17 / 24
割れた紅玉
しおりを挟む
ようやくほとんどの準備が終わりつつあるのを感じ、リオーチェはほっとしていた。後は細かい飾りつけを残すのみだ。シェイラの商会が入れてくれた珈琲という飲み物も宴席に供することになり、目新しさを付け加えてくれるだろうと喜んだ。
リオーチェは最後の仕上げとばかりにヘイデン家の広大な庭園を見て回っていた。どんな花がどに咲いているか、正確に把握しておこうと思ったのだ。小さな紙とペンを手に庭師に色々質問しながら見て回る。庭園内には温室もあり、季節に外れた花も栽培されているということで何かに使えないかとリオーチェは紙に書きつけながら思案していた。
そこにランスが入って来た。手には銀のトレーを持っている。目顔で庭師に合図し、下がるように指示すると庭園内に設置されているテーブルにトレーを置き、温室の窓を開け放った。むっとしていた空気が一気に外へと排出され、爽やかな風が温室内を吹き抜けた。
「ランスさん!どうしてこちらに?‥‥あと、温室の窓を開けちゃって大丈夫なんですか?」
突然現れたランスに驚き、つい大きな声を上げてしまった。ランスはにこっと笑って椅子を引いて座るように促してくる。
「リオ様がこちらの方に向かわれたのを拝見しまして。‥そろそろ、喉を潤したい頃合いではないかと思い、お茶を用意して参りました。窓は後でしめておけば大丈夫ですよ、多分」
ランスが柔らかく、茶目っ気も見せながらそういうのを聞いて、素直に椅子に腰掛ける。トレーからサーブされたお茶は、グリーンの鮮やかなお茶で初めて見るものだった。
「わあ、綺麗ですね!初めて見ました」
「東方の国で僅かに作られているものだそうです。少しフェルマリー商会から回していただけたのをお持ちしました。こちらの豆のペーストのお菓子とどうぞ」
そう言って差し出されたのは、ふんわりとした小さめのパンケーキに濃い茶色の豆のペーストとホイップしたクリームを載せた菓子だった。食べてみるとクリームと豆のペーストがいい塩梅に甘さを引き立てて美味しい。その間にお茶を飲めば、すっきりとして幾らでも食べられそうだ。
「よかったらランスさんもいかがですか?すっごく美味しいですよ!」
そう言って残っている茶菓を勧める。最初は遠慮していたランスだったが、リオーチェが重ねて勧めると少し口にしてくれた。
「‥確かにこれは美味しいですね。私はあまり甘いものは食べませんがこれなら食べたくなります」
「ですよね!ロレン様も召し上がったかなあ?きっとロレン様もお好きだと思いませんか?」
そう言うと、ランスはぴくっと肩を震わせた後、ゆっくりとフォークを置いた。そしてリオーチェの顔をまっすぐに見つめる。
「リオ様は、最近ロレン様とよく話すようになられましたね」
低い声に少し驚いてランスを見た。ランスは真っ直ぐにリオーチェの目を見ている。その瞳が何やら昏いものに満たされているように感じて、ぞくりとする。
「‥え、ええ、そうですね‥。少しちゃんと向き合ってみようかと、思いまして‥」
「なぜですか?」
切り返すような厳しいその物言いにまた驚いた。どちらかと言えばランスはいつも物腰が柔らかで、陽だまりのような温かさでリオーチェに接してくれた人だったのだが。今目の前にいるランスは、身体に厳しさを纏いリオーチェを見つめる目には何やら思いつめたような光がある。
ランスはずい、と一歩進んでリオーチェのすぐ隣にまでやってきた。思わず椅子の上で身をすくませる。こんなに怖いと思うのは失礼かもしれないという気持ちだけでリオーチェは椅子の上に留まっていた。
「な、ぜって‥ロレン様の、お気持ちを考えて‥」
「俺の気持ちは」
「え?」
ランスはリオの腕をぐっと握った。強い力で引き上げられ、ぐいと立たされる。思いがけず立たされてバランスを崩したリオーチェはそのままよろけそうになった。そこをランスが抱き留めた。
そのままぎゅっとリオーチェを抱きしめる。突然の事に驚いたままリオーチェは固まってしまった。ランスがたくましい身体全体で囲い込むようにぎゅっと抱きしめてくるので、いずれにせよ動けるわけもなかったのだが。
