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軌跡への遁走曲《フーガ》
戦いを終えて
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「ふぅ~~~~」
エウジェニーさんへの報告を終え、フィル達がいる部屋に戻ってきた私は
大きく息を吐いて部屋にあった椅子に座り込む。
緊張から解放されたのか今まで感じていなかった疲労感が
一気にドカッとやってくる。
「お疲れさまです、マスター」
そんな私の様子を見たリーゼが傍に寄ってきて
労いの言葉をかけてくれる。
「ありがとリーゼ、いや~流石に王国に来てからハードスケジュール過ぎて
流石に疲労感が半端ないよ、リーゼも疲れたでしょ?」
苦笑気味にリーゼに聞いてみるもリーゼは首を振り
「いえ、この程度の事なら我は特に疲れなど感じません」
背筋をピンッと伸ばしたまま答えるリーゼ。
………本当に疲れてる様子は無さそうだね、馬と並走して
長距離を往復した上に全力戦闘までしてる筈なんだけどケロッとしてる。
流石ドラゴン、体力も半端ないね。
思い返してみればリーゼが息切れしてる所って見た事ないかも。
「凄いねリーゼ、私はもう疲労困憊で動きたくないよ
今日はもうこのまま寝てしまいたいくらい」
私はそう言って力なく笑う。
とは言えそのまま寝てしまう訳にもいかない、マリスがまだ戻ってきてないし
フィルもまだ目覚めてはいない、別れ際にマリスに聞いたら
魔力切れの酷い状態なだけだから心配しなくても大丈夫とは
言ってたけど………
その横でリアもまだ眠ったままだ、マリスの話だと私達の危機を伝えて
そのまま崩れ落ちる様に眠ってしまったらしいんだけど
それから一向に目が覚める気配はないんだよね。
まぁ寝顔自体は穏やかな表情なのでそこまで心配するほどの事でも
無いとは思うんだけど。
だけど、リアがマリスに私達の危機を伝えてくれなければ
下手をすれば撤退、最悪な場合全滅してしまってた可能性も十分にある。
そう考えると、今回の戦いの陰の功労者はリアかも知れない。
「………ありがとねリア、リアのお陰で私はまた生き延びることが出来たよ」
すやすやと眠るリアを眺めながら私は思わずそんな事を口にしてしまう。
それにしても何でリアは私達の状況が分かったんだろう、私達が
ここを出発してる時はリアは寝てたし、その後起きてマリスが
行き先を告げたとしてもマリス自身私達がドラゴン討伐に行くことは
知らなかった筈………いや、マリスなら把握してそうな気もするけど。
だとしてもマリスがリアにそれを教える必要は無いんだよね。
教えたとして余計な心配をさせるだけだし、マリスもそこまで
空気を読まない子じゃないしね。
という事はマリスの言う通りリアって占い師の様な力を持ってるって事なのかな?
………だとすればその線で探せばリアの家族が見つかるかもしれない。
取り合えず寝床探しと並行して調べていくとしようかな。
私はそう思い立つと重い体を引きずるようにして2人が
寝ているベッドに向かい、腰を下ろして改めて2人を眺める。
………こうして並んで寝てるところを見ると何だかこの2人って
何か妙に似ている気がする、顔かたちとかじゃなくて
纏ってる雰囲気が両方とも神秘的な感じがするんだよね。
髪の色はよく似てるし、お互い夜の照明に照らされてキラキラしてる。
私は日本人の特徴そのままの黒髪だからちょっと羨ましかったりする。
「おやおや、中々に眼福な光景だ~ね
レンお姉ちゃんが眺めていたくなる気持ちもよく分かるよ~、うんうん♪」
「わっ………ってマリス、もう戻ってきたの?」
突然予想外の方向からマリスの声がする。
そろそろ帰ってくるんじゃないかとは思ってたけど相も変わらず
