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14.本心(2)
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晴太郎の生活が変化すると、一緒に七海の生活も変化する。今までは会社を定時であがり、晴太郎を駅や学校まで迎えに行っていたが、迎えに行く時間が遅くなった。定時で上がるのは変わらないが、一旦家に帰り夕食の準備をし、それから塾へ晴太郎を迎えにいく。その後ピアノのレッスンがある日はまたピアノ教室へ送り届ける。
学校が休みの日も、朝から夕方まで勉強やレッスンで忙しい。受験生に休む暇など無いのだ。もちろん、それに付き合う七海にも、気が休まる時間がない。晴太郎が無理をしていないか、身体を壊さないか、常にハラハラしながら見守っている。
「晴太郎、変わったよ。前はあんなに甘えただったのに」
「ええ、とても立派になりました」
以前は何をするにも七海、七海とすぐに自分のことを呼んで頼っていたのに、今は大体の事は彼自身でやるようになった。良い事であるはずなのに、頼られなくなってしまったのが少し寂しい。
それに、受験は自分自身との戦いだ。七海が彼にしてあげられる事といえば、食事の準備と送迎くらいしかない。力になれないことが、こんなにもどかしいことだったとは知らなかった。
「そういえば、晴太郎はクリスマスパーティー行くの?」
「行く予定ですよ。いつも通り、終わったらホテルに宿泊せずに帰りますが」
社内で仙台支店のほか、来週末に迫ったクリスマスパーティーも話題になっている。パーティーが終わるとすぐに納会、そして年末年始休みがやってくる。イベント行事の連続に、みんな浮き足立っているのだ。
「風太郎様は、今年はちゃんと参加なさるのですか?」
「うっ、うーん……顔だけ、出そうかな……」
誤魔化すように視線を逸らす風太郎。きっと参加するつもりは無いのだろう。彼は別に家に歯向かっているわけではなく、重度な人混み嫌いなのだ。それを知っているからこそ、彼の父や兄も無理やり参加させる様な事はしない。
「そうですか。残念ですね……せっかく一緒に楽しめると思っていたのに」
「……お酒、気をつけてね。僕、助けられないから」
「うっ……運転があるので、大丈夫です。飲みません」
残念に思っているのは本当だ。七海だって、上司に囲まれている中に、気の許せる間柄の人が1人でもいた方が良い。
「あ、もうこんな時間。僕、そろそろ戻るね」
「もうそんな時間ですか。私も戻ります」
立ち話をしているうちに、ずいぶん時間が経過していたらしい。そろそろ戻らないと怒られてしまう。ふたりはビルの中へ戻った。
クリスマスの話をして、もうそんな時期かと実感した。年が明けたら、すぐに一次試験の日が来る。そしてそれが終わって次の月は二次試験。さらに次の月は卒業式、そして合格発表。それまで気を抜く事は出来ない。最後まで、しっかり晴太郎のサポートしなければ。
学校が休みの日も、朝から夕方まで勉強やレッスンで忙しい。受験生に休む暇など無いのだ。もちろん、それに付き合う七海にも、気が休まる時間がない。晴太郎が無理をしていないか、身体を壊さないか、常にハラハラしながら見守っている。
「晴太郎、変わったよ。前はあんなに甘えただったのに」
「ええ、とても立派になりました」
以前は何をするにも七海、七海とすぐに自分のことを呼んで頼っていたのに、今は大体の事は彼自身でやるようになった。良い事であるはずなのに、頼られなくなってしまったのが少し寂しい。
それに、受験は自分自身との戦いだ。七海が彼にしてあげられる事といえば、食事の準備と送迎くらいしかない。力になれないことが、こんなにもどかしいことだったとは知らなかった。
「そういえば、晴太郎はクリスマスパーティー行くの?」
「行く予定ですよ。いつも通り、終わったらホテルに宿泊せずに帰りますが」
社内で仙台支店のほか、来週末に迫ったクリスマスパーティーも話題になっている。パーティーが終わるとすぐに納会、そして年末年始休みがやってくる。イベント行事の連続に、みんな浮き足立っているのだ。
「風太郎様は、今年はちゃんと参加なさるのですか?」
「うっ、うーん……顔だけ、出そうかな……」
誤魔化すように視線を逸らす風太郎。きっと参加するつもりは無いのだろう。彼は別に家に歯向かっているわけではなく、重度な人混み嫌いなのだ。それを知っているからこそ、彼の父や兄も無理やり参加させる様な事はしない。
「そうですか。残念ですね……せっかく一緒に楽しめると思っていたのに」
「……お酒、気をつけてね。僕、助けられないから」
「うっ……運転があるので、大丈夫です。飲みません」
残念に思っているのは本当だ。七海だって、上司に囲まれている中に、気の許せる間柄の人が1人でもいた方が良い。
「あ、もうこんな時間。僕、そろそろ戻るね」
「もうそんな時間ですか。私も戻ります」
立ち話をしているうちに、ずいぶん時間が経過していたらしい。そろそろ戻らないと怒られてしまう。ふたりはビルの中へ戻った。
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