14 / 30
1.訪れの時
9.カンディルと若美女とデートと熱い一夜
しおりを挟む
クエストへ出発する前の準備の一つとして、ショッピングセンターへ来ていた神波達は早速、水着とかゴムボートや救命胴具やら食料品等を調達すべく、買い漁り始めた。神波は水着に興味は無かったものの、カンディル対策として特に女性の場合、水着対策が重要となることも聞いてはいた。いわゆる「タンガ」の装着もその一つ。「タンガ」というのは、現地のブラジル先住民族であるインディオ発祥の水着で、カンディル対策のためにフロントもバックもV字型の切れ込みが特徴のTバック水着や腰巻のことを指すらしい。なんでも陶器製のものもあり、なかには美術品としての価値も有るとかどうだとか。
神波パーティーの女性陣も、さすがに膣や子宮に食い込まれるのは避けたいらしく、素材の強化されたTバッグ系を選ぶことに余念が無い。それにしても恥ずかしくないのだろうか。あまりにも露出度が大きい様に神波には思えるのだが。ところが、神波は目のやり場に困るあまり別の場所でショッピングをしているのに、早瀬だけは彼女達と一緒に水着選びに平気で付き合っている。そして彼もまた楽しそうであった。
ひととおり買い物が済み、一同はバーガーショップのテーブル席に陣取っていた。今後の打ち合わせのためだ。
「ところで、10万匹もどうやって採集するの?。捕獲方法は?。」と恋町。
「ブラジル現地で説明があって、捕獲方法やその器具類一式を貸し出してくれるって聞いてるよ。どうも巨大な網と生簀ポイントがあるみたいだね。あとは捕獲ポイントまで川を遡って上流ポイントから下流ポイントへとボートで移動しながら、捕獲の旅をして行く寸法さ。これが旅程表と計画書。」と神波はギルドから受け取っていた書類や提出した計画書を各自に手渡した。
「それと現地でガイドさんを雇うことにしたから。確か、名前はええっと・・日系ブラジル人の「ジュリアーナ・アマノ」さんだ。」
「ええっ、もしかして女の人!?。」と早瀬が目を丸くしながら訊いてくる。
「そうだよ。17だってさ。」「若いわね。うちらとほぼ同じくらいじゃない。」「どんなコなのかな。」といろいろと意見や疑問は噴出したが、その時はさしたる気もなく、現地での一案内人としての位置づけで片づけてしまっていた。
こうしてギルドのクエスト『クレイジー・カンディル掃討捕獲プロジェクト』の参加を申請し、受諾された神波達パーティー一行は1週間後、南米ブラジルのサンパウロ国際宇宙空港へと降り立っていた。
実はパーティとは別に、ブラジルに来てクエスト以外にも寄る目的が、神波にはあった。イントロン・バイオテクノロジー社のブラジル研究センターで健康診断の他、血液や細胞の採取を行う予定だったのだ。
ブラジルのサンパウロ国際宇宙空港のターミナルで迎えに待ち合わせていた車に神波は乗りそのまま研究センターまで直行した。車で30分も走るとその研究施設があって、地下駐車場から建物に入りすぐにエレベーターに乗って待合室まで案内された。その後、施設の副所長と研究主任のマリア・ガガベラさんという女性がやって来て挨拶を交わし、すぐに血液採取室へ通される。身長体重、血圧測定、胸部レントゲンや超音波エコー、CT、MRI検査等を受けた後、血液の採取と細胞の採取とが滞りなく行われ、4時間後にはまた車でホテルまで送り届けてもらった。
翌日からは、再びパーティーと一緒の行動に復帰する。サンパウロから小型ジェットでマナウス近郊まで行き、そこから快速艇でポルトヴェーリョまでアマゾン川の支流のマデイラ川を遡る。航路や最新設備での水運も確立されているこの時代では、ブラジル国内でサンパウロからポルトヴェーリョの移動には3日しかかからなかった。
ポルトヴェーリョに到着すると港を出た所で案内人のジュリアーナと落ち合った。ジュリアーナは母親がブラジルのポルトガル系住民で父親が日本人。ハーフではあったが、ややブロンドがかった栗色の髪に細面の整った顔立ちで、小麦色のよく焼けた肌にナイスバディとしか言いようのない見事な体型、胸は張り裂けんばかりの巨乳かつヒップは突き出るばかりの豊満さなのに、腰のくびれは非常に細くて華奢な抜群のプロポーションだった。まさに「肉感的美女」と呼ぶのに相応しい。
