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8章《勇者と魔王》
11話
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リリアが見ている前で、少年はセンにスキルを使う。
「リペア!」
みるみる顔色が良くなり、意識を取り戻したセンはゆっくりと目を開ける。
「い……たたた……」
やられた記憶がしっかりと残っているせいか、痛みは若干残ってはいたが、折れた骨もすっかり元通りらしい。
魔素もない施設内で、こうも簡単に治癒スキルを使用するのも不思議ではあるが、この少年の正体は一体……
『スキル』と言っているのは、本人が『魔法ではない』と言っているから。
そんな強力なスキルは聞いたこともないし、使えるのは治癒だけでもないみたいだし。
「いやぁ、魔王様だったのならそう言ってくださいよ。
姿も変わっちゃって危うく殺してしまうところだったじゃないですかぁ」
「し、知らないわよそんな人っ!
だから私たちは別の大陸から来た普通の村人だって、何度も言ってるじゃないの!」
少年が剣を収めたのは、リリアが水晶体に触れたためだった。
水晶体が魔力パターンを検知して、鍵の役割をしているそうだ。
「それにしても、そうですね……記憶を失ってらっしゃるのでしたら自己紹介をした方が良いのでしょうか。
それによく見ればこちらの少年からも魔王様に似た魔力パターンが……」
リリアだけでなく、僕までもその『魔王』とやらと同じ魔力パターンを持っているなどと言う少年。
どうでも良いことではあるが、この施設内、地下深くにあるせいか、そこそこ肌寒いはずなのだが……
この少年はなぜ、こんなにも薄着でいられるのだろうか……
「どうかしました?
……まぁ回復してすぐですし、落ち着いたら場所を移動いたしましょう。
私はこの施設のガーディアン、『2021004081号』です。
仕組みは……覚えてはないですよねもちろん」
ガーディアンというのは、施設に異変があった際に起動する『人が作った機械』だと言う。
『2021年製』のバージョンアップされたプログラムを組み込んだ機械なのだと言うが、その意味はさっぱり分からない。
いや、そもそも知らない言葉をつらつらと並べられても理解できるはずもなかった。
「魔王様をいつまでもこのような場所でもてなすのはよろしくないですね。
今施設内の扉を開錠いたします」
「え……っと、あーうん……よくわからないけど、よろしく……」
くるっと踵を返して、来た道を戻っていく『にーぜろぜろ……』もとい少年。
3つほど前にあった扉は、少年が手をかけると、自動的に横へと動いた。
「この部屋になら予備のカードもありますし、地下水……は菌が繁殖しすぎてしばらくは使えそうにありませんね。
私自身も数百年眠っていたみたいですし、あとで一度チェックしてみます。
起動している以上、最下層の本体は無事みたいですし」
先ほどから普通に案内してくれる少年だが、今までの話を聞く限り生き物ではない?
ひとまずホコリまみれだった部屋の中を、その少年のスキルで綺麗な状態へと変化させていた。
「それってどういう魔法……じゃなかった、スキルなのよ?」
「クリーンですか?
