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第1章 異世界
《こうして始まった旅のお話》
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俺はシュウ、日本にいて電車を待っていたら突然世界が歪んでしまった。
それが俺の体調不良のせいなのか、世界に核でも落ちたのかは分からなかったのだが、神と名乗る男がこう言ったんだ。
「誤って死なせてしまった」
結局空間の歪みがなんだったのかは聞かないままだったのだが、どうせ俺は元の世界でも独りだったのだから未練というほどのものは無かった。
いや、本当は別れた妻と子がどうなったのかは気になっているのだが、今後会うような予定も無かったのだしどちらでも良かったのだ。
「じゃあインベントリというものを持って新しい世界で暮らせばいいのですね?」
「あぁ、恐ろしい魔物も住んではいるが街の中は安全なはずじゃ。安心してほしい」
俺の身体が移された場所は森の奥だった。まだ日は高く、周りの魔物はスライムばかり。
多少苦労はしたけれども、無事最初の街リキングバウトにたどり着いたのだ。
出会った冒険者は面倒見の良い【ドルヴィン】、活発な魔法使い【ローズ】、それと多くの名も知らない冒険者たち。
それと街にいるのがギルドの受付【ヴァイツ】【モルツ】、そのギルド長【ピルスル】、なぜかギルド長は俺の事をよく気にかけているのだが、それはおそらく同じスキルを持っているからなのだろう。
忘れてはいけないのが【銀狼亭】だろうか、ヤードというマスターに獣人の二人、エルンとベルジャンが店をやっている。
武器屋のおやっさんや雑貨屋の主人にも世話になったし、まだ一度しか会っていないのだがドルヴィンと共に行動している【レギ】という冒険者とも近いうちに一緒にダンジョンに行けるらしい。
おっと、門番の事を忘れていたな。
どこから情報を入手するのか?はたまた通りかかる冒険者たちが耳打ちでもしているのか…。
俺は毎日のようにこの門番から変わったあだ名で呼ばれるのだ。
インベントリのおかげで、ドロップアイテムは勝手に収納されていき便利なのだが、周りの冒険者の物まで入っていた日には血の気が引いたね。
だから俺は基本ソロでしか活動をしないと決めた。
まぁ気の許せる仲間になら全てを打ち明けようとは思うのだけど、なかなか言い出し辛いものである。
もう一つ、こちらはギルド長も持っているスキル。俺たちは隠しスキルと呼んでいる。
いつの間に手に入れたのかはよく覚えていないのだが、ギルド長曰く白いスライムに出会ったのではないか?と。
全く憶えが無いのだから困ってしまう。
まぁこれのおかげで人一倍良いドロップが入手できたり、隠しアイテムが見えたり、特殊な合成ができるのだから重宝はしそうだ。
まぁ赤い光に関してはトラブルに巻き込まれるような気がしないでもないのだけれど。
だから先日はオークキングのような、上位種と呼ばれる相手と戦う羽目になってしまったのだし。
幸いどうにかなったから良いものの、こんな事が続くのであれば必ずどこかで命を失うだろう…。
命を、と言えばイフリートである。
なぜ俺たちは殺されなければならないのか?ギルド長は面識もあったようなのだが、奴は何者なのだ?
戦いの最中、ギルド長が言っていたような気もするのだが、また改めて聞きにいくとしよう。
しかしとんでもない魔法を使うものだ、俺なんか練習してみても全く使える気がしない。
謹慎が終わったらドルヴィン共々ギルド長に呼び出されているのだし、またどこかへ行かされるのだろうな。
ローズもレギもいるようだし、その時にでも魔法の特訓をしてもらってもいいかも知れないな。
まぁこんなところだ。こうやって書き綴っておけば俺がこの世界で生きたという証にもなるだろう。
もう少しゲームっぽい世界を創造していたのだが、魔物とか痛みがリアル過ぎてちょっと気持ちが萎えてしまったのだろうな。
いつまで生きられるか分からないから。
もしこれを誰かが読んでいるのなら、その時にはきっと俺はいないのかもしれない。
インベントリの中にしまって…ん?死んだらインベントリの中身ってどうなるんだろうな?