背もそこそこ高く、とても日本人の女性基準での17歳には見えない。日本でもモデルかアイドルとして充分にやっていけそうな美貌とボディを兼ね備えた人物だ。
もう少し野性的なイメージを想像していただけに、神波は予想外な美女を目の前にやや面喰ってしまった。
「ハーイ、こんにちワ。お会いできてうれしいデ~ス。ワタシ、ジュリアーナデ~ス、どぞヨロシク♡。」とウインクしながら白い歯を見せて微笑まれると、あの早瀬すら少し顔を赤くしてモジモジしてしまう。もっとも神波だけはむっつりスケベの様に硬い表情を崩さなかったが、心の中では(なんだあ、コイツ。ワザとやってんじゃねえのか?。男を挑発してんのか!?。ナメンなヨ?。)と1980年代前半の古典的な(=バカっぽい)チンピラみたいな物言いで、ジュリアーナの態度には些か懐疑的な感じだった。
まあ日本語も少しぎこちないものの聞き取れないということはなく、かつて日本に住んでいたというだけになかなか流暢な部類だ(ちなみに他に英語とポルトガル語も話すという)。すぐに皆と打ち解けてパーティー内では彼女のことを「ジュリア」とか「ジュリー」という愛称で呼ぶ間柄になっていた。
ジュリアを含めメンバー5人は、レストランに入り打ち合わせを行う。打ち合わせの中で、今回の採集場所であるマデイラ川上流の捕獲ポイントの位置や使用する漁具、ボートの規模等の詳細が明らかになった。それによるとポルトヴェーリョからさらに200キロ程上流に遡った所が主な捕獲場所で支流なんかにも結構多く生息しているとのこと。ボートは全長15メートルで結構大きいが、そのボートの側面に巨大な四手網が取り付けられている。その網を水中に沈め、エサ袋で集団をおびき寄せて船の周りにカンディルが集まってきた時に、一気に網で捕獲するというやり方だ。
そして、だんだんと捕獲ポイントを下流へと移して移動しながら1週間かけて目標を達成するという予定であった。ジュリアの話によれば、集まればとにかく「入れ食い状態」とのことだ。ただ、今までこのクエストに挑戦した者たちの中には、誤って川に転落して下半身切断したとか水着の隙間から侵入されて膣を食い破られたりとか、悲惨な事例を挙げればそれこそ枚挙にいとまがない程らしい。
打ち合わせの後、食事をして港の近くのホテルに宿泊した。明日から早速、川を遡ることになる。各人それぞれの部屋のルームキーをフロントで受け取ると、神波は皆と別れて一人、部屋へと向かった。まずは荷物を降ろして、明日の準備の再点検だ。いろいろな装備品や食料を確認していた時だった。突然、ドアをコンコンとノックする音がする。(今時分、誰だろう?)と思いつつ、ドアのアイ・レンズを覗いてみるとジュリアだった。
「どうしたの?。」とドアを開けると、ジュリアが親指を立てて「ちょっと外へ出ない?。」と応じてきた。
2人は連れ立って街の繁華街へと向かった。「これから先の川の上流には、こういった遊べる場所はもうないワ。今日はト・ク・ベ・ツ。」と言って裏道の所にあるバーに入っていった。
「おいおい、オレは日本では未成年者なんだぜ。まだ酒は御法度だよ。」と神波が言うと「オー、ワカッテルよ。だから、ジュースでおkね。」とジュリアは言ってオレンジジュースを2つ注文した。ささやかな乾杯の後、ジュリアが「ネェ、カンディル減らすクエストになんで応募したの?。」と切り出した。
「アア、そいつは俺や俺たちのパーティの早瀬とかが、不思議な女どもにいろいろと性行為を迫られて、精子とか取られちゃったからだよ。ま、俺は取られなかったけどな。」と神波。「エー、マモルがヤラレちゃったの。カレ、あんまタイプじゃないけどナ。」と何故かつまらなさそうなジュリア。
(オイオイ、そこかよ。)と思いつつ、神波は「ま、そんなわけで量子ステルス迷彩防護服欲しさに挑戦してるってわけさ。」と言い、五百蔵少年の件も含め今までの経緯を詳細に彼女に話したのだった。
一方、彼女も自分の事をいろいろと話してくれた。彼女は現在、ブラジルの最高学府サンパウロ大学の1年生。1年飛び級で合格したのだそうだ。サンパウロ大学は、かつてその全学生総数の約15%が日系ブラジル人の子弟で占められていた事もあり、今でも上位成績卒業者の約3分の1は日系ブラジル人で占められている。サンパウロ州の総人口の約5%という日系人の人口割合の少ないことを考えれば、サンパウロ大学の日系ブラジル人に関するそういった数字は、いかに凄いかが分かるというものだろう。現に日系ブラジル人は、ブラジル国内でも知識人階級あるいは上級国民としての格付けがなされている程、そのステイタスは高いものがある。彼女もそういったブラジルにおける上流階級社会の人間の一員なんだと神波は思った。
ひとしきりお喋りした後、2人はサンバを踊った。彼女は踊りが好きならしく、体が肉欲的なボディなだけにとっても上手かった。神波もダンスは(この時代では日本の義務教育として「ダンス」という履修科目はあったものの)得意であったが、彼女の踊りには独特で性的な情熱が感じられ、とっても魅力的であった。
こうして夜も更けていき、2人は港の桟橋まで歩いて行った。スーパームーンが輝く見事な深夜の港の様子を眺めながら、ジュリアが甘く囁いた。
「ねえ・・・こんなイイ女が目の前にいるのに何もしないの?。カンナミはイイ男だわ。好みのタイプよ。ダンスも上手いし、それに・・・。」と言うとジュリアは自分から神波に身を預け、しなだれかかってきた。
「このタクマシイ厚い胸・・・ボディもスキよ。」と神波の胸をまさぐりながら、夢を見ているかの様な目つきとなっている。どうやらジュリアは早瀬の様な瘠せ型草食系美少年よりも、ある程度筋肉質タイプの男が好みらしい。そして耳元でジュリアが、甘い声で再び囁いた。
「ねえ・・・目の前にこんなイイ女がいるのにホントに何もしないの?。男なら襲う位のことしなきゃ、ワタシに失礼じゃな~い?。」と。そして胸の半袖ブラウスのボタンを自ら外して、その豊かな胸をはだけて露わにしたのだった。
神波の心の何かにボッと火が点いた。神波は突然、狂った様に彼女の細くも肉感的な体を抱きしめた。しばらくすると船のドックを背景に、人知れず抱きあって互いにキスを交わす2人の姿があった。熱い抱擁と口づけだった。
その後、彼女が足を絡めてきた。神波も、ここでやらなきゃ男が廃ると決意し、思い切って彼女の豊満な巨乳に手をかけて押し倒そうとした、その時だった。彼女の口から出た意外な言葉に神波は、夢の様な世界からハッと一瞬で我に帰ってしまった。
「ねえ、ここへ来る前、サンパウロでどこかの研究所に行ってたでしょ。そこで何をしていたの?。」
神波パーティーの女性陣も、さすがに膣や子宮に食い込まれるのは避けたいらしく、素材の強化されたTバッグ系を選ぶことに余念が無い。それにしても恥ずかしくないのだろうか。あまりにも露出度が大きい様に神波には思えるのだが。ところが、神波は目のやり場に困るあまり別の場所でショッピングをしているのに、早瀬だけは彼女達と一緒に水着選びに平気で付き合っている。そして彼もまた楽しそうであった。
ひととおり買い物が済み、一同はバーガーショップのテーブル席に陣取っていた。今後の打ち合わせのためだ。
「ところで、10万匹もどうやって採集するの?。捕獲方法は?。」と恋町。
「ブラジル現地で説明があって、捕獲方法やその器具類一式を貸し出してくれるって聞いてるよ。どうも巨大な網と生簀ポイントがあるみたいだね。あとは捕獲ポイントまで川を遡って上流ポイントから下流ポイントへとボートで移動しながら、捕獲の旅をして行く寸法さ。これが旅程表と計画書。」と神波はギルドから受け取っていた書類や提出した計画書を各自に手渡した。
「それと現地でガイドさんを雇うことにしたから。確か、名前はええっと・・日系ブラジル人の「ジュリアーナ・アマノ」さんだ。」
「ええっ、もしかして女の人!?。」と早瀬が目を丸くしながら訊いてくる。
「そうだよ。17だってさ。」「若いわね。うちらとほぼ同じくらいじゃない。」「どんなコなのかな。」といろいろと意見や疑問は噴出したが、その時はさしたる気もなく、現地での一案内人としての位置づけで片づけてしまっていた。
こうしてギルドのクエスト『クレイジー・カンディル掃討捕獲プロジェクト』の参加を申請し、受諾された神波達パーティー一行は1週間後、南米ブラジルのサンパウロ国際宇宙空港へと降り立っていた。
実はパーティとは別に、ブラジルに来てクエスト以外にも寄る目的が、神波にはあった。イントロン・バイオテクノロジー社のブラジル研究センターで健康診断の他、血液や細胞の採取を行う予定だったのだ。
