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冒険者の狂想曲《カプリッチオ》
お部屋探しと再会
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「は~、それで住むところを探してる、ねぇ」
私の言葉にラミカは頬杖をつきながら答える。
次の日、私達は早速目ぼしい住処を探し始めた。
けれど、いざ住む処を探すとしてもここには元の世界の様な
不動産屋があるとは思えない。
だからと言って大々的に宣伝している訳でもないだろうし、とりあえずは
商売的につながりを持っていそうなラミカを訪ねてみた。
「うん、流石にその手のものは取り扱ってないよね?」
「流石にね~、見ての通り私はまだまだ駆け出しなんだよね」
ラミカは自分の荷馬車に視線を送りながら言う。
「けどまぁ、そう言う事なら商業ギルドに行くといいよ
その手の大きな取引って基本あそこで取り仕切ってるからさ」
商業ギルド………元の世界で言う商業組合の様な物かな。
お爺ちゃんの付き添いで1度だけ顔を出したんだけど
なんか背広着た人達がお爺ちゃんにぺこぺこ頭を下げてたのは覚えてる。
お爺ちゃんは「儂は只の顔役に過ぎんよ」って言ってたけど………
「ただ、借家にしても結構お金かかるよ
私も集合住宅にひと部屋借りてるんだけど、家賃このくらいだもん」
ラミカが払ってる家賃を告げる。うわ、結構高いね
それだと安めの依頼を2~3回こなさないと間に合わないなぁ………
「私のとこは女性専用だから割高なんだよね
それでもいいなら大家に話を通してみるけど………」
う~ん、女性専用ってのは魅力的だけど………
「流石に今の私達が月々払える金額じゃないわね」
「そだね~。けど、フィルミールお姉ちゃんは男の人と共同生活は
気が進まないんでしょ?」
「レンの為なら我慢するけど………本音は遠慮したいわね」
「新人卒業したばかりの冒険者が贅沢言ってるね~、まぁ気持ちは分かるけど」
フィルの言葉にラミカが笑いながら茶々を入れる。
「となると、真面目に依頼をこなしてお金を貯めるしかないね
ラミカ、護衛の依頼ってまだしばらくなさげなの?」
「う~ん、悪いけど今は無いね
近々ギルドの付き合いで【デュアラ連邦】に行くことになるんだけど
その時も大隊で行く予定だから、ちょっとレン達の出番はないかな」
あらら、それは残念。
しかし【デュアラ連邦】ね、また新しい単語だけど、感じからして国の名前かな。
「まぁ、良さそうな物件を耳にしたら知らせるよ
それと………はい、頼まれてた魔法紙とペンだよ
何度も書き直せる奴がいいって言ってたから魔法区の
取引相手に作って貰ったよ」
「ありがとラミカ、これで文字の練習が捗るよ」
「レン、いつの間にそんなのを頼んでたの?」
フィルが紙とペンを受け取る様子を見ながら呟く。
「ちょっと前にね、文字の練習にアイシャちゃんから
必要なくなった書類の裏紙や使い古しのペンを貰ってたんだけど
流石にずっと頼る訳にはね」
「レンは勉強家だね、普通は文字覚えるのにそこまでしないよ
大体の人は日常的な文字を覚えたらいいって感覚だし
そもそも田舎の方じゃ文字読めなくても困らないからね」
「勉強家って言うより、私の国は文字が読める事が当然だったから
読めない文字があるとちょっともやもやしちゃうんだよね」
「へぇ~、レンお姉ちゃんの国って文字読める人ばっかりなんだ」
マリスが興味深そうに会話に参加して来る。
「うん、国が子供達全員に一定の教育をする場を提供してて
そこで読み書きや計算とか、国で生活するのに必要な知識を教えるんだよ」
「ほぇ~そりゃ凄い、お金持ちの国なんだねぇ」
マリスの指摘に少し吹き出してしまう、まぁ確かに日本はお金持ちの国だよね。
「………代金は確かに、毎度あり
また必要なものがあったら言ってよ、旅に必要な物とか揃えとくからさ」
「その時はお願いするよ、ありがとねラミカ」
「こちらこそ、んじゃね~」
ラミカは手を振りながら自分の荷馬車に戻っていった。
「ん~、それじゃギルドに戻ろっか
お金を稼ぐ必要性が高まったし、何か依頼を受けとかないとね」
「そうね、早くあの男臭い空間から抜け出す為にもね」
私の提案にフィルが冗談を交えながら答え、私たちはギルドへの帰路についた。
………
………………
………………………
「すみません、今皆さんにお願いできる依頼は無いんです」
アイシャちゃんは申し訳無さそうな表情で私達に告げる。
「あれま、ギルドに依頼がないなんて珍しいねぇ
いつも何かしら依頼があるのに」
マリスが少し驚いた表情で呟く。
確かに私が冒険者になってから1か月が過ぎたけど、その間依頼が無いって事は
無かったね、いつも掲示板に何かしら依頼の紙が貼ってあった。
けど、今はその掲示板には何も張ってはおらず
アイシャちゃんも依頼は無いという。
「今の時期って依頼が少なかったりするのかしら?」
「いえ、そう言う訳では無いんです。ここ最近冒険者さん達のやる気が物凄くて
前までやりたがらなかった薬草の採集や物品の収集とかの依頼も
積極的にこなしてくれるようになったんですよね」
おや、そうなんだ。
まぁやる気があるのはいいけど、何でまた急に?
