宇宙貿易商会シモンネッター

ウォーターブルーム

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第1章 アースからの旅立ち

1.借金取り???からの逃亡劇

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 「あーあ、今日もいろいろと忙しかったな。」と赤く染まりつつある空を見上げる。川の土手を歩くと気持ちがいい。さわやかな風が吹くと、とても気分が良くなる。夕日を映して茜色に染まる川の水面の景色もとってもミステリアスな風情を感じさせる。
そんな夕暮れ時のさなかに背が高くて若い1人の男がゆっくりと川の土手を下って、近くのフードショップへ入っていく。店の中の調理済みフードのコーナーまで歩くと早速、品定めにかかる。牡羊座生まれの27歳、バラクーダ・アリエスはお好みの『ボケナス炒めの油めし』1食を選び、AI(人工知能)が導入された無人店内で購入を済ませると、再びもうだいぶ暗くなった川の土手へと向かう。
しばらく川沿いの土手を歩き、10分後には土手を降りた道路の側にあるドーム型のモスクに似た建物に入っていく。そこの建物の一部屋が彼の居住スペースとして貸し出されていた。しかし、その建物の貸部屋には向かわず、彼はまっすぐ階下の巨大な倉庫の様な空間へと歩く。そこには巨大なスペースシップが1艇あった。彼はその船のハッチ部分から船の中に乗り込むと操縦席に進んでいった。コックピット内にはもう1人、女性相棒のベニステラ・ヴァージニアが計器の点検に余念が無い。
「どうしても郷土の食事が食いたいというから地球アースに寄ったけど、あったの?。」とベニステラ。
「あった、あった。このボケナス炒めがたまんないよ、も~クセになる味だわ。やっぱ地球アースは最高だ。」とバラクーダ。しばらくコックピットの座席で食事を摂りながら、彼が「次はどの星でのトレードだっけ?。」と口をもぐもぐしながら訊いてくる。「フィールダ星雲よ。もお、食べながら話すのは止めてよね。」と相棒。
ここは大銀河星雲太陽系第3惑星の地球。バラクーダの生まれ故郷でもある。この星の人類は、科学技術の発展とともに宇宙に進出し、あらゆる星系に地球型の文明を築き上げていた。未知の生物との邂逅や開拓途上の星々も数多く、計り知れないリスクに遭遇することも数知れずある。しかし、宇宙からの恩恵はそれ以上に地球という限られた環境からのメリットを上回る利益を人類にもたらしてくれる。それに広大な宇宙に活躍の場を求めることは、大航海時代の地球人類にとって冒険でありロマンでもあったのと同様に、夢と希望をそそられる生きがいの舞台でもあったのだ。

 突然、目の前のスクリーンにパッと女性の姿が映し出される。一応、彼が(形だけ)経営する宇宙貿易商会シモンネッターの若き相談役兼経理担当でもあり、商会の一株主でもあるパメラ・オコーナーだ。「何やってるんじゃい!ちゃんと仕事してんのか!またクレームだぞ。」とすごい剣幕だ。
「何ですか、相談役。俺らちゃんと火星に届けましたよ。なにせあの荷物、途中で逃げ出そうと暴れたり、計器をひっくり返したりサポーターの人に噛みついたあげく、近くを歩いていた見知らぬ女性のスカートめくってパンツまではぎ取ろうとしたりと、もう散々な目に会いながらも何とか任務完了したんですよ。」とふくれっつらで返すバラクーダ。
「散々なのは、こっちだ。お前らが届けるまでの間に一体いくらの物品や人に多大な損害を与えたと思ってるんだ!。おかげでこちとら残業までして後始末だったんだぞ。少しは反省しろ!。」
「大体、あんな物騒な荷物の運送依頼を受けるアンタ方がどうかしてるんだ。アレは元々、第16惑星条約で運んじゃいけないシロモノだろ。あんなの危険だって初めから分かりきってるモノじゃないか、このスットコドッコイ!。」と負けずに応じるバラクーダ。

 バラクーダ達が今日輸送したのは、カイワレ惑星に棲息している『オリコウモンキー』という宇宙ザルの一種だった。ところがこのモンキー、名前とは裏腹で、確かに結構知能が高く感情表現も豊富で、人間の考えている事や感情を理解することができる猿なのだが、それに加えてイタズラ好きで何かとチョッカイや遊びのつもりで悪ふざけが過ぎるというトンデモなエテ公なのだ。
今世紀、つまり西暦5869年の宇宙では、この猿の輸送にはかなりの条件や規制で原則、星間どうしでの移動や運送は禁じられているはずなのだが、どういうわけかバラクーダの属する商会シモンネッターは、この猿を一般的な「類人猿」として税関に届け出てしまい、しかも届ける相手先は公的動物園へのお届け物ということで、かなり贔屓目ひいきめに見てもらったうえ、限りなく密輸に近いグレーさが残りつつも相当な無理をして星間での取引にこぎつけて何とか持ち込んでしまったというお粗末な経緯が背景にあった。
そして実際バラクーダ達が運ぶ途中、たった1匹だけだったのにもかかわらず、ゲージから抜け出して脱走した挙句ようやく捕まえようとした途端、相当手こずる程度に抵抗やイタズラを連発しまくってしまった「お荷物サル」なのだ。

 顔を真っ赤にした相談役兼経理担当のパメラが「キィ~ッ。もうイイ、アンタ達の給料から今回の損害分、差っ引いておくからね、覚悟なさいな!。」と猿の様な悲鳴をあげて、まくし立てる。
「な、なんだってえ!?。そりゃ横暴ってもんだろ、パワハラだろ!。組合に訴え出てやるからな、そっちこそ覚悟しとけよ、この色ボケ女が!。」とバラクーダも負けずに応酬。
「ダ、ダレが、色ボケですってえ~~~~!!。
こ、このクサレルンペンプロレタリアート・・・・・・・・・・・・・・・がああっ!。」
「この前、職場でのイイオトコ紹介キャンペーンで婚活イベント張り切って出て、見事に自爆して大恥かいたのはどこの誰ですかねー!。こっちまで恥ずかしくなっちゃったよ~、て、ルンペン様で悪かったな!。」
と、もうメチャクチャな状況になりつつあるのを尻目に「ハァ~っ・・・。」とため息を漏らすベニステラだった。

 3時間後、バラクーダ達は地球から離れること5パーセク(1パーセクは約3.26光年)の距離にあるフィールダ星雲内浮遊都市『マーモンド』に到着していた。この時代の宇宙旅行は、量子飛躍(量子テレポーテーション)を応用した光速を超える技術(通信手段においても古典的な技術ではなく、光速を超えた通信手段が確立している)が実用化されていて、数パーセク離れた宇宙空間もわずか数時間単位で航行可能となっている。ここでは荷物を点検の上受け取り、バラクーダが操縦する宇宙航行艇『ライトニング』号に運び込む作業を行う予定だ。マーモンドの宇宙星間航行用ターミナルに着き2人は検疫チェックを受け出港手続を済ませると、港外のセパレートタウンへホバークラフトカーで向かう。まずは荷主の所へ運ぶ荷物を確認するためだ。運びの依頼人クライアントはタッカー商会という卸問屋で依頼の荷物は女性型アンドロイド『ミューズ77号』。通称『スペルナ』。それと金属製の立方体キューブで中に何が入っているのか極秘ということで明かされない物体1個。これらをマウント星雲の、とある工業メーカー『M』の工場に届けるというミッションだ。
「ミューズ77号は結構、これで性能はいいんですよ。ある程度、専門性のある仕事でも対応できるAIが内蔵されていまして。」とメーカー側の担当は言っていた。このアンドロイドはまだ試作の段階ではあるが、外宇宙活動のためにこれから売り込んでいく予定なのだということだ。そのために量産の必要性からマウント星雲へと試作品を運ぶのがバラクーダ達のミッションというわけだ。そしてメーカー担当の説明ではミューズ77号は、自立活動型高性能アンドロイドで体の一部には人工の生体組織も使われている。あらゆる言語を記憶しており、活動分野に応じて必要な知識や情報をインプットさせて働かせる事も可能という。
「ミューズ77号、それじゃライトニング号に乗船してくれ。行先はマウント星雲だ。」とバラクーダが言うと流暢な日本語で「分かりました、仮マスター。それでは先に乗船してBパート計器類のチェックを行います。なお今後、ワタクシのことはスペルナとお呼びください。」と確かに存外、重宝な働きを示してくれる。こうしてバラクーダ達は荷物の引き取りを終え空港まで運び込んだ後、出航の準備に取り掛かっていた。航行エネルギーもたっぷり充填し、手続も済ませて地球時間2時間後、出発となった。

 出発まで少し時間を潰そうと一人でバラクーダが喫茶店でコーヒーを飲んでいた。店内に二人組の女が入ってきた。キョロキョロと周囲を見回すとバラクーダの側へと歩いてきた。するとバラクーダがすっくと立ちあがり、電子認証で支払いを即座に済ませ、コソコソと店を素早く出る。すかさず女達も後を追ってきた。
「ゲッ、てめーら、回収ギルドの者どもだなっ。」と言うが否や脱兎の如く、逃げ出すバラクーダ。
「待てっ!。」と語気鋭く女2人も追いかけてくる。あちこちの町角という町角を幾度も曲がり、ビルとビルの空隙を縫っての逃亡劇が続く。浮遊都市と言っても、直径差し渡し200キロメートルはあるドーム型の都市だけに逃げ場に困ることは無かった。

 「フ~ッ、巻くことはできたようだな・・。」
しかし、どこで見つかるか油断はできなかった。バラクーダには200万ダラムもの借金があった。過去、ある勝負に負けて負債を抱え込んでしまった事があるのだ。そのツケが払えずに貸した側が債権回収をギルドに依頼していたのだった。
債権回収ギルド「ネックハンド」。この宇宙随一の債権回収を生業とするギルドだ。全宇宙の様々な債権の回収を一手に担っており、通常の借金の回収だけではなく光熱費の未納回収から税金の徴収、はては人質の回収や困難な盗難品の回収までをも手掛ける、ある意味アウトロー的プロの集団だ。追いかけるときは宇宙の果てまでも追ってくると言われている。ここで捕まるわけにはいかない、と逃亡の一語がバラクーダの脳裏をかすめる。どこかの住居地域に紛れ込んだようで静かな家屋の街並みが続く。小道を幾たびか曲がり、交差点に出た時だった。いきなりビュツと機械的な音とともに肩口に熱い衝撃が掠めていった。
「ひょえ~つ!。」バラクーダはすぐに近くの小道に転がり込んだ。レーザービームだ。幸い、肩先を掠めただけで大事には至っていない。しかし、ギルドの追手によるものであることは疑う余地も無かった。転がり込んだ暗がりで、彼も咄嗟に腰からレーザーガンを抜く。ビュン、ビュンとレーザービームが何筋か側を通り抜けていく。こちらも応戦する。ビームの応酬でさながら戦場と化したかの様だ。暗がりから暗がりへと所を変えながらバラクーダは相手を攪乱するべく、わざと廃工場の中へと入りこんでいく。工場の中は何かのクレーン作業に使う重機類が何台か取り残されていた。そこへ女2人が滑るように侵入して来る。追手どもだ。腕にプロテクターを付け照準精度を高めるためのアイフィルターを装着している。周囲に目を配りながら、女たちは工場の中を突き進んで来る。50メートル程進んだ時だ。
工場と反対側の路上の角に目をやると手招きしている者がいる。工場を出てソッと近づいて行くと相棒のベニステラだった。

 「もう出航時刻が迫ってるよ。早く行くね。」というと二人乗り用のホバーバイクを親指で指し示す。バラクーダ達はバイクに飛び乗るとすぐに発進、快速に飛ばし始める。
バイクは瞬く間に路地から路地をすり抜けて、裏道を伝いながらもターミナルへと向かう。途中、待ち伏せ等が無いかと周囲を見回しているが、追ってくる者はいない様だ。十数分後何とか入港する。手続とチェックを済ませ2人はライトニング号に乗船した。荷物のチェックは既にミューズ77号ことスペルナが終えていたので非常にありがたかった。やがてエンジンが始動する音がして、ライトニング号が滑らかに浮上して行く。やがて30分後にはもう大気圏外まで出航できたのだった。
「仮マスター、御苦労様でした。次の到着地点マウント星雲までの時間は2.3時間後、地球時間午後13時54分になります。」とスペルナが報告する中、ベニステラが「危ないとこだったわね。また借金取り?。」
「ああ・・。しつこい連中だ。だが,予定のコースではまだ捕捉できないだろ。当分、逃げ切れるさ。」
「本当!?。でもよくココが分かったわね。」
と、突然警報ブザーがピーッ、ピーッとけたたましく鳴り響く。スクリーンにこちらを追ってくる宇宙艇の姿が映し出された。「やれやれ・・。しつこいお客さん達だこと。」と言うとバラクーダは操縦桿を握りしめた。
「捕まってろよ~、スッ飛ばすぜ!。」ギュンと重力負荷がかかり、亜空間突入準光速度に一気に加速する。
そのまま亜空間に突入し、さらに加速する。瞬く間に周囲の様子が変わり亜空間内を航行するモードに入る。周囲の様子はスクリーンに映し出されるが、流星の様な光の夥しい数と暗い空間が単調に目に入るばかりで景色や場所も認識できない。重力負荷も次第になくなってきて、どうやら異次元亜空間に無事突入し航行モードへ入った様だ。

「借金取りのネックハンドにしちゃ、ちっとばかしシツコイ奴らだったな。」とバラクーダがやれやれといった表情でコーヒーカップを片手に呟く。しばらく準光速度で目的の惑星に向かう。マウント星雲にある惑星の一つクレアデウス星だ。先ほど滞在したフィールダ星雲からは3パーセクほど離れた距離にある。この辺の星系には工業や製造業を中心とした工業団植民地星が多い。バラクーダ達の荷物の依頼先もこの星系に工場を有している工業メーカーだった。
「よっし、亜空間航行から通常航行に戻るぜっ。」やがて、亜空間を抜け出して現実次元での宇宙空間航行になる。周囲の空間も星々が瞬く、見慣れた宇宙の景色になっていく。と、その時だった。前方の空間から数隻の宇宙戦艦が現れた。
「アアッ!あ、あれは・・・う、宇宙海賊~~~っ!?。な、なんでココに!?。」
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