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二人の若者の心
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ベラはそう言って話を締めくくると、今度はリオーチェの頭全体をマッサージし始めた。程よい力加減に睡魔がやってくる。眠そうにしているリオーチェに気づいたベラは、リオーチェをベッドに導き、寝かせた上でヘッドマッサージを再開してくれた。その心地よさにリオーチェはあっという間に眠りに入ってしまった。薄れゆく意識の中で、(こんな贅沢覚えちゃって家に帰った時どうしよう・・)と思いながら。
団欒室で蒸留酒を愉しんでいた侯爵のところに、ロレアントがやってきた。メイドにお茶の用意を頼んで深々と長椅子に腰かける。侯爵はその様子をちらりと見て言った。
「何か言うことでもあるか?」
「‥‥本当にありがとうございます、父上。俺は、結構危ない橋を渡ってましたね」
「そうだな」
あれはほとんど告白と言っていいほどの言動だった。恐らくは前後のリオーチェの行動などから精霊は見逃してくれたのかもしれない。また、侯爵の冷静な意見もよかったのかもしれない。
これまで精霊の反感をかうことを恐れて、ロレアントはリオーチェに言いたいことをほとんど言ってこれなかった。何よりもリオーチェと会えなくなってしまう事は避けたかったからだ。
だが、このまま自分の思いが伝わらずにいればいずれリオーチェは去ってしまうかもしれない。そんな危機感が押し寄せ、今日は思いがけず踏み込んだ話をしてしまった。
だが、侯爵の助けのおかげでどうやら精霊の反感もかわず、何とか来月のパーティーのパートナーとしてもリオーチェを確保できた。
「本当に父上のおかげで、今日は助かりました」
「そう思うならデビュタントまでに努力をすることだ。‥今夜の様子を見れば、リオはお前のことが特に嫌いだという訳でもなさそうだ。頑張れよ」
「はい!」
やってきた温かいお茶を飲んで、ふうと息をつく。
まずはひと月後のガーデンパーティーでしっかりエスコートし、ヘイデン家門内にリオーチェは自分のものだと知らしめる。そしてデビュタントまでには口約束でもいいから何とか婚約を取り付けたい。
ロレアントは飛び級で今学院の三年生だ。次の秋前に卒業してしまえば特例で成人とみなされる。卒業後の進路として今打診されているのは、魔法理学研究会と王立騎士団魔法戦士部である。いまだヘイデン侯爵は若く、現役であるため今後10年ほどは領政よりも国政に近い部分で働くことを期待されているのだ。
出来ればその就職の時までには、正式に婚約しておきたい。そしてリオーチェの卒業を待ってすぐにでも結婚したい。そう考えていた。
その時、団欒室のドアを叩く音がした。「入れ」と侯爵が入室を許すと、やってきたのはランス‥ランスロットだった。
「侯爵様、一か月後のガーデンパーティーでリオ様のパートナーをロレン様が務めるとお聞き致しました」
ランスロットは端正な顔を少しゆがめてそう切り出した。侯爵は黙ってカットグラスを傾けている。ランスロットは少し焦れたように言った。
「私にも機会を与えてくださるとおっしゃっておられたではないですか。急に、そんな事をされるとは‥」
「申し訳ないが、ランスロット。あくまでもリオをヘイデン本家で迎えたいという私の意思は初めから変わっていない。‥ただ、リオの気持ちを優先するとしただけだ。今のところお前が持っている紅玉は二つ。四つ持っているロレンの方が有利であることに変わりはない」
ランスロットは唇をかんだ。あくまでも自分がリオを得るための「スペア」であることはわかっているつもりだった。だが思いがけず先日リオーチェから『お願い』をされ、ふたつめの紅玉を手に入れたことで浮かれていたのは自分でもわかっていた。今夜の正餐にも本当は参加したかったのだが、侯爵に断られたのだ。‥リオーチェの正装をぜひ見たかった。