ランスは抱きしめたリオーチェの首元に顔をうずめて囁いた。
「‥リオ様、私ではだめですか?‥絶対に大切にします。私の家はヘイデン家ほど大きくありませんから色々な苦労を掛けることはここより少ないです。リオ様を幸せにすることに全力を尽くします。‥私の傍にいてほしいんです。あなたに」
「ラ、ランスさん、離して‥」
何とか腕を突っ張ろうとするが全くランスの力に及ばず動かせない。リオーチェの言葉を聞き入れることなくランスはリオーチェを腕の中に閉じ込め続ける。
「どうしてですか?‥なぜ俺じゃないんだ?俺もあなたを‥あなたを愛してる。あなたに横にいてほしいんだ。あなたがいないなんて考えられない」
「お願いランスさん、離してください!」
リオーチェを抱きしめたまま、ランスは苦笑しているようだった。首元でランスの声が響く。
「『お願い』か‥そのお願いは聞けません。それより、俺の願いを聞いてくれないか。リオ、好きなんだ。君が欲しい。俺の傍で笑っていてほしい」
リオーチェは身体をよじってランスの腕の中から抜け出そうと必死にもがく。だがランスの身体はびくともしない。無力感に涙が込み上げてきた。
「どうして、ランスさん、止めてください‥私、ランスさんの事そんなふうに見たことなくて‥」
「じゃあなんでロレンは⁉ロレンの事だってそんなふうに見ていなかったはずじゃないか!ロレンの事は見れてなんで俺はだめなんだ!!」
そう激しく叫ぶランスの姿は、今まで見たことのないものだった。思わず抵抗を止めてその顔を見つめているとランスの目には涙が滲んでいるのが見えた。息を呑んで声をかける。
「ランスさ‥」
言いかけたリオーチェの頬を片手で引き寄せ、ランスはリオーチェに口づけた。リオーチェは目を瞠った。
嫌だ。
嫌だ!!
「!!」
顔をねじってランスの唇を避ける。もう一度顔を押さえ唇を寄せようとしてくるランスの身体を必死に腕を突っ張ってよけようとするが全く敵わない。もう一度ランスの唇が触れた。
ロレン様。
「いやああああ!!」
ぱん、と乾いた音がした。
ランスが胸ポケットに入れていた小さなガラス瓶が、中の紅玉ごと粉々に砕け散ったのだ。そしてそこから眩しい光が発生し辺り一面を真っ白に染めた。ランスも思わず自分の目を手で覆う。
しばらく視界がなくなるほどに光ったそれは少しずつその光を弱め、最後には消えてなくなった。
リオーチェもいなくなっていた。
ランスは青褪めて周りを見回した。温室のドアを開けた様子もないのにリオーチェの姿だけがない。
「リオ様!!」
ランスの声だけが虚しく辺りに響き渡った。
リオーチェは最後の仕上げとばかりにヘイデン家の広大な庭園を見て回っていた。どんな花がどに咲いているか、正確に把握しておこうと思ったのだ。小さな紙とペンを手に庭師に色々質問しながら見て回る。庭園内には温室もあり、季節に外れた花も栽培されているということで何かに使えないかとリオーチェは紙に書きつけながら思案していた。
そこにランスが入って来た。手には銀のトレーを持っている。目顔で庭師に合図し、下がるように指示すると庭園内に設置されているテーブルにトレーを置き、温室の窓を開け放った。むっとしていた空気が一気に外へと排出され、爽やかな風が温室内を吹き抜けた。
「ランスさん!どうしてこちらに?‥‥あと、温室の窓を開けちゃって大丈夫なんですか?」
突然現れたランスに驚き、つい大きな声を上げてしまった。ランスはにこっと笑って椅子を引いて座るように促してくる。
「リオ様がこちらの方に向かわれたのを拝見しまして。‥そろそろ、喉を潤したい頃合いではないかと思い、お茶を用意して参りました。窓は後でしめておけば大丈夫ですよ、多分」
ランスが柔らかく、茶目っ気も見せながらそういうのを聞いて、素直に椅子に腰掛ける。トレーからサーブされたお茶は、グリーンの鮮やかなお茶で初めて見るものだった。
「わあ、綺麗ですね!初めて見ました」
「東方の国で僅かに作られているものだそうです。少しフェルマリー商会から回していただけたのをお持ちしました。こちらの豆のペーストのお菓子とどうぞ」