えっと……魔法でも似たようなことはできるそうですよ。
それを解析して私の中に組み込んだらしいので、人に説明すると長くなりますけどよろしいですか?」
とりあえず聞いてみたのだけど、いきなり知らない用語ばかり出てきたので勘弁してもらった。
要約するとゴミとそれ以外を区別するために、色々な判断基準が設けられているらしい。
バージョンアップとかいうものを繰り返して今のスキルになったそうだが、昔は必要なものまで消し去ってしまったことが何度もあるのだとか……
「へぇー……にーぜ……名前なんだっけ?」
『凄いんだね』と、たった一言言いたいだけなのに、名前で詰まってしまう。
「名前はなんでも構いませんよ、ただの番号ですし、昔は皆さん『ブラン』と呼ばれてましたし」
白いという意味らしいのだけど、よく魔力切れを起こしてスキルの使えない無能な機械になってしまったことから付けられているそうだ。
「ひどいときだと、余計なスキルを使いすぎて一日に二十回は再起動されましたね」
「再起動って……あんたいきなり動かなくなったりするってわけ?」
「今は大丈夫ですよ。
長い間魔素は消費されていませんでしたし、残魔素量は現在『99%』です」
スキルの使用には本体に蓄積された魔素を消費するそうだ。
もちろん施設の維持のため、スキル用の魔素は別になっているなどと言うが、なにがもちろんなのかは理解できやしない。
ともかく、ブランはその本体の魔素が尽きない限り、命令以外では止まることはない。
「命令って……誰の?」
リリアが心配そうに喋る。
「もちろん魔王様ですが?」
『だよね……』と項垂れるリリア。
今までの話の流れから、なんとなく僕たちに忠誠を誓うという流れが読めていたそうだ。
なにが不安なのかと聞いてみたら、少なくとも僕やリリアでは敵わないくらいの強さであること。
そしてもう一つ、魔素を消費し続けるという動力源。
「これだけ人間に近いんだもん……また眠っていなさいなんて言えないじゃない……」
きっとドラゴン戦なんかに、すごく良い戦力にはなると思う。
だけど、動いているだけで魔素を消費すると聞くと、ユーグのことが心配になってしまう。
リリアと話しをしてから、とりあえず今後は勝手にスキルを使用しないように伝えてみた。
「わかりました。
ですが、全てのスキルの解除は正常な機能の維持が難しくなります。
施設の放棄、及びガーディアン機能停止を除く場合は一部のスキルをオンにしたままにすることを推奨いたします」
命令は聞くのだと言ったわけなのだが、リリアのことを記憶を失った魔王様だと判断したブランは『提案モード』という方式に勝手に移行しているそうだ。
わからない、わからなさすぎて正直どうでもよくなってきた。
無駄に魔素の消費をしないよう伝えたいだけなのだけど、返事がやたら小難しくて嫌になってきたのだ。
「お二方とも、まだ施設のこともほとんど理解しておられない様子ですし、ここは『節約自動判断』で様子をみられてはどうでしょう?」
また別の言葉がブランの口から出てきてしまった。
さすがのリリアもお手上げのようで、『じゃ……じゃあもうそれでいいわよ』なんて諦めてしまったようだ。
とにかく、この施設の説明から教えてもらうことにする。
とは言っても、大まかな説明はユーグが教えてくれたことが全てだったみたいで、特に新しく知ったことはなかった。
大昔に魔法やスキルの研究を行っていた施設。
魔素を用いて、新しいアイテムや魔法を生み出していたそうだ。
その最たる研究内容が『オリハルコン精製』というものだと言う。
「やっぱりユーグの言ってた通り、この大陸ってオリハルコンのせいで荒れちゃったのかな?」
「確認中……施設外の情報が取得できませんでした」
眠りについてからの大陸の情報はブランには入っていないみたいだ。
というか、急に喋り方も変わった気がしたブランだったが。
「施設の中で案内できる場所は特にありませんし、外へ向かいませんか?」
中にあるのは研究できる部屋や寝室、作ったアイテムやスキルの保管部屋なんかだと言う。
その『保管部屋』には非常に興味があったが、『見せておきたいものがある』と言われたのなら仕方ない。
結局のところ、殺されそうになって得た収穫は何もなかった。
施設内では魔法もスキルもろくに発動せず、とてつもなく強力なガーディアン『ブラン』がいたのだという事実のみ。
