私の主人はワガママな神様

どろろ

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14.本心(5)

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 ハードなスケジュールの中、時間通りに動くのは難しい。晴太郎と七海は開始時間に少し遅れて会場に到着する。もう既に社長のあいさつが終わっていて食事の時間が始まっていたが、誰も遅刻を咎める者はいない。

「おーい! 晴太郎、七海!」

 会場に入るなり、少し離れた位置から洋太郎と香菜子が駆け寄って来た。香菜子の姿を見つけた晴太郎は、七海の腕をぎゅっと握る。

「大丈夫、取らないって! どんだけ気にしてんのよ!」
「だってかな姉さん、ずっと七海のこと口説いてるじゃん」
「そりゃあ七海はカッコいいから好きだけどー……」
「ほら、やっぱり! 駄目だからな!」

 1年経ってもなかなか晴太郎の警戒は解けない。掴んでいただけだった腕に、晴太郎がぎゅっと抱き付いた。

「香菜子も晴太郎も、相変わらずだなあ……七海が困ってるよ」

 晴太郎と会う度に喧嘩に発展しそうな香菜子に対し、本当に双子なのかと疑いたくなるくらい、洋太郎は落ち着いている。

「七海も毎回ごめんな、香菜子が迷惑かけて」
「いいえ、とんでもございません。迷惑だなんて思っていませんよ」
「そんなこと言ってると、また香菜子が調子乗って晴太郎を泣かしてしまうぞ」
「そんなことしないよ! 洋太郎ってば適当なこと言わないで!」

 洋太郎の冷静さが、天真爛漫な香菜子をコントロールできる秘訣だろうか。

「そういえば、お二人とも何か用があったのでは?」
「用ってほどじゃないけど……晴太郎たちが遅れてくるって聞いてたから、あっちのテーブルに適当に料理取っておいたんだ」

 バイキングは早い者勝ちだ。遅れて到着してしまったので、もう残っていないかもしれないと覚悟はしていたが、彼のおかげでそれは免れたようだ。

「さすが洋兄さん! ありがとう!」
「晴太郎腹減ってるかなって思ってさ。早く取らないと、料理無くなっちゃうし」
「洋太郎だけじゃなくて、私も取っておいたんだからね!」

 七海もこっちに来て、と香菜子が晴太郎に掴まれている逆の腕を引っ張る。晴太郎は少しむっとした顔をしたが、食事に免じて七海に触れる事を許したようだ。
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