そう言って差し出されたのは、ふんわりとした小さめのパンケーキに濃い茶色の豆のペーストとホイップしたクリームを載せた菓子だった。食べてみるとクリームと豆のペーストがいい塩梅に甘さを引き立てて美味しい。その間にお茶を飲めば、すっきりとして幾らでも食べられそうだ。
「よかったらランスさんもいかがですか?すっごく美味しいですよ!」
そう言って残っている茶菓を勧める。最初は遠慮していたランスだったが、リオーチェが重ねて勧めると少し口にしてくれた。
「‥確かにこれは美味しいですね。私はあまり甘いものは食べませんがこれなら食べたくなります」
「ですよね!ロレン様も召し上がったかなあ?きっとロレン様もお好きだと思いませんか?」
そう言うと、ランスはぴくっと肩を震わせた後、ゆっくりとフォークを置いた。そしてリオーチェの顔をまっすぐに見つめる。
「リオ様は、最近ロレン様とよく話すようになられましたね」
低い声に少し驚いてランスを見た。ランスは真っ直ぐにリオーチェの目を見ている。その瞳が何やら昏いものに満たされているように感じて、ぞくりとする。
「‥え、ええ、そうですね‥。少しちゃんと向き合ってみようかと、思いまして‥」
「なぜですか?」
切り返すような厳しいその物言いにまた驚いた。どちらかと言えばランスはいつも物腰が柔らかで、陽だまりのような温かさでリオーチェに接してくれた人だったのだが。今目の前にいるランスは、身体に厳しさを纏いリオーチェを見つめる目には何やら思いつめたような光がある。
ランスはずい、と一歩進んでリオーチェのすぐ隣にまでやってきた。思わず椅子の上で身をすくませる。こんなに怖いと思うのは失礼かもしれないという気持ちだけでリオーチェは椅子の上に留まっていた。
「な、ぜって‥ロレン様の、お気持ちを考えて‥」
「俺の気持ちは」
「え?」
ランスはリオの腕をぐっと握った。強い力で引き上げられ、ぐいと立たされる。思いがけず立たされてバランスを崩したリオーチェはそのままよろけそうになった。そこをランスが抱き留めた。
そのままぎゅっとリオーチェを抱きしめる。突然の事に驚いたままリオーチェは固まってしまった。ランスがたくましい身体全体で囲い込むようにぎゅっと抱きしめてくるので、いずれにせよ動けるわけもなかったのだが。
ランスは抱きしめたリオーチェの首元に顔をうずめて囁いた。
「‥リオ様、私ではだめですか?‥絶対に大切にします。私の家はヘイデン家ほど大きくありませんから色々な苦労を掛けることはここより少ないです。リオ様を幸せにすることに全力を尽くします。‥私の傍にいてほしいんです。あなたに」
「ラ、ランスさん、離して‥」
何とか腕を突っ張ろうとするが全くランスの力に及ばず動かせない。リオーチェの言葉を聞き入れることなくランスはリオーチェを腕の中に閉じ込め続ける。
「どうしてですか?‥なぜ俺じゃないんだ?俺もあなたを‥あなたを愛してる。あなたに横にいてほしいんだ。あなたがいないなんて考えられない」
「お願いランスさん、離してください!」
リオーチェを抱きしめたまま、ランスは苦笑しているようだった。首元でランスの声が響く。
「『お願い』か‥そのお願いは聞けません。それより、俺の願いを聞いてくれないか。リオ、好きなんだ。君が欲しい。俺の傍で笑っていてほしい」
リオーチェは身体をよじってランスの腕の中から抜け出そうと必死にもがく。だがランスの身体はびくともしない。無力感に涙が込み上げてきた。
「どうして、ランスさん、止めてください‥私、ランスさんの事そんなふうに見たことなくて‥」
「じゃあなんでロレンは⁉ロレンの事だってそんなふうに見ていなかったはずじゃないか!ロレンの事は見れてなんで俺はだめなんだ!!」
そう激しく叫ぶランスの姿は、今まで見たことのないものだった。思わず抵抗を止めてその顔を見つめているとランスの目には涙が滲んでいるのが見えた。息を呑んで声をかける。
「ランスさ‥」
言いかけたリオーチェの頬を片手で引き寄せ、ランスはリオーチェに口づけた。リオーチェは目を瞠った。
嫌だ。
嫌だ!!