ブラジルのサンパウロ国際宇宙空港のターミナルで迎えに待ち合わせていた車に神波は乗りそのまま研究センターまで直行した。車で30分も走るとその研究施設があって、地下駐車場から建物に入りすぐにエレベーターに乗って待合室まで案内された。その後、施設の副所長と研究主任のマリア・ガガベラさんという女性がやって来て挨拶を交わし、すぐに血液採取室へ通される。身長体重、血圧測定、胸部レントゲンや超音波エコー、CT、MRI検査等を受けた後、血液の採取と細胞の採取とが滞りなく行われ、4時間後にはまた車でホテルまで送り届けてもらった。
翌日からは、再びパーティーと一緒の行動に復帰する。サンパウロから小型ジェットでマナウス近郊まで行き、そこから快速艇でポルトヴェーリョまでアマゾン川の支流のマデイラ川を遡る。航路や最新設備での水運も確立されているこの時代では、ブラジル国内でサンパウロからポルトヴェーリョの移動には3日しかかからなかった。
ポルトヴェーリョに到着すると港を出た所で案内人のジュリアーナと落ち合った。ジュリアーナは母親がブラジルのポルトガル系住民で父親が日本人。ハーフではあったが、ややブロンドがかった栗色の髪に細面の整った顔立ちで、小麦色のよく焼けた肌にナイスバディとしか言いようのない見事な体型、胸は張り裂けんばかりの巨乳かつヒップは突き出るばかりの豊満さなのに、腰のくびれは非常に細くて華奢な抜群のプロポーションだった。まさに「肉感的美女」と呼ぶのに相応しい。
背もそこそこ高く、とても日本人の女性基準での17歳には見えない。日本でもモデルかアイドルとして充分にやっていけそうな美貌とボディを兼ね備えた人物だ。
もう少し野性的なイメージを想像していただけに、神波は予想外な美女を目の前にやや面喰ってしまった。
「ハーイ、こんにちワ。お会いできてうれしいデ~ス。ワタシ、ジュリアーナデ~ス、どぞヨロシク♡。」とウインクしながら白い歯を見せて微笑まれると、あの早瀬すら少し顔を赤くしてモジモジしてしまう。もっとも神波だけはむっつりスケベの様に硬い表情を崩さなかったが、心の中では(なんだあ、コイツ。ワザとやってんじゃねえのか?。男を挑発してんのか!?。ナメンなヨ?。)と1980年代前半の古典的な(=バカっぽい)チンピラみたいな物言いで、ジュリアーナの態度には些か懐疑的な感じだった。
まあ日本語も少しぎこちないものの聞き取れないということはなく、かつて日本に住んでいたというだけになかなか流暢な部類だ(ちなみに他に英語とポルトガル語も話すという)。すぐに皆と打ち解けてパーティー内では彼女のことを「ジュリア」とか「ジュリー」という愛称で呼ぶ間柄になっていた。
ジュリアを含めメンバー5人は、レストランに入り打ち合わせを行う。打ち合わせの中で、今回の採集場所であるマデイラ川上流の捕獲ポイントの位置や使用する漁具、ボートの規模等の詳細が明らかになった。それによるとポルトヴェーリョからさらに200キロ程上流に遡った所が主な捕獲場所で支流なんかにも結構多く生息しているとのこと。ボートは全長15メートルで結構大きいが、そのボートの側面に巨大な四手網が取り付けられている。その網を水中に沈め、エサ袋で集団をおびき寄せて船の周りにカンディルが集まってきた時に、一気に網で捕獲するというやり方だ。
そして、だんだんと捕獲ポイントを下流へと移して移動しながら1週間かけて目標を達成するという予定であった。ジュリアの話によれば、集まればとにかく「入れ食い状態」とのことだ。ただ、今までこのクエストに挑戦した者たちの中には、誤って川に転落して下半身切断したとか水着の隙間から侵入されて膣を食い破られたりとか、悲惨な事例を挙げればそれこそ枚挙にいとまがない程らしい。
打ち合わせの後、食事をして港の近くのホテルに宿泊した。明日から早速、川を遡ることになる。各人それぞれの部屋のルームキーをフロントで受け取ると、神波は皆と別れて一人、部屋へと向かった。まずは荷物を降ろして、明日の準備の再点検だ。いろいろな装備品や食料を確認していた時だった。突然、ドアをコンコンとノックする音がする。(今時分、誰だろう?)と思いつつ、ドアのアイ・レンズを覗いてみるとジュリアだった。
「どうしたの?。」とドアを開けると、ジュリアが親指を立てて「ちょっと外へ出ない?。」と応じてきた。
