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9.甘いもの(1)
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晴太郎の看病、年末年始の挨拶、小正月などバタバタと落ち着かない1月が終わって、2月を迎えた。季節の一大イベントがあるせいか世間は少し浮足立つ。テレビは自然とお菓子やスイーツを特集した番組が多くなる。このイベントに特に良い思い出があるわけではないが、七海はこの時期が意外と好きだったりする。
「七海ー、冷蔵庫にあるチョコお菓子、食べてもいいか?」
「はい、どうぞ」
今もテレビでは美味しそうなチョコレートケーキを特集した番組が流れている。あれはどこの店だろうか。自由が丘ならすぐに行けそうな距離だ、なんて考えながらテレビを眺める。
七海は甘いものが好きだ。特にチョコレートが好きで冷蔵庫の中に必ずストックがある。晴太郎もたまに欲しがるので、彼の分もしっかりストックしてある。
ソファに座ってテレビを眺めていた七海の隣に、晴太郎がやってきた。先ほど冷蔵庫から取り出したお菓子を食べている。今日仕事帰りに買ってきたばかりの、チョコレートでコーティングされたバームクーヘンだ。
「ん、これ美味いな。七海はもう食ったか?」
「いえ、まだです」
「そっか。ほら」
ずい、と当たり前のように口元に差し出されたそれを、ぱくりと一口齧る。ぱりっとしたチョコレートとしっとりとしたバームクーヘンの程よい甘さが口に広がる。
「……ん、美味いですね」
「だよな。七海、こういうの好きだと思ったんだ」
七海の好みはもうすっかり晴太郎に把握されてしまっているようだ。少し照れくさい。確かにこのバームクーヘンは好きな味だった。主人も好きそうだったので、また買いに行こうと思う。
ふと晴太郎がテレビに目を向ける。七海が見ていたスイーツ特集に興味を持ったようだ。
「……チョコケーキ、食べたいのか?」
「え?」
「だって、それずっと見てるだろ」
「美味そうだな、と思って……」
食べたいか食べたくないかと言われれば、食べたいに決まっている。しかしこの時期のスイーツ店は女性ばかり。男性である七海は入りづらいのだ。
それを言うと晴太郎は、納得したのかしていないのか良くわからない顔をして、そうかと呟いた。
それから何か考え込んでいるようで、途端に口数が少なくなった。そんな難しい話をしただろうか、と七海は首を傾げた。
「七海ー、冷蔵庫にあるチョコお菓子、食べてもいいか?」
「はい、どうぞ」
今もテレビでは美味しそうなチョコレートケーキを特集した番組が流れている。あれはどこの店だろうか。自由が丘ならすぐに行けそうな距離だ、なんて考えながらテレビを眺める。
七海は甘いものが好きだ。特にチョコレートが好きで冷蔵庫の中に必ずストックがある。晴太郎もたまに欲しがるので、彼の分もしっかりストックしてある。
ソファに座ってテレビを眺めていた七海の隣に、晴太郎がやってきた。先ほど冷蔵庫から取り出したお菓子を食べている。今日仕事帰りに買ってきたばかりの、チョコレートでコーティングされたバームクーヘンだ。
「ん、これ美味いな。七海はもう食ったか?」
「いえ、まだです」
「そっか。ほら」
ずい、と当たり前のように口元に差し出されたそれを、ぱくりと一口齧る。ぱりっとしたチョコレートとしっとりとしたバームクーヘンの程よい甘さが口に広がる。
「……ん、美味いですね」
「だよな。七海、こういうの好きだと思ったんだ」
七海の好みはもうすっかり晴太郎に把握されてしまっているようだ。少し照れくさい。確かにこのバームクーヘンは好きな味だった。主人も好きそうだったので、また買いに行こうと思う。
ふと晴太郎がテレビに目を向ける。七海が見ていたスイーツ特集に興味を持ったようだ。
「……チョコケーキ、食べたいのか?」
「え?」
「だって、それずっと見てるだろ」
「美味そうだな、と思って……」
食べたいか食べたくないかと言われれば、食べたいに決まっている。しかしこの時期のスイーツ店は女性ばかり。男性である七海は入りづらいのだ。
それを言うと晴太郎は、納得したのかしていないのか良くわからない顔をして、そうかと呟いた。
それから何か考え込んでいるようで、途端に口数が少なくなった。そんな難しい話をしただろうか、と七海は首を傾げた。
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