「それが私にもさっぱりで………ママに聞いても
『ほっときなさい、男がやる気を出す理由なんて大抵下らない事なんだから』
って言うだけで………」
………何というか、深い言葉だねマイーダさん。
旦那さんとの生活での経験なのか、何か言葉に説得力が在り過ぎるよ。
「まぁ依頼がないなら仕方ないね。リーゼ、鍛錬でもする?」
「はい、マスターが宜しければ是非に」
「マリスはそれを眺めてようかな~、他にすることないし
フィルミールお姉ちゃんも来るでしょ?」
「………そうね、万が一レンが怪我したら一大事だもの
私も傍にいたほうがいいわね」
「結局みんな来るんだね…それじゃアイシャちゃん
良さげな依頼があったらまた紹介して頂戴」
「はい、分かりました。鍛錬頑張って下さいね」
アイシャちゃんはそう言いながらにっこりと笑う。
うん、この笑顔にここの冒険者達は骨抜きにされたんだね、少しだけ分かるよ。
そんな事を思案しながらギルドを出ようとすると
「久しぶりじゃの、嬢ちゃん達
………随分個性的な面子が増えておるの」
聞き覚えのある声にその方向を向く
そこには白髭を生やした大きな弓を背負ったお爺ちゃん、ゼーレンが立っていた。
「あれ、ゼーレンさん。いつ帝都に戻ってきたの?」
私は小走りにゼーレンさんに近づく。確かに久しぶりだ。
確か前に会ったのは私が冒険者になって以来だから1か月ぶりかな。
あの時は用事があるって事ですぐにいなくなっちゃってちょっと寂しかったけど。
「ついさっきじゃ、ようやく帝都での用事がひと段落しての
こうしてギルドに顔を出したんじゃ、嬢ちゃん達に会えるかもと思うての」
ゼーレンさんは相変わらず楽しそうにニコニコしている、若い女性と話すのが
楽しいって言ってたけど私もお爺ちゃんみたいな人達と話すのは好きなんだよね。
長生きって事はそれだけ知識も豊富で、それだけで尊敬すべき相手だ。
ただ、フィルは相変わらずあまりいい感情は持ってない様で………
「レン、何でこんなスケベ爺にそんな好意的なのよ………」
若干うんざりした表情でそう呟く。
「やっほ~久しぶりゼーレン爺ちゃん、今日も元気に女の子の
お尻を追い回してそうだね~あはははは」
マリスが挨拶しながらとても失礼な事を言ってる
と言うかマリスとも知り合いなんだ。
「何を言うか、儂が女性のお尻を追い回さなかったら
お主は天変地異の前触れだと宣うだろうに、わっはっはっは!!」
そんな失礼極まりないマリスの発言を豪快に笑い飛ばすゼーレンさん。
と言うかこの人にとって「スケベ」は誉め言葉っぽいね。
ひとしきり笑った後、ゼーレンさんはリーゼに向き
「そして…ふむ、お主がマイーダの言ってたリーゼ嬢ちゃんか
人化した龍を見るのは初めてじゃが………中々凄いのう」
顎髭をさすりながらリーゼの事をじっと見つめるゼーレンさん。
うん、確かに色々と凄いよねリーゼって、と言うかマイーダさん
ゼーレンさんには話したんだ。
まぁゼーレンさんになら知られても問題は無いだろうけど………
リーゼはゼーレンさんの視線に不穏な物を感じたのか表情が僅かに険しくなる。
「マスター、この人間の雄は敵ですか?