【シュウの日記】より
それが俺の体調不良のせいなのか、世界に核でも落ちたのかは分からなかったのだが、神と名乗る男がこう言ったんだ。
「誤って死なせてしまった」
結局空間の歪みがなんだったのかは聞かないままだったのだが、どうせ俺は元の世界でも独りだったのだから未練というほどのものは無かった。
いや、本当は別れた妻と子がどうなったのかは気になっているのだが、今後会うような予定も無かったのだしどちらでも良かったのだ。
「じゃあインベントリというものを持って新しい世界で暮らせばいいのですね?」
「あぁ、恐ろしい魔物も住んではいるが街の中は安全なはずじゃ。安心してほしい」
俺の身体が移された場所は森の奥だった。まだ日は高く、周りの魔物はスライムばかり。
多少苦労はしたけれども、無事最初の街リキングバウトにたどり着いたのだ。
出会った冒険者は面倒見の良い【ドルヴィン】、活発な魔法使い【ローズ】、それと多くの名も知らない冒険者たち。
それと街にいるのがギルドの受付【ヴァイツ】【モルツ】、そのギルド長【ピルスル】、なぜかギルド長は俺の事をよく気にかけているのだが、それはおそらく同じスキルを持っているからなのだろう。
忘れてはいけないのが【銀狼亭】だろうか、ヤードというマスターに獣人の二人、エルンとベルジャンが店をやっている。
武器屋のおやっさんや雑貨屋の主人にも世話になったし、まだ一度しか会っていないのだがドルヴィンと共に行動している【レギ】という冒険者とも近いうちに一緒にダンジョンに行けるらしい。
おっと、門番の事を忘れていたな。
どこから情報を入手するのか?はたまた通りかかる冒険者たちが耳打ちでもしているのか…。
俺は毎日のようにこの門番から変わったあだ名で呼ばれるのだ。
インベントリのおかげで、ドロップアイテムは勝手に収納されていき便利なのだが、周りの冒険者の物まで入っていた日には血の気が引いたね。
だから俺は基本ソロでしか活動をしないと決めた。
まぁ気の許せる仲間になら全てを打ち明けようとは思うのだけど、なかなか言い出し辛いものである。
もう一つ、こちらはギルド長も持っているスキル。俺たちは隠しスキルと呼んでいる。
いつの間に手に入れたのかはよく覚えていないのだが、ギルド長曰く白いスライムに出会ったのではないか?と。
全く憶えが無いのだから困ってしまう。
まぁこれのおかげで人一倍良いドロップが入手できたり、隠しアイテムが見えたり、特殊な合成ができるのだから重宝はしそうだ。
まぁ赤い光に関してはトラブルに巻き込まれるような気がしないでもないのだけれど。
だから先日はオークキングのような、上位種と呼ばれる相手と戦う羽目になってしまったのだし。
幸いどうにかなったから良いものの、こんな事が続くのであれば必ずどこかで命を失うだろう…。
命を、と言えばイフリートである。
なぜ俺たちは殺されなければならないのか?ギルド長は面識もあったようなのだが、奴は何者なのだ?
戦いの最中、ギルド長が言っていたような気もするのだが、また改めて聞きにいくとしよう。
しかしとんでもない魔法を使うものだ、俺なんか練習してみても全く使える気がしない。
謹慎が終わったらドルヴィン共々ギルド長に呼び出されているのだし、またどこかへ行かされるのだろうな。
ローズもレギもいるようだし、その時にでも魔法の特訓をしてもらってもいいかも知れないな。
まぁこんなところだ。こうやって書き綴っておけば俺がこの世界で生きたという証にもなるだろう。
もう少しゲームっぽい世界を創造していたのだが、魔物とか痛みがリアル過ぎてちょっと気持ちが萎えてしまったのだろうな。
いつまで生きられるか分からないから。
もしこれを誰かが読んでいるのなら、その時にはきっと俺はいないのかもしれない。
インベントリの中にしまって…ん?死んだらインベントリの中身ってどうなるんだろうな?
【シュウの日記】より
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