あ、いやリリアが魔王様と呼ばれた理由はわからなかったが、そのおかげでブランが忠実に命令に従うようにはなったのだけど……
『あ、二人とも戻りましたか。
何度か試みたのですが、やはり施設内は極端に魔素が薄いため……?』
外に出ると、すぐにユーグの声が聞こえてきた。
ずっと様子を見ていて、待っていてくれたようだ。
『あの……その機械兵は一体……』
「機械兵? なんだかわからないけど、この施設を守っていたんだってさ」
ユーグの声に応えて僕が反応する。
「どうかされましたか? セン様」
ブランのその反応をみるに、どうやらユーグの声は届いていないのだろう。
もしくはユーグがわざと語りかけていないのか……
『機械兵には声は届かないようですね。
構いません、そのまま聞いてください二人とも。その機械兵は……』
先頭を歩くブランに着いてきながら、ユーグの言葉を聞いている僕とリリア。
大昔、オリハルコンが初めて精製されたときに、それを狙った国家があった。
急になんの話なんだと思ったのだが、その時に使われていたアイテム、というか完全に戦争に使うような兵器であるのだという。
ほんの少しのオリハルコンのために、あらゆる分野で活躍した強力なスキル保持者、冒険者上位、裏世界の者なんて言われていた異種族を含めた最強の部隊が組まれていたそうだ。
それでも施設のあった街は、いつもの平和な暮らしをしていた。
『強すぎるんですよ、その機械兵。
魔素の消費は激しかったですが、被害がほとんどないので歴史には何も残されなかったようです。
負け戦の記録は残したくなかったのでしょうが、そのせいで幾度か同じような歴史を見てきましたね……』
街が破壊されなかったのは良いことじゃないか。
だけど、ユーグ的には魔素の消費と有能な戦士が亡くなっていくのは見るに堪えない状況だったのだとか。
オリハルコンが当時はどのようなものだと伝えられていたかは様々ありすぎてハッキリしない。
まぁ街人の平穏な暮らしが守られたのなら、なんて思ったが、結局は魔素が薄くなって魔物は減少。
薬草などの素材も少なくなり、生活困難者が増加していたとかなんとか。
「着きましたよお二方とも。
この辺りに人工精霊の保管庫が……壊れていなければいいのですが……」
下に転がっているガラクタを除けると、地面から鋼製の蓋が現れた。
施設と同じマークが書いてあり、それをゆっくりと開くブラン。
「私たちも手伝った方がいいのかしら……」
「ま、まぁいいんじゃない?
なんだか複雑な構造をした扉みたいだし……」
縦横に開けたり閉めたり棒を回したり。
完全に開いてから聞いてみたところ、動力が落ちているから『セキュリティー上』仕方ない開け方だったとかなんとか……
とにかく開いたのならどうでもいいが、ブランは一体何を見せたいというのだろうか……
「リペア!」
みるみる顔色が良くなり、意識を取り戻したセンはゆっくりと目を開ける。
「い……たたた……」
やられた記憶がしっかりと残っているせいか、痛みは若干残ってはいたが、折れた骨もすっかり元通りらしい。
魔素もない施設内で、こうも簡単に治癒スキルを使用するのも不思議ではあるが、この少年の正体は一体……
『スキル』と言っているのは、本人が『魔法ではない』と言っているから。
そんな強力なスキルは聞いたこともないし、使えるのは治癒だけでもないみたいだし。
「いやぁ、魔王様だったのならそう言ってくださいよ。
姿も変わっちゃって危うく殺してしまうところだったじゃないですかぁ」
「し、知らないわよそんな人っ!
だから私たちは別の大陸から来た普通の村人だって、何度も言ってるじゃないの!」
少年が剣を収めたのは、リリアが水晶体に触れたためだった。
水晶体が魔力パターンを検知して、鍵の役割をしているそうだ。
「それにしても、そうですね……記憶を失ってらっしゃるのでしたら自己紹介をした方が良いのでしょうか。
それによく見ればこちらの少年からも魔王様に似た魔力パターンが……」
リリアだけでなく、僕までもその『魔王』とやらと同じ魔力パターンを持っているなどと言う少年。
どうでも良いことではあるが、この施設内、地下深くにあるせいか、そこそこ肌寒いはずなのだが……
この少年はなぜ、こんなにも薄着でいられるのだろうか……
「どうかしました?
