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1章 ダンジョンと少女
依頼②
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大会の開催が3日後に迫っていた。
その頃になると、冒険者たちもギルドの中でいつもより大声を出して騒いでいるだけで、あまり依頼をこなそうという雰囲気でもないようだ。
「いや、俺の推しはリフィル様よ!
なんと言っても、あの細い腕から繰り出される多彩な剣技」
「お前の好きなのは防具を外した時に見えるうなじに、露わになる大きな胸、だろ?」
話に上がっているリフィル様とは、おそらく女性剣士なのだろう。
スキルさえあれば女性でも十分強くなれるし、サラやマリアのように戦闘スキルなどなくても魔物と戦える者は多い。
男たちは出場者のリストを眺めながら予想を言い合っているのだろう。
それだけ街中が興味を持っている大会だとも受け取れる。
「そういや小さい女の子、あれ本気か?」
「んなわけあるかよ。
テイマー枠だし数合わせて入れてもらったんだよ。ギルドも数さえ揃えばどうでもいいんだろ?」
その張本人が依頼を見に来ているが、話に夢中で全く気付かないようだ。
「俺、一回戦の相手あの子にならねぇかな?
魔物の扱い方を優しく教えてやるのに」
そんな手つきの気持ち悪いオッサンテイマーは、火の魔法を使うニクスと呼ばれる魔物を肩に乗せている。
タカのような見た目で、赤黒い羽根をもっているので見た目は割とカッコいい。
どうやら近くに出現するらしいし、中級ニククエも存在するそうである。
横目で様子を見ながら新しい依頼の受注。
「ほらよ、手に入った素材は隣のカウンターに持ってってくれ」
ぶっきらぼうな職員に依頼書の控えを渡されて、凍花はギルドを後にした。
「さぁて、ニクス狩り行きますかぁ。
コアも獲れたらラッキーなんだけどなぁ」
受けた依頼は、そのニクスから得られる素材の肉や爪などの納品。
身の引き締まった肉は焼いて食べると絶品だそうで、この街で出される名物料理の一つらしい。
「湖畔の岩場が狩りのポイントみたいです。
あの辺じゃないですか? お姉ちゃん」
「うん。それっぽいのが飛んでるね。
じゃあダンジョンもあの近くかな?」
この納品依頼を受けた理由は二つあった。
一つ目は純粋にニクスの料理を食べたいから。
やはり納品依頼があるくらいなので、かなり美味しいのだろう。
残念なことを言うならば、塩を含めた調味料関係は割と高級品で、調理法も塩焼きの一品のみ。
「美味しいのは美味しいんだけどねぇ。
塩っ気は薄いし、あれじゃ勿体無いよ」
「お姉ちゃんの料理楽しみです。
私もたくさん倒しますねっ!」
先日お店で食べた料理では満足いかなかったのだ。
じゃあ自分で作ればいいじゃないか、というのが今回の狩りの目的。
一人暮らし生活の経験者、凍花にはそれほど苦ではないのだ。
……調理器具が揃っていれば、だが。
「うー……すばしっこくて当たらないよ」
ただでさえ空を飛ぶ魔物だし、ラビは苦戦を強いられていた。
特訓になると思って向かわせた、ステータスの底上げをしたレプロの方が相性が良いまである。
「レプロ、クールタイムが終わったら続けて光矢の雨!
トラは落ちてきたニクスを仕留めて!」
『キュッ!』『ニャッ!』
範囲攻撃が便利すぎる。
一撃のダメージは低いものの、空を飛ぶニクス相手にはこれ以上ない相性ではないだろうか?
ラビも負けじとダークボールを上空に放ってみるが、こちらはことごとく避けられてしまう。
そのかわり、得意の素早い動きで飛びかかり、ニクスの飛び立つ瞬間を襲いかかって仕留めることができていたが。
「やっぱり慣れない魔法に頼るのは良くないってことですかねぇ?」
「むぅ……今度こそたくさん狩るもん」
若干落ち込んだラビだが、結果的に収穫は上々。
ニクスの肉が20ばかしと、武具や魔道具の素材になる爪や羽がそれなりに手に入った。
「さて、こっちはどうかなぁ?」
湖畔に近付く凍花は、湖から上がってきたスライムに声をかける。
「アレは見つかった?」
その問いにぷるぷると身体を縦に揺らすスライム。
やはり監視の無いダンジョンに行くのが手っ取り早い。
湖の中に次々とストーンゴーレムを送り込み、その高い攻撃力でコアの破壊を狙う。
こちらが目的の二つ目だ。
中級クエにもなるとギルドの監視があるが、水中ならばそれも無い。
情報を得て真っ先に思いついた場所が、このニクスのダンジョン攻略であった。
「時間がかかるけど、スライムより確実だし。
トラは水が苦手だもんね」
『ニャア……』
ゆっくりと進行していくストーンゴーレムうぃ見送って凍花たちは、後を任せて宿へと戻るのであった。
その頃になると、冒険者たちもギルドの中でいつもより大声を出して騒いでいるだけで、あまり依頼をこなそうという雰囲気でもないようだ。
「いや、俺の推しはリフィル様よ!