2人は連れ立って街の繁華街へと向かった。「これから先の川の上流には、こういった遊べる場所はもうないワ。今日はト・ク・ベ・ツ。」と言って裏道の所にあるバーに入っていった。
「おいおい、オレは日本では未成年者なんだぜ。まだ酒は御法度だよ。」と神波が言うと「オー、ワカッテルよ。だから、ジュースでおkね。」とジュリアは言ってオレンジジュースを2つ注文した。ささやかな乾杯の後、ジュリアが「ネェ、カンディル減らすクエストになんで応募したの?。」と切り出した。
「アア、そいつは俺や俺たちのパーティの早瀬とかが、不思議な女どもにいろいろと性行為を迫られて、精子とか取られちゃったからだよ。ま、俺は取られなかったけどな。」と神波。「エー、マモルがヤラレちゃったの。カレ、あんまタイプじゃないけどナ。」と何故かつまらなさそうなジュリア。
(オイオイ、そこかよ。)と思いつつ、神波は「ま、そんなわけで量子ステルス迷彩防護服欲しさに挑戦してるってわけさ。」と言い、五百蔵少年の件も含め今までの経緯を詳細に彼女に話したのだった。
一方、彼女も自分の事をいろいろと話してくれた。彼女は現在、ブラジルの最高学府サンパウロ大学の1年生。1年飛び級で合格したのだそうだ。サンパウロ大学は、かつてその全学生総数の約15%が日系ブラジル人の子弟で占められていた事もあり、今でも上位成績卒業者の約3分の1は日系ブラジル人で占められている。サンパウロ州の総人口の約5%という日系人の人口割合の少ないことを考えれば、サンパウロ大学の日系ブラジル人に関するそういった数字は、いかに凄いかが分かるというものだろう。現に日系ブラジル人は、ブラジル国内でも知識人階級あるいは上級国民としての格付けがなされている程、そのステイタスは高いものがある。彼女もそういったブラジルにおける上流階級社会の人間の一員なんだと神波は思った。
ひとしきりお喋りした後、2人はサンバを踊った。彼女は踊りが好きならしく、体が肉欲的なボディなだけにとっても上手かった。神波もダンスは(この時代では日本の義務教育として「ダンス」という履修科目はあったものの)得意であったが、彼女の踊りには独特で性的な情熱が感じられ、とっても魅力的であった。
こうして夜も更けていき、2人は港の桟橋まで歩いて行った。スーパームーンが輝く見事な深夜の港の様子を眺めながら、ジュリアが甘く囁いた。
「ねえ・・・こんなイイ女が目の前にいるのに何もしないの?。カンナミはイイ男だわ。好みのタイプよ。ダンスも上手いし、それに・・・。」と言うとジュリアは自分から神波に身を預け、しなだれかかってきた。
「このタクマシイ厚い胸・・・ボディもスキよ。」と神波の胸をまさぐりながら、夢を見ているかの様な目つきとなっている。どうやらジュリアは早瀬の様な瘠せ型草食系美少年よりも、ある程度筋肉質タイプの男が好みらしい。そして耳元でジュリアが、甘い声で再び囁いた。
「ねえ・・・目の前にこんなイイ女がいるのにホントに何もしないの?。男なら襲う位のことしなきゃ、ワタシに失礼じゃな~い?。」と。そして胸の半袖ブラウスのボタンを自ら外して、その豊かな胸をはだけて露わにしたのだった。
神波の心の何かにボッと火が点いた。神波は突然、狂った様に彼女の細くも肉感的な体を抱きしめた。しばらくすると船のドックを背景に、人知れず抱きあって互いにキスを交わす2人の姿があった。熱い抱擁と口づけだった。
その後、彼女が足を絡めてきた。神波も、ここでやらなきゃ男が廃ると決意し、思い切って彼女の豊満な巨乳に手をかけて押し倒そうとした、その時だった。彼女の口から出た意外な言葉に神波は、夢の様な世界からハッと一瞬で我に帰ってしまった。
「ねえ、ここへ来る前、サンパウロでどこかの研究所に行ってたでしょ。そこで何をしていたの?。」
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
『星屑の狭間で』(チャレンジ・ミッション編)
トーマス・ライカー
SF
政・官・財・民・公・軍に拠って構成された複合巨大組織『運営推進委員会』が、超大規模なバーチャル体感サバイバル仮想空間・艦対戦ゲーム大会『サバイバル・スペースバトルシップ』を企画・企図(きと)し、準備して開催(かいさい)に及んだ。