この五年の間にすっかりランスロットはリオーチェに心を奪われていた。侍従という立場である自分にも、リオーチェは隔てなく接してくれたし、優しくもあった。家格が同じくらいだから、という理由で本来使用人であるはずのランスロットの事を「ランスさん」と呼んでくれ笑いかけてくれるリオーチェが愛しかった。
「‥‥では、それまでにリオ様のお気持ちが私に向けば、いいのですね?」
そう不穏な空気を纏いながら言い募るランスロットに、ロレアントは言った。
「ランス。リオに無茶なことはするなよ。俺は、お前とは正面切って争いたくない」
「ロレン様、それは私もですよ。‥私はロレン様が好きですから」
ランスロットはそう言って少し笑った。そしてその後に言葉を続けた。
「ただ、それよりもリオ様を好きなだけです。‥失礼致しました」
ランスロットは言いたいことを言ってすぐに部屋を出て行ってしまった。とても侍従のやることではない。ドアを見やりながら侯爵はため息をついた。
「‥やはりオールヴォワン家から彼を受け入れたのは早計だったか‥」
「いえ、あの時は私も紅玉を二つしか持っていませんでしたし、呪いも解呪されていなかった。オールヴォワン家からの申し出を回避できる状況ではありませんでした。‥俺がリオの気持ちを、何とか自分に向かせられればいいだけです」
「‥それが難しいから、今のような状況になっているんだがな‥何しろリオは本当に欲がないから、資産的なことで気を引く事も出来ん。‥何より、リオはまだ恋愛というものにあまり関心がないように見えるな」
父の指摘にロレアントははっとして考え込んだ。
「確かに父上のおっしゃるとおりかもしれません。だとしたらますます難しくなりますね」
「うむ‥‥」
親子はしばし沈考した。しばらく経ってふとロレアントが思いついた。
「父上、リオの親しくしている友人が確かフェルマリー商会の娘でした。今度のガーデンパーティーの装飾を任せているのもそこでしたよね?」
「ああ。確かそうだ。あそこは隣国の珍しい雑貨を多く取り扱っているからな」
「その時に少し、リオの友人と話せないか訊いてみます。そこで何か掴めたらと思うんです」
侯爵はぐっと残りの酒を飲み干し、たん、とグラスを置いた。
「出来ることは何でもやっておく方がいいだろう。商会へのつなぎはチェロバンに頼め」
「わかりました、ありがとうございます」
ロレアントもぬるくなったお茶を飲み干した。
団欒室で蒸留酒を愉しんでいた侯爵のところに、ロレアントがやってきた。メイドにお茶の用意を頼んで深々と長椅子に腰かける。侯爵はその様子をちらりと見て言った。
「何か言うことでもあるか?」
「‥‥本当にありがとうございます、父上。俺は、結構危ない橋を渡ってましたね」
「そうだな」
あれはほとんど告白と言っていいほどの言動だった。恐らくは前後のリオーチェの行動などから精霊は見逃してくれたのかもしれない。また、侯爵の冷静な意見もよかったのかもしれない。
これまで精霊の反感をかうことを恐れて、ロレアントはリオーチェに言いたいことをほとんど言ってこれなかった。何よりもリオーチェと会えなくなってしまう事は避けたかったからだ。
だが、このまま自分の思いが伝わらずにいればいずれリオーチェは去ってしまうかもしれない。そんな危機感が押し寄せ、今日は思いがけず踏み込んだ話をしてしまった。
だが、侯爵の助けのおかげでどうやら精霊の反感もかわず、何とか来月のパーティーのパートナーとしてもリオーチェを確保できた。
「本当に父上のおかげで、今日は助かりました」
「そう思うならデビュタントまでに努力をすることだ。‥今夜の様子を見れば、リオはお前のことが特に嫌いだという訳でもなさそうだ。頑張れよ」
「はい!」
やってきた温かいお茶を飲んで、ふうと息をつく。
まずはひと月後のガーデンパーティーでしっかりエスコートし、ヘイデン家門内にリオーチェは自分のものだと知らしめる。そしてデビュタントまでには口約束でもいいから何とか婚約を取り付けたい。
ロレアントは飛び級で今学院の三年生だ。次の秋前に卒業してしまえば特例で成人とみなされる。卒業後の進路として今打診されているのは、魔法理学研究会と王立騎士団魔法戦士部である。いまだヘイデン侯爵は若く、現役であるため今後10年ほどは領政よりも国政に近い部分で働くことを期待されているのだ。
出来ればその就職の時までには、正式に婚約しておきたい。そしてリオーチェの卒業を待ってすぐにでも結婚したい。そう考えていた。
その時、団欒室のドアを叩く音がした。「入れ」と侯爵が入室を許すと、やってきたのはランス‥ランスロットだった。
「侯爵様、一か月後のガーデンパーティーでリオ様のパートナーをロレン様が務めるとお聞き致しました」
ランスロットは端正な顔を少しゆがめてそう切り出した。侯爵は黙ってカットグラスを傾けている。ランスロットは少し焦れたように言った。
「私にも機会を与えてくださるとおっしゃっておられたではないですか。急に、そんな事をされるとは‥」
「申し訳ないが、ランスロット。あくまでもリオをヘイデン本家で迎えたいという私の意思は初めから変わっていない。‥ただ、リオの気持ちを優先するとしただけだ。今のところお前が持っている紅玉は二つ。四つ持っているロレンの方が有利であることに変わりはない」
ランスロットは唇をかんだ。あくまでも自分がリオを得るための「スペア」であることはわかっているつもりだった。だが思いがけず先日リオーチェから『お願い』をされ、ふたつめの紅玉を手に入れたことで浮かれていたのは自分でもわかっていた。今夜の正餐にも本当は参加したかったのだが、侯爵に断られたのだ。‥リオーチェの正装をぜひ見たかった。
この五年の間にすっかりランスロットはリオーチェに心を奪われていた。侍従という立場である自分にも、リオーチェは隔てなく接してくれたし、優しくもあった。家格が同じくらいだから、という理由で本来使用人であるはずのランスロットの事を「ランスさん」と呼んでくれ笑いかけてくれるリオーチェが愛しかった。
「‥‥では、それまでにリオ様のお気持ちが私に向けば、いいのですね?」
そう不穏な空気を纏いながら言い募るランスロットに、ロレアントは言った。
「ランス。リオに無茶なことはするなよ。俺は、お前とは正面切って争いたくない」
「ロレン様、それは私もですよ。‥私はロレン様が好きですから」
ランスロットはそう言って少し笑った。そしてその後に言葉を続けた。
「ただ、それよりもリオ様を好きなだけです。‥失礼致しました」
ランスロットは言いたいことを言ってすぐに部屋を出て行ってしまった。とても侍従のやることではない。ドアを見やりながら侯爵はため息をついた。
「‥やはりオールヴォワン家から彼を受け入れたのは早計だったか‥」
「いえ、あの時は私も紅玉を二つしか持っていませんでしたし、呪いも解呪されていなかった。オールヴォワン家からの申し出を回避できる状況ではありませんでした。‥俺がリオの気持ちを、何とか自分に向かせられればいいだけです」
「‥それが難しいから、今のような状況になっているんだがな‥何しろリオは本当に欲がないから、資産的なことで気を引く事も出来ん。‥何より、リオはまだ恋愛というものにあまり関心がないように見えるな」
父の指摘にロレアントははっとして考え込んだ。
「確かに父上のおっしゃるとおりかもしれません。だとしたらますます難しくなりますね」
「うむ‥‥」
親子はしばし沈考した。しばらく経ってふとロレアントが思いついた。
「父上、リオの親しくしている友人が確かフェルマリー商会の娘でした。今度のガーデンパーティーの装飾を任せているのもそこでしたよね?」
「ああ。確かそうだ。あそこは隣国の珍しい雑貨を多く取り扱っているからな」
「その時に少し、リオの友人と話せないか訊いてみます。そこで何か掴めたらと思うんです」
侯爵はぐっと残りの酒を飲み干し、たん、とグラスを置いた。
「出来ることは何でもやっておく方がいいだろう。商会へのつなぎはチェロバンに頼め」
「わかりました、ありがとうございます」
ロレアントもぬるくなったお茶を飲み干した。
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