気配もなしに行きなる現れるのは心臓に悪い、リーゼも驚いた顔をして
そっちを見てるし、いつもながら神出鬼没だなぁ。
「たっだいま~、魔導協会へ例のブツの引き渡しおわったよ~
思ったよりずっと高値で引き取ってくれたからいい臨時収入になったよん」
そう言ってマリスはインベントリ・キューブから金貨袋を取り出し
重そうな音を立ててドカッと置く。
………見たところ結構入ってそうだね、ゼーレンさんやユージスさん達と
山分けしても結構な額が残りそう、これは正直助かるね。
マリスの事だから多分協会と交渉してくれたんだろう、魔導士相手に
楽しそうにオークションしてそうなマリスが目に浮かぶ。
「ありがとマリス、正直助かるよ
これで少しの間はお金の心配はしなくてよさそうだよ」
「あはははは、まぁ交渉事やお金稼ぎはマリスの領分になりつつあるしね~
とは言え好きにやらせて貰ってるだけだからお礼は不要だよん」
にぃっといつもの様に歯を見せながらドヤ顔で言うマリス。
その様子からは本当に楽しんでやってくれてる様にしか見えない
ホント、マリスがパーティにいてくれてよかったと心から思うよ。
「そんで、明日からはまた寝床探しするの?」
マリスが明日の予定を聞いて来る、まぁ十中八九そうなるだろう。
結局今日はあまり探すことは出来なかったし、少しお金にも余裕は出来た。
なら優先度の高い事に集中すべきかな。
「そだね、本来なら今日は他のとこで寝泊まりしなくちゃいけなかったんだし
あまり根無し草状態のままだとリアの負担が大きくなりそうだしね」
そう言ってリアの髪を起こさない様にそっと撫でる。
「そかそか、まぁ明日からはマリスも一緒に行くし
それに今日知り合ったあの冒険者の兄ちゃん達にも
聞いてみるつもりなんだよね?」
マリスの言葉にそう言えばそうだったと思い出す。
次の日にいきなり訪ねていくのもどうかとは思うけど、背に腹は代えられないか。
「昨日の今日だし、それにあんな事が起こったからユージスさん達も
疲れてるとは思うけど、あまり悠長に出来る事でも無いから
明日また訪ねてみた方がいいかな」
「そだね~、マリスもあの兄ちゃん達とは話をしてみたいし
向こうもレンお姉ちゃんの事を色々聞きたいと思うよ?」
マリスの言葉に頷く私、ユージスさん達ならこの国の事を色々教えてくれそうだし
もしかしたら宿の心当たりもあるかもしれないしね。
それを私達の話で教えてくれるのなら安いものだ。
「それじゃ明日はまずユージスさんのとこへ再び訪ねよっか
図々しいかも知れないけど事情を話せば最悪ギルドハウスに
1泊でも泊めて貰えるかもしれないし」
「あははは、何だかんだでちゃっかりしてるね~レンお姉ちゃん
マリス、レンお姉ちゃんのそう言うとこ好きだよ」
マリスは微笑みながらそんな事を言ってくる。
好意を持たれるのは悪い気分じゃないし懐いてくれるのは嬉しい。
なら、私もそれにきちんと応えれるように頑張らないと。
………まぁ、フィルのアプローチはもうちょっと自重して欲しいのが
本音でもあるんだけど。
「ありがとマリス、精々マリスを飽きさせない様に頑張るとするよ」
「期待してるよレンお姉ちゃん、と言っても今のレンお姉ちゃんの
所以上にマリスを頼ませてくれそうな場所は想像できないかな~」
マリスがカラカラと笑いながら言う。
確かに私がこの世界に来て平穏に日々を過ごせた時なんて殆どない。
トラブルが大好きなマリスにとっては毎日遊園地にいる気分なんだろうね。
………ふと、私はどうだったかと思い返してみる。
確かに大変な日々だったし、何度も死にかけてはきたけど
不思議と辛いと思えた出来事はない事に気付く。
元の世界でも修羅場は経験したし、死にかけた事もあったけど
正直言ってしんどかったという印象しかない。
………もしかして私、この世界の出来事を楽しんでる?