なんと言っても、あの細い腕から繰り出される多彩な剣技」
「お前の好きなのは防具を外した時に見えるうなじに、露わになる大きな胸、だろ?」
話に上がっているリフィル様とは、おそらく女性剣士なのだろう。
スキルさえあれば女性でも十分強くなれるし、サラやマリアのように戦闘スキルなどなくても魔物と戦える者は多い。
男たちは出場者のリストを眺めながら予想を言い合っているのだろう。
それだけ街中が興味を持っている大会だとも受け取れる。
「そういや小さい女の子、あれ本気か?」
「んなわけあるかよ。
テイマー枠だし数合わせて入れてもらったんだよ。ギルドも数さえ揃えばどうでもいいんだろ?」
その張本人が依頼を見に来ているが、話に夢中で全く気付かないようだ。
「俺、一回戦の相手あの子にならねぇかな?
魔物の扱い方を優しく教えてやるのに」
そんな手つきの気持ち悪いオッサンテイマーは、火の魔法を使うニクスと呼ばれる魔物を肩に乗せている。
タカのような見た目で、赤黒い羽根をもっているので見た目は割とカッコいい。
どうやら近くに出現するらしいし、中級ニククエも存在するそうである。
横目で様子を見ながら新しい依頼の受注。
「ほらよ、手に入った素材は隣のカウンターに持ってってくれ」
ぶっきらぼうな職員に依頼書の控えを渡されて、凍花はギルドを後にした。
「さぁて、ニクス狩り行きますかぁ。
コアも獲れたらラッキーなんだけどなぁ」
受けた依頼は、そのニクスから得られる素材の肉や爪などの納品。
身の引き締まった肉は焼いて食べると絶品だそうで、この街で出される名物料理の一つらしい。
「湖畔の岩場が狩りのポイントみたいです。
あの辺じゃないですか? お姉ちゃん」
「うん。それっぽいのが飛んでるね。
じゃあダンジョンもあの近くかな?」
この納品依頼を受けた理由は二つあった。
一つ目は純粋にニクスの料理を食べたいから。
やはり納品依頼があるくらいなので、かなり美味しいのだろう。
残念なことを言うならば、塩を含めた調味料関係は割と高級品で、調理法も塩焼きの一品のみ。
「美味しいのは美味しいんだけどねぇ。
塩っ気は薄いし、あれじゃ勿体無いよ」
「お姉ちゃんの料理楽しみです。
私もたくさん倒しますねっ!」
先日お店で食べた料理では満足いかなかったのだ。
じゃあ自分で作ればいいじゃないか、というのが今回の狩りの目的。
一人暮らし生活の経験者、凍花にはそれほど苦ではないのだ。
……調理器具が揃っていれば、だが。
「うー……すばしっこくて当たらないよ」
ただでさえ空を飛ぶ魔物だし、ラビは苦戦を強いられていた。
特訓になると思って向かわせた、ステータスの底上げをしたレプロの方が相性が良いまである。
「レプロ、クールタイムが終わったら続けて光矢の雨!
トラは落ちてきたニクスを仕留めて!」
『キュッ!』『ニャッ!』
範囲攻撃が便利すぎる。
一撃のダメージは低いものの、空を飛ぶニクス相手にはこれ以上ない相性ではないだろうか?
ラビも負けじとダークボールを上空に放ってみるが、こちらはことごとく避けられてしまう。
そのかわり、得意の素早い動きで飛びかかり、ニクスの飛び立つ瞬間を襲いかかって仕留めることができていたが。
「やっぱり慣れない魔法に頼るのは良くないってことですかねぇ?」
「むぅ……今度こそたくさん狩るもん」
若干落ち込んだラビだが、結果的に収穫は上々。
ニクスの肉が20ばかしと、武具や魔道具の素材になる爪や羽がそれなりに手に入った。
「さて、こっちはどうかなぁ?」
湖畔に近付く凍花は、湖から上がってきたスライムに声をかける。
「アレは見つかった?」
その問いにぷるぷると身体を縦に揺らすスライム。
やはり監視の無いダンジョンに行くのが手っ取り早い。
湖の中に次々とストーンゴーレムを送り込み、その高い攻撃力でコアの破壊を狙う。
こちらが目的の二つ目だ。
中級クエにもなるとギルドの監視があるが、水中ならばそれも無い。
情報を得て真っ先に思いついた場所が、このニクスのダンジョン攻略であった。
「時間がかかるけど、スライムより確実だし。
トラは水が苦手だもんね」
『ニャア……』
ゆっくりと進行していくストーンゴーレムうぃ見送って凍花たちは、後を任せて宿へと戻るのであった。
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