何やら視線に少々不愉快な物を感じるのですが………」
「それはちょっと我慢してあげて、この人の挨拶みたいなものだから」
指輪をかざし戦斧を取り出そうとするリーゼを止める。
う~ん、これは早めに彼我の力の差を感じれるように教えてあげないとダメかな。
ゼーレンさんを見て喧嘩を売ろうなんて考えるのはちょっと頂けないね。
多分、ドラゴン状態のリーゼでも勝てるんじゃないかなゼーレンさん。
「わっはっは、リーゼ嬢ちゃんに不快な視線と言わしめたのなら
儂の視線も捨てたものじゃないわい」
「ゼーレン爺ちゃんのスケベって他種族にも通用するんだねぇ
ある意味凄いよね~」
呵々大笑するゼーレンさんにマリスが乗っかって2人して笑ってる。
まぁ、他の人間の男に裸を見られても気にしないリーゼに多少なりとも
嫌悪感を持たせられるのは確かに凄いかも知れないけど………
「それで、これから依頼でも行く所じゃったかの?
それならば引き留めて悪かったんじゃが………」
「いや、その逆で今は依頼がないっぽいんだよね
だからリーゼと一緒に鍛錬に行こうとしてたところだよ
フィルとマリスは付き添いみたいなものだけど」
「ふむ………」
ゼーレンさんの問いに私は素直に答える。
それを聞いたゼーレンさんは顎髭をいじりながら少し考えこんだ後
「それならば嬢ちゃん達、依頼を1つ請け負ってくれんか?
本来なら儂がやらねばならんのじゃが、そんな余裕が無くてのう」
依頼を請け負う?冒険者同士の依頼の譲渡って有りなの?
私は疑問に思いつつもゼーレンさんの話を聞くことにした。
************************************************
気づくのが遅れましたが誤字報告有難うございます。
これからもどしどし指定して頂けると助かります。
私の言葉にラミカは頬杖をつきながら答える。
次の日、私達は早速目ぼしい住処を探し始めた。
けれど、いざ住む処を探すとしてもここには元の世界の様な
不動産屋があるとは思えない。
だからと言って大々的に宣伝している訳でもないだろうし、とりあえずは
商売的につながりを持っていそうなラミカを訪ねてみた。
「うん、流石にその手のものは取り扱ってないよね?」
「流石にね~、見ての通り私はまだまだ駆け出しなんだよね」
ラミカは自分の荷馬車に視線を送りながら言う。
「けどまぁ、そう言う事なら商業ギルドに行くといいよ
その手の大きな取引って基本あそこで取り仕切ってるからさ」
商業ギルド………元の世界で言う商業組合の様な物かな。
お爺ちゃんの付き添いで1度だけ顔を出したんだけど
なんか背広着た人達がお爺ちゃんにぺこぺこ頭を下げてたのは覚えてる。
お爺ちゃんは「儂は只の顔役に過ぎんよ」って言ってたけど………
「ただ、借家にしても結構お金かかるよ
私も集合住宅にひと部屋借りてるんだけど、家賃このくらいだもん」
ラミカが払ってる家賃を告げる。うわ、結構高いね
それだと安めの依頼を2~3回こなさないと間に合わないなぁ………
「私のとこは女性専用だから割高なんだよね
それでもいいなら大家に話を通してみるけど………」
う~ん、女性専用ってのは魅力的だけど………
「流石に今の私達が月々払える金額じゃないわね」
「そだね~。けど、フィルミールお姉ちゃんは男の人と共同生活は
気が進まないんでしょ?」
「レンの為なら我慢するけど………本音は遠慮したいわね」
「新人卒業したばかりの冒険者が贅沢言ってるね~、まぁ気持ちは分かるけど」
フィルの言葉にラミカが笑いながら茶々を入れる。
「となると、真面目に依頼をこなしてお金を貯めるしかないね
ラミカ、護衛の依頼ってまだしばらくなさげなの?」
「う~ん、悪いけど今は無いね
近々ギルドの付き合いで【デュアラ連邦】に行くことになるんだけど
その時も大隊で行く予定だから、ちょっとレン達の出番はないかな」
あらら、それは残念。
しかし【デュアラ連邦】ね、また新しい単語だけど、感じからして国の名前かな。
「まぁ、良さそうな物件を耳にしたら知らせるよ
それと………はい、頼まれてた魔法紙とペンだよ
何度も書き直せる奴がいいって言ってたから魔法区の
取引相手に作って貰ったよ」
「ありがとラミカ、これで文字の練習が捗るよ」
「レン、いつの間にそんなのを頼んでたの?」
フィルが紙とペンを受け取る様子を見ながら呟く。
「ちょっと前にね、文字の練習にアイシャちゃんから
必要なくなった書類の裏紙や使い古しのペンを貰ってたんだけど
流石にずっと頼る訳にはね」
「レンは勉強家だね、普通は文字覚えるのにそこまでしないよ
大体の人は日常的な文字を覚えたらいいって感覚だし
そもそも田舎の方じゃ文字読めなくても困らないからね」
「勉強家って言うより、私の国は文字が読める事が当然だったから
読めない文字があるとちょっともやもやしちゃうんだよね」
「へぇ~、レンお姉ちゃんの国って文字読める人ばっかりなんだ」
マリスが興味深そうに会話に参加して来る。
「うん、国が子供達全員に一定の教育をする場を提供してて
そこで読み書きや計算とか、国で生活するのに必要な知識を教えるんだよ」
「ほぇ~そりゃ凄い、お金持ちの国なんだねぇ」
マリスの指摘に少し吹き出してしまう、まぁ確かに日本はお金持ちの国だよね。
「………代金は確かに、毎度あり
また必要なものがあったら言ってよ、旅に必要な物とか揃えとくからさ」
「その時はお願いするよ、ありがとねラミカ」
「こちらこそ、んじゃね~」
ラミカは手を振りながら自分の荷馬車に戻っていった。
「ん~、それじゃギルドに戻ろっか
お金を稼ぐ必要性が高まったし、何か依頼を受けとかないとね」
「そうね、早くあの男臭い空間から抜け出す為にもね」
私の提案にフィルが冗談を交えながら答え、私たちはギルドへの帰路についた。
………
………………
………………………
「すみません、今皆さんにお願いできる依頼は無いんです」
アイシャちゃんは申し訳無さそうな表情で私達に告げる。
「あれま、ギルドに依頼がないなんて珍しいねぇ
いつも何かしら依頼があるのに」
マリスが少し驚いた表情で呟く。
確かに私が冒険者になってから1か月が過ぎたけど、その間依頼が無いって事は
無かったね、いつも掲示板に何かしら依頼の紙が貼ってあった。
けど、今はその掲示板には何も張ってはおらず
アイシャちゃんも依頼は無いという。
「今の時期って依頼が少なかったりするのかしら?」
「いえ、そう言う訳では無いんです。ここ最近冒険者さん達のやる気が物凄くて
前までやりたがらなかった薬草の採集や物品の収集とかの依頼も
積極的にこなしてくれるようになったんですよね」
おや、そうなんだ。
まぁやる気があるのはいいけど、何でまた急に?
「それが私にもさっぱりで………ママに聞いても
『ほっときなさい、男がやる気を出す理由なんて大抵下らない事なんだから』
って言うだけで………」
………何というか、深い言葉だねマイーダさん。
旦那さんとの生活での経験なのか、何か言葉に説得力が在り過ぎるよ。
「まぁ依頼がないなら仕方ないね。リーゼ、鍛錬でもする?」
「はい、マスターが宜しければ是非に」
「マリスはそれを眺めてようかな~、他にすることないし
フィルミールお姉ちゃんも来るでしょ?」
「………そうね、万が一レンが怪我したら一大事だもの
私も傍にいたほうがいいわね」
「結局みんな来るんだね…それじゃアイシャちゃん
良さげな依頼があったらまた紹介して頂戴」
「はい、分かりました。鍛錬頑張って下さいね」
アイシャちゃんはそう言いながらにっこりと笑う。
うん、この笑顔にここの冒険者達は骨抜きにされたんだね、少しだけ分かるよ。
そんな事を思案しながらギルドを出ようとすると
「久しぶりじゃの、嬢ちゃん達
………随分個性的な面子が増えておるの」
聞き覚えのある声にその方向を向く
そこには白髭を生やした大きな弓を背負ったお爺ちゃん、ゼーレンが立っていた。
「あれ、ゼーレンさん。いつ帝都に戻ってきたの?」
私は小走りにゼーレンさんに近づく。確かに久しぶりだ。
確か前に会ったのは私が冒険者になって以来だから1か月ぶりかな。
あの時は用事があるって事ですぐにいなくなっちゃってちょっと寂しかったけど。
「ついさっきじゃ、ようやく帝都での用事がひと段落しての
こうしてギルドに顔を出したんじゃ、嬢ちゃん達に会えるかもと思うての」
ゼーレンさんは相変わらず楽しそうにニコニコしている、若い女性と話すのが
楽しいって言ってたけど私もお爺ちゃんみたいな人達と話すのは好きなんだよね。
長生きって事はそれだけ知識も豊富で、それだけで尊敬すべき相手だ。
ただ、フィルは相変わらずあまりいい感情は持ってない様で………
「レン、何でこんなスケベ爺にそんな好意的なのよ………」
若干うんざりした表情でそう呟く。
「やっほ~久しぶりゼーレン爺ちゃん、今日も元気に女の子の
お尻を追い回してそうだね~あはははは」
マリスが挨拶しながらとても失礼な事を言ってる
と言うかマリスとも知り合いなんだ。
「何を言うか、儂が女性のお尻を追い回さなかったら
お主は天変地異の前触れだと宣うだろうに、わっはっはっは!!」
そんな失礼極まりないマリスの発言を豪快に笑い飛ばすゼーレンさん。
と言うかこの人にとって「スケベ」は誉め言葉っぽいね。
ひとしきり笑った後、ゼーレンさんはリーゼに向き
「そして…ふむ、お主がマイーダの言ってたリーゼ嬢ちゃんか
人化した龍を見るのは初めてじゃが………中々凄いのう」
顎髭をさすりながらリーゼの事をじっと見つめるゼーレンさん。
うん、確かに色々と凄いよねリーゼって、と言うかマイーダさん
ゼーレンさんには話したんだ。
まぁゼーレンさんになら知られても問題は無いだろうけど………
リーゼはゼーレンさんの視線に不穏な物を感じたのか表情が僅かに険しくなる。
「マスター、この人間の雄は敵ですか?
何やら視線に少々不愉快な物を感じるのですが………」
「それはちょっと我慢してあげて、この人の挨拶みたいなものだから」
指輪をかざし戦斧を取り出そうとするリーゼを止める。
う~ん、これは早めに彼我の力の差を感じれるように教えてあげないとダメかな。
ゼーレンさんを見て喧嘩を売ろうなんて考えるのはちょっと頂けないね。
多分、ドラゴン状態のリーゼでも勝てるんじゃないかなゼーレンさん。
「わっはっは、リーゼ嬢ちゃんに不快な視線と言わしめたのなら
儂の視線も捨てたものじゃないわい」
「ゼーレン爺ちゃんのスケベって他種族にも通用するんだねぇ
ある意味凄いよね~」
呵々大笑するゼーレンさんにマリスが乗っかって2人して笑ってる。
まぁ、他の人間の男に裸を見られても気にしないリーゼに多少なりとも
嫌悪感を持たせられるのは確かに凄いかも知れないけど………
「それで、これから依頼でも行く所じゃったかの?
それならば引き留めて悪かったんじゃが………」
「いや、その逆で今は依頼がないっぽいんだよね
だからリーゼと一緒に鍛錬に行こうとしてたところだよ
フィルとマリスは付き添いみたいなものだけど」
「ふむ………」
ゼーレンさんの問いに私は素直に答える。
それを聞いたゼーレンさんは顎髭をいじりながら少し考えこんだ後
「それならば嬢ちゃん達、依頼を1つ請け負ってくれんか?
本来なら儂がやらねばならんのじゃが、そんな余裕が無くてのう」
依頼を請け負う?冒険者同士の依頼の譲渡って有りなの?
私は疑問に思いつつもゼーレンさんの話を聞くことにした。
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気づくのが遅れましたが誤字報告有難うございます。
これからもどしどし指定して頂けると助かります。
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