……まぁ回復してすぐですし、落ち着いたら場所を移動いたしましょう。
私はこの施設のガーディアン、『2021004081号』です。
仕組みは……覚えてはないですよねもちろん」
ガーディアンというのは、施設に異変があった際に起動する『人が作った機械』だと言う。
『2021年製』のバージョンアップされたプログラムを組み込んだ機械なのだと言うが、その意味はさっぱり分からない。
いや、そもそも知らない言葉をつらつらと並べられても理解できるはずもなかった。
「魔王様をいつまでもこのような場所でもてなすのはよろしくないですね。
今施設内の扉を開錠いたします」
「え……っと、あーうん……よくわからないけど、よろしく……」
くるっと踵を返して、来た道を戻っていく『にーぜろぜろ……』もとい少年。
3つほど前にあった扉は、少年が手をかけると、自動的に横へと動いた。
「この部屋になら予備のカードもありますし、地下水……は菌が繁殖しすぎてしばらくは使えそうにありませんね。
私自身も数百年眠っていたみたいですし、あとで一度チェックしてみます。
起動している以上、最下層の本体は無事みたいですし」
先ほどから普通に案内してくれる少年だが、今までの話を聞く限り生き物ではない?
ひとまずホコリまみれだった部屋の中を、その少年のスキルで綺麗な状態へと変化させていた。
「それってどういう魔法……じゃなかった、スキルなのよ?」
「クリーンですか?
えっと……魔法でも似たようなことはできるそうですよ。
それを解析して私の中に組み込んだらしいので、人に説明すると長くなりますけどよろしいですか?」
とりあえず聞いてみたのだけど、いきなり知らない用語ばかり出てきたので勘弁してもらった。
要約するとゴミとそれ以外を区別するために、色々な判断基準が設けられているらしい。
バージョンアップとかいうものを繰り返して今のスキルになったそうだが、昔は必要なものまで消し去ってしまったことが何度もあるのだとか……
「へぇー……にーぜ……名前なんだっけ?」
『凄いんだね』と、たった一言言いたいだけなのに、名前で詰まってしまう。
「名前はなんでも構いませんよ、ただの番号ですし、昔は皆さん『ブラン』と呼ばれてましたし」
白いという意味らしいのだけど、よく魔力切れを起こしてスキルの使えない無能な機械になってしまったことから付けられているそうだ。
「ひどいときだと、余計なスキルを使いすぎて一日に二十回は再起動されましたね」
「再起動って……あんたいきなり動かなくなったりするってわけ?」
「今は大丈夫ですよ。
長い間魔素は消費されていませんでしたし、残魔素量は現在『99%』です」
スキルの使用には本体に蓄積された魔素を消費するそうだ。
もちろん施設の維持のため、スキル用の魔素は別になっているなどと言うが、なにがもちろんなのかは理解できやしない。
ともかく、ブランはその本体の魔素が尽きない限り、命令以外では止まることはない。
「命令って……誰の?」
リリアが心配そうに喋る。
「もちろん魔王様ですが?」
『だよね……』と項垂れるリリア。
今までの話の流れから、なんとなく僕たちに忠誠を誓うという流れが読めていたそうだ。
なにが不安なのかと聞いてみたら、少なくとも僕やリリアでは敵わないくらいの強さであること。
そしてもう一つ、魔素を消費し続けるという動力源。
「これだけ人間に近いんだもん……また眠っていなさいなんて言えないじゃない……」
きっとドラゴン戦なんかに、すごく良い戦力にはなると思う。
だけど、動いているだけで魔素を消費すると聞くと、ユーグのことが心配になってしまう。
リリアと話しをしてから、とりあえず今後は勝手にスキルを使用しないように伝えてみた。
「わかりました。
ですが、全てのスキルの解除は正常な機能の維持が難しくなります。
施設の放棄、及びガーディアン機能停止を除く場合は一部のスキルをオンにしたままにすることを推奨いたします」
命令は聞くのだと言ったわけなのだが、リリアのことを記憶を失った魔王様だと判断したブランは『提案モード』という方式に勝手に移行しているそうだ。
わからない、わからなさすぎて正直どうでもよくなってきた。
無駄に魔素の消費をしないよう伝えたいだけなのだけど、返事がやたら小難しくて嫌になってきたのだ。
「お二方とも、まだ施設のこともほとんど理解しておられない様子ですし、ここは『節約自動判断』で様子をみられてはどうでしょう?」