「!!」
顔をねじってランスの唇を避ける。もう一度顔を押さえ唇を寄せようとしてくるランスの身体を必死に腕を突っ張ってよけようとするが全く敵わない。もう一度ランスの唇が触れた。
ロレン様。
「いやああああ!!」
ぱん、と乾いた音がした。
ランスが胸ポケットに入れていた小さなガラス瓶が、中の紅玉ごと粉々に砕け散ったのだ。そしてそこから眩しい光が発生し辺り一面を真っ白に染めた。ランスも思わず自分の目を手で覆う。
しばらく視界がなくなるほどに光ったそれは少しずつその光を弱め、最後には消えてなくなった。
リオーチェもいなくなっていた。
ランスは青褪めて周りを見回した。温室のドアを開けた様子もないのにリオーチェの姿だけがない。
「リオ様!!」
ランスの声だけが虚しく辺りに響き渡った。
60
お気に入りに追加
198
あなたにおすすめの小説
完】異端の治癒能力を持つ令嬢は婚約破棄をされ、王宮の侍女として静かに暮らす事を望んだ。なのに!王子、私は侍女ですよ!言い寄られたら困ります!
仰木 あん
恋愛
マリアはエネローワ王国のライオネル伯爵の長女である。
ある日、婚約者のハルト=リッチに呼び出され、婚約破棄を告げられる。
理由はマリアの義理の妹、ソフィアに心変わりしたからだそうだ。
ハルトとソフィアは互いに惹かれ、『真実の愛』に気付いたとのこと…。
マリアは色々な物を継母の連れ子である、ソフィアに奪われてきたが、今度は婚約者か…と、気落ちをして、実家に帰る。
自室にて、過去の母の言葉を思い出す。
マリアには、王国において、異端とされるドルイダスの異能があり、強力な治癒能力で、人を癒すことが出来る事を…
しかしそれは、この国では迫害される恐れがあるため、内緒にするようにと強く言われていた。
そんな母が亡くなり、継母がソフィアを連れて屋敷に入ると、マリアの生活は一変した。
ハルトという婚約者を得て、家を折角出たのに、この始末……。
マリアは父親に願い出る。
家族に邪魔されず、一人で静かに王宮の侍女として働いて生きるため、再び家を出るのだが………
この話はフィクションです。
名前等は実際のものとなんら関係はありません。
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
殿下が恋をしたいと言うのでさせてみる事にしました。婚約者候補からは外れますね
さこの
恋愛
恋がしたい。
ウィルフレッド殿下が言った…
それではどうぞ、美しい恋をしてください。
婚約者候補から外れるようにと同じく婚約者候補のマドレーヌ様が話をつけてくださりました!
話の視点が回毎に変わることがあります。
緩い設定です。二十話程です。
本編+番外編の別視点
【改稿版・完結】その瞳に魅入られて
おもち。
恋愛
「——君を愛してる」
そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった——
幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。
あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは……
『最初から愛されていなかった』
その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。
私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。
『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』
『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』
でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。
必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。
私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……?
※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。
※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。
※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。
【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~
胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。
時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。
王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。
処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。
これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
旦那様の不手際は、私が頭を下げていたから許していただけていたことをご存知なかったのですか?
木山楽斗
恋愛
英雄の血を引くリメリアは、若くして家を継いだ伯爵の元に嫁いだ。
若さもあってか血気盛んな伯爵は、失言や失敗も多かったが、それでもリメリアは彼を支えるために働きかけていた。
英雄の血を引く彼女の存在には、単なる伯爵夫人以上の力があり、リメリアからの謝罪によって、ことが解決することが多かったのだ。
しかし伯爵は、ある日リメリアに離婚を言い渡した。
彼にとって、自分以上に評価されているリメリアは邪魔者だったのだ。
だが、リメリアという強力な存在を失った伯爵は、落ちぶれていくことになった。彼女の影響力を、彼はまったく理解していなかったのだ。
私と結婚したくないと言った貴方のために頑張りました! ~帝国一の頭脳を誇る姫君でも男心はわからない~
すだもみぢ
恋愛
リャルド王国の王女であるステラは、絶世の美女の姉妹に挟まれた中では残念な容姿の王女様と有名だった。
幼い頃に婚約した公爵家の息子であるスピネルにも「自分と婚約になったのは、その容姿だと貰い手がいないからだ」と初対面で言われてしまう。
「私なんかと結婚したくないのに、しなくちゃいけないなんて、この人は可哀想すぎる……!」
そう自分の婚約者を哀れんで、彼のためになんとかして婚約解消してあげようと決意をする。
苦労の末にその要件を整え、満を持して彼に婚約解消を申し込んだというのに、……なぜか婚約者は不満そうで……?
勘違いとすれ違いの恋模様のお話です。
ざまぁものではありません。
婚約破棄タグ入れてましたが、間違いです!!
申し訳ありません<(_ _)>
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる