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第3章 消えた街

第1話 魔素暴走

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 せっかくリキングバウトに戻ったのだ。歩き疲れていたし、しばらく休むことにしていたのだ。
 雑貨屋や宝飾店を見て回ったり、ドルヴィンの仕事っぷりを見て過ごしたりしていた。

時々ゴブリン相手にピルスルから剣の指導も受けたりして、だいたい1週間ほど。
 俺たちは、レギとも別れ、旅を再開しようとしていたのだ。

 その前に必要な事が一つ残っていた。
 先日の一件で俺たちの武器は失われてしまったわけで、俺たちは装備を一新するべく武器屋を訪れていたのだ。

「なんだか普通の武器しか置いてないわね」
 そりゃあ仕方ない。王都とは違うのだし、武器屋の親父は気に入った冒険者にしか良い武器は見せもしないらしいのだから。

「私に最高の弓をいただけないかしら?」
 そうミドが問いかけても、案の定答えは『そんな物は無い!』であった。

「ピルスル、何か良い武器の作り方とか知らないか?」
 ピルスルは俺よりも長い期間隠しスキル使っている。
 俺たちの知らない武器の一つや二つ知っててもおかしくはないはずだと思ったのだ。

「うむ…いや、あまり試しておらんでな…。
 そうじゃ、確か儂がいた部屋に弓を飾っておったはずじゃ、そこそこの品じゃったと思うのだが」

 意外にも隠しスキルの存在を知りつつ、そこまで活用はしていなかったと言うのだ。
 だが、昔王より授かったものが飾ってあると。
 それは都合がいい、早速俺たちはギルドへと向かったのだった。

「キィィ!」
 突然の魔物の鳴き声。受付でキラーラビットが出迎えてくれる。
「きゃっ、かわいい。お姉さんの使い魔ちゃん?」
「ふふっ、ここのギルド長の子よ」
 ミドがキラーラビットに飛びついて撫でていた。王都でもこうやって店番をする魔物は何匹かいるらしく、それらは召喚師によって生み出された魔物である。

 しかし『このギルドにいるキラーラビットは、ドルヴィンがどこからか捕まえてきた魔物が受付に住み着いてしまったものなのだ』と説明したら、さぞ驚いていた様子であった。

「部屋に飾ってあった弓を見せてもらいたいんじゃが構わんか?」
 ピルスルはモルツに尋ねた。

 モルツも『ピルスルでしたらご自由に』と。そうドルヴィンから聞いていたようだった。

 部屋に入ると、壁にかかる綺麗な装飾の施された弓が目に飛び込んで来る。

「すっごい綺麗、私これ使いたいわ…」
 ミドが見惚れている。何か魔剣に近しい雰囲気を持っているのだと言っていたが、俺にはさっぱりわからなかった。

 俺は、どんな弓なのだろうと気になり鑑定していた。
【聖弓ウェヌス:攻撃力0、矢の攻撃力・効果を最大限に引き出す力を持つ】

「攻撃力0…いや特殊効果がすごいな。
 よくわからないが矢の強さが最大限引き出されるみたいだな」

 きっとこれで赤い矢とか撃ったらとんでもない爆発が起きたりするんじゃないのか?
 10mどころか30m離れていても爆風で飛ばされるんじゃないだろうか…?

 俺は恐ろしくなるのだった。

 弓の説明を聞いたミドは、なにかピルスルにお願いしているようだった。
 それを聞いたピルスルは3種類のエンチャントした矢を作りミドに渡すのだった。

 『何作ってあげたんだ?』と俺が聞くと、『毒矢と、眠り矢と、威力強化じゃ…爆発や死の呪いなども言っておったが恐ろしくて作ってやれんわ…』などと呆れたように話してくれたのだった。

 その矢にミドの幻術魔法を上乗せでもできるのだとしたら、もうどうやったら防げるのかも想像がつかない…。

「大変だ!戻って来ねぇ冒険者を探しに行ったんだが、西のダンジョン周辺に魔物が大量発生してやがる!」
 一人の男がギルドに入るなり周囲に向かって叫ぶ。

 西といえば…先週、俺たちが殺されかけた方角…。
 またも嫌な予感しかしないのだった。

ーーーーーーーーーーーーーーー
【聖弓ウェヌス:攻撃力0、矢の攻撃力・効果を最大限に引き出す力を持つ】

【毒の矢:攻撃力2、耐性の無い対象を確率で毒状態にする、低確率で猛毒状態にする】

【眠りの矢:攻撃力2、耐性の無い対象を確率で睡眠状態にする、低確率で昏睡状態にする】

【威力強化の矢:攻撃力7】

【赤い矢:攻撃力15(爆炎25)】
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