ふと頭に沸いた考え、だけどそれは許されることじゃない。
「どしたの?レンお姉ちゃん」
マリスの言葉にハッと我に返る。
とと…余計なことは考えちゃダメだ、私は元の世界に帰る。
その事に全力を注がないと。
「あ~、ゴメンマリス
流石に疲れすぎたのかボ~っとしちゃったみたいだね
そろそろ寝た方がいいかもね」
私は頭に浮かんだ考えを誤魔化す様にとっさにマリスに適当な事を言う。
「そだね、何だかんだで結構遅いし
明日も忙しくなりそうだからそろそろ寝た方がいいかもね」
そんな私の心情を知ってか知らずか、マリスは私の言葉に賛同する。
そのままさっさと自分のベッドに潜り込むと部屋の明かりを消す。
「んじゃお休み~、今日も楽しかったよん」
マリスはそんな事を言って直ぐに寝息を立て始める。
「我も休息致します、お休みなさいませ」
ずっと無言で私達の話を聞いていたリーゼも私達に合わせて寝るみたいだ。
仲間達が寝る様子を見ると私にも一気に睡魔が襲い掛かってくる。
「………ん、お休みみんな」
………私は何も考えないで済む様に、そのまま睡魔に身を任せた。
エウジェニーさんへの報告を終え、フィル達がいる部屋に戻ってきた私は
大きく息を吐いて部屋にあった椅子に座り込む。
緊張から解放されたのか今まで感じていなかった疲労感が
一気にドカッとやってくる。
「お疲れさまです、マスター」
そんな私の様子を見たリーゼが傍に寄ってきて
労いの言葉をかけてくれる。
「ありがとリーゼ、いや~流石に王国に来てからハードスケジュール過ぎて
流石に疲労感が半端ないよ、リーゼも疲れたでしょ?」
苦笑気味にリーゼに聞いてみるもリーゼは首を振り
「いえ、この程度の事なら我は特に疲れなど感じません」
背筋をピンッと伸ばしたまま答えるリーゼ。
………本当に疲れてる様子は無さそうだね、馬と並走して
長距離を往復した上に全力戦闘までしてる筈なんだけどケロッとしてる。
流石ドラゴン、体力も半端ないね。
思い返してみればリーゼが息切れしてる所って見た事ないかも。
「凄いねリーゼ、私はもう疲労困憊で動きたくないよ
今日はもうこのまま寝てしまいたいくらい」
私はそう言って力なく笑う。
とは言えそのまま寝てしまう訳にもいかない、マリスがまだ戻ってきてないし
フィルもまだ目覚めてはいない、別れ際にマリスに聞いたら
魔力切れの酷い状態なだけだから心配しなくても大丈夫とは
言ってたけど………
その横でリアもまだ眠ったままだ、マリスの話だと私達の危機を伝えて
そのまま崩れ落ちる様に眠ってしまったらしいんだけど
それから一向に目が覚める気配はないんだよね。
まぁ寝顔自体は穏やかな表情なのでそこまで心配するほどの事でも
無いとは思うんだけど。
だけど、リアがマリスに私達の危機を伝えてくれなければ
下手をすれば撤退、最悪な場合全滅してしまってた可能性も十分にある。
そう考えると、今回の戦いの陰の功労者はリアかも知れない。
「………ありがとねリア、リアのお陰で私はまた生き延びることが出来たよ」
すやすやと眠るリアを眺めながら私は思わずそんな事を口にしてしまう。
それにしても何でリアは私達の状況が分かったんだろう、私達が
ここを出発してる時はリアは寝てたし、その後起きてマリスが
行き先を告げたとしてもマリス自身私達がドラゴン討伐に行くことは
知らなかった筈………いや、マリスなら把握してそうな気もするけど。
だとしてもマリスがリアにそれを教える必要は無いんだよね。
教えたとして余計な心配をさせるだけだし、マリスもそこまで
空気を読まない子じゃないしね。
という事はマリスの言う通りリアって占い師の様な力を持ってるって事なのかな?
………だとすればその線で探せばリアの家族が見つかるかもしれない。
取り合えず寝床探しと並行して調べていくとしようかな。
私はそう思い立つと重い体を引きずるようにして2人が
寝ているベッドに向かい、腰を下ろして改めて2人を眺める。
………こうして並んで寝てるところを見ると何だかこの2人って
何か妙に似ている気がする、顔かたちとかじゃなくて
纏ってる雰囲気が両方とも神秘的な感じがするんだよね。
髪の色はよく似てるし、お互い夜の照明に照らされてキラキラしてる。
私は日本人の特徴そのままの黒髪だからちょっと羨ましかったりする。
「おやおや、中々に眼福な光景だ~ね
レンお姉ちゃんが眺めていたくなる気持ちもよく分かるよ~、うんうん♪」
「わっ………ってマリス、もう戻ってきたの?」
突然予想外の方向からマリスの声がする。
そろそろ帰ってくるんじゃないかとは思ってたけど相も変わらず
気配もなしに行きなる現れるのは心臓に悪い、リーゼも驚いた顔をして
そっちを見てるし、いつもながら神出鬼没だなぁ。
「たっだいま~、魔導協会へ例のブツの引き渡しおわったよ~
思ったよりずっと高値で引き取ってくれたからいい臨時収入になったよん」
そう言ってマリスはインベントリ・キューブから金貨袋を取り出し
重そうな音を立ててドカッと置く。
………見たところ結構入ってそうだね、ゼーレンさんやユージスさん達と
山分けしても結構な額が残りそう、これは正直助かるね。
マリスの事だから多分協会と交渉してくれたんだろう、魔導士相手に
楽しそうにオークションしてそうなマリスが目に浮かぶ。
「ありがとマリス、正直助かるよ
これで少しの間はお金の心配はしなくてよさそうだよ」
「あはははは、まぁ交渉事やお金稼ぎはマリスの領分になりつつあるしね~
とは言え好きにやらせて貰ってるだけだからお礼は不要だよん」
にぃっといつもの様に歯を見せながらドヤ顔で言うマリス。
その様子からは本当に楽しんでやってくれてる様にしか見えない
ホント、マリスがパーティにいてくれてよかったと心から思うよ。
「そんで、明日からはまた寝床探しするの?」
マリスが明日の予定を聞いて来る、まぁ十中八九そうなるだろう。
結局今日はあまり探すことは出来なかったし、少しお金にも余裕は出来た。
なら優先度の高い事に集中すべきかな。
「そだね、本来なら今日は他のとこで寝泊まりしなくちゃいけなかったんだし
あまり根無し草状態のままだとリアの負担が大きくなりそうだしね」
そう言ってリアの髪を起こさない様にそっと撫でる。
「そかそか、まぁ明日からはマリスも一緒に行くし
それに今日知り合ったあの冒険者の兄ちゃん達にも
聞いてみるつもりなんだよね?」
マリスの言葉にそう言えばそうだったと思い出す。
次の日にいきなり訪ねていくのもどうかとは思うけど、背に腹は代えられないか。
「昨日の今日だし、それにあんな事が起こったからユージスさん達も
疲れてるとは思うけど、あまり悠長に出来る事でも無いから
明日また訪ねてみた方がいいかな」
「そだね~、マリスもあの兄ちゃん達とは話をしてみたいし
向こうもレンお姉ちゃんの事を色々聞きたいと思うよ?」
マリスの言葉に頷く私、ユージスさん達ならこの国の事を色々教えてくれそうだし
もしかしたら宿の心当たりもあるかもしれないしね。
それを私達の話で教えてくれるのなら安いものだ。
「それじゃ明日はまずユージスさんのとこへ再び訪ねよっか
図々しいかも知れないけど事情を話せば最悪ギルドハウスに
1泊でも泊めて貰えるかもしれないし」
「あははは、何だかんだでちゃっかりしてるね~レンお姉ちゃん
マリス、レンお姉ちゃんのそう言うとこ好きだよ」
マリスは微笑みながらそんな事を言ってくる。
好意を持たれるのは悪い気分じゃないし懐いてくれるのは嬉しい。
なら、私もそれにきちんと応えれるように頑張らないと。
………まぁ、フィルのアプローチはもうちょっと自重して欲しいのが
本音でもあるんだけど。
「ありがとマリス、精々マリスを飽きさせない様に頑張るとするよ」
「期待してるよレンお姉ちゃん、と言っても今のレンお姉ちゃんの
所以上にマリスを頼ませてくれそうな場所は想像できないかな~」
マリスがカラカラと笑いながら言う。
確かに私がこの世界に来て平穏に日々を過ごせた時なんて殆どない。
トラブルが大好きなマリスにとっては毎日遊園地にいる気分なんだろうね。
………ふと、私はどうだったかと思い返してみる。
確かに大変な日々だったし、何度も死にかけてはきたけど
不思議と辛いと思えた出来事はない事に気付く。
元の世界でも修羅場は経験したし、死にかけた事もあったけど
正直言ってしんどかったという印象しかない。
………もしかして私、この世界の出来事を楽しんでる?
ふと頭に沸いた考え、だけどそれは許されることじゃない。
「どしたの?レンお姉ちゃん」
マリスの言葉にハッと我に返る。
とと…余計なことは考えちゃダメだ、私は元の世界に帰る。
その事に全力を注がないと。
「あ~、ゴメンマリス
流石に疲れすぎたのかボ~っとしちゃったみたいだね
そろそろ寝た方がいいかもね」
私は頭に浮かんだ考えを誤魔化す様にとっさにマリスに適当な事を言う。
「そだね、何だかんだで結構遅いし
明日も忙しくなりそうだからそろそろ寝た方がいいかもね」
そんな私の心情を知ってか知らずか、マリスは私の言葉に賛同する。
そのままさっさと自分のベッドに潜り込むと部屋の明かりを消す。
「んじゃお休み~、今日も楽しかったよん」
マリスはそんな事を言って直ぐに寝息を立て始める。
「我も休息致します、お休みなさいませ」
ずっと無言で私達の話を聞いていたリーゼも私達に合わせて寝るみたいだ。
仲間達が寝る様子を見ると私にも一気に睡魔が襲い掛かってくる。
「………ん、お休みみんな」
………私は何も考えないで済む様に、そのまま睡魔に身を任せた。
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