフから与えられた命令のままに行動したユハだが、彼女の口からは意味を成さない言葉の羅列が繰り返し呟かれ、目隠しの下の瞳から次々と涙が流れ出している。

「いいさ。君は悪くない」

「夜空さ……ま……」

 夜空は優しくユハに語りかけ、左脇の下を通した長剣でユハの心臓を躊躇なく貫いた。
 例えそのように生み出されたとはいえ、これまで健気に尽くしてくれた女性に対し、あまりに無慈悲で、残酷な夜空の仕打ちだったが、ザグフには好機でしかなかった。
 大きく床を蹴り、大上段からアズエランを振り下ろす。夜空はユハごとまとめて自分を殺すつもりの一撃を、ユハを突き飛ばし、自分は大きく右に跳んで避ける。
 血の筋を床に引きながら、夜空はザグフと改めて対峙する。ザグフは既に用済みとなったホムンクルスへは一瞥もくれず、兜越しに呪い殺さんばかりに夜空を睨む。

「ほう、武器まで奪ったか。あのホムンクルスはよい仕事をした」

 夜空の長剣は宝物庫の入り口近くに突き飛ばされたユハの心臓を貫いたままだ。仰向けに転がるユハの胸に突き立っている長剣を回収するのは、至難の技だろう。

「なあに、これで十分さ」

 そう言って、夜空は自分の背中に刺さった短剣を抜きとり、自分の血に塗れた短剣の切っ先を右下段に流す。

「しかし、ホムンクルスに容赦がなかったな。あの程度の時間しか過ごしていないようでは、情も抱かんか。手も出していないようだしな」

「下種の勘ぐりはよしな。見た目は百点満点中の一千点だが、中身があそこまで子供じゃあ、手を出す気も失せる」

「そうか。ならば貴様の首を切り取って、ホムンクルスめの供養とするか」

「はん、名前も憶えてねえくせによく言うぜ!」

 夜空とザグフの体が同時に掻き消えた。熟練の戦士でも残像を映す事叶わぬ神速の踏み込みが、両者の距離を零にした。
 今や愛剣はなく、背中には深々と刺し傷が残り、出血は止まる事を知らない。果たして、夜空に勝機は本当に見えているのか……
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