どうせみんな死ぬ。

 魔法と科学、双方が発達した世界。
 空飛ぶ車は科学。空飛ぶ絨毯は魔法。
 ただし、魔法技術の方が発達しており、インフラ設備は、そのほとんどが魔法に依存していた。

 そんな世界で、大きな大陸を丸々一つ貸しきった大国──ルスファ。南に人間が国を築く一方、北には魔族たちが集う。そして、魔王の支配下に置かれた一部の土地を、魔王の国と呼んでいた。
 十年単位で陣取り合戦が行われるようになってから、実に、千年。人間の国王が崩御するか、魔王が勇者に倒される度に内戦は中断し、新たな王が即位する度に再開する。そんな時代が続いた。
 しかし、ここ三十年、戦いは起きておらず、偽りの平和の時代が到来していた。魔族と人間も、互いの歩み寄りによって、双方に対する偏見の目も、薄れつつあった。

 ──その国には、一生に一度だけ、どんな願いも叶えられる『願いの魔法』が存在した。それは、八歳になると使えるようになるものであり、その願いのほとんどが魔法に使われる。

 それゆえ、多くの者は、こう認識していた。

『八歳になれば、魔法が使えるようになる』

 と。

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