また別の言葉がブランの口から出てきてしまった。
さすがのリリアもお手上げのようで、『じゃ……じゃあもうそれでいいわよ』なんて諦めてしまったようだ。
とにかく、この施設の説明から教えてもらうことにする。
とは言っても、大まかな説明はユーグが教えてくれたことが全てだったみたいで、特に新しく知ったことはなかった。
大昔に魔法やスキルの研究を行っていた施設。
魔素を用いて、新しいアイテムや魔法を生み出していたそうだ。
その最たる研究内容が『オリハルコン精製』というものだと言う。
「やっぱりユーグの言ってた通り、この大陸ってオリハルコンのせいで荒れちゃったのかな?」
「確認中……施設外の情報が取得できませんでした」
眠りについてからの大陸の情報はブランには入っていないみたいだ。
というか、急に喋り方も変わった気がしたブランだったが。
「施設の中で案内できる場所は特にありませんし、外へ向かいませんか?」
中にあるのは研究できる部屋や寝室、作ったアイテムやスキルの保管部屋なんかだと言う。
その『保管部屋』には非常に興味があったが、『見せておきたいものがある』と言われたのなら仕方ない。
結局のところ、殺されそうになって得た収穫は何もなかった。
施設内では魔法もスキルもろくに発動せず、とてつもなく強力なガーディアン『ブラン』がいたのだという事実のみ。
あ、いやリリアが魔王様と呼ばれた理由はわからなかったが、そのおかげでブランが忠実に命令に従うようにはなったのだけど……
『あ、二人とも戻りましたか。
何度か試みたのですが、やはり施設内は極端に魔素が薄いため……?』
外に出ると、すぐにユーグの声が聞こえてきた。
ずっと様子を見ていて、待っていてくれたようだ。
『あの……その機械兵は一体……』
「機械兵? なんだかわからないけど、この施設を守っていたんだってさ」
ユーグの声に応えて僕が反応する。
「どうかされましたか? セン様」
ブランのその反応をみるに、どうやらユーグの声は届いていないのだろう。
もしくはユーグがわざと語りかけていないのか……
『機械兵には声は届かないようですね。
構いません、そのまま聞いてください二人とも。その機械兵は……』
先頭を歩くブランに着いてきながら、ユーグの言葉を聞いている僕とリリア。
大昔、オリハルコンが初めて精製されたときに、それを狙った国家があった。
急になんの話なんだと思ったのだが、その時に使われていたアイテム、というか完全に戦争に使うような兵器であるのだという。
ほんの少しのオリハルコンのために、あらゆる分野で活躍した強力なスキル保持者、冒険者上位、裏世界の者なんて言われていた異種族を含めた最強の部隊が組まれていたそうだ。
それでも施設のあった街は、いつもの平和な暮らしをしていた。
『強すぎるんですよ、その機械兵。
魔素の消費は激しかったですが、被害がほとんどないので歴史には何も残されなかったようです。
負け戦の記録は残したくなかったのでしょうが、そのせいで幾度か同じような歴史を見てきましたね……』
街が破壊されなかったのは良いことじゃないか。
だけど、ユーグ的には魔素の消費と有能な戦士が亡くなっていくのは見るに堪えない状況だったのだとか。
オリハルコンが当時はどのようなものだと伝えられていたかは様々ありすぎてハッキリしない。
まぁ街人の平穏な暮らしが守られたのなら、なんて思ったが、結局は魔素が薄くなって魔物は減少。
薬草などの素材も少なくなり、生活困難者が増加していたとかなんとか。
「着きましたよお二方とも。
この辺りに人工精霊の保管庫が……壊れていなければいいのですが……」
下に転がっているガラクタを除けると、地面から鋼製の蓋が現れた。
施設と同じマークが書いてあり、それをゆっくりと開くブラン。
「私たちも手伝った方がいいのかしら……」
「ま、まぁいいんじゃない?
なんだか複雑な構造をした扉みたいだし……」
縦横に開けたり閉めたり棒を回したり。
完全に開いてから聞いてみたところ、動力が落ちているから『セキュリティー上』仕方ない開け方だったとかなんとか……
とにかく開いたのならどうでもいいが、ブランは一体何を見せたいというのだろうか……
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