そのゲーム大会の1部を『運営推進委員会』にて一席を占める、ネット配信メディア・カンパニー『トゥーウェイ・データ・ネット・ストリーム・ステーション』社が、配信リアル・ライヴ・バラエティー・ショウ『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』として、順次(じゅんじ)に公開している。
アドル・エルクを含む20人は艦長役として選ばれ、それぞれがスタッフ・クルーを男女の芸能人の中から選抜して、軽巡宙艦に搭乗(とうじょう)して操り、ゲーム大会で奮闘する模様を撮影されて、配信リアル・ライヴ・バラエティー・ショウ『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』の中で出演者のコメント付きで紹介されている。
『運営推進本部』は、1ヶ月に1〜2回の頻度(ひんど)でチャレンジ・ミッションを発表し、それへの参加を強く推奨(すいしょう)している。
【『ディファイアント』共闘同盟】は基本方針として、総てのチャレンジ・ミッションには参加すると定めている。
本作はチャレンジ・ミッションに参加し、ミッションクリアを目指して奮闘(ふんとう)する彼らを描く…スピンオフ・オムニバス・シリーズです。
『特別解説…1…』
この物語は三人称一元視点で綴られます。一元視点は主人公アドル・エルクのものであるが、主人公のいない場面に於いては、それぞれの場面に登場する人物の視点に遷移(せんい)します。
まず主人公アドル・エルクは一般人のサラリーマンであるが、本人も自覚しない優れた先見性・強い洞察(どうさつ)力・強い先読みの力・素晴らしい集中力・暖かい包容力を持ち、それによって確信した事案に於ける行動は早く・速く、的確で適切です。本人にも聴こえているあだ名は『先読みのアドル・エルク』と言う。
追記
以下に列挙しますものらの基本原則動作原理に付きましては『ゲーム内一般技術基本原則動作原理設定』と言う事で、ブラックボックスとさせて頂きます。
ご了承下さい。
インパルス・パワードライブ
パッシブセンサー
アクティブセンサー
光学迷彩
アンチ・センサージェル
ミラージュ・コロイド
ディフレクター・シールド
フォース・フィールド
では、これより物語は始まります。
静寂の星
naomikoryo
SF
【★★★全7話+エピローグですので軽くお読みいただけます(^^)★★★】
深宇宙探査船《プロメテウス》は、未知の惑星へと不時着した。
そこは、異常なほど静寂に包まれた世界── 風もなく、虫の羽音すら聞こえない、完璧な沈黙の星 だった。
漂流した5人の宇宙飛行士たちは、救助を待ちながら惑星を探索する。
だが、次第に彼らは 「見えない何か」に監視されている という不気味な感覚に襲われる。
そしてある日、クルーのひとりが 跡形もなく消えた。
足跡も争った形跡もない。
ただ静かに、まるで 存在そのものが消されたかのように──。
「この星は“沈黙を守る”ために、我々を排除しているのか?」
音を発する者が次々と消えていく中、残されたクルーたちは 沈黙の星の正体 に迫る。
この惑星の静寂は、ただの自然現象ではなかった。
それは、惑星そのものの意志 だったのだ。
音を立てれば、存在を奪われる。
完全な沈黙の中で、彼らは生き延びることができるのか?
そして、最後に待ち受けるのは── 沈黙を破るか、沈黙に飲まれるかの選択 だった。
極限の静寂と恐怖が支配するSFサスペンス、開幕。

Night Sky
九十九光
SF
20XX年、世界人口の96%が超能力ユニゾンを持っている世界。この物語は、一人の少年が、笑顔、幸せを追求する物語。すべてのボカロPに感謝。モバスペBOOKとの二重投稿。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
3024年宇宙のスズキ
神谷モロ
SF
俺の名はイチロー・スズキ。
もちろんベースボールとは無関係な一般人だ。
21世紀に生きていた普通の日本人。
ひょんな事故から冷凍睡眠されていたが1000年後の未来に蘇った現代の浦島太郎である。
今は福祉事業団体フリーボートの社員で、福祉船アマテラスの船長だ。
※この作品